◎トヨタ 小型SUV 「C-HR」の概要発表

 トヨタ自動車は9月28日、小型SUV(多目的スポーツ車)「C-HR」の概要を発表しました。トヨタが世界戦略車と位置付けているもので、11月上旬から販売店での先行商談を始め、今年の年末に発売するといいます。

 先日、レクサス店へ行きました。大型のSUVが展示してあり、「若者向きのSUVで、こんな数百万円もの高価格で売れるのですか?」と質問すると、営業マンは「今は、SUVは中年、熟年者にも人気ですよ」といわれました。

 人気があるのは、ガソリン価格が世界的に値下がりしていること、いろんな使い方ができること、車高が高くて運転しやすいことなどを挙げていました。「SUV=若者」という見方を改めねばと感じました。

8 c-hr


 「C-HR」は、昨年秋の東京モーターショーで初めて見て、トヨタにしては珍しい、冒険心あふれる彫の深いデザインに仕上がっていると思いました。これは売れそうだと直感しました。

 豊田章男社長が常に語っている、「もっといいクルマをつくろうよ」というメッセージが伝わり、こうした個性的なクルマがつくれるようになったのでしょうか?

 概要によると、ハイブリッド車は、コンパクトSUVクラスでトップレベルの燃費を追求しているとしています。グレードでは、1・8リットル・ハイブリッド車のと、1・2リットルのターボエンジンを設定しています。また、衝突回避支援パッケージを全車に標準装備しています。

 4代目プリウスと同様に、「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」という、これまでの車種ごとの開発を改め、ユニットごとに開発して共通化し、原価低減などをめざす手法で開発された車です。
スポンサーサイト
トヨタ車 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2016/09/30 07:23

◎南スーダンからの自衛隊撤退を要求 志位委員長の代表質問

 参院選後の本格的な論戦になる臨時国会が始まりました。日本共産党の志位和夫委員長は9月28日の衆院本会議で代表質問に立ち、安保法制(戦争法)や「残業代ゼロ」法案などの労働問題、TPP問題などで暴走を続ける安倍首相を追求しました。

 このなかで国民に隠して進められる戦争法の運用の危険を明らかにし、同法の発動中止と南スーダンPKO(国連平和維持活動)からの自衛隊撤退を要求しました。

 安倍首相は、国民多数が納得していない戦争法について、参院で強行採決(昨年9月19日)してから1年になるのに、所信表明演説(9月26日)で一言もふれませんでした。

 安倍政権は、南スーダンPKOに派兵する自衛隊に「駆け付け警護」など戦争法に基づく新任務付与を想定し、訓練を開始しましたが、武器使用基準などを定めた「部隊行動基準」も訓練内容も一切、明らかにしていません。

 代表質問で志位委員長は、国民の理解を得ることなく戦争法を強行可決した上、運用まで「すべて国民に隠して事を進めるつもりか」と厳しく批判しました。

 その上で、内戦がいよいよ深刻となり、「PKO参加5原則」が総崩れとなっている南スーダンの実態を示して「『殺し、殺される』初めてのケースとなる深刻な危険がある」と指摘しました。

地球儀 南スーダン
(地球儀。中央に南スーダンがあります)

 実際、南スーダンでは、7月に首都ジュバで大規模な戦闘が起き、国連安保理は8月に4000人の増派を決めています。事実上、この部隊に先制攻撃の権限を与えています。

 ところが安倍首相は答弁で、「現地の情勢は比較的落ち着いている」などとまったく根拠のない楽観論をふりまいた上に、「『殺し、殺される』などというおどろおどろしいレッテル貼りは的外れだ」などと強弁しました。

 志位委員長が南スーダンからの自衛隊撤退、憲法9条に立った非軍事の人道・民生支援の抜本的強化へと転換するよう主張したことに対し、一顧だにしない姿勢を示しました。

 所信表明演説で、「100を超える国・地域を訪れ、地球儀を俯瞰する視点で積極的な外交を展開してきた」と胸を張った安倍首相。南スーダンの情勢は何1つわからないようです。

