◎「ネイチャー」誌が警告 「日本の科学研究が失速する」

 2016年12月に「オートファジーの仕組みの解明」によりノーベル生理学・医学賞を受賞した東京工業大学の大隅良典栄誉教授。「若い研究者を育てるシステム作りに取り組みたい」とのべ、受賞の栄誉とともに日本国民にさわやかな感動を与えました。

 800万クローナ(約9400万円)の賞金の多くを東工大に寄付し、それを原資に同大に「大隅良典記念基金」が設けられたことは、記憶に新しいところです。

 NHKは3月23日、イギリスの科学雑誌「ネイチャー」がまとめたニュースを伝えました。「日本の科学研究が失速し、科学界のエリートとしての地位が脅かされている」というのです。

 それによると、世界のハイレベルな68の科学雑誌に掲載された日本の論文の数は、2012年の5212本から、16年には4779本へと、5年間で433本減少したといいます。

 オランダの出版社が集計した、世界のおよそ2万2000の科学雑誌に掲載された論文の総数は、2005年から2015年にかけての10年間で、世界全体では80%増加した一方で、日本の増加は14%にとどまり、日本は世界全体の伸びを大幅に下回っているというのです。

 その背景として、ドイツや中国、韓国などが研究開発への支出を増やすなか、日本は大学への交付金を減らしたため、短期雇用の研究者が大幅に増え、若い研究者が厳しい状況に直面していることなどを挙げているといいます。

12 名古屋市科学館
(宇宙に興味を持つ子どもたち=名古屋市科学館)

 大隅栄誉教授が心配した通りです。長年の自民党政治のもとで、大学では任期制研究者が激増しています。短期間に成果を出すことが求められ、それができないとポイ捨てになる仕組みです。

 日本の非正規雇用が4割近くにも増え、職場に成果主義賃金が導入される、企業の決算発表が3カ月ごと、年4回にもなる…雇用は正社員が当たり前とか、長期的な視野で人間を育てることなどがなくなり、短期間の競争、競争、成果、成果のギスギスした社会になっているのが日本です。

 若手研究者を育てられないような社会では、ノーベル賞受賞者がこれからでなくなる恐れがあるかも知れません。「日本の科学研究が失速する」という「ネイチャー」誌の指摘は、自民党政治への強い警告なのでしよう。
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その他 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2017/03/28 12:33
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一方、共産党は企業の研究開発減税を批判し科学研究のブレーキ役を先導した。

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