◎トヨタ カードリーダーの使い方に変化

 トヨタ自動車の本社や事務・技術部門、工場の入口などにあるカードリーダー。出退勤時に従業員証をかざして、出退時刻をコンピューターに記録するシステムです。

 社員や期間従業員らのセキュリティ・チェクとともに、残業の過小申告――サービス残業を防止する仕組みです。従業員証を忘れると、紙に部署や名前を記入して入り口で守衛にハンコを押してもらい、その紙を上司に渡し、チェックを受けていました。退勤時は、その紙を守衛に渡します。

 ところが最近、守衛がパソコンに出退勤の時刻を入力するようになりました。なぜか? 労働者が語ります。

 「こなしきれないほど仕事がある。これまでは、パソコンに出退勤の時刻の記録が残らないのを利用して、従業員証を忘れたふりをして仕事をしていた。残業の上限規制があるなかで、やむなくこの方法を使っていた社員もいる」

 残業の上限規制とは、“36協定”のことです。労働基準法36条に基づいて労使で残業の上限を協定するものです。トヨタでは、1年の場合は360時間(上限は600時間か720時間)、1カ月の場合は45時間(上限は80時間)です。

 土曜日、日曜日の休日に出勤し、平日を振替休日する時も、この手を使って働くことも珍しくないといいます。

カードリーダー
(トヨタのカードリーダー)

 トヨタにカードリーダーが導入されたのは2003年。それまでトヨタをはじめ大企業では、サービス残業が横行していました。残業は、労働者の自己申告だったからです。

 “サービス残業をなくせ”との労働者や労組の運動、日本共産党の国会での追及などで、厚生労働省は2001年に労働時間管理を企業の責任とし、タイムカードやICカードによる客観的記録を原則とする通達(4月6日に出されたので「ヨンロク通達」と呼ばれています)を出しました。

トヨタのカードリーダー導入 日曜版
(トヨタのカードリーダー導入を報道する「しんぶん赤旗」)

 トヨタのカードリーダーは、トヨタが労基署から立ち入り調査を受けたり、「ヨンロク通達」が出されるなかで導入されたものです。トヨタのカードリーダーと同じようなフラッパーゲートが導入されているのが広告大手の電通です。

 電通では、新入社員の高橋まつりさんが1年前の12月に過労自殺しました。まつりさんは、亡くなる1カ月前の残業時間は、36協定(月70時間)を超える105時間も働かされました。労災と認定されました。

 厚労省東京労働局は12月28日、法人としての電通とまつりさんの上司を36協定の上限を超える違法な長時間労働をさせていたとして書類送検しました。石井直社長は責任をとって1月に辞任することを明らかにしました。

 電通でもトヨタと同じような「1時間ルール」があることは、このブログ「トヨタで生きる」で、すでに明らかにしてきました。
http://toyotaroudousya.blog135.fc2.com/blog-entry-2313.html

 実際には残業をしているのに、仕事以外のことをしていたと上司に申告し、残業時間を減らす方法です。カードリーダーやフラッパーゲートで残る記録の“ぬけ道”です。

 電通の異常な働かせ方が社会問題になり、企業のトップの責任が問われるなかで、電通もトヨタも人員を増やすこととともに、フラッパーゲートやカードリーダーのあり方を見直さざるを得なくなるでしょう。

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職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2016/12/29 17:47
コメント
人を増やしすぎると、今回のように日野や織機に応援どころか、全くの社外応援も頻繁になるかも。
日野に応援に行っている人は、毎月10万以上の応援手当てが出るので、喜んでいる人が、多いけどね。

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