 こんな首相のもとでは、戦後初めて日本人が「殺し殺される」ことになりかねないでしょう。
戦争と平和 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2016/09/29 12:07

◎トヨタ 海外子会社からの配当が増加

 このブログ「トヨタで生きる」では、この2日間、「外国子会社からの受取配当の益金不算入」の問題をアップしてきました。2重課税ではなく、法人税より安い配当への税金を利用して税を逃れている仕組みです。

 2つの表を見てください。トヨタの受取配当金が増加していること、しかも配当金の大部分は海外からであることがよくわかります。

19 経常利益中の受取配当金の増加

19 トヨタの配当の大部分は海外から



 この資料は、2015年5月16日に名古屋市で開かれたトヨタシンポジウムで、税財政問題研究者の垣内亮氏が「トヨタからみた日本の税制の問題点」として講演したなかで使ったパワーポイントです。

 上の表は、トヨタ単独の「経常利益中の受取配当金の増加」(単位・兆円)を示しています。リーマン・ショックで、2008年から4年間、営業赤字になっていますが、受取配当金は赤字額に匹敵するか、それ以上にもなっています。

 下の表は、「トヨタの配当の大部分は海外から」(単位・億円)とあるように、海外子会社からの配当が年々増加し、国内より圧倒的に多いことがわかります。

 これは、トヨタが海外生産比率を増加し続けているからです。トヨタとレクサスブランドの海外生産比率が5割を超えたのはリーマン・ショック前年の2007年度で、6割を超えたのは12年度です。

 直近の15年度は、全世界で生産した893万台のうち575万9000台が海外で生産しており、その比率は64・5%にもなっています。今やトヨタは、洪水的な輸出で稼ぐのではなく、海外で生産し、そこで売って稼ぐという多国籍企業になっています。
決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2016/09/28 18:46

◎2重課税という理屈は通用しません

 昨日のこのブログ、「トヨタで生きる」では、「豊田市の法人市民税、トヨタ最高益なのに減っているナゾ」をアップしました。

 すると、「共産党が隠したい事実」という常連コメント者から、「共産党『受け取り配当金非課税は海外子会社が現地で納税した後の利益への二重課税を防ぐ当たり前の制度だけどその点は黙っとこ』」というのが寄せられました。

 また、また“2重課税論”ですね。何度も同じコメントを寄せています。では、元国税調査官の大村大次郎さんに語っていただきましょう。大村さんは、『なぜトヨタは税金を払っていなかったのか?』という著書を6月に出版(ビジネス社)されています。

 税の専門家である大村さんは、コメント者の“2重課税論”を完膚なきまでに反論しています。その部分を著書から引用させていただきます。

……
 トヨタが5年間も税金を払っていなかった最大の理由は、「外国子会社からの受取配当の益金不算入」という制度にある。
 これは、どういう制度か。外国の子会社から配当を受け取った場合、その95%は課税対象からはずされのだ。

 たとえば、ある企業が外国子会社から1000億円の配当を受けたとする。この企業は、1000億円の配当収入のうち、950億円を課税収入から除外できるのだ。つまり950億円の収入については、無税ということになるのだ。

 なぜこのような制度があるのか?
 現地国と日本で2重に課税されることを防ぐために、という建前である。
 外国子会社からの配当は、現地で税金が源泉徴収されているケースが多い。もともと現地で税金払っている収入なので、日本で税金を払わなくていい、という理屈である。

『なぜトヨタは税金を払っていなかったのか?』


 現地国で払う税金と日本で払う税金が同じならば、その理屈も納得できる。
 もし現地国で30%の税金を払っているのであれば、日本の法人税を免除しても問題はない。

 が、配当金の税金というのは世界的に見て、法人税よりも安い。
 つまり現地で払う税金は、日本で払うべき税金よりもかなり少なくてすむのだ。

 たとえば1000億円の配当があった場合、現地での源泉徴収額はだいたい100億円程度である。
 しかし、日本で1000億円の収入があった場合は、本来、約300億円の税金も払わなければならない。

