◎自民党の改憲草案は、国民の基本的人権を縛る

 参院選を3カ月後に控えた4月3日、NHKは各党党首による日曜討論を行いましたが、日本共産党の志位和夫委員長と自民党の高村正彦副総裁との間で論争になった重大問題を、朝日新聞が改めて取り上げています(4月14日付)。

 志位委員長は、安倍首相自身が、「憲法を改正していく。自民党は憲法改正草案を決めている」と明言していること。参院選挙では、「自民党改憲案」の是非が争点になると指摘しました。

自民憲法改正草案 表紙


 その上で、「憲法によって権力を縛る」という立憲主義が「自民党改憲案」の12条では、「公益及び公の秩序」のために基本的人権を制約できるという内容が入っており、立憲主義の全面破壊だと強調しました。

 12条には、「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」とあります。このことについて両者で激しい議論になりました。

……
 高村 それから、何ですかその、公の秩序、私も正確なことは…。
 志位 「公益及び公の秩序」です。
 高村 「公益及び公の秩序」、そのことは、今の憲法の「公共の福祉」という言葉を置き換えただけです。

 志位 それはまったく違います。
 高村 「公共の福祉」が(人権の)制約要因にしている。そのことは分かりにくいからそれを置き換えただけです。

 志位 「公共の福祉」を言い換えたものだとおっしゃいましたが、「公共の福祉」というのは、いろんな人権がぶつかり合ったときにそれを調整する概念なんですよ。あなた方が出している、「公益及び公の秩序」というのは、上からの、国家目的のために、人権を縛るというもので、まったく違う。そういう意味でも立憲主義の破壊です。

 高村 それはまったく違います。「公益」というのは、まさにそれぞれの人権の衝突を…。

 志位 それは「公共の福祉」という概念なんですよ。
 高村 「公共の福祉」なんていう言葉はね。分かりにくいですよ。いままでの日本語からいってね。

 志位 いやいや、人権がぶつかりあったときに調整するという概念です。
 高村 われわれの概念も同じです。
 志位 違います。
 高村 われわれが作ったものを、われわれが言っているわけだから。
……

自民憲法改正草案 12条
(自民党の憲法改正草案は、自民党のホームページで読むことができます)

 朝日新聞は、4月14日付のシリーズ「憲法を考える」で、自民改憲草案のなかの公の秩序について取り上げています。このなかで志位・高村の論争を紹介した後、次のように指摘しています。

……
 議論は平行線をたどったが、さて、単に言葉が置き換わっただけだろうか。
 私たち一人ひとりの顔かたちが違うように、考え方も価値観も違う。人も国も自分が正しいと思うことを他人に押しつけたくなるもので、ゆえにそれぞれの大切な権利がぶつかり合うこともある。

 そんな時、「公共の福祉」という考え方を用いて、全体のバランスの中で調整していくというのが、憲法の知恵だった。そのものさしが「公益や公の秩序」に変われば、状況は大きく動きかねない。

 世の中には、社会に迷惑をかけてでも、守らなければならないものがある。
 例えば、デモ。石破茂・地方創生相はかつて、特定秘密保護法反対デモをテロに例え批判を浴びたが、うるさくても、交通の邪魔になっても、議会制民主主義を補完する、主権者に認められた大事な手段だ。
……

 志位委員長が指摘した、自民党憲法改正草案がいう「公益や公の秩序」というものは、立憲主義を壊すものであることをわかりやすく説明しています。自民党憲法改正草案の危険性がよくわかる記事です。

           ◇

 この記事は、4月15日にアップする予定でしたが、都合により前日にアップしました。
スポンサーサイト
安倍政権 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2016/04/14 16:10
コメント
自由で民主的な基本秩序を攻撃するために濫用する者は、これらの基本権を喪失する。
ドイツ憲法

意見表明の自由、とくに出版の自由(第5条1項)、教授の自由(第5条3項)、集会の自由(第8条)、結社の自由(第9条)、信書、郵便および電気通信の秘密(第10条)、所有権(第14条)または庇護権(第16a条)を、自由で民主的な基本秩序を攻撃するために濫用する者は、これらの基本権を喪失する。喪失とその程度は、連邦憲法裁判所によって宣告される。

管理者のみに表示