◎労働生産性で人間の優劣をはかっていいのか

 最近のニュースで、神奈川県相模原市の障害者施設殺人事件ほど、暗澹たる思いにさせられた事件はありません。「津久井やまゆり園」の入所者19人が殺害され、26人が重軽傷を負うという戦後最悪の衝撃的な殺人事件(7月26日未明)から2日で1週間がたちました。

 同園で働いていた植松聖容疑者(26)は、衆院議長にあてた手紙で、「私は障害者を抹殺することができます」「私の目標は重複障害者が安楽死できる世界です」などと狂気としか思えない考えを示しています。

 しかも、大麻の陽性反応が見つかった今年2月、医師に「ヒトラーの思想が2週間前に降りた」とのべました。ナチスは、障害者を「生きるに値しない命」と呼び、ユダヤ人虐殺の前に、20万人以上を虐殺しました。

 最近の日本では、弱者を標的にした犯罪など病んだ社会が際立ってきました。今回の障害者施設殺人事件も、そうした社会の延長にあるのかもしれません。

 全盲・全ろうの東京大学先端科学技術研究センター教授の福島智さんは、「しんぶん赤旗」に寄稿しました(8月1日付)。

 福島さんは、「今回の犯行は、通常の殺人事件の範疇を超える『二重の殺人』ではないでしょうか。1つは被害者の肉体的生命を奪う「生物学的殺人」。もう一つは、人の尊厳を冒瀆し、生存の価値自体を否定するという意味での『実存的殺人』です」と指摘します。

20 福島智東大教授 障害者施設殺人事件
(「しんぶん赤旗」、8月1日付から)

 さらに、次のようにのべます。
……
 容疑者は衆院議長への手紙で、障害者を殺す理由として、『世界経済の活性化』をあげました。つまり、重度障害者は、経済の活性化にとってマイナスだという主張です。

 こうした考えは、あからさまには語られなくてもなくとも、私たちの社会にもあるのではないでしょうか。労働生産性という経済的価値で、人間の優劣がはかられてしまう。そんな世界にあっては、重度障害者の生存はおぼつきません。

 しかしほんとうは、障害のない人たちも、こうした社会を生きづらく、不安に感じているのではないでしょうか。なぜならだれであれ、労働能力が低いと評価されれば、社会から切り捨てられてしまうからです。

 相模原事件は、私たち一人ひとりに重い問いを突きつけています。
……

 「労働生産性」とか、「労働能力」という言葉が、私たちの周りでひんぱんに使われるようになりました。福島さんの問いかけは、重いものがあります。
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その他 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2016/08/03 06:09
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