◎ブログ5年のこれまで ①②③④

 このブログ「トヨタで生きる」は、2010年10月1日に立ち上げてからこの10月でちょうど5年になりました。トヨタ労働者のさまざまな要求、願い、運動、政治・社会問題などを毎日アップしてきました。その5年を振り返り、今後に生かしたいと思います。
このシリーズの①~④までを、都合により一挙にアップします(10月5日~8日までの4回分です)。

               ◇

①春闘

 トヨタ自動車は2兆円を超える利益あげる日本1の大企業です。世界1の自動車メーカーです。トヨタ労組は15春闘で、みずからの役割を次のように明らかにしました。

 「以前は鉄鋼がリーダーユニオンとなって交渉をリードし、他社はそれに追随することで賃金水準が向上。トヨタがリーダーユニオンと見なされている現在においては、トヨタが交渉をリードすることが期待されている」

 この通りです。トヨタ労組は、この20年ほど日本の賃上げ水準を決めてきました。一方で、トヨタで賃上げがないと、否定的な影響を与えます。2002年春闘で当時の奥田碩会長がトヨタ労組の1000円の要求をけってベアゼロに抑えたことにより、日本の春闘全体がベアゼロに終わりました。

 10春闘から13春闘までの4年間、トヨタ労組は賃上げ要求をしませんでした。日本の春闘がふたたび活気づいたのは14春闘です。09春闘以来、トヨタ労組が5年ぶりに4000円の賃上げ要求をかかげたからです。

40 賃上げ推移 15年まで数字


 ブログでは、毎年の春闘ごとにトヨタの1~2兆円のばく大な利益と10兆円を超える内部留保のほんのわずかだけで賃上げは可能だと訴えてきました。政治の分野でも、日本共産党は国会の論戦で、安倍内閣に内部留保を使って賃上げをするよう財界に要請すべきだと迫りました。

 麻生太郎副総理兼財務相は、「企業に内部留保がたまっている。賃金か配当か設備投資に回すのが本来の姿だ」(15春闘で)とのべ、自民党の谷垣禎一幹事長はNHKの政治討論で、日本共産党の志位和夫委員長にこう答えました。

15春闘 JC
(金属労協本部=東京=の白板にトヨタの賃上げ額が書き込まれました。定昇分込みの数字です。15春闘で)

 「賃上げに結び付けていくことは必要。手法はいろいろと志位さんのところと同じかどうかわかりませんが、内部留保を活用する意味では大きな発想は共通のところがあるかもしれません」(15春闘で)

 労働組合、労働者のたたかいとあいまって14春闘でトヨタ労組は2700円の賃上げを、15春闘では4000円の賃上げを獲得しました。この流れを16春闘でも実現しましょう。
       

②QCサークル、創意くふう

 このブログに相談、訴えがもっとも多かったのがQCサークル活動、創意くふう提案活動についてです。

 ★妻さんからの訴え(2012年7月10日アップ)

……
 夜勤明けにもかかわらず寝ないで職場のQC発表する人の家に集まり、帰宅したのは、土曜日の夕方。身体にも良くないし、なぜ会社内で作成、完成までできないのでしょうか? 一緒に暮らすものとして不快、心配です
 QC発表回数が他のデンソーとかより回数が多いとも聞いていますが、会社内で残業扱いになる程度ぐらいで、できないようならばQC活動、無意味です。会社の上司にはわからないところで集まって活動するようでは。
……

 また、職場は忙しく、QC活動の資料のほとんどは自宅で作成しているという訴えもありました。上司のTL(チームリーダー)は、ラインに入っており、昼食も食べずにQC活動のためにパソコンに向かっているといいます。(ブログ、12年5月8日アップ)

 さらに、Aさんから次のような訴えがありました。

……
 私は工場の組立で働いています。堤工場の内野さんが過労死し、QCと創意工夫は強制では無いと言っていましたが、時が過ぎ今では当たり前でノルマさえ出されます。

 創意工夫は組で3件以上とか、QCについては、「次はあなたが書いて」とかいわれます。死ぬ気でやっています。残業もつかず、家で書かされています。月に10時間以上になります。こんな事、早く辞めさせてください。
……

 こうした声にこたえるために、ブログでは次のようにまとめました(14年2月6日アップ)

