◎これで「働き方改革」なのか

 安倍政権が設けた「働き方改革実現会議」(議長・安倍晋三首相)は2月14日、残業の上限を年720時間(月平均60時間)とする「事務局案」を示しました。720時間は、現在、トヨタ自動車の労使協定(労働基準法の36条に基づく36協定)の「特別条項」で認めている時間です。

 14日の「会議」で示されたのは、表のようです。残業の上限を月45時間、年360時間とし、これを法律に明記し、「特例」を除いて罰則を課すというものです。月45時間、年360時間は、現在でも厚生労働大臣告示で原則としているものです。

 問題は、「特例」です。年720時間(月平均60時間)を設けるとしました。さらに繁忙期には、「最低限、上回ることのできない上限を設ける」といいます。連合、日本経団連との間で1カ月当たりの上限の数字が折り合わず、今後、「会議」で議論するとしています。

働き方改革 事務局案
(「働き方改革実現会議」で事務局が示した残業の上限規制案)

 安倍首相は、「労使が合意を形成していただかなければ、(上限規制の)法案は出せない。実行計画決定まであとひと月強(3月末まで)。胸襟を開いての責任ある議論を、労使双方にお願いしたい)とのべました。

 ここでいう「上回ることのできない上限」というのは、大前提として過労死の労災認定基準である月80時間(2~6カ月の平均)から100時間(1カ月)をさしています。つまり、過労死の認定基準ぎりぎりまで残業していいというものです。

 これで、ドイツより年600時間も長く働いている日本の労働者の長時間労働が変わるというのでしょうか? これで世界に例のないといわれる過労死がなくなるというのでしょうか?

 厚生労働大臣告示を法律に明記するとしたものの、現在の「特別条項」(トヨタの絶対限度時間)と同様に「特例」を設け、しかも年720時間まで認め、さらに月当たりの上限を過労死認定基準ぎりぎりまで認めるようなことになっては、「改革」に値するものとならないでしょう。

トヨタの36協定


 トヨタでは、これまでわかっているだけでも5件の過労死認定があります。現在、裁判で争っている2件の過労死事件(トヨタ系をふくむ)があります。電通の過労死事件が起きた後だけに、残業時間の上限規制は、トヨタの労働者の最も切実な課題です。今後、ブログで上限規制を考えていきたいと思います。
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安倍政権 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/02/17 16:13
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