◎押し付け憲法論は成り立たない 「9条は幣原首相提案」

 安倍首相ら改憲勢力が、憲法9条の改悪をめざすのは、アメリカ占領軍(GHQ)から押し付けられたというのが最大のいい分です。ところが9条は幣原喜重郎(当時)だったことが新たな資料で明らかになりました。

 堀尾輝久・東大名誉教授が新たな資料を見つけたもので、「しんぶん赤旗」や東京新聞が報道しています。堀尾氏は、国会図書館所蔵の憲法調査会関係資料を探し、今年1月、英文の書簡と調査会による和訳を見つけました。

 書簡は、1957年に改憲の議論を始めた憲法調査会の高柳賢三会長の質問に対し、GHQの最高司令官だったマッカーサーが回答したものです。58年12月15日付で、「戦争を禁止する条項を憲法に入れるようにという提案は、幣原首相が行ったのです」と明記していました。

赤旗 マッカーサー手紙
(9条の提案は、幣原首相が行ったものというマッカーサー司令官の手紙の訳=「しんぶん赤旗」、8月19日付から)

 マッカーサーは、「提案に驚きましたが、首相にわたくしも心から賛成であると言うと、首相は、明らかに安どの表情を示され、わたくしを感動させました」とのべています。

 マッカーサーは、これに先立つ12月5日付の書簡で、「(9条は)世界に対して精神的な指導力を与えようと意図したものであります。本条は、幣原首相の先見の明と経国の才志と英知の記念塔として、朽ちることなく立ち続けることでありましょう」(堀尾氏訳)とたたえています。

 幣原首相(1872~1951年)は、外相を4回務め、国際協調、軍縮路線を主張したとされます。終戦後の45年10月から首相となり、現憲法の制定にかかわりました。

 9条は、日本をほろぼすことになった戦前のアジア・太平洋戦争の痛苦の反省が土台になっています。自由民権運動以来の反戦・平和の思想が脈々と国民のなかにあり、これに命をかけて侵略戦争反対をかかげた日本共産党の不屈のたたかいがありました。

 さらに、フランス革命やアメリカ独立戦争など、近代の自由と民主主義の確立、日独伊との反ファシズムとのたたかいなどが大きく合流し、外相経験者だった幣原首相に大きな影響を与えたのではないでしょうか。

 実際、幣原首相は1946年3月27日、自身の内閣がつくった「戦争調査会」の開会あいさつで、「世界は早晩、戦争の惨禍に目を覚まし、結局私どもと同じ(戦争放棄の)旗を翳(えい)して、遥(はる)か後方から付いてくる時代が現れるでありましょう」とのべています。

2015豊田戦争展
(日の丸の旗のもとに、侵略戦争に駆り立てられていった戦前。2015年の豊田市戦争展の展示から)

 明治維新から終戦までの78年間は、戦争に次ぐ戦争の時代でした。アジア・太平洋戦争では、日本で320万人以上が、アジア・太平洋では2000万人以上が犠牲になりました。

 戦後71年、9条のもとで日本はだれ1人、戦争で殺し、殺されることはありませんでした。幣原首相と9条の先駆性を雄弁に物語っています。

 これを、「GHQの押し付け」といって、憲法違反の集団的自衛権の行使を盛り込んだ安保法制(戦争法)につづいて、憲法9条の明文改憲をねらい、「国防軍」などをつくろうという安倍政権のたくらみは、幣原首相や国民の願いを踏み潰すものでしょう。

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戦争と平和 | コメント(8) | トラックバック(0) | 2016/08/20 10:32
コメント
No title
1946年8月24日、衆議院本会議で反対討論に立った野坂参三は、次のように述べて憲法9条に反対している。

 「現在の日本にとってこれ(草案第9条)は一個の空文にすぎない。われわれは、このような平和主義の空文を弄する代わりに、今日の日本にとって相応しい、また実質的な態度をとるべきであると考えるのであります。要するに当憲法第二章は、我が国の自衛権を放棄して民族の独立を危うくする危険がある。それゆえに我が党は民族独立の為にこの憲法に反対しなければならない」
No title
日本共産党は憲法9条に反対していましたね。
No title
よくよく調べると20世紀末の1994年の第20回党大会まで憲法9条の改正を公然と掲げていたんですね。
No title
「憲法九条と幣原喜重郎――憲法調査会会長 高柳賢三・マッカーサ元帥の往復書簡を中心に――」
堀尾輝久 『世界 五月号 P.100』:2016.No.882
ttps://www.iwanami.co.jp/sekai/


>「堀尾輝久・東大名誉教授が新たな資料を見つけたもので、
>『しんぶん赤旗』や東京新聞が報道しています」
初出は春先の「世界」5月号だと思います。

最近は、一般紙もNHKも政府の反証となる事実があっても
稲田氏の不正を追及しないのと報道しないのと同じ事で、月間総合誌を見ている方がマシですね。
No title
<米国>バイデン副大統領「日本国憲法、米が書いた」
毎日新聞 8月16日(火)11時4分配信

数日前にNHKが昼のラジオニュースで上掲と同じ話を報じていましたが
これに対してNHKが日本政府の高官に”御伺い”を立てたところ
「他国の選挙演説内での発言に、言及はしないが」と断った上で

「当時、占領下にあっては日本は独自に法案を作成する事は困難だった」(趣旨)

と、NHKの取材に対して官僚が回答した、と誇らしげでした。
現在の日本では研究者の調査は「学部卒の官僚の雑談ほどにも」重用されない、
と言うことでしょうね。
No title
古い古い、小さな話を持ち出して、隠している、と得意がっていますね。歴史は大きく見ないと、見えないですよね。
No title
バイデンより、マッカーサーの方が、幣原首相の先見性を、よく見ていますね。人間の器の違いですよね。
No title
都合の悪い話は「古い古い小さな話」と隠して
都合の良い話は「先見性があり人間の器が違う」と持て囃す

共産党の体質は戦中の「日本軍」や「大本営」と一緒

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