◎豊田駅前 さよなら原発豊田市民行動

 豊田駅前のマック前広場で5月30日(金)、「さよなら原発豊田市民行動」が開かれた。トヨタ自動車のおひざ元でも月2回の割合で粘り強く、金曜日の夕方に開かれている。今回は、名古屋市の関電前ではなく、こちらに参加した。


豊田行動4 20140530


 この日は、夕方からすごしやすい気温になった。帰りを急ぐ多くのトヨタ社員が豊田駅から乗っていくが、少しでも私たちの声が届いてほしい。

豊田行動2 20140530


 「原発ゼロ 再稼働反対」のゼッケンや帽子に「NONUKES」と付けた参加者たち。福井地裁が、関西電力大飯原発の再稼働の差し止め判決を出しただけに、参加者の表情は明るい。

豊田行動3 20140530


 スピーチタイムでは、久しぶりに参加したという女性が、「粘り強く頑張りましょう」とあいさつ。トヨタの社員が多く住む五ケ丘団地から参加したという男性は、25日(日)に名古屋で開かれた反原発パレードに参加した時のことを報告した。

 この日の行動は、中部電力豊田営業所までのパレードはやめて、関電前での行動のようにコールとスピーチが行われた。

豊田行動1 20140530


 以前、このブログでも紹介したが福島第一原発のある福島県の南会津町でもさよなら原発集会が開かれている。先週の5月23日で96回目になったという。山深い会津田島駅前に6人が参加したという。

 これを伝えるネットを見ると、ある時の9人のパレードには2人の警官が付いている写真があった。草の根のからのさよなら原発運動に目頭が熱くなる。福島県民に連帯して、豊田市でも頑張ろう。
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原発ゼロへ | コメント(0) | トラックバック(0) | 2014/05/31 11:09

◎安倍首相が答えなかったこと

 アメリカといっしょになって海外で戦争ができる国にするために安倍首相は、集団的自衛権の行使を1内閣の解釈で変えようとしています。5月28日に衆院予算委員会で集中質問が行われました。

 日本には憲法9条があるために、歴代の自民党政府はアメリカのアフガニスタン戦争(2001年~)、イラク戦争(03年~)でも、自衛隊を派遣しても「武力行使をしてはならない」「戦闘地域に行ってはならない」と特別措置法で“2つの歯止め”を決めていました。

志位 集団的 質問
(衆院予算委員会で安倍首相に、集団的自衛権について質問する日本共産党の志位和夫委員長=5月28日、NHKの中継から)

 集団的自衛権の行使ができればどうなるのか? これに切り込んだのが日本共産党の志位和夫委員長・衆院議員です。志位委員長が“2つの歯止め”が失われるのではないか、と質問したのに安倍首相は、“2つの歯止め”を「残す」とは言いませんでした。

 志位委員長は、両戦争当時の米政府高官が、当時の日本が集団的自衛権を行使できていれば、「派兵要請したと思う」などと証言している事実をあげ、“2つの歯止め”を残すのかと重ねて質問しました。

 安倍首相はこれに答えず、「非戦闘地域、後方地域という概念も含めた検討が必要ではないか」とのべ、自衛隊の戦場での活動範囲を見直す考えを明らかにしました。

 志位委員長は、「自衛隊が『戦闘地域』に行くこともありうるということで、きわめて重大な答弁だ」と厳しく批判しました。首相の答弁は、歴代自民党政府が「非戦闘地域」に限定してきた米軍などへの支援活動を踏み越えて、自衛隊を「戦闘地域」に派兵することを検討しようというものです。

 さらに志位委員長は、安倍首相が著書で「軍事同盟というのは“血の同盟”です」と語っていることや自民党の石破茂幹事長が「自衛隊が他国民のために血を流すことになるかもしれない」とのべていることを指摘し、こうのべました。

