◎「残業代ゼロ」法案とは「レッテル張り」か?

 労働組合の全国組織、連合の神津里季生会長が、「残業代ゼロ」法案の修正を安倍首相に要請(7月14日)したことについて、「連合ニュース」が伝えています。このなかで、安倍首相は、次のように答えたといいます。

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 現在提出している労働基準法改正案の目的は、働く人の健康を確保しつつ、その意欲や能力を発揮できる新しい労働制度の選択を可能とするものであり、残業代ゼロ法案といったレッテル張りの批判に終始すれば、中身のある議論が行えないと考えていたところ、本日の提案は、中身についての提案であり、建設的なもの。
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 「残業代ゼロ」法案とは、「労働時間の規制を除外する」といって、労働基準法の1日8時間、週40時間の労働時間規制をなくし、成果に基づいて賃金を支払うというものです。残業代はなくなります。

 対象労働者は、金融商品の開発業務や研究開発業務など“高度プロフェッショナル”な仕事にたずさわり、年収1075万円以上で、労働者の平均賃金の3倍以上、希望する者などを想定しています。

 安倍政権は、「高度プロフェッショナル」制度と呼び、労働基準法の改定を2015年に国会に提出しました。

 神津会長は、「毎年100名を超える方が過労死で亡くなっている現実を直視すれば、いま政府がなすべきことは『残業代ゼロ』制度を作り出すことではなく『過労死ゼロ』を実現するための施策を早急に講じることだ」とのべ、連合は、「残業代ゼロより過労死ゼロ」のスローガンで強く反対してきました。

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(連合の本部=東京都千代田区)

 全労連など労働界や野党も一致して反対してきたために、一度も審議されませんでした。

 安倍首相は、神津会長の修正提案に対し、連合も「残業代ゼロ」と呼んだ法案を「レッテル張り」とのべたうえに、連合の提案を「建設的なもの」と評価し、持ち上げました。

 「レッテル張り」どころか、法案の本質をずばり突いたのが「残業代ゼロ」です。“高度プロフェッショナル”などといって本質を隠し、労働者を長時間労働と過労死に追いやることの方がレッテル張りでしょう。

 安倍首相は、首相と神津会長、日本経団連の榊原定征会長の3者で政労使合意ができるよう「最大限、尽力したい」と連合の修正提案に賛同しました。

 労働組合の全国組織の1つである連合が、修正提案をしたことに連合内からも強い批判が出ています。全労連も反対しています。連合は、10月に大会を開く予定です。

 連合は、「残業代ゼロより過労死ゼロ」の原点に戻り、大会をめざして組織内討論を尽くすとともに、「全国過労死を考える家族の会」など広範な団体の意見に耳を傾けるべきではないでしょうか。

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残業代ゼロ法案 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2017/07/17 15:24
コメント
No title
一般サラリーマンとしては、連合の会長が態度を豹変させて、反対から賛成に転じた背景が何かを、知りたいです。
No title
いつも比較として取り上げるドイツもホワイトカラーエグゼプションがあるように残業代ゼロ制度と過労死ゼロは両立出来るでしょう。

共謀罪の時同様に都合の良いときだけ海外事例を紹介しない意図は国民を騙すためかな?

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