◎「深夜の仕事が夜景をつくっている」

 大都市の夜景の美しさをほめたたえる人は多い。年末・年始は、夜が長いこともあり、イルミネーションが心を慰める。しかし、そんな余裕がなく、睡眠時間を削って働く人間にとっては、まったく違った風景に見える。

 大手広告会社の電通で、新入社員の高橋まつりさん(24歳)が過労自殺して12月25日で1年がたった。クリスマスの日だった。まつりさんが亡くなって1年になる25日にあわせ、母親の幸美さん(53)が手記を公表し、メディアが大きく扱った。そのなかに次のような一節があった。

 「会社の深夜の仕事が、東京の夜景をつくっている」

 まつりさんが母親に語っていた話だという。48階建ての深夜の電通本社(東京都港区汐留)から見た東京の風景だろう。電通だけでなく、あちこちで深夜まで働く人々が東京の夜景をつくっているという思いからだろう。

 東京の電車は、夕方6時ころと午後9時ころ、それに終電の午前1時前後が猛烈に混む。特に終電は、乗れないほど混む。こんな異常な風景のなかで、まつりさんは働き、電通に入社して1年足らずで自ら命を絶った。

汐留21時
(電通本社がある東京・汐留の午後9時過ぎの風景)

 母親の手記は、涙なしに読めないものだった。「過労死」という言葉が日本に生まれて30年余。「カローシ」という言葉で世界語になった。今でも年間、約200人もの人々が過労死・過労死自殺で労災認定を受けている。

 まつりさんは、「もう(午前)4時だ。体が震えるよ…しぬ、もう無理そう。つかれた」などの言葉をSNSに残した。昨年10月に130時間、11月に99時間の残業をした末に、命を絶った。

 日本の正社員の年間総労働時間は、1900時間台で止まったままだ。ドイツやフランスより約500時間も長い。所定労働時間が減らないし、残業時間も減らない。

 日本から長時間労働をなくすべきだ、と国会で迫った先駆的な質問がある。日本共産党の志位和夫委員長が2015年2月20日の衆院基本的質疑だ。トヨタ自動車の2件の過労死事件を詳細に取り上げながら、残業を厚労大臣告示にあるように「月45時間」までとする法的規制を安倍首相に迫った。

 安倍首相は、「法定にするということについては、さまざまな観点から、働く人の健康確保を含め、慎重に検討すべき課題であると考えております」と答弁した。

 安倍首相は、「慎重に検討すべき課題」というだけで、実行するとは答えなかった。その安倍首相、最近は「働き方改革」と盛んに言っている。まつりさんのような悲劇が2度と起こさないためには、志位委員長が迫った残業は「月45時間」までと法律に明記することが、「働き方改革」の試金石になるだろう。
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過労死 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2016/12/27 20:49
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