 つまり現地で100億円の税金払っているからという理由で、日本で約300億円の税金を免除されているのだ。実際は、もう少し細かい計算が必要となるが、ざっくりいえば、このような仕組みになっている。

 配当に対する税金は、世界的にだいたい10パーセント前後である。途上国やタックスヘイブンと呼ばれる地域では、ゼロに近いところも多い。
 対する法人税は、世界的に見て20%~30%である。日本も23・4%(国税のみの場合)である。

 だから、「現地で配当金の税金払ったから、本国の法人税を免除する」ということになれば、企業側が儲かるのは目に見えている。
……

 常連コメント者は、「トヨタが儲かるのは隠したいから黙っとこ」ということですね。

 税金の仕組みは、大変、難しいものです。大村さんの『なぜトヨタは税金を払っていなかったのか?』は、その点で大いに参考になります。ぜひ買って勉強しようではありませんか。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2016/09/27 11:41

◎豊田市の法人市民税、トヨタ最高益なのに減っているナゾ

 2兆8000億円前後のばく大な営業利益をあげている、日本の大企業でダントツのトヨタ自動車。本社や工場が集中している豊田市の法人市民税は、さぞかし増えているだろうと思いますが、何と反対に減っているのです。信じられますか?

 豊田市の9月市議会で、日本共産党の大村よしのり市議の追及で、減っている実態がわかりました。市は、個別企業の税額は明らかにしていませんが、豊田市で圧倒的に利益を稼ぐのはトヨタ自動車以外にありません。

 大村 リーマンショック(2008年)前の、豊田市の法人市民税の過去最高額はどれだけですか?
 市当局 平成19年度(2007年度)の491億3000万円です。

 大村 平成27年度(2015年度)は、353億7000万円であり、(137億6000万円も)少なくなった要因を項目ごとに金額で示していただきたい。
 市当局 (国の)法人税減税(30%から25・5%へと減税された)で、60億7000万円減額になりました。(一部国税化の措置で)市の税率が12・3%から9・7%になり、35億8000万円が減額になりました。

 大村 その2つの要因を足しても96億円余りです。なお、41億円余りも少ないのはなぜですか。市内の大企業(トヨタ自動車)は、リーマンショック前の最高益(07年年度の2兆2703億円)を超えて更新し続けています。にも、かかわらず、豊田市への税収は逆に減っています。問題ではないですか。

30 豊田民報
(「豊田民報」 9月18日号から)

 こうしたやりとりがありました。国の法人税減税だけでなく、「研究開発減税」や「受取配当金不算入」制度などさまざまな大企業優遇税制が歴代自民党政権によって設けられたことによって、法人市民税も減ることになったのです。

 研究開発減税は、総額の約10%が減税されます。トヨタは、日本1の1兆円前後の巨額な研究開発費を投じていますから、1000億円もの減税の恩恵をうけることになります。

 受取配当金不算入では、国内の子会社などからばかりではなく、2009年度からは海外子会社からの配当も益金に算入されないことになりました。トヨタの海外生産比率は64・5%(2015年度、トヨタ、レクサスブランド)にも達していることから、トヨタにとってきわめてうまみがある制度です。

12 トヨタ本社
(トヨタ本社)

 ブログ「トヨタで生きる」では、これまでもトヨタへの減税についてくわしく書いてきました。次の記事を参考にしてください。

 「豊田社長『5年間税金を払っていなかった』――専門家に分析してもらいました」の5回シリーズ(2014年5月20~24日アップ)です。
 http://toyotaroudousya.blog135.fc2.com/blog-entry-1414.html
 
 「シリーズ『研究開発費と減税』」 2015年8月15日アップから4回連載です。
http://toyotaroudousya.blog135.fc2.com/blog-entry-1874.html

