◎グローバルビジョンから5年 利益は3倍に

 トヨタ自動車の豊田章男社長が「グローバルビジョン」を発表したのは、東日本大震災の2日前の2011年3月9日でした。それから5年、「強い収益基盤」をつくるとして、早期に1兆円程度の営業利益(連結)をあげることを目標にしていました。

 16年3月期であげた営業利益は、2兆8539億円と3倍になりました。トヨタ・レクサスブランド(ダイハツ、日野自動車を除く)の販売台数は、10年3月期で729万台だったのを750万台にするとの目標でした。

 販売台数では、16年3月期で915万台へと大きく伸びました。ダイハツ、日野ブランドを入れると1009万台になり、世界1(年度、暦年では4年連続世界1)です。

 営業利益が3兆円に届くようになったのは、グローバルビジョンで想定していた為替が1ドル85円だったからです。実際の為替は、1ドル110円で15円もの円安に振れました。

グローバルビジョン
(トヨタのグローバルビジョン)

 グローバルビジョンを発表した当時は、8月19日に75円95銭とこれまでの最高の円高になるなど、日本は超円高で推移していました。トヨタは、そのなかで、1銭、1秒単位の原価改善や円高の影響を受けないために海外生産へシフトするなどしてきました。

 トヨタは、トヨタ労組と同年8月27日に開いた生産問題懇談会では、1ドル80円でも競争力を確保するとして、生産体制の弾力化と“限量経営”などをすすめることを労組に明らかにしました。

 生産体制の弾力化では、たとえば、▽間接部門の労働者を生産部門へ応援に出す、▽プリウスを生産している堤工場のように、1直と2直の直間を広げ、1直で1時間、2直で1時間30分の残業を可能にする――などでした。

 実際、伊地知隆彦専務(現、副社長)は、「1ドル=79円の円高でも利益が出るところまできた」――2013年2月5日の13年3月期の第3四半期決算発表で、こうのべたほど円高対策に力をそそぎました。

 さらに、「為替の追い風を受けた」と豊田社長が語った(5月11日の決算発表で)ように、2012年12月に発足した安倍内閣が後押しをしました。

 安倍首相と黒田東彦日銀総裁とすすめたアベノミクス、「異次元の金融緩和」によって、円安が急速にすすみ、トヨタのような輸出大企業は、ばく大な為替利益を手にしたのです。

 グローバルビジョンでかかげた利益の3倍も手にするようになった大きな要因は、トヨタのお家芸の原価改善と円安の追い風によるものです。

トヨタ本社ビル
(トヨタ本社)

 内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、11兆8356億円(11年3月期)から16兆7942億円(16年3月期)へとわずか5年間で5兆円も増えました。

 次は、日本の大企業の利益剰余金のランキングです(15年3月期決算)。
1 トヨタ自動車 15兆5919億円
2 三菱UFJ 7兆8604億円
3 本田技研工業 6兆7899億円
4 日本電信電話 5兆1266億円
5 NTTドコモ 4兆3972億円

 トヨタの突出ぶりがわかります。わずか5年で、日本電信電話(NTT)クラスの大企業ができる計算です。

 トヨタは、内部留保の一部を賃上げや非正規の正規化、下請け単価の切り上げに使うなどして社会に還流させ、日本経済を建て直す先頭に立ってこそ社会的責任を果たしたといえるでしょう。

               ◇

 この記事は、5月18日にアップする予定でしたが、都合により前日にアップしました。
スポンサーサイト
決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2016/05/17 15:50
コメント
No title
このblogで過去に比較した共産党が持て囃した企業
「未来工業」という実例
http://toyotaroudousya.blog135.fc2.com/blog-entry-949.html

内部留保を従業員に還元し労働時間を削減すべきという
お手本として紹介していますが企業規模で比較すると
トヨタで言うと有利子負債を増やさず内部留保を20兆円も追加で溜め込まないと比較にならない
理想の企業への道のりはまだまだ遠い。
No title
役員賞与は25%アップ。

http://news.nifty.com/cs/economy/stockdetail/jiji-2016051700641/1.htm

従業員への配分は、同じように、業績連動しているのでしょうか?今度のボーナスは25%アップなのかな?

管理者のみに表示