◎「僕たち、戦争に行くの?」

 11月末で終了したが、名古屋市博物館(名古屋市瑞穂区)で、「横井庄一さんのくらしの道具」展が開かれていた。横井さんは、戦時中、太平洋諸島のグアム島で米軍と戦った後、ジャングルに28年間ひそんでいた元日本兵だ。

 横井さんは、召集されるまで名古屋市で洋服仕立て業をしていた。1972年に発見された時は、みずからつくった地下壕などで暮らしていた。戦友2人がいたが、発見される8年前に亡くなったために、その後は1人くらしだった。

 戦前の軍隊では、「生きて虜囚の辱を受けず」の教育を受けていたために、日本が敗戦になったことを知った後も、ジャングルから出てこなかった。捕虜になることもできなかったのだ。

 展示室には、横井さんが1人で暮らすための飯盒や水筒、ナイフ、スプーン、食器、ジャングルの竹やシュロなどでつくった魚とりかご、食糧貯蔵かごなど最小限の生活用品が並べてあった。

 旧陸軍の道具などをつくり替えたり、何度も修理した跡があった。もっとも驚いたのは、パゴの木の繊維でつくった半袖半ズボン、長袖長ズボンだった。1着つくるのに半年かかったというが、仕立て職人ならではの服だ。

横井庄一さん
(横井庄一さんがパゴの木の繊維でつくった半袖半ズボンを掲載した名古屋市博物館の図録)

 現在の物があふれた社会からみると、よくも、よくもジャングルで28年間も過ごせたなという驚嘆の連続だった。その横井さんの生活道具の上には、戦時中のポスターが展示してあった。

 「欲しがりません 勝つまでは」などという戦意を煽るポスターばかりだ。そのなかの1つに釘付けになった。愛知県と大政翼賛会愛知支部、名古屋鉄道管理局(現在のJRの前身)、名古屋電車(現在の名鉄)などがつくったものだ。

 「日常生活を語り行動するなかに敵の諜報機関の食い入る隙があるのだ。交通機関は近代化された井戸端会議になり易い」

 電車のなかでのおしゃべりから、軍事機密などが漏れ、アメリカなどのスパイに知れてしまう。しゃべるなというポスターだ。安倍政権によって特定秘密保護法が強行成立され、12月10日で施行1年になった。

 秘密の指定件数は417件、秘密の行政文書は23万121件に及ぶ。戦争は、秘密とともにやってくる――ポスターは、それを示している。展示室でポスターを見ていたその時、子どもの声が聞こえた。

 「お母さん、僕たち戦争に行くの?」。小学校高学年の男の子だった。母親は、困惑した声で、「わからない」と答えていた。子どもは、「だって可決されたじゃないか」と問いかける。

 可決? そう、9月19日に国会で成立した戦争法(安保法制)のことを言っているのだ。小学生の高学年の子どもが、国会のことを知っているのにはびっくりだった。

 しかも、戦争法によって戦場に送られるかもしれないということを考えているのだ。横井さんのジャングルでの生活道具や戦意高揚のポスターを見て、小学生の子どもが不安に駆られているのだ。
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未分類 | コメント(7) | トラックバック(0) | 2015/12/13 10:38
コメント
例題が悪すぎて説得力ゼロ、一般企業の社員だって、公の場で会社の機密なんか話しちゃダメなのに、それが国家機密だったら罰せられて当然です。
戦争に関しても、日本の一般人は戦地には絶対に行かない!って言えば良いだけ。
No title
震災の年にとある共産党地方議員のblogからこんな声が漏れた
「赤旗編集部で働いている娘の賞与が大幅カットされ生活が苦しいそうだ」
ところがこれが広がると党の上層部から怒られ該当記事は削除に。

共産党にもバレたくない秘密はいっぱいある。
No title
東芝の粉飾決算が発覚したのは、社員の勇気ある内部告発でしたね。歴代3社長の犯罪を機密だと言って、明らかにしなかったら東芝はつぶれていたでしょう。
No title
日本共産党は、国民の生活を守り、社会を変えるために同じ志を持って集まっています。国民の税金である政党助成金を受け取らず、企業団体献金も受け取っていません。自民党の稲田朋美政調会長は、そうした金で缶ビール、カップラーメン、アイスクリームなどを買っていたと日刊ゲンダイは報道していました。なんというあさましさでしょうか。赤旗記者など党の専従者は、苦しいなかでも不屈に頑張っています。
不屈に頑張っている赤旗などの専従者を「職員給与カットがバレると政治的にマズイ」と父親のblogを削除させる共産党
政権をとったら党に都合の悪い情報はドンドン隠蔽してしまいそうですね。
No title
リーマン・ショック後のように、一時金はトヨタでも減額がありますよね。
No title
赤旗社員全員が、減額に納得しているんなら
問題ないけど、一人でも不満があるとしたら
問題でしょうね。

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