◎「戦争のためにつくっているんじゃない」――「LEADERSⅡ」を見て考えた

 トヨタ自動車の創業者、豊田喜一郎をモデルにしたテレビドラマ「LEADERSⅡ」がTBS系で3月26日、放送された。最初放送されたのは2014年3月。3年ぶりの続編になった。

 主人公・喜一郎のモデルは、佐藤浩市が演じるアイチ自動車の愛知佐一郎である。今回のハイライトは、国産乗用車をめざし、折れないシャフトづくりへの佐一郎と技術者、工員たちの挑戦と苦闘、その国産乗用車を売る販売店づくりへの人間の葛藤の2つである。

 ドラマで佐一郎は語る。GMなどの外車が主流だった戦前、「人々の暮らしを豊かにする夢がある」と国産乗用車づくりに熱中する。織機で稼いだ金を自動車につぎ込む「大バカ者」と陰口をたたかれながらも。

 折れないシャフトづくりのシーンは最大の見どころだ。何度も、何度もつくったシャフトに圧力をかけるが、そのたびにパーンと折れて見守る佐一郎らの足元に転がる。苦悩にゆがむ顔、顔…。

写真 リーダーズ2
(シャフトづくりに苦闘する愛知佐一郎役の佐藤浩市=中央=ら。「LEADERSⅡ」から)

 現在、トヨタのプリウス3代目に乗っている。新車から6年目になるが1度も故障したことはない。自動車ばかりかパソコン、スマホの故障も激減している。先人たちの新製品への苦闘は、感動的だ。

 もう1つの販売店づくりは、今日ではあまり知られていない。輸入自動車販売店からアイチ自動車の販売店第一号となった「日の出モータース」支配人・山口昇のモデルの山崎亘を内野聖陽が演じる。

 奈良日産からトヨタ系へ移籍する菊池武三郎のモデルの菊間武二郎を大泉洋が演じる。東大寺の大仏の前で語り合うシーンもある。2人は、佐一郎の夢と情熱に引き込まれ、アイチ自動車系の販売店へと転身する。役達者な内野、大泉が、地味な佐藤を補い、引っ張っている印象だ。

 ドラマでは、アイチ自動車が倒産の危機に陥ったという1950年(昭和25年)で、労働組合が「首切り反対」の横断幕を掲げてデモ行進するシーンが描かれている。

リーダーズ 首切り反対
(「首切り反対」のデモ行進=「LEADERSⅡ」から)

 「社員は家族だ」と佐一郎は人員削減に反対したといわれるが、1600人が解雇された。その直後、朝鮮戦争が勃発。トラックの注文が殺到し、小型乗用車も売れてアイチ自動車は復活、大儲けする。

 ドラマは、国産乗用車づくりとその販売に向けた先人たちの苦闘、苦悩の人間像を描いたアイチ自動車のサクセス・ストーリーである。今日の日本は、世界1の自動車立国として知られている。

 そこにまでにいたったのは、ドラマでも登場する名もなき労働者、下請け業者、営業マンらである。佐一郎は語る。

 「アイチの車は戦争のためにつくっているんじゃない」「二度と資源を取り合って戦争になることはないようにと、そう願いを込めて低燃費の自動車を開発しているんです」

 創業者のこの思いが、今日のトヨタ自動車から強く発信されることを願う。なぜなら、豊田喜一郎は、国産乗用車をつくる夢をいだきながら、戦前は政府の命令で軍用トラックしかつくれない時期があった。

 終戦1日前の1945年8月14日、拳母工場――現在のトヨタ本社工場と周辺には長崎に落とされた原爆と同型の核模擬爆弾が米軍によって投下された。戦争が長引いていたなら、今日のトヨタはなかったといわれるからである。

 「平和であってこそ、乗用車は生産、販売できる!」

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職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2017/04/03 11:29
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トヨタ車を使った戦争「トヨタ戦争」を調べてみよう

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資源の取り合いにならないように…

長持ちする車を作ろう
→廃車が減るので新車が減る
低燃費な車を作ろう
→給油が減るのでガソリンスタンドが減る

将来は…

自動運転で車を持たなくても良いようにしよう
→タクシードライバーが失業
→カーシェア進展で所有減と販売・生産減

良い車を作れば作るほど雇用が減る未来をどう考える?

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