◎「宇宙と芸術展」 六本木ヒルズで

 東京のトヨタで働くみなさん、港区の六本木ヒルズ内にある森美術館で「宇宙と芸術展」を見ましたか? 同美術館では、「宇宙」と「芸術」という、考えられないような取り合わせの展覧会が開かれている。

 それは、実に奇妙な取り合わせだった。人間が宇宙をどのように考えてきたかを、古今東西の物を集めていた。キトラ古墳壁画の天文図(飛鳥時代)、仏教の両界曼茶羅図(鎌倉時代)、十二天像の掛図(室町時代)、チベットの金剛薩埵マンダラ(14~15世紀)、竹取物語絵巻(江戸時代)、中世のプトレマイオス天球儀…。

 レオナルド・ダ・ビンチの手稿もある。それかと思うと宇宙の時空を抽象的に制作した芸術作品「ブラックホール(M-領域)」がある。「星屑からの隠遁者」という巨大な絵もあった。

森美術館1
(宇宙の時空を抽象的に制作した「ブラックホール、M-領域=森美術館)

 もちろん、スペースシャトルの模型もあった。その近くの真っ暗な部屋では、光の帯が飛び交い、中国風の音楽が響いていた。最初、浮遊感で気持ちが悪くなった。光の帯は、宇宙137億光年の先からやってくる光を象徴しているのだろうか。子どもたちが光の帯を浴びて、部屋を走り回っていた。

 仏教用語に、輪廻とか時空などという言葉がある。唯物論でいう生成、発展、消滅を、すでに輪廻という言葉で表していたのか? 時空という言葉も、時間と空間を表す宇宙を、すでに意識して使っていたのだろうか?

 ビックバン宇宙論で、われわれが住む地球の人類は、137億光年の宇宙史のごくごく一部の、小さな、小さな存在にすぎないことが明らかになってきた。人類の歴史は400~500万年くらいの短い、小さな存在であることも認識できるようになった。

森美術館2
(部屋の中を光の帯が自在に飛び回ります=森美術館)

 そうしたわれわれが宇宙と芸術を、いっしょに考えられるようになってきたのだ。「宇宙と芸術展」という企画は、奇妙ともいえる取り合わせをしながらも、宇宙というなかでの人間の存在を考えさせるものだった。

 芸術展は、普通はすべて撮影禁止だが、今回は撮影可能な場所がたくさんあって驚いた。彫刻、絵画、ダーウインの『種の起源』の初版本などが撮影可能だった。

 53階の美術館の窓からは、東京の街がはるか下の方に見えた。人や自動車が行き交っている。忙しく、せかせか歩き、運転しているだろう。137億年の時空から覚めると、あまりにも人間が小さく見えた。

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 この記事は、7月17日にアップの予定でしたが、都合により15日にアップしました。
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その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2016/09/15 19:16
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