 (注)≪法人市民税≫ 市内に事務所、事業所、寮などがある法人にかかる税金のことをいいます。法人の規模に応じて決まる「均等割」と法人税(国税)の額に応じて決まる「法人税割」とがあります。
トヨタの街から | コメント(1) | トラックバック(0) | 2016/09/26 17:42

◎トヨタ 夜勤のみの勤務導入へトライ

 トヨタ自動車の労使が、工場で働く労働者で、夜勤のみの勤務とする――「常2直勤務」制度の導入に向けて議論し、8月末から10月までトライを実施しています。

 7月25日に行われた労使の「第2回仕事と育児の両立支援策推進に向けた専門委員会」の報告を、トヨタ労組の評議会ニュース(8月2日号)が伝えているものです。

 トヨタでは、工場の技能員は、1直(原則、午前6時25分~午後3時15分までの昼勤)、2直(原則、午後4時10分~午前1時までの夜勤)を1週間おきにくり返す2交代制です。

 トヨタは、子育てのためには夜勤が難しいとして、2013年に昼勤のみの制度を導入しました。今後、仕事と育児の両立させることが社会的に当たり前となり、女性技能員が増加することが予想されます。昼勤のみの労働者が増えることで、足りなくなる夜勤の労働者をどうするかが問題になります。

toyota 堤工場
(出勤するトヨタ労働者=豊田市の堤工場で)

 この日の労使の専門委員会では、子どもが小学校に入学後、1直時の登校までの対応や、2直時の夕食への対応ができず、退職をせざるをえないなどの状況が報告されました。

 会社からは、長い期間をかけて育成した女性技能員が、仕事と育児の両立の困難さを理由に退職するのをゼロにしたいなどとして、「常2直勤務」の制度化を検討したいと提案がありました。

 導入にあたって、問題点を洗い出すために8月29日から10月29日までの2カ月間(9週分)、高岡工場や田原工場などの塗装課や組立課などでトライを実施するとしています。

 トライの対象者は、初級技能職以上の正社員で、常1直勤務者と同一部内に在籍し、常2直勤務を希望する者としています。

 「常2直勤務」は、手当てが増える一方で、午後4時10分から深夜の午前1時までの勤務で、健康にたいする不安や家族とのふれあいをどうするかなど多くの問題が出そうです。
職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2016/09/25 16:01

◎総選挙 「できる限りの協力」を 野党党首会談

 日本共産党、民進党、生活の党、社民党の4野党の党首らと参院会派「沖縄の風」の代表による野党党首会談が9月23日に開かれ、これまでの4野党党首による合意を確認し、総選挙も「できる限りの協力」をしていくことを確認しました。

 代表が岡田克也氏から蓮舫氏に代わり、野党共闘を続けるのか注目されましたが、蓮舫代表は、「これまでの公党間の党首の合意は大変重い。岡田前代表の路線を踏襲していきます」とのべ、11選挙区で勝利した参院選での野党共闘を引き続いていくことを表明しました。

 今後、4野党の書記局長・幹事長の間で、総選挙と10月の2つの衆院補選での選挙協力の具体化のための協議を開始することで合意しました。

 日本共産党の志位和夫委員長は、「総選挙での選挙協力を進めるためには、新しい課題も出てくる」と指摘。▽共通政策を豊かにする▽政権問題で前向きの合意をつくる▽本格的な相互協力を実現する―などの課題をあげつつ、「まずは協議に入り、協議の中で解決しましょう」とのべました。

衆院で野党共闘なったら 東京新聞
(東京新聞、9月4日付から)

 東京新聞(9月4日付)が試算したように、2014年の総選挙での295の小選挙区の野党4党の得票を単純に合算すると、野党の勝利は前回の43選挙区(民主=当時=が38、共産1、生活2、社民1、沖縄で4党統一の無所属1)から、2・1倍の91選挙区になります。

