◎国連 核兵器禁止条約採択の快挙

 ヒロシマ、ナガサキに核兵器が投下されて71年余。遅すぎたとはいえ、国連で核兵器禁止条約が採択されました。核保有国が参加していませんが、1万数千発の核兵器が完全に廃棄される展望が出てきました。

 七夕にあたる7月7日、米ニューヨークの国連本部で開かれていた核兵器禁止条約の交渉会議で、122カ国の圧倒的多数の賛成で同条約が採択されました。オランダが反対、シンガポールが棄権しました。

 市民社会の代表として発言したカナダ在住の被爆者サーロー節子さん(85)は、「しんぶん赤旗」の取材に次のように語りました。

 「この瞬間がくるとは思っていなかった。心と知力を尽くしてくれたことに感謝したい。核兵器廃絶に近づく壮大な成果で、この日を70年間待ち続け、喜びに満ちている。核兵器の終わりの始まりだ。核兵器は道義に反してきただけでなく、今では違法となった。世界の指導者はこの条約に署名すべきだ」

 しかし、唯一の戦争被爆国の日本は、会議に不参加。安倍政権の意を受けた別所浩郎国連大使が国連内で、アメリカなど核保有国の“段階的アプローチ”の立場に組して、「署名することはない」と表明。国際社会から孤立する姿を示しました。

平和大行進 20170602
(ヒロシマへ向かう豊田市での平和大行進=17年6月2日)

 これに先立ち、NHKは7月5日のニュースで、次のように伝えていました。

……
 共産党の志位委員長は、ことし3月に続いて、核兵器を法的に禁止する条約の制定を目指している国連の会議に出席するため、5日からニューヨークを訪問することにしていて、会議の成功に向け、最大限、貢献したい考えです。

 …NHKの取材に対し、「いよいよ核兵器を法的に禁止する条約文が採択されるという歴史的な会議の成功に向けて、被爆国の政党として、最大限の貢献をしたい。必ず会議は成功すると確信している」と述べました。
……

核保有国マップ
(『No Nukes』(講談社)から)

 会議に参加した志位和夫委員長は、採択を目の当りにして、条約の意義、完全廃絶への展望などを語った長文の声明「歴史的条約を力に、核兵器全面廃絶の実現を――核兵器禁止条約の採択を心から歓迎する」を発表しました。次は、その全文です。

……
(1)
 「核兵器禁止条約の国連会議」(「核兵器の全面廃絶につながる、核兵器を禁止する法的拘束力のある協定について交渉する国連会議」)は、7日、核兵器禁止条約を、国連加盟193カ国の63%にあたる122カ国の賛成(保留1、反対1)で採択した。

 人類史上初の核兵器禁止条約の採択は、日本の被爆者をはじめ「核兵器のない世界」を求める世界各国と市民社会の多年にわたる共同のとりくみが結実した、文字通り、歴史的な壮挙である。私は、これを心から歓迎する。

(2)
 採択された条約は、5月22日に発表された草案を土台に、国際社会の英知を結集して練り上げられ、核兵器廃絶につながる禁止条約として、必要な要素が盛り込まれ、現時点で考えうる最良の内容となったと考える。

 条約は、その前文で、核兵器の非人道性を厳しく告発し、国連憲章、国際法、国際人道法にてらして、その違法性を明確にする太い論理がのべられている。国際社会がこうした認識に到達するうえで、「ヒバクシャ」をはじめとする「市民的良心の役割」が強調されていることは、この条約をつくりあげた力が世界の草の根の運動にあることを示すものとして、きわめて重要である。

 条約は、核兵器の法的禁止の内容として、核兵器の「開発、実験、生産、製造、取得、所有、貯蔵」、「使用、使用の威嚇」、締約国の領土と管轄地域への核兵器の「配置、導入、配備の許可」などを明記した。