 「これほど重大な『海外で戦争する国』への転換を、1内閣の閣議決定で、憲法解釈の変更で強行することなどは立憲主義の否定だ」と安倍首相を厳しく批判しました。

 これに対し、党が分裂した日本維新の会は「党として行使容認を決めた」とアピールし、安倍首相が「敬意を表したい」と持ち上げました。みんなの党も「(憲法解釈で)集団的自衛権を読んではいけない、とはいえない」と安倍首相に呼応しました。民主党は「懸念を覚える」などと腰の定まらない質問をしました。

戦争と平和 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2014/05/30 10:19

◎堤工場門前で訴え 安倍政権の“残業代ゼロ”許すな

 日本共産党のトヨタ自動車委員会と豊田市議団は5月28日、トヨタの堤工場門前で出勤する2直の労働者らに訴えました。同門前で毎月おこなっているもので、市議団からは、根本みはる市議が参加。大村よしのり市議は、所要のために参加できませんでした。

 この日は、5月というのに30度近い気温になりました。まだ湿度が低いので過ごしやすい日になりました。党委員会の代表が訴えました。

堤訴え1 20140528
(堤工場門前で訴える日本共産党の宣伝カー=右端の方)

 安倍政権は、“世界で一番企業が活動しやすい国にする”ために、その成長戦略で、“残業代ゼロ”となるようなことをかかげようとしていると厳しく批判しました。年収1000万円以上などと一部の労働者だけのようにいっているが、とんでもないとのべました。

 雑誌「東洋経済」がスクープしたように、本音ではヒラ社員まで適用しようとしていること、消費税や労働者派遣法のように、最初は小さく見せかけてどんどん広げていく危険性があると訴えました。

 トヨタの労働者は2013年に、年間248時間の残業をしており、74万円を超す残業代がなくなってしまうという試算も明らかにしました。

 トヨタ労組が加盟している連合や連合愛知が27日に、全国47都道府県で一斉に反対の集会を開いたのをはじめ、愛知県労働組合連合会も同じ日に、名古屋市内で集会を開いており、いまこそ労働組合の違いを越えて反対しましょうと呼びかけました。

堤訴え2 20140528


 一方、安倍政権の成長戦略のもとでトヨタは、株主配当や役員報酬を大幅に増やしていること、もっと社員や関連・下請け会社に配分すべきだと指摘しました。その安倍政権は平和の問題でも、集団的自衛権の行使について、憲法の解釈でこれを認めようとしていると批判しました。

 戦前、軍用トラックなどをつくったトヨタは、アメリカから本社工場に核模擬爆弾を落とされたこと。世界に工場をつくりグローバル企業になったトヨタは、平和でこそ乗用車を生産・販売できると強調しました。

 世界経済は、いまや国境がなくなりボーダレスになっていること、自国のこと軍事力のことだけを考えて対応するのではなく、憲法9条をもとにした外交努力で紛争などを解決することが王道だと訴え、安倍政権の集団的自衛権に反対していこうと訴えました。

 その上で、党委員会のブログ「トヨタで生きる」は、職場のこと、賃金や労働条件、QCサークル活動のことから政治、経済まで幅広くトヨタ社員の立場にたって毎日、情報を発信していることを紹介し、これにアクセスし、コメントを寄せてくださいと呼びかけました。

堤訴え3 20140528
(訴える根本みはる豊田市議)
トヨタ党委員会 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2014/05/29 15:28

◎束になってもトヨタに勝てない

 日本経済新聞(5月27日付)が、2014年3月期の大企業の「経常利益」の番付を掲載しています。

 1位 トヨタ自動車 2兆4410億円
 2位 NTT     1兆2941
 3位 ソフトバンク    9323
 4位 NTTドコモ    8330
 5位 国際石開帝石  7500

日経決算番付 経常利益
(日経新聞、5月27日付から)

 上位は、自動車や通信などが並び、電機からは日立が5681億円で9位になっています。しかし、なんといってもトヨタの2兆4410億円がダントツです。1兆円を超えているのは2位のNTTしかなく、しかも持株会社です。