 民進党が強いといわれる愛知県(15選挙区)でも、野党4党が共闘すれば、自公を上回る選挙区が多くあります。参院選では、「1+1」以上の共闘効果がでています。ためされずみの野党共闘こそ、安倍政権の暴走を止める確かな保障となるでしょう。
その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2016/09/24 12:07

◎きょうは、はじまりの日 「京大有志の会」がビデオクリップ

 集団的自衛権の行使など違憲の戦争法(安保法制)を、安倍政権と自民党、公明党が参院で強行して9月19日で1年。国会前で、豊田市など全国440カ所以上で1周年の行動が行われました。

 「自由と平和のための京大有志の会」は強行採決された1年前に、「あしたのための声明書」を発表しています。詩のような声明書は、このブログ「トヨタで生きる」で紹介しました。
http://toyotaroudousya.blog135.fc2.com/blog-entry-1911.html

……
(略)
 きょうは、はじまりの日。
 憲法を貶めた法律を葬り去る作業のはじまり。
 賛成票を投じたツケを議員たちが苦々しく噛みしめる日々のはじまり。
 人の生命を軽んじ、人の尊厳を踏みにじる独裁政治の終わりのはじまり。
 自由と平和への願いをさらに深く、さらに広く共有するための、あらゆる試みのはじまり。
……

50 京大有志の会 ビデオクリップ


 「声明書」とともに、心に残る画像と組み合わせたビデオクリップ(2分半程度)を作成しています。次のアドレスで見ることができます。ビデオクリップで、戦争法廃止の思いを新たにしようではありませんか。

http://www.kyotounivfreedom.com/news/manifestofortomorrow_video/

              ◇

 この記事は、9月23日にアップの予定でしたが、都合により前日にアップしました。
戦争と平和 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2016/09/22 18:22

◎もんじゅ廃炉へ 一方、高速炉は続ける

 奈良県桜井市に、飛鳥時代に創建された安倍文殊院があります。本尊は、“3人寄れば文殊の知恵”で知られる国宝・文殊菩薩です。この地は、豪族・安倍氏の本拠地です。遣唐使の阿倍仲麻呂は、一族の出といわれます。

 安倍晋三首相は、この安倍一族とはおそらく関係ないでしょう。その安倍政権は9月21日、原子力関係閣僚会議を開き、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について「廃炉を含めて抜本的な見直しを行う」(菅義偉官房長官)ことを決めました。

 一方で、もんじゅに代わる高速炉開発の推進に向けた「高速炉開発会議」を設けることを発表しました。破たんした「核燃料サイクル」政策をあくまで続けようとしています。

2 敦賀のもんじゅ
(福井県敦賀市のもんじゅ)

 もんじゅは、原発の使用済み核燃料を再処理して取り出すプルトニウムを燃料にするものです。プルトニウムは、核兵器に使用するものです。自民党政権や電力業界は、再処理施設や高速増殖炉の開発で核燃料サイクルを完成させるとしてきました。

 核燃料サイクルとは、ウランを原発で燃やし、使用済み核燃料を再処理して取り出すプルトニウムを高速増殖炉で燃やし、さらにその使用済み核燃料を再処理して、燃やした以上のプルトニウムが取り出せるという夢物語のような話です。

 ツイッターの“もんじゅ君”を知っていますか? 2011年の東日本大震災を機に登場した、ゆるキャラのツイッターです。自己紹介で、もんじゅについてこう語っています。

 「1994年の初臨界からおしごとしたのはたったの4ヵ月。だけどおこづかいはこれまでに1兆円以上、1日あたり5500万円! はやくご隠居したいですだよ」

30 もんじゅ君 ツイッター
(もんじゅ君のツイッター)

 語尾に、「ですだよ」を多用するゆるキャラに、思わず笑いがこぼれます。もんじゅを早く廃炉にしてほしいと訴えてきました。これまでの税金投入は1兆円以上。初臨界から22年たつのに、稼働したのはわずか4カ月。1日当たり5500万円もの無駄遣いをしてきたからです。

