◎シールズを描いた映画「わたしの自由について」を観た

 3時間に近い、長いドキュメンタリー映画を観た。SEALDs(シールズ=自由と民主主義のための学生緊急行動)の約1年半の運動、生活に密着した「わたしの自由について」(西原孝至監督)だ。

 安保法制(戦争法)反対をかかげて2015年5月3日に20人ほどの学生でつくったシールズは、「民主主義って何だ!」など、それまでにないアピール、コールなどの新鮮な手法で一躍注目された。

 学者の会、ママの会など戦争法に反対する新たな組織の一角を担った。昨年8月30日(日)には、国会周辺に約30万人が集まるほどのインパクトを与えた。その中心で、シールズのメンバー、奥田愛基さんらが「違憲の集団的自衛権行使反対!」「安倍はやめろ!」などのコールをした。

ビラ「わたしの自由について」
(映画「わたしの自由について」のビラ)

 映画では、彼らの集まる場所――ビルの大きなフロアーで、議論する様子やパソコンに打ち込む姿、プラカードの準備、コンビニ弁当を食べる…など、裏方の活動も丹念に追っている。

 その場所から、毎週金曜日の国会前行動のためにハンドマイクなどを運び出す様子も描かれている。メンバーの1人、溝井萌子さんはスピーチタイムで、スマホに打ち込んだ原稿を読み上げる。

 「私はアウシュビッツ収容所を訪れ、150万人が虐殺された強制収容所を訪れました。山のように積み上がった靴やカバン、メガネ…あのころナチスにあがらえなかった人々は、自分の日々の生活を、小さな幸せを優先して、考えることをやめました。

 でも今、私たちには、嫌なことは嫌、という自由があります。私たちにとって政治は生活の一部であり、自分の日々の小さな幸せを考えることこそが、政治を考えることにもつながっているのです」

 シールズを象徴するデザインには、学生本来の本とペンのほかに、ヘッドホンとハンドマイクが描かれている。そのハンドマイクでコールした「野党は頑張れ!」などが政党のこれまでのあり方をも一変させた。

シールズ ハンドマイク
(シールズのハンドマイク)

 昨年9月19日、参院本会議で安倍政権と自民党、公明党によって、安保法制が強行採決された。しかし、1960年の安保闘争とは大きく違った。60年安保闘争は、強行採決されると、“挫折感”が感傷的に語られることが多かった。

 2015年の安保法制反対の運動は、彼らが「民主主義は止まらない」とコールしたように、強行採決で止まらなかった。シールズや学者の会、ママの会などから「野党は共闘!」の大きな声がわき上がった。

 民進党や日本共産党、社民党、生活の党の野党が今年7月の参院選で、32ある1人区で野党統一候補を立てるところまできた。彼らが後押ししたのだ。

 奥田愛基さんが映画で訴えている印象的なシーンがあった。「今年は戦後70年。あと30年で100年になります。100年間、日本が戦争をしなかったなら、お祝いの鐘を鳴らしたい」、と。

 戦前、日本は大日本帝国憲法のもとで日清戦争、日露戦争、アジア・太平洋戦争などをくり返した。明治維新から敗戦までの78年間は、戦争に次ぐ戦争の時代だった。

 戦争放棄を高らかに宣言した憲法9条は、日本が戦争をしないための何よりもの抑止力になった。シールズの学生たちは、戦争体験はない。しかし、彼らは知性によって9条を自分の体の一部にしている。

 戦争から自由になること――それがシールズがたたかった2015年であり、それは参院選など国政選挙に向けてさらに続いているのだ。映画は、シールズの熱い息遣いをあますところなく伝えてくれる。
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戦争と平和 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2016/05/25 06:37
コメント
No title
全く別の話題で失敬しますが、平成の搾取機構である人材派遣業を崩壊させるのではないかという、スカッとさわやかな記事に接しましたので、転載させて下さい。

http://agora-web.jp/archives/2019354.html

No title
このようなシールズが半世紀前の学生団体のように
内ゲバでリンチ事件を起こしていたりするのを見るに
歴史は繰り返すんだなぁ
No title
繰り返してはいませんよ。もっと賢くなって、一切の暴力を否定しているんですから。
No title
共産党を見習ったのか「暴力行為を行ったのは一部で無関係」
と切り捨てるようになったのも一緒ですね。

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