 トヨタの利益が際立つのは、自動車メーカー8社の「営業利益」の合計のなんと50・9%も占めていることです。

 1位 トヨタ自動車 2兆2921億円
 2位 ホンダ       7502
 3位 日産自動車    4983
 4位 富士重工     3264
 5位 スズキ       1877
 6位 マツダ       1821
 7位 ダイハツ     1467
 8位 三菱自動車   1234
     合計    4兆5069

 電機メーカー8社の営業利益と比べても際立っています。束になってもトヨタ1社に勝てないという構図です。

 1位 日立製作所    5328億円
 2位 パナソニック    3051
 3位 東芝        2907
 4位 三菱電機      2351
 5位 富士通       1425
 6位 シャープ       1085
 7位 NEC       1061
 8位 ソニー        260
     合計      1兆7468

 トヨタ1社で、電機8社合計の1・3倍にもなります。いかにトヨタの利益がケタ違いかがわかります。

 日経新聞(5月27日付)は、上場企業の株式配当は前期より2割増の6兆9000億円と6年ぶりの過去最高と報じました。このなかで、トヨタのベースアップと定期昇給を合わせると、今期は約140億円の増額になるが、6月に支払う前期(2014年3月期)の配当は、前の期から2000億円強増やしたと指摘しています。

 賃上げ増より株式配当増の方が、ダントツのようです。

             ◇

 この記事は、5月28日にアップの予定でしたが、都合により前日にアップしました。
決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2014/05/27 18:49

◎ヒラ社員も残業代ゼロ?

 週刊「東洋経済」(5月24日号)が、「スクープ 経産省はヒラ社員まで 残業代ゼロを画策」を掲載しています。安倍首相が「成長戦略」に盛り込もうとしている残業代ゼロの対象者は、企業の“幹部候補”だけではなく、ヒラ社員まで想定していたというのです。

 安倍政権がねらう残業代ゼロは、このブログ「トヨタで生きる」でアップ(4月23日)しました。
 http://toyotaroudousya.blog135.fc2.com/blog-entry-1386.html

 ブログでは、「労使合意や本人同意が必要とか、1000万円以上の年収があるものなどと、対象者は限定されたものであるかのようにいっています」と指摘。「これがくせもので、小さく産んで大きく育てる」などという危険性があると警鐘しました。

 「東洋経済」の記事は、ブログで指摘したように、経産省はヒラ社員まで対象にしようとしていたというのです。同省の案は、スマホばりの名称を使った「スマートワーク」(仮称)というからビックリです。

東洋経済 ヒラ社員まで残業代ゼロ
(「東洋経済」5月24日号から)

 「スマートワーク(仮称)では、対象者の範囲に業務・地位の設定を設けず、本人の希望に委ねることで、幅広い労働者の利用を可能にしつつも、既存の裁量労働制と矛盾なく両立できる仕組みとするものとしてはどうか」などとしています。

 あけすけにヒラ社員まで残業代ゼロにしようとねらっていました。この記事は、次のアドレスで読むことができます。
http://toyokeizai.net/articles/-/38399

 ブログ「トヨタで生きる」で、こうも指摘しました。
 「トヨタ自動車の2013年の年間総労働時間は、1人当たり1952時間。このうち残業は248時間。仮に1時間当たりの残業単価を3000円とすると年間で74万4000円。マイホームのローンやマイカー、子どもの教育費などに残業代をあてにしている人は多いでしょう。74万円余が消えてなくなっていいのでしょうか?」

 あす5月28日、安倍首相を議長とする産業競争力会議で、この問題が議論されます。どうような議論になるのか注目し、過労死するほど働かせながら残業代をゼロにするような動きには反対していこうではありませんか。
職場は今 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2014/05/27 09:18

◎困ったもんです 「増税もまた楽しからずやだ」って!