 水で冷やす原発と違って、もんじゅは水と触れると大爆発するナトリウムで冷やします。もんじゅは、ナトリウム漏れを起こしたり、燃料交換用装置の落下事故、1万点以上の機器の点検漏れなどトラブル続きです。

 技術的に無理だといってアメリカなどが高速増殖炉から撤退するなかで、頑強にもんじゅにしがみついてきたのが自民党政権です。しかし、もんじゅを廃炉しても、高速炉の研究は続けるといいます。

 これまで、プルトニウムはイギリスなどに委託して再処理を進めてきましたが、すでに48トン近くがたまっており、日本はひそかに核兵器の開発をすすめているのではないかと国際社会から疑われてきました。

 高速増殖炉はもちろん、既存の原発でプルトニウムを使う「プルサーマル」もふくめ「核燃料サイクル」からきっぱり撤退して、日本は原発ゼロの国にすすむべきでしよう。
原発ゼロへ | コメント(1) | トラックバック(0) | 2016/09/22 09:55

◎正社員化殺人事件 小説『ガラパゴス』

 相場英雄・著の小説『ガラパゴス』(小学館)を読んだ。上、下2巻、600ページを超える長編ミステリーだが、一気に読ませる。非正規雇用の請負、派遣労働者が殺人を犯す。殺伐な労働現場に切り込んだ意欲作だ。

 警視庁の田川刑事に追い詰められた犯人が叫ぶ。
 「派遣からやっと正社員になれたんだ。あんたらにわかるかよ、その日暮らしの不安と人として認められないキツさがよ」

 この言葉に込めた怨念が殺人にまで行きつく。スーパーハイブリッドカーを生産するトクダモーター。そこへ派遣労働者を送り込む人材派遣会社。人件費ではなく、まるで部品のように「外注加工費」扱いされる派遣労働者。

 田川刑事は、青酸カリで殺された仲野が、最後に振り絞って書いたノートの切り端を見つける。「新城 も」と「780816」を手掛かりに日本全国へ飛ぶ。

ガラパゴス


 シャープの白亜の工場を彷彿とさせる三重県の亀山市、工場を閉鎖したソニーを思い出させる岐阜県の美濃加茂市など、派遣労働者が住むぺかぺかのアパート群に分け入り、犯人の痕跡を探す。

 仲野の故郷、沖縄県石垣島も訪ね歩く。警視庁のノンキャリアで“地取りの鬼”と呼ばれた刑事の執念が、一歩、一歩、犯人に迫っていく。読者に息をつかせない。

 「正社員という身分をもぎ取る事と引き換えに、人が殺された」――作者がこう書いたのが、この本のテーマだ。そして犯人の背後にいた自動車メーカー社長や人材派遣会社社長の実像が、腐敗した警視庁の側面ともからみあいながら、次第に明らかになっていく…。

 小説の時代的背景は、非正規労働者が激増した(20)00年代だ。小泉政権の派遣労働の規制緩和で、偽装請負や日雇い派遣、リーマン・ショック時の派遣切りが政治・社会問題になった時代である。

20 ガラパゴス 本文


 作者は、ミステリー小説の手法で、切り込んでいく。題名になったガラパゴスは、今も“ガラ携”と呼ばれるように、その島、その国・地域でしか通用しない製品のことを指す。太平洋のガラパゴス諸島が語源だ。

 亀山モデルと一世を風靡した液晶テレビが、あっという間にガラ携化していく、それは電機ばかりか、ハイブリッドの自動車も同じだと語るアナリスト。イヨタ、ハイブリッド、TGA導入、ターボ、過給機…ある自動車メーカーを想起させるような用語も出てくる。

 ミステリー小説を超えるような大きなスケールで時代を描いた『ガラパゴス』。松本清張の手法も会得した作者に、次作も期待したい。
その他 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2016/09/21 10:50
 | HOME | Next »