◎トヨタ 年600時間の引き下げに応じず

 安倍政権が設けた「働き方改革実現会議」(議長・安倍晋三首相)は、2月14日の会議で、残業の上限規制案を示しましたが、「特例」として年720時間(月平均60時間)まで認めようとしています。

 720時間とは、現在、トヨタ自動車の労使協定(労働基準法の36条に基づく36協定)の「特別条項」で、事務・技術部門などで認めている時間です。生産部門での上限は年600時間ですが、トヨタ労組はこれを引き下げるよう求めたことがあります。

 この問題は、このブログ「トヨタで生きるでアップした(14年3月20日)ことがありますが、改めて今の時点で見ておきたいと思います。

 これは14年2月に、2回にわたって行われたトヨタ自動車とトヨタ労組との36協定についての話し合いで、労組は月600時間の特別条項(トヨタでは「絶対限度時間」と呼称)を引き下げるよう求めました。

 労組の「評議会ニュース」(2月24日発行)が報告しているものです。豊田章男社長の掲げる“もっといいクルマづくり”に基づく「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー=車種ごとの開発を改め、ユニットごとに開発して共通化するなどして原価低減をめざす=)などの新たな取り組みや、ラインの再構築などで業務量は増えていると指摘しました。

 しかし、ここ数年は、工場の技能職で年間(残業時間)540時間(1カ月の特別条項の45時間を12カ月続けると540時間になる)は超えていないこと。事務・技術職でも540時間をほとんど超えていないことをあげ、月600時間の「絶対限度時間」を引き下げるよう求めたものです。

 これに対し会社側は、緊急突発時であったという東日本大震災後のばん回生産をあげ、1カ月の「限度時間」の45時間を超えた者がのべ約2000人であったと強調。年600時間を「しっかりと担保しなければならない」として、引き下げに難色を示しました。

 組合側は、緊急突発的な状況でも、540時間以内での業務遂行に取り組むことが必要との会社の考えを確認できたこと、絶対限度時間を引き下げるべきだという考えに何ら変わりはないとのべた上で、現行の絶対限度時間について了解するとしました。

トヨタ本社と労働者
(トヨタ本社と出勤する労働者)

 翌15年2月の36協定の話し合いでも、会社側は「来年度(15年度)においても緊急突発時のセーフティーネットである絶対限度時間を引き下げる状況にはないと判断している」などとして、応じませんでした。

 このようにトヨタは、生産第1主義の立場から、年600時間という絶対限度時間(特別協定)を引き下げることに強く反対しています。安倍政権が年720時間まで認めようとしているのは、こうした大企業に配慮していることがあります。

 労働者の健康を守り、過労死をなくするには、「特例」を認めず、残業は厚労大臣告示にあるように、月45時間、年360時間までと法律に明記することが必要です。
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職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/02/19 15:08
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