 困ったもんです。なぜ、こんな広告が出たのですか? いろんな人から問われて、トヨタの社員として返事ができないですよ。あまりにも不用意な広告です。

 日本経済新聞に載りました。4月23日付です。「これは、やばい」と思いました。知らんぷりを決め込みました。しかし、ネットの世界ですよ。あっという間に広がりました。

 この広告は、「発想の原点」というシリーズもので、その5回目。「『やり方』を発明しよう。」というタイトル。

 「この4月から消費税が8%に上がった。家計のやりくりは大変だが、これを機会に生活を見直せば、ムダはいくつも見つかるはず。不要なものを買っていないか。…節約は実は生活を豊かにするのだと気づけば、増税もまた楽しからずやだ」

20 増税楽しい
(日本経済新聞のトヨタの広告=4月23日付)

 それをいっちゃおしまいだ。トヨタで、増税前の駆け込み需要がどれほどあったことか。お客様を忘れたかのような広告を堂々と出すなんて。

 広告の後半では、車検のやり方をスピードアップさせたことを紹介している。ムダをなくするトヨタ生産方式を応用し、180分程度かかった車検を、3人1組のチームで、約45分で完了させたという。

 工具をその都度取りに行かずに済むよう、必要なものだけを手元にまとめておく…工場でやっているQCサークル活動、創意くふう活動だ。このように仕事の「やり方」を変えれば、「人々に笑顔をもたらす」としている。

 でも、「増税もまた楽しからずやだ」は、完全に上から目線です。「トヨタは、2兆円ももうけているからそういうんだろう」「社長は“(5年間)税金を払っていなかった”といったね」。困った、困った。
その他 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2014/05/26 12:06

◎大飯原発再稼働差し止め フライデー・リポート

 素晴らしい判決だ! 毎週、毎週、関西電力東海支社(名古屋市東区)前で2年間訴えてきたことが届いた。福井地裁が5月21日、住民の訴えを認めて、関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働差し止めを認めたのだ。

関電1 20140523


 5月23日の金曜日行動。相変わらず風は強い。しかし、みんな明るい表情で集まった。判決にわきかえった。「経済より命 大飯差し止め! 市民感覚判決」「関電は 福井地裁の判決を 真摯に受け止めよ」などのプラカードを手にしていた。

関電2 20140523


 久しぶりに子どもたちを連れて参加したお母さん。マイクを握って訴えた。人間が大事、子どもたちの命が一番ということだ。「関電は控訴するな!」「命を守れ、地球を守れ」――いつもより元気にコールした。

関電3 20140523


 判決要旨の全文がネットで見ることができる。すごい、なんという格調高い判決か!

               ◇

≪主文≫
被告(関電)は、各原告(大飯原発から250キロメートル圏内に居住する166名)に対する関係で、福井県大飯郡おおい町大島1字吉見1-1において、大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。

≪判決≫から
 ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被害の大きさ、程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。

 このことは、当然の社会的要請であるとともに、生存を基礎とする人格権が公法、私法を間わず、すべての法分野において、最高の価値を持つとされている以上、本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である。

 個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。

関電4 20140523


 したがって、この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。

 人格権は各個人に由来するものであるが、その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を有するとき、その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。

 他方、被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。

 このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。
原発ゼロへ | コメント(0) | トラックバック(0) | 2014/05/25 13:35

◎豊田社長「5年間税金を払っていなかった」――専門家に分析してもらいました⑤

●トヨタは、単体が4年連続営業赤字ですが、連結で赤字なのは08年度だけの1年です。あとはいずれも黒字ですが、どうしてですか?

