◎加速する自動運転技術

 正月明けの1月7日、アメリカ・ラスベガスの世界最大の家電ショーで、トヨタ自動車は、ベンチャー企業と共同開発し、人工頭脳を搭載したプリウスの8台の模型車を走らせ、注目を集めました。

 最初は、学習していないプリウスの模型を走らせますが、お互いにぶつかりあいます。この後、周囲の状況などを人工頭脳に入力し、ハンドル、アクセル、ブレーキに接続させて走らせます。しだいに人工頭脳は学習効果で賢くなり、ぶつかることなくスムーズに走ります。

 その動画をNHKニュースで見て、驚き、感心しました。自動運転の技術がここまで来ているのだ!と。同時に、これからのクルマづくりを左右するのは、自動運転技術だということを痛感しました。

自動運転 模型1
(自動運転のプリウスの模型。最初はぶつかりあいます=NHKの1月7日のニュースから)

 というのも、IT技術で独走するグールグが自動運転に参入し、プリウスを使って実走実験をくり返しているからです。もはや、自動車は自動車産業だけのものではなくなってきたことを示しています。

 「日経ビジネス」(2015年10月26日号)は、「トヨタ、グーグルも頼る自動運転の覇者 コンチネンタル」を特集しました。

 コンチネンタルは、ドイツの老舗のタイヤメーカーですが、自動運転に必要な制御ソフトやセンサーなどの技術に力をそそぎ、いまや売上高でデンソーを抜き、自動車部品トップのボッシュに迫っているといいます。

 ソフト技術者は約1万2000人にのぼり、技術者全体のほぼ半数を占めているといいます。もはや自動車部品会社ではなく、電機・IT技術会社といっていいでしょう。

 人工頭脳技術についてトヨタは、昨年11月6日、それを研究・開発を目的にした新会社、「トヨタ リサーチ インスティテュート」を設立すると発表しました。16年1月にアメリカのシリコンバレーにつくるもので、5年間で10億ドル(約1200億円)を投入するといいます。

 マサチューセッツ工科大学とスタンフォード大学と連携し、自動車の自動運転をはじめとする研究・開発とともに新たな産業もつくるといいます。

自動運転 模型2
(人工知能で学習し、スムーズに走るプリウスの模型=NHKの1月7日のニュースから)

 自動車メーカーなどが自動運転技術にしのぎを削る大きな目的の1つは、自動運転で事故をなくすことだといいます。確かに、自動列車制御装置(ATC)などを導入した鉄道では、運転士のミスを防ぐ大きな役割を果たしています。

 兵庫県の福知山線脱線事故(2005年)で107人が死亡したのは、JR西日本が尼崎の急カーブにATCを設置していなかったことが原因でした。自動車でも、運転手のミスを技術で防いで事故を減らし、将来的にはなくすことは必要でしよう。

 一方で、リコールの原因の1つはソフトのプログラムミスであることも事実です。国交省の不具合原因分析では、2009年度~13年度の5年間平均で13件、全体の3・8%を占めています(作業員のミスは、29件で同8・5%)。自動運転に欠かせない制御ソフトに不具合があったら、悲惨な事故につながる可能性があります。

 自動運転技術には、限りない可能性がありますが、ソフトの不具合をどう防ぐか? ソフトをつくるのは人間です。ソフト技術者がたくさん働いていた電機産業では、20万人ものリストラが強行されています。

 現在も、シャープや東芝で大規模なリストラが行われています。自動運転技術へのシフトで、自動車の職場は大きく変わるでしょう。ソフト技術者を大切にしてこそ、自動車会社の明日はあるでしょう。
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自動車技術 | コメント(5) | トラックバック(0) | 2016/01/12 09:58
コメント
No title
ブログ主様は、「ソフト技術者を大切にしてこそ、自動車会社の明日はあるでしょう。」と言われますが、{ソフト技術者はもとよりすべての従業員を大切にしてこそ、自動車会社の明日はあるでしょう。」とハッキリ明言してほしいです。
No title
タクシー運転手の大リストラ時代が来ますね
No title
人工知能にとって代わられる職種が増えれば、人が余りますね。余剰人員を人手が足らない職種にシフトさせれば、移民は不要ですね。
No title
自動運転が増えると、若者の車離れが
加速しそうです。自動じゃ運転の楽しさなんて
1ミリも味わえないもの。
まずはスタートはミッション車から。

ミッション車の開発と製造比率を
もっと増やしてほしいです。
No title
EV+人工知能でどうなるか。EVでは、これまで内燃機関で築き上げてきた巨大ピラミッド(トップメーカーとサプライヤーで構成される「系列」構造)が破壊される。内燃機関が 電池とモーターにかわると、部品点数は一気に減り、部品メーカーもリストラの嵐に見舞われる。部品メーカでは、人工知能の開発能力があるデンソーだけが生き残る。

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