◎2足のわらじと益川敏英さん

 名古屋市・伏見にある名古屋市科学館へ行った。2011年にリニューアルした同館のプラネタリウムを見るためである。世界最大の35メートルドームで知られ、人気がある。

 同館前に長い列が続いていた。入口にあったのが益川敏英名誉館長のメッセージだった。益川さんは、いうまでもなく2008年にノーベル物理学賞を受賞した科学者だ。

益川名誉館長


 小林誠さんと共同で、基本粒子クオークが6種類以上存在すれば、宇宙の成立にかかわる「CP対称性の破れ」の現象を理論的に説明できることを明らかにした。

 クオークとかCP対称性の破れとかいわれても、さっぱりわからない。でも、宇宙の成り立ちの理論だからプラネタリウムには、欠かせない科学者だろう。名誉館長になっていることに納得した。

 350席もある巨大なドームは、評判通りだった。名古屋の空の星空を映す。迫力満点だ。アインシュタインの100年来の宿題だった重力波が初めて観測された直後だったから、学芸員の解説はそこから始まった。

名古屋科学館 プラネタリウム


 ビックバン宇宙が始まったのは137億年前。星が生まれ、銀河を形成し、太陽系がつくられ、地球が存在し、生物、人間が誕生する…人類はたったの数百年万年の歴史しかない!

 プラネタリウムに映し出される満天の星々を見ると、「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」というゴーギャンの絵とテーマを思い出した。

 奇跡の星、地球に住んでいるわれわれ人間同士が、いまだに殺し合う戦争がなくならないのが腹立たしくなる。ドームには、天の川が映し出される。太陽系が所属する天の川銀河の一部分だ。

 気が高ぶり、興奮して家に帰ると益川さんの『科学者は戦争で何をしたか』(集英社新書)に目を通した。名古屋大学の恩師であり、湯川秀樹博士らと素粒子物理学をリードした坂田昌一先生は、「物理の研究と平和運動は2つとも同じ価値がある」という信念を持っていた人だと益川さんは書いている。

 坂田教室には、「2足のわらじをはけないようじゃ1人前じゃねえ」と雰囲気があったという。教授に就任した京大でも、益川さんは労働組合運動を平和運動に走り回った。

 午前中は、小林さんとクオークの議論を、午後は組合活動を、夜になってやっと自宅で研究をしていた日々だったという。2足のわらじをはくことを実践した人だ。すごい!

              ◇

 この記事は、2月26日にアップする予定でしたが都合により前日にアップしました。
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その他 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2016/02/25 18:29
コメント
No title
こんな会社もあるんやね。
http://roujin.blog.jp/archives/1051658835.html
No title
益川俊英

実験炉を建設し原発研究は継続を
2011年10月5日名古屋市内で行われたラジオの公開収録で「だましだまし使うより仕方ない。安全に使うため、実験炉を建設し研究活動は続けなければならない」「自動車は危険だが、非常に便利だからデメリットを覚悟して乗る。安全性とはメリット、デメリットの取引。原発もどれだけのメリットがあるか考え、使うべきかどうかが決まる。」「三百年後には化石燃料はなくなる。風力発電は騒音が大きく、風が吹かない時のために同じ発電量の代替設備が必要」「われわれの環境に、それほどの選択肢はない」「原発をしばらく凍結するのはいい。しかし化石燃料がなくなることを考えたら、エネルギー問題はそれほど単純ではない。原発を安全に使う準備のために研究活動は当面続けなければならない。『もうやめた』と言うことはできない」と話した。(2011年10月6日の中日新聞(朝刊)の記事)
期間従業員の高齢化問題どう思いますか?

トヨタ自動車で最近赴任する期間従業員が高齢化してきているとネットで話題になってます。

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