QCサークル表


【QCサークル活動】
 QCサークル活動については、会社は、業務と認めているものと「自主活動」だとして業務と認めていないものがあります。

 2008年6月、QCサークル活動が大きく見直されました。堤工場で働いていた故・内野健一さんの妻、博子さんが夫は過労死(2002年2月死亡、当時30歳)だと訴えていた裁判で、名古屋地裁は訴えを認めました(07年12月)。厚労省は、控訴しなかったために判決が確定しました。

 この判決がきっかけで、トヨタは2つの活動を見直したのです。健一さんが過労死したのは、2つの活動をサービス残業でしていたことが大きな原因でした。

 名古屋地裁が「業務」だと認めたトヨタの「自主活動」は、QCサークル活動や創意くふう活動にとどまらず、交通安全活動、EX会(「班長」会)などもふくまれていました。

 さらに日本共産党の小池晃参院議員の追及(2008年3月27日の参院厚生労働委員会)で、桝添要一厚生労働大臣(当時)は次のように答弁しました。

 「上司の管理下にあって業務命令と考えられるものは、労働時間と算定するよう名古屋地裁判決の趣旨にそって労働行政を行っていきたい」

 トヨタは、名古屋地裁判決、桝添答弁にもとづき、「業務扱い」とする部分を拡大しました。それまでQCサークル活動は、月2時間までの「会合」しか「業務扱い」と認めませんでした。それが、月2時間を超えても、「上司の許可」を得て、「業務扱い」にすると変更したのです。

 しかし、表のようにトヨタはQCサークル活動のすべてを「業務扱い」にしているわけではありません。判決と桝添答弁の趣旨のように、QCサークル活動は勤務時間内に行うべきであり、勤務時間内にできないならば残業時間とすべきです。

創意くふう提案


【創意くふう活動】
 次に、創意くふう活動についてトヨタは、あくまでも「自主活動」であり、自由参加で、参加することを強制したり、参加しなかったことに対する不利益な扱いはしないといいます。創意くふう提案の目標や実績管理、上司の提案指示は行ってはならないとしています。

 さらに、職場外での活動であり、上司の支配下や監督下で行ってはならないとしています。要するに、就業時間外に、自宅で行えということです。

 たとえば、改善のネタを探すこと、問題を見つけ出す調査、改善案の検討、提案のための資料準備、提案書の記入なども自主活動としています。実際、「創意くふう提案用紙」には、「提案は各人の自由です。提案用紙は自宅で簡潔に書きましょう!」と注意書きがあります。

 その一方で、上司が指示・命令したりするなど場合などは、業務で実施するとしています。自主活動か? 業務か? その境界線はどこなのか? わかりにくく複雑です。

【Aさんの場合は?】

 Aさんの訴えを具体的にみてみましょう。Aさんは、上司からQCについては、「次はあなたが書いて」といわれています。上司が指示しているわけですから、「業務扱い」になります。自宅での作業も、当然、残業扱いです。そうでなければ会社の勤務時間内にさせるべきです。

 テーマリーダーやサークルリーダーは、準備したり、まとめる仕事があります。1会合ごとに1時間程度は必要です。上司に、「まとめたいから残業にするか、業務時間内にやらせてください」と申請してください。

 創意くふう活動は、自主活動です。会社のルールは、ノルマは与えてはならないとしています。上司が「月3件出して」というのはルール違反です。グラフや表で、個人別提案件数を表示するのもダメです。

③「極限の成果を追求」する賃金制度

 トヨタ自動車がトヨタ労組に提案した、毎月評価、毎月賃金が変わるという“極限の成果主義”賃金が今年8月28日のトヨタ労組の評議会で可決されました。反対はなく、保留が2というものでした。

 ブログに寄せられたコメントでは、「頑張りすぎて過労死の温床になりかけない制度だと思います」とか、「公平にジャッジ(判定)できる上司がいるのか?」など8項目の問題点を指摘し、「個人的にはデメリットが大きい制度だと感じます」とコメントしてきた労働者もいました。

 工場の労働者(技能職)に来年1月から導入するとしています。トヨタは、引き続き技術・事務職に導入するために、7月に第1回労使検討委員会が開かれました。

 このなかで会社側は、技術・事務職の新たな賃金制度について、「TPS(Time & Place Strategy)in the Office」(時と場所に捉われず仕事する)と位置づけ、「有限の時間で極限の成果を追求(個人の生産性)」するというのです。

 「1分1秒たりとも決してムダにしない」ともいい、これはいっさいのムダを省くTPS(トヨタ生産方式)の考え方を賃金制度でも貫徹させるものです。こんな驚くべき賃金で、私たちは毎日気持ちよく働けるのでしょうか?