 条約の仕上げの段階で、核兵器の「使用の威嚇」の禁止が新たに明記されたことは、核抑止力論――核兵器による威嚇に依存した安全保障論を否定したものとして、大きな意義をもつ。これらは、核兵器に「悪の烙印(らくいん)」を押し、それを全面的に違法化するものとなった。

 条約には、核兵器の完全廃絶にむけた枠組みが明記された。核保有国の条約参加の道として、①核兵器を廃棄したうえで条約に参加する道とともに、②条約に参加したうえで核兵器を速やかに廃棄する道が、規定された。

 核兵器完全廃絶には、核保有国とその同盟国の条約参加がもとより不可欠だが、条約はそれに門戸を広く開いている。

 条約は、「核兵器の使用または実験によって影響をうけた諸個人」に対する支援を、「差別なく十分に提供する」ことを、核兵器によって被害を与えたことのある締約国の責任として明記しているが、これは、長年にわたって被爆者援護を求めてきた被爆者の切望にこたえる画期的な条項である。

 条約は、被爆者を先頭とした日本と世界の反核平和運動と日本共産党が、戦後一貫して求めつづけてきた内容が、全面的に反映されたものとなっている。

核実験11


(3)
 核兵器禁止条約の採択は、新たなスタートであり、私たちのめざすゴールは、「核兵器のない世界」――核兵器完全廃絶の実現である。核兵器禁止から廃絶へとすすむうえで、次の三つの力を合わせることが重要になってくる。

 第1は、核兵器禁止条約そのものがもつ力である。
 この条約は、核兵器に「悪の烙印」を押し、それを違法化することによって、条約に参加していない核兵器保有国とその同盟国をも、政治的・道義的に拘束するものとなった。私たちは、核兵器完全廃絶にすすむうえで、強力な法的規範を獲得することとなった。

 第2は、この条約をつくりあげた、世界の多数の諸政府と市民社会の力である。
 「国連会議」に結集したこの力が、核兵器完全廃絶を求める圧倒的な国際的世論をつくりだし、核兵器保有国とその同盟国を、国際的に包囲していくことが、「核兵器のない世界」にすすむ根本の力である。
 「ヒバクシャ国際署名」を全世界で数億の規模で集めるとりくみは、いよいよ重要である。

 第3は、一つひとつの核兵器保有国とその同盟国で、核兵器完全廃絶をめざす世論を多数とし、禁止条約への参加を求める運動をさらに発展させることである。これらの国ぐにが禁止条約に参加するためには、政府が条約に調印し、議会がそれを批准することが必要となってくる。

 そうした政府・議会をつくるために、政治的力関係を変えるたたかいが、それぞれの国ぐにで重要となってくる。条約では「市民的良心」を発揮する担い手として「国会議員」の役割を強調していることもふまえ、大いに奮闘したい。

 歴史的な核兵器禁止条約を力に、核兵器完全廃絶にすすむ新たなたたかいに挑戦することを、心からよびかける。

原爆ドーム ヒロシマ


(4)
 日本政府が、唯一の戦争被爆国の政府であるにもかかわらず、歴史的な核兵器禁止条約に背を向ける態度をとっていることは、内外の強い失望と批判を招いている。そのことは、「国連会議」に参加しても、強く実感されたことだった。

 わが党は、日本政府が、従来の立場を抜本的に再検討し、核兵器禁止条約に参加することを、強く求めるものである。

 同時に、野党と市民の共闘を発展させ、このような政府を変え、核兵器廃絶を求める世界の本流にくわわり、その先頭にたつ政府をつくるために、わが党は、力をつくすものである。
……
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戦争と平和 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2017/07/10 07:06
コメント
北朝鮮に対して無力でその抑止の出来る他の保有国の能力だけ制限する締結時点で死文化している条約ですね。
No title
泥棒(北朝鮮)が銃を振り回している状態で警察官も含めた銃規制をするようなもの。

泥棒に銃を持たせない環境作りがまず先でしょう。

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