 連結決算も単体決算も、同じ為替レートで換算していますから、為替の換算自体で違いが出るわけではありません。

 ただ、この間の特徴は、前述したように輸出が減り、海外生産が増えていることから、海外子会社を通じた利益が増えていることです。

 円高の時期には、海外の利益を国内に還流すると、為替差損が発生しますから、必要がなければ還流せず、海外に置いたままにしておくことが多いと思います。

 単体決算では、海外子会社の利益は、国内に配当された分だけしか反映されませんが、連結決算では配当されていない分も反映されます。

 連結決算の場合は、「海外子会社からの(配当された)利益」が含まれるだけでなく、「海外子会社に残されたままの利益」も含まれるのです。これが、単体決算と連結決算の利益の違いになっているのだと思います。

トヨタ本社・労働者
(出勤するトヨタの労働者。後方はトヨタ本社=2014年2月11日)

●企業は赤字(欠損金)を、翌期以降の黒字と相殺できるという繰越制度がありますが、どういう制度ですか?

 欠損金の繰越制度は、法人住民税だけではなく、法人税にも、そしてもちろん、法人事業税にも適用されます。

 そもそも、この3つの税の計算のもとになる「法人所得」を計算する際に、繰越控除が適用されるからです。

 ただ、この間のトヨタの法人住民税の減少を、すべて「繰越控除」だけで説明しようとするのは無理があります。

 前述した受取配当益金不算入は、住民税にも影響します。09〜11年度に、トヨタの利益に比べて住民税が減ったのは、そのためです。

 2012年度に利益が増えたにもかかわらず、法人住民税が増えないということに限れば、明らかに「繰越控除」の影響が大きいと思います。

 なお、「欠損金の繰越控除」について言及する場合には、配慮が必要です。繰越控除制度自体を「悪い制度」と決めつけてしまうのは、やや問題があります。現実には、繰越控除を利用しているのは、多くは中小企業です。

 しかも、いま、法人税率引下げの財源の1つとして、「繰越控除の縮小」をねらう議論があります。中小企業に増税して、大企業に減税しようというのです。

 大企業・中小企業の区別もなく「繰越控除が悪い」というような議論をすると、こうした動きを手助けすることになりかねません。

 トヨタの場合、単に過去の欠損の繰越というだけでなく、生産の海外移転や海外子会社配当益金不算入などの税制改悪の影響が大きいということを、しっかり押さえておく必要があると思います。

 以上のように、税金の仕組みはきわめて複雑です。損益計算書だけではわからないでしょう。その仕組みを理解するにはなかなか大変です。トヨタのように日本1の利益をあげながら税金を支払っていなかったのは、大企業優遇税制などがあるからです。

 豊田社長は、「企業は税金を払って社会貢献するのが存続の一番の使命だ」とのべました。当然ですが、企業に社会的責任を果たさせるには、大企業優遇税制にメスを入れることや海外移転を問題にすることが必要でしょう。

        (終わり)


(この税金の5回シリーズは、5月20日~24日までの分として一挙にアップしました)
決算・経営計画 | コメント(6) | トラックバック(0) | 2014/05/20 10:12

◎豊田社長「5年間税金を払っていなかった」――専門家に分析してもらいました④

●09年度、10年度、11年度は、「法人税等」がマイナスになっていますが、どういうことですか?

 前述のように、「法人税等合計」は将来の税の増減見込み額である「法人税等調整額」を含むものです。09〜11年度は、「法人税等調整額」がマイナスとなっていることが、「法人税等合計」がマイナスになった要因です。

 「法人税等調整額」がマイナスになるというのは、近い将来に税が軽減される見込みだということです。

 たとえば、近い将来に1000億円の損失が発生する可能性が高いとします。理由は、貸付け先が倒産する可能性が高いとか、減価償却の終わっていない機械を前倒しで廃棄する計画があるとか、何でもいいです。

 そこで、この損失に備えて、今年度に1000億円を「引当金」として費用計上したとします。

 この結果、企業会計上は、今年度の利益が1000億円減りますが、実際の損失が発生したわけではないので、税務署は「費用」として認めてくれません。
 このため、1000億円×40%=400億円の税金(住民税、事業税を含む)を余分に払うことになります。

