◎東芝 利益至上主義がもたらしたもの

 家の中に東芝の歴代のノートパソコンが何台もあります。使い勝手がよく、いつも手元にあります。このパソコン事業の利益もかさ上げ(水増し)されていたのか…。

 経団連会長を出した名門企業の東芝が7月20日、第三者委員会の報告書の概要を発表しました。「経営トップを含めた組織的な関与があり、かつ意図的に『見かけ上の当期利益のかさ上げ』をする目的で行われた」と断じました。

 同時に、過去6年間にわたって税引き前損益で1518億円の下方修正を求める記述も盛り込まれました。

東芝1
(日本経済新聞、7月21日付)

 概要を読むと、これが東芝の経営かと疑われるような記述に満ちています。
 ・「上司の意向に逆らうことができないという企業風土が存在していた」
 ・「チャレンジ」と称して設定された収益改善目標値が示され、その目標達成を強く迫っており、業績不振のカンパニーに対しては収益が改善しなければ当該担当カンパニーの事業からの撤退を示唆することもあった。

 中でも、次の記述に目を奪われました。

……
 ・「業績評価制度」 東芝の役職員の報酬・賃金には業績評価制度が採用されている。例えば執行役に対する報酬は、役位に応じた基本報酬と職務内容に応じた職務報酬から構成されている。

 このうち職務報酬の40%から45%は、全社または担当部門の期末業績に応じて0倍(不支給)から2倍で評価されることとなっており、このような業績評価部分の割合の高い業績評価制度の存在が、各カンパニーにおける「当期利益至上主義」に基づく予算または「チャレンジ」達成の動機づけないしはプレッシャーにつながった可能性が強い。
……

 役員には、業績評価制度=「成果主義賃金」が導入されており、職務報酬の半分近くが業績に応じて、「0倍(不支給)から2倍で評価される」というのです。役員の報酬は、上場企業では数千万円から億単位になります。

 利益のかさ上げを迫る社長に「逆らうことができない」企業風土のなかで、報酬を上げてもらうためには、組織ぐるみで不正に手を染めていたことになります。成果主義賃金の行きつく果ては、会社組織をも壊してしまうことになることを、今回の東芝の事件は教えています。

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(東芝のノートパソコン、ダイナブック)

 トヨタ自動車の工場の現場にも、来年1月から成果主義賃金を導入しようとしています。「期待どおりの働きぶり」を標準点(0点)とし、+3~-2点の6段階で評価するとしています。

 標準額は7万円で、1点あたり1万円です。最高の+3評価では10万円、最低-2点では5万円となるために、5万円もの差が付くことになります。

 「直近の『働きぶり』を評価し、直近の処遇に反映する制度」のために、「基本的に毎月評価を実施する」といいます。毎月評価し、毎月賃金が変わるという日本では例のない成果主義賃金です。

 成果主義賃金は、労働者全体に支払われる賃金の総額原資を変えないために、労働者が賃金を奪い合うことになります。成果主義賃金に移行していいのか、東芝の不正事件を例に考えてみようではありませんか。
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その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2015/07/21 10:40
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