◎トヨタ 今期見通しで1兆円の利益が減るというが

 トヨタ自動車の2016年3月期決算発表(5月11日)で、新聞、テレビが最大のニュースにしたのは、今期(17年3月期)の決算見通しで、営業利益が前期に比べ約4割、1兆1539億円減らし、1兆7000億円になるということでした。

 1円でも減益になると大騒ぎするのが決算発表ですが、それでもトヨタは1兆7000億円ものばく大な利益を確保する見通しです。トヨタが大きく減らすとしても、日本の他の大企業は、とてもこれに追いつけないでしょう。

 減益になる最大の要因は、今年になってからの円高です。これまでトヨタの利益を押し上げてきた円安が円高にふれ、ドルや他の通貨も合わせて、為替利益が9350億円減るからです。トヨタの16年3月期決算では、たとえば1ドル=120円でしたが、105円へと円高になる見通しをたてています。

決算見通し 17年3月期
(トヨタの決算発表プレゼンから)

 しかし、本業の自動車の販売台数は、1015万台の見通しで、前期より5万6000台増えるとしています。原価改善も3400億円の見通しをたてています。

 これまで日本の最高の円高は、2011年8月19日の75円95銭でした。トヨタは、これほどの円高のなかでも、1銭、1秒単位の原価改善や円高の影響を受けないために海外生産へシフトするなどしてきました。

 実際、伊地知隆彦専務(現、副社長)は、「1ドル=79円の円高でも利益が出るところまできた」――2013年2月5日の13年3月期の第3四半期決算発表で、こうのべたほどです。

 同3月期は、1兆3208億円の営業利益をあげ、リーマン・ショック後、ふたたび利益を1兆円台に乗せました。14年3月期からは2兆円の大台に乗せ、3期続いて2兆円台という利益を稼ぐまでになりました。

 2兆円の利益になった背景には、2012年12月に発足した安倍内閣が、黒田東彦日銀総裁とすすめたアベノミクス、「異次元の金融緩和」がありました。円安が急速にすすみ、輸出大企業はばく大な為替利益を手にしました。

 内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、超円高だった2011年8月をふくむ12年3月期決算では11兆9170億円でした。それが16年3月期では、16兆7942億円にまで、実に4兆8772億円も増やしました。

 円高といって大騒ぎしていますが、トヨタの今期の見通しは105円。75円の超円高からみれば、まだ30円も円安です。しかも伊地知副社長がかつてのべたように、79円でも利益が出るところまでトヨタは来ているのです。

              ◇

 この記事は、5月13日にアップする予定でしたが、都合により前日にアップしました。
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決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2016/05/12 15:40
コメント
No title
勤め人にとって、さわやかな判決がでました。

http://www.sankei.com/affairs/news/160513/afr1605130027-n1.html

定年再雇用、賃下げ違法とのこと。


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