 導入が決まった技能職の賃金は、労組が職場から上がった意見を認めたように、「評価に対する公平性・納得性が十分得られるのか」「マイナスの考課点を付けられたら意欲が減退する」「チームワークが悪化するのではないか」などの不安の声や反対の声が出るほどでした。

成果主義賃金 中日新聞
(中日新聞が報道したトヨタの「技能発揮給」の表)

 最大の特徴は、「規律性」など4項目で評価するという「技能発揮給」を新設することです。+4点の「期待を大幅に上回り、職場の模範となる」から、-1点の「期待を大幅に下回る」までの6段階で評価します。+1点が「期待どおり」の標準点としています。

 標準額は7万円で、1点あたり5000円。最高の+4点評価では8万5000円、最低の-1点では6万円となるために、最大で2万5000円の差が付くことになります。

成果主義 写真


 会社の当初の提案では、1点あたり1万円だったために、最大で5万円もの差がつくことになっていましたが、職場から反対・懸念の声が噴出したために、半額の2万5000円にしました。この1つを持ってしても、いかに不安の声が大きいかを示しました。

 技能発揮給の変動開始は来年7月からとしています。毎月評価、毎月賃金が変わるというような賃金制度は、日本で聞いたことがありません。組合員から出た疑問・不安が解消されないままの船出になりそうです。

④サービス残業

 ブログ「トヨタで生きる」の5年間で、サービス残業問題をくり返し取り上げてきました。寄せられるコメントや意見が多いからです。サービス残業は、世界の企業ではありえないものであり、日本の企業では根深いものです。

 実際、厚労省が13年度でサービス残業があったとして是正勧告した企業は1417企業、労働者に支払われた未払い残業代は、11万人余りに約123億円というから驚きです。しかも前年より増加しています。

 このブログでは、たとえば今年6月10日アップから3回にわたって取り上げました。このなかで4月5日に、「ある生産技術部の職場で、組織的にサービス残業が行われていたと聞きました。6日月曜日からの2週間、その部は全員8-17時のオール定時勤務になるそうです」とのコメントが寄せられたことを紹介しています。

 トヨタは、「労働時間の過少申告」などの違反は、会社のコンプライアンス遵守の姿勢を非難されると指摘しています。その上で、始終業時刻と入退場時刻の乖離(かいり)、深夜・休日勤務の状況など、毎日の勤怠の実態の確認や確実な勤怠申請などを行うよう求めています。

トヨタ・カードリーダー
(カードリーダー)

 ある社員からは、業務時間1時間以内の入退場ルール、いわゆる「1時間ルール」を守ろうという提案が寄せられました。「1時間ルール」から、“HUREAI”などのインフォーマル活動の「例外の撤廃」とインフォーマル活動自身の負担をなくそうというものです。

 積極的な提案です。大いに議論したいと思います。2013年12月のブログでは、次のようなコメントを紹介しています。

 「元町工場では、『ホットタイム・昼休みは休憩時間』というポスターが貼られるようになりました。どうやら、休憩時間の段取り(組付け用のボルトの事前準備)が日常的にやらされていて、そのことを労基署に通報し、改善を求めた人がいるみたいです」

 サービス残業をなくすなどのために、トヨタがカードリーダーを導入(2003年)して12年余り。サービス残業は根絶されたとはいいがたいのが現状です。これからもブログで取り上げ、サービス残業をなくしていきたいと思います。
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未分類 | コメント(5) | トラックバック(0) | 2015/10/04 17:24
コメント
No title
組合はなにやってんの?
No title
きつくて忙しい風通しの悪い職場は、今後も移籍させられる輩が増えるだろう。楽しみだな。今や楽な仕事はどんどん撤去されてるから。嫌なら追い出し部屋行き、それでも嫌なら会社辞めるしかない。仕事って言うのはそんなに甘くないから。来年からもっと厳しくなるらしいから頭に入れとった方がいいよ。
No title
上から目線の言い方だね。あなたはいったい何様なの。
No title
時々いるよね、こういう人。一人でトヨタを背負っていると思い込んでいる。自分がいないとトヨタは回っていかないと思っている。 会社から見ると理想的なトヨタマンだろうね。
No title
本当は共産党が言っている様な事を組合がやるべきですよね。組合の役員をやることが、出世の条件になっている。結局会社の都合の良い方向へ事が進んでしまう。

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