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◎リーマン・ショックから10年 改めて学ぶことは

 9月15日は、世界的大不況=大恐慌の契機になったリーマン・ショック(米証券大手のリーマン・ブラザーズの経営破綻)からちょうど10年になりました。

 トヨタ自動車は、この年の決算(09年3月期)で4610億円という巨額の営業赤字を計上しました。リーマン・ショック直前の08年3月期決算の発表(同年5月)で、世界で891万3000台を販売し、2兆2703億円と過去最高の営業利益をあげていました。

 この決算時で、09年3月期の見通しを明らかにしていますが、世界販売は906万台で、営業利益の見通しは、14円の円高で6703億円減の1兆6000億円としていました。

 その4カ月後にリーマン・ショックの激震がトヨタを襲ったのです。トヨタは、リーマン・ショックの震源地、アメリカでもっとも利益を稼いできただけに深刻でした。

 北米での販売見通しは、日本国内の220万台を上回る277万台でしたが、221万2000台しか売れず、前期より74万6000台も減りました。アメリカだけで、トヨタ全体の販売台数減の55・4%を占めました。

トヨタ 期間従業員
(リーマン・ショック時に大量に雇い止めされる直前のトヨタの期間従業員=2008年4月、豊田市)

 ツケは労働者などに回りました。海外では約4割、のべ3万人を超える労働者に「ワークシェリング」を実施。日本国内では、正社員には「一斉年休」と「会社休業」(基準賃金の80%支給)を、非正規の期間従業員を6000人以上雇い止めし、グループ全体では1万人以上の派遣労働者や期間従業員を解雇、雇い止めしました。

 トヨタ自動車のある独身寮では、雇い止めされた期間従業員の布団が玄関に山積みになりました。期間従業員は、沖縄、関西、四国など故郷に帰って行きました。部屋で使われているのは3分の1ほどになりました。

 20代の期間従業委員は、「僕たちはトヨタの過酷なラインを支えてきた。その自負はある。辞めたくて辞めたんじゃない。もっと働きたかった」と語りました。ハローワークへ行くと相談者で満杯でした。

 会社を追い出され、ネットカフェで泊まる労働者たちが社会問題になりました。12月には、「年越し派遣村」が東京の日比谷公園に設けられ、炊き出しに長い列が…その光景は、国民に強烈に焼き付きました。

 “派遣切り”された労働者が労働組合をつくるなどして立ち上がり、全国各地で数十件の裁判が起きました。「偽装請負」を告発し、不当解雇されたパナソニック・プラズマディスプレイ労働者への最高裁判決(09年12月。偽装請負を認めたものの、パナの雇用責任を認めず)が“重し”となって労働者のたたかいは困難を極めました。

 その中でも、マツダの防府工場(山口県防府市)から“派遣切り”され、裁判に訴えていた15人が14年7月、広島高裁のあっせんでマツダと和解しました。

 派遣労働は、一時的・臨時的で、正社員の代替にしてはならないというのが労働者派遣法の大原則で、派遣期間の上限は3年です。これを超すと派遣先は、派遣労働者を直接雇用する義務を負います。

 ところがマツダは、派遣会社から受け入れた派遣労働者を、3年を前に一時的にマツダの直接雇用の期間社員にし、期間社員も労働基準法で3年までとなっているために、3カ月と1日たつとふたたび期間社員を派遣労働者に戻していました。これをくり返していました。

 山口地裁は13年3月、これを違法とし、元派遣労働者を正社員と認める画期的な判決を出しました。これが力となってマツダと和解したのです。

トヨタ車体 派遣寮
(”派遣切り”の嵐のなか、トヨタ車体富士松工場=刈谷市=の派遣労働者独身寮の前には、引っ越しのトラックが並びました=2009年1月)

 リーマン・ショックを機に、世界的大不況になりました。大不況=恐慌は、1825年のイギリスに始まり、この180年余で20回起きています。戦後でも1957年、74年、80年、91年、2000年前後、リーマン・ショックの2008年と6回起きています(不破哲三著『マルクスは生きている』)。実に、ほぼ10年に1回の割合です。

 「アメリカで、住宅産業や自動車産業の危機が最大の焦点になったことにも見られるように、私は土台にあるのは過剰生産恐慌だとみています」(不破哲三『マルクスは生きている――公開連続セミナー講演録』)と指摘されるように、資本主義の必然である大恐慌に、トヨタは飲み込まれたのです。

 皮肉にもこの2008年は、世界1のGMが前年より販売を11%も大幅に減らして835万6000台になり、4%減にとどまり897万2000台のトヨタが初めて世界1になりました。

 リーマン・ショックで、派遣労働者や期間従業員ら非正規労働者が最大の犠牲にされました。それから10年。非正規労働者の比率は増え続け、今年7月時点で37%にもなっています。

 貧困・格差はますます広がり、その是正と政治の革新を求める運動は、日本、アメリカ、世界で広がっています。リーマン・ショックの苦しみのなかで学んだことを改めて考える時です。
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解雇・雇い止め | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/09/16 16:46
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