◎電通 10年間で立ち入り調査10回、是正勧告5回

 入社1年目の女性社員、高橋まつりさんを過労自殺(当時24歳)に追い込んだ広告大手の電通。まつりさんが亡くなるまでの10年間で、厚労省から立ち入り調査を10回、36協定を超える違法な残業をさせていたとして是正勧告を5回も受けていたことが共同通信の調べで明らかになりました(12月29日配信)。

 厚労省からこれほどまでに立ち入り調査、是正勧告を受けながら放置し、まつりさんを過労死させた電通の企業体質にあ然とするばかりです。電通は、16年の「ブラック企業大賞」(弁護士ら11人が選考委員)に選ばれましたが、厚労省がこうした悪質な企業名を公表しなかったことも問われます。

 厚労省はこれまで、労働基準法などに違反した企業について、書類送検された段階で企業名を公表。昨年5月以降は、大企業を対象に「月100時間超の違法残業が1年間に3事業場で見つかった場合」は、送検前の段階でも公表してきましたがわずか1件にすぎません。

 まつりさんの過労死が社会に衝撃を与えた12月26日、厚労省はやっと、月80時間を超える違法な時間外労働によって社員が過労死や過労自殺(未遂含む)した大企業について、別の事業場でも①同様の過労死・過労自殺が起きて労災認定された、②月100時間超の違法残業も見つかった――場合などに公表することを明らかにしました。

電通本社とゆりかもめ
(電通本社=右のビル=。手前は、ゆりかもめ。東京都港区汐留で)

 過労死を出した企業名を公表するよう大阪労働局を相手にした裁判を、「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表が起こしたことがあります。大阪地裁はこれを認めましたが、大阪高裁が「社員が少ない企業の場合、企業名が開示されれば個人が特定される」などとして却下。最高裁も2013年10月、上告を棄却しました。

 このため、15年度で過労死は96件(15年度)、過労自殺は93件が労災として認定されていますが、企業名は闇の中です。

 電通では、1991年にも入社2年目の男性社員(当時24歳)が過労自殺しています。遺族の訴えに最高裁は00年3月、電通の安全配慮義務違反と認めました。電通は、遺族と和解し、再発防止を約束していましたが、まつりさんを過労自殺させました。

 まつりさんの過労自殺が問題になり、電通で過労死認定がもう1件あったことが明らかになり、これまでに合わせて3件の過労死が確認されています。トヨタ自動車でも、弁護士らの調べで5件の過労死認定が確認されています。

 電通のような悪質な企業名が公表されていたならば、まつりさんのような悲劇は防げた可能性があります。厚労省の企業名公表は、まだ不十分であり、日本から過労死をなくするためには、もっと積極的に企業名を公表することが必要です。
スポンサーサイト
過労死 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/01/04 10:16
コメント

管理者のみに表示