◎経団連「経労委報告」を読んで考えた① 昨年を上回る賃金引上げ?

 日本経団連の春闘対策方針、「2016年版 経営労働政策特別委員会報告」(「経労委報告」)を読みました。ネットの時代、経団連のホームページにアップしてよさそうですが、HPは目次だけ。やむをえず、書店で買い求めました(800円+税)。

 「特別委員会」のメンバーには、トヨタの内山田竹志会長が経団連副会長として入っています。トヨタの意向も反映されているということです。

 まず目に付くのは、「2014年の政労使会議のとりまとめに則り、2015年を上回る『年収ベースの賃金引上げ』について、前向きで踏み込んだ検討が望まれる」とあります。

 「2014年の政労使会議のとりまとめ」とは、安倍首相が大企業と金持ちのための政策――円安と株価の上昇などを目的にした“アベノミクス”のために、経済の好循環をはかるなどと称して経団連に賃上げを要請したことをいいます。

 つまり、これを受けて16春闘では、昨年を上回る賃上げに、「前向きで踏み込んだ検討が望まれる」というのです。おぉ、トヨタの昨年(15春闘)の賃上げは、組合が6000円要求して4000円の回答だったから、「4000円以上」の賃上げになるのか?

 と喜んだら、「年収ベース」という修飾語が付いていました。「経労委報告」では続いて、「月例賃金より金額ベースでの引き上げが総じて大きい賞与・一時金の増額も有効な選択肢」とあります。

16年版 経労委報告


 なんだ、なんだ、「前向き」とは、賃上げより一時金ということか! トヨタ労組執行部が提案した要求案は、賃上げは3000円、一時金はリーマン・ショック(08年)以来最高の7・1カ月でした。

 これを昨年と比べると、賃上げ要求では半分になりました。一時金要求は、昨年の6・8カ月(約246万円=満額回答)に、プラス0・3カ月しています。経団連のいうように、「賞与・一時金の増額」へシフトしています。

 何か釈然としない気持ちが残ります。トヨタの16年3月決算では、営業利益を過去最高の2兆8000億円と見込んでいます。労働者の頑張りを、賃上げではなく、一時金で求めようというのか…。

 「経労委報告」では、総額人件費を100とした場合の賃金の内訳をあらわした表があります。「所定内給与」は59・7、「所定外給与」は5・7、「賞与・一時金」は16・1、「退職金等」は5・0…です。

 一時金は、その場限りですが、賃金にあたる「所定内給与」の割合は圧倒的に大きく、しかもこれが引き上がれば、残業にあたる「所定外給与」や「退職金等」にもろに反映します。トヨタ労組が加盟する連合が、一時金ではなく「月例賃金」にこだわり、求めているのは、このためです。

 トヨタ労組は、2月12日の評議会で16春闘の要求を決定します。3000円の賃上げ要求について、リーダー労組として、これでいいのかの真剣な検討が求められるでしょう。

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 この記事は、2月10日にアップする予定でしたが、都合により前日にアップしました。
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16春闘 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2016/02/09 18:10
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