◎野坂昭如さんの遺言

 破天荒な作家として知られる野坂昭如さんが12月9日に亡くなりました。85歳でした。直木賞を受賞した『火垂るの墓』は、戦争中に兄と妹が生きる物語で、高畑勲監督・脚本でアニメ化され、多くの人々に戦争の悲惨さを訴えました。

 私の娘は、1歳の子どもを育てていますが、高校生のころにそのアニメを見たといいます。「お兄ちゃんが生きるために畑の野菜を盗み、農家の人に殴られる。妹は餓死してしまう。切なく、かわいそうすぎて…」。妹の遺骨を入れたサクマ式ドロップが強烈に印象に残っているといいます。

サクマ式ドロップ


 NHKは10日のニュースで、野坂さんの最後の原稿が掲載された「新潮45」(18日発売)の末尾には、「この国に、戦前がひたひたと迫っていることは確かだろう」と結ばれていると伝えました。

 遺言ともいうべき言葉です。別のところでも「原発も集団的自衛権の行使も、被害を被るのはぼくらの子や孫、またその子供たちである」と書いています。安倍政権の原発再稼働や戦争法に強い危機感を持っていたことがわかります。

 高畑監督も戦争法反対で声をあげた人です。野坂さんの死に接し、「きっと今、久々に肉体から解き放たれて楽天的になり、日本国中を、沖縄を、自由に羽ばたきながら飛び回り、日本を戦争の道へ引きずり込ませまいと頑張っている人々を、大声で歌って踊って、力強く励ましてくれているにちがいない」と語っています。

 破天荒に見えても、作家の原点である戦争反対では、まったくぶれなかった野坂さん。子どもたちに『火垂るの墓』を残してくれてありがとう! 娘の子どももきっと読み、見るでしょう。
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戦争と平和 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2015/12/11 10:46
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