◎憲法 70年の重みをかみしめる

 ゴールデンウイーク中、トヨタ自動車の本社工場の北側にある枝下緑道をゆっくり歩いた。新緑の真っ盛りだった。いつ来てもここはいい。歩きながら、作家の故・井上ひさしさんの言葉を思い起こした。

 井上さんは、病気で死ねるのは幸せだと言った。戦前の日本の侵略戦争――アジア・太平洋戦争で、日本人が320万人、海外の人々が2000万人が死んだことに比べ、戦後は戦争ではなく、病気で死ねて幸せだという意味だ。

40 トヨタ本社工場 1
(枝下緑道)

 この枝下緑道の目の前のトヨタ本社工場に、終戦わずか1日前の1945年8月14日、長崎で落とされた原爆と同型の核模擬爆弾が米軍によって落とされた。現在の上郷工場の南側には広大な岡崎海軍航空隊の基地があった。

 終戦がもう少し遅ければ、現在の“世界のトヨタ”はなかったといわれる。5月3日、現憲法が施行されて70周年になった。この70年間、戦争で日本人はだれ1人殺されず、殺しもしなかった。

 憲法9条があるからだ。NHKの世論調査では、「9条が日本の平和・安全に、どの程度役立っていると思うか」と聞いたところ、「非常に役立っている」が29%、「ある程度役立っている」が53%で、初めて8割を超えたという。

 平和をおびやかす北朝鮮のミサイル・核開発、中国の海洋進出などは断じて許されないが、そうしたことがあっても、国民は9条を高く評価している。この9条に的を絞って改憲をねらっているのが安倍政権である。

20 トヨタ本社工場
(トヨタ本社工場と枝下緑道=工場の北側=グーグルアースから)

 安倍晋三首相は5月1日、改憲派国会議員らでつくる新憲法制定議員同盟の「新しい憲法を制定する推進大会」で、「憲法改正という大きな目標に向かって、(施行70年の)この節目の年に必ずや歴史的な一歩を踏み出す」とのべた。

 特定秘密保護法や安保法制(戦争法)に続いて、現代の治安維持法といわれる「共謀罪」法案を連休明けにも衆院で強行採決しようとしている。その先にあるのが改憲――憲法9条を改悪して、日本をふたたび戦争ができる国へと総仕上げしようとしている。

 戦前回帰のたくらみを決して許してはならないと思う。9条という世界に誇る平和憲法は、戦前の累々たる屍の上に築かれたものだ。枝下緑道を歩きながら、現憲法の70年の重みをかみしめた。
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戦争と平和 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2017/05/03 16:11
コメント
No title
また、朝鮮戦争の戦死者やカンボジアPKOの戦死者を無視ですか。
No title
共産党がころす側だったりすると死者にカウントされないのかな?
No title
平和とか人殺し反対を声高にさけばれるのは結構ですが、志位さんが、オジ様の犯した蛮行を国民に謝罪するのが先ではないでしょうか?

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