 近い将来、この1000億円の損失は実際に発生した場合、会社としてはすでに引き当てておいた1000億円で補てんするだけですから、企業会計上は新たな損失にはなりませんが、税法上は損失が発生したとみなされ、この年の税金が400億円安くなります。

 このような場合、「近い将来に400億円、税金が安くなる見込み」ということで、「▲400億円」の「法人税等調整額」を計上するのです。
 これは、今年度に実際に税金が戻ってくるという意味ではありません。将来の見込みを示したものにすぎません。

 一方、実際に納めた税額を示す「法人税、住民税及び事業税」の欄でも、09年度が▲36億円とマイナスになっています。

 これについては、何らかの理由で過去に納めすぎた税金が戻ってきたということも考えられないわけではありませんが、おそらく違うと思います。トヨタの場合は、連結納税を採用しているために、マイナスの税金が生じる可能性があるのです。

トヨタ決算14 wbs2
(トヨタの決算発表=東京テレビの「WBS」から)

●連結納税制度とは、どういう制度ですか?

 連結納税は、トヨタ本社と、トヨタが100%出資している子会社(トヨタ自動車九州、トヨタ車体など)の所得を合算して法人税額を計算する制度です。

 かりに、ある年度にトヨタが100億円の赤字、子会社が150億円の黒字だったとします。所得を合算すると、赤字と黒字が相殺されて、全体では50億円の黒字となります。

 50億円に法人税率30%をかけると、15億円となり、これがグループ全体の納税額となります。これを各企業で按分するわけですが、この按分の計算は、次のようになります。

 トヨタ本社  ▲100億円×30%=▲30億円
 子会社     150億円×30%= 45億円

 これは、どういうことかというと、トヨタが税金分として子会社から45億円を集め、税務署には15億円しか納税せず、残りの30億円は自社の収入にしてしまうということです。

 この結果、トヨタの決算書には税額が「▲30億円」と記載されることになります。これが、連結納税によってマイナスの税金が生じる仕組みです。
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2014/05/20 10:05

◎豊田社長「5年間税金を払っていなかった」――専門家に分析してもらいました③

 いくつかの質問にお答えしておきます。

●12年度は、法人税1584億円を払っていたのではないですか?

 冒頭にも書きましたが、この1584億円というのは「法人税等合計」の欄の数字で、これは実際に払った税額690億円に「法人税等調整額」894億円を加えたものです。

 法人税等調整額とは、種々の理由で、将来払うべき税金が増減すると考えられる場合、それを先取りして損益に計上するものです。

 この場合は、「今はまだ払っていないが、近い将来に894億円の税金を払うことになる可能性が高い」ので、それを計上しておくという、企業会計の帳簿上の税額であって、実際に納めた額ではありません。

 では、実際に納めた690億円は何か。おそらく、法人住民税や法人事業税だろうと思います。

 たとえば、試験研究費税額控除が適用されると、法人税は減りますが、住民税や事業税は減りません。外国税額控除も同様の場合が多いと思います。

 このため、法人税がゼロになっても住民税や事業税は残るという場合があり得ます。さらに、この690億円の中には、法人税ではなく「所得税」の名目で納税された税金が含まれている可能性がありますが、説明は省略します。

トヨタ14決算 wbs1
(トヨタの決算発表=東京テレビの「WBS」から)

●トヨタの単体決算では、08年度、09年度、10年度、11年度の4期連続営業赤字ですが、赤字でも税金を支払う場合があるのですか?

 企業の税金は、営業利益だけでなく、利子、配当、有価証券売却益、その他の「営業外収益」を含めた企業の所得全体から計算されます。

 本業が赤字でも、営業外収益が多くて全体としての所得が黒字なら、税金を払う場合があります。もっとも、前述のように受取配当は益金に算入されないことも多いので、営業外収益が多くても、必ずしも税金を払うとは限りません。

決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2014/05/20 09:59
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