◎電通の「鬼十則」 社員手帳からはずす

 広告最大手の電通が社員手帳に掲載していた「鬼十則」を来年2017年の手帳から掲載しないといいます。同社新入社員で過労自殺した高橋まつりさん(24)の母親が問題にしていたものです。

 「鬼十則」とは、「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは…。」「周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる」など10項目にからなるものです。

 これは、電通の4代目社長で、「広告の鬼」と呼ばれた故吉田秀雄氏が1951年に書いたという10カ条の遺訓のことをいいます。高橋さんの母親、幸美さんはシンポジウム(11月9日)で、「命より大切な仕事はありません」と訴えていました。

高橋まつりさんの母の訴え NHK
(電通の「鬼十則」を問題にした高橋まつりさんの母親の幸美さん=NHK、11月17日放送から)

 こんな「鬼十則」は、民主主義社会では相容れない異常なものであり、上司が「周囲を引きずり回せ」などと言っていたらパワハラそのものです。大企業が、こんなものを麗々しく手帳に掲載していたこと自体が許されないでしょう。

 電通では、まつりさんをはじめすでに3人の過労死が確認されています。その命が失われてやっとこうした異常な「鬼十則」の掲載をやめるという企業体質の遅れに驚くばかりです。

 まつりさんの過労死認定にかかわった川人博弁護士は11月22日、神戸市での講演で、電通の企業体質について、「目標達成が第一という企業風土が問題の背景にある」と指摘。「鬼十則」について、「過度の精神主義」と批判しました(日経新聞、11月23日付)

 企業は、電通に限らず、社訓と称して前近代的なものをかかげているところがあります。トヨタ自動車では、豊田佐吉の考え方をまとめた5項目から成る「豊田綱領」があり、「トヨタ自動車75年史」に書き込まれています。

 このなかに「上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を拳ぐべし」とあります。「産業報国」とは、戦前、日本が侵略戦争に国民を駆り立てていくなかで、労働者を軍事生産、奴隷労働へと動員するための精神的支柱となったものです。

 こうした戦前の考え方は、戦後の民主主義社会とは相いれないものであり、しかもグローバル企業となったトヨタで、見直すべきものではないでしょうか?
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過労死 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2016/11/23 10:22
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