◎連合は変わったのか? 連合大会から

 労働組合の全国組織であり、トヨタ労組が加盟する連合の定期大会(2年に1回)が10月6~7日、東京で開かれました。連合を取材してきたベテラン労働記者に、大会のようすや連合の現在を聞きました。

 ――連合がこれまでと変わったという声がありますが、そうですか?
 記者 9月末まで大幅に延長された国会で、連合は安倍政権の労働者派遣法改悪や安保法制(戦争法案)と対決しました。国会前に1万4000人の組合員らが集まって反対(8月23日)するなど、これまでと変わって“たたかう姿勢”を鮮明にしています。

 ――なぜですか?
 記者 12年12月の総選挙で自公が圧勝し、安倍政権が誕生したことがきっかけだと思います。安倍政権は成長戦略の名前で、労働者保護ルールを破壊し続けていると連合はみています。

 新会長に選ばれた神津里季生氏(基幹労連、新日鉄労連出身)は、記者会見で、「自民党の強引な政権運営に組合としてどう対抗していくのか」と聞かれ、こう答えました。「安保法制について、普通の市民がこのままでいいのかと声を上げた。連合組合員も普通の市民であり、1つの社会運動として力を持っていくのは大事なこと。この間、労働法制をとっかかりに集会、国会前座り込み、デモをやってきた。社会に広く訴えていくことは重要」と語りました。

 連合は、労働者派遣法の改悪については、「派遣は臨時的・一時的業務に限る」という原則から逸脱し、“生涯ハケンで低賃金”を助長するといって廃案のために集会、座り込みをしてきました。“残業代ゼロ”法案は継続審議になりましたが、“残業代ゼロよりも過労死ゼロ”のスローガンを掲げて強く反対しています。

 ――トヨタ労組など各組合が“過労死ゼロ宣言”をしているけれど、その一環なんですね。

 記者 そうです。もう1つ、安倍政権になって首相と連合会長のトップ同士が定期的に話し合う政労会議が廃止されたことも連合の怒りをかっています。

 ――先ほどの安保法制の反対の国会前集会には、自動車総連や全トヨタ労連、本田労連の旗が立って驚きました。シールズの奥田愛基さんもあいさつしたといいますね。

 記者 自動車総連は賃上げの水準を決める役割を果たし、春闘ではもっとも注目される産別です。安保法制反対で1000人以上集めたと聞いていますが、政治的課題でこれほど力を入れたのはこれまで聞いたことがありません。

 大会の議論では、自治労は安倍政権の安保法制の強行採決について、「独善的、強権的」と口を極めて批判しました。連合北海道は、「違憲で一致する弁護士会など多くの団体と様々な共同をしてきた」と発言するなど、安倍政権と対決していく発言が次々出たのが特徴です。

連合大会 (1)
(連合の大会で選出された新執行部=10月7日)

 ――方針で注目されるのは?
 記者 神津新会長が強調していたのは4つの総掛かりの運動です。4割近い非正規労働者や未組織労働者の底上げ・底支えの実現に取り組むと力説していました。また、すべての働くものにディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を、と強調していたのも印象的です。

 具体的には、長時間労働の温床になっている特別条項付の36協定について、年間750時間を上限とし、限りなく360時間に近づけるとしています。勤務間のインターバル(原則11時間)の導入も主張しています。

 ――トヨタの36協定は、年間600~720時間になっていますから、この方針をもとに360時間に近づけることが必要ですね。

 記者 もう1つの労働組合の全国組織、全労連も安保法制に反対し、労働者派遣法の改悪、“残業代ゼロ”法案にも反対しています。一致している要求では共同で反対してよさそうだが、そこまではいっていないのが残念です。

連合大会 (2)
(連合会長に選ばれた神津里季生氏=NHKテレビから)

 ――日本共産党は、“戦争法廃止、立憲主義を取り戻す”――この一点で一致するすべての政党・団体・個人が共同して、「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」を樹立しようではありませんか、と呼びかけましたが、連合の受け止めはどうですか?

 記者 大会では直接、論議になりませんでした。しかし、来賓あいさつで民主党の岡田克也代表は、「憲法違反の安保法制は白紙に戻さなければならない」と強調していました。神津新会長をはじめ連合は、安保法制反対でたたかってきました。そこは共産党と一致しているわけだから、これまでのいろんなことは脇に置いて、共同できるといいのですが…。

 ――安倍政権のもとで、政治のおおもとの憲法と労働者の暮らしが全面的に破壊されようとしているのだから、これまでの成り行きにこだわらず、安倍政権を退陣に追い込むためにいっしょにやってほしいですね。

 記者 その通りです。連合が結成されて4半世紀になります。連合は、労使協調主義、特定政党支持の押し付けという弱点を持ってきましたが、このところの“たたかう姿勢”は、それを乗り越える可能性を秘めています。

 来年夏の参院選で自民党、公明党が勝って議席の3分の2になれば憲法を変えることに安倍首相は手をつけるでしょう。安倍政権の退陣に向けたたたかいを、連合は国民・労働者とともに総掛かりでやってほしいと思います。

                ◇

 この記事は、10月9日、10日の2日分としてアップします。

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労働組合 | コメント(5) | トラックバック(0) | 2015/10/09 08:42
コメント
トヨタ労組はこの問題には何も言わないね。
No title
組合員の生活をより豊かにしていくための
生活制度課題を改善していくのを主たる目的と
して議員を出している組合なので、思想問題
まで首を突っ込むと、現状でも安保法案賛成派
が約30%いるので、これを全て失わないに
しても、投票数を相当数失うことになる可能性
があるので、「連合さん、ご勝手のどうぞ!」
って感じなんだと思うんだけどね。

でも、今のスタンスで正解だと思うよ。
あなたの考えはそうかもしれないかもしらないが、今ではトヨタの生産の6割は海外です。海外での紛争に自衛隊が巻き込まれたら、日本にたいする海外の見方も変わてってくる。海外販売にも影響が出てくる、その事にたいする組合からのメッセージが何もない。連合の方針は無視するのかな。
相変わらず左翼団体と化しているところは変わりませんね。
労働問題だけやっとけ。
それと、組合員の過半数が組合の方針に賛成なら、自民党政権は生まれないはずだが。
No title
自民・公明の政治が崩れ始めてるんじゃないの?

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