◎「転嫁Gメン」はいるか?

 消費税があす4月1日から増税されます。それを前にした31日、毎日新聞や朝日新聞などが「転嫁Gメン」について書いています。消費税が正しく転嫁されているかどうかを調査する経済産業省の「転嫁対策調査官」のことです。

 全国に約600人が配置され、目を光らせるとしています。なぜ、こんなGメンが? 消費税は、たとえば部品をつくる下請けが、元請けに100万円の品物を納める際、消費税込みの105万円で販売します。当然、今回の増税分も上乗せし、108万円にします。

 ところが、元請けがその力を背景に「コストダウンのお願い」と称して、3万円分を“買いたたく”ことが予想されます。事実、京都商工会議所が行ったアンケート調査(446社)では、「転嫁は困難」が13・2%、「一部しか転嫁できない」が15・2%を占めました。

 愛知県労働組合総連合などでつくるトヨタ総行動実行委員会が2月に行った自動車部品などの下請けアンケート(140社)でも、転嫁できると答えた企業は48社、34・3%しかありませんでした。また、単価の引き下げがあったという企業は82社、58・6%にのぼりました。

トヨタ総行動で下請け単価の
(トヨタ総行動で、「ストップ消費税増税」「トヨタは下請け単価引き上げよ!」と訴える人びと=2月11日、トヨタ本社前)

 こうした時に活躍するのが転嫁Gメンのはずです。ところが、下請けからは「通報は無理。すれば仕事を失う」(毎日新聞)という声がでているといいます。元受けの無理難題に泣き寝入りするしかないというのです。

 中小企業庁と公正取引委員会が2月までにおこなった転嫁拒否の調査件数は1777件で、うち指導したのは853件にのぼりました。このうち買いたたきは610件を数えました。

 私たちが働くトヨタ自動車は、「企業理念」で、「開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する」とうたっています。

 また、「行動指針」では、「トヨタと調達先がイコール・パートナーとして相互研鑚と密接なコミュニケーションに努め、相互繁栄を図ることができる取引関係の確立を目指します」としています。

転嫁Gメンに通報されたり、泣き寝入りさせるようなことは、努々(ゆめゆめ)ないと信じていますが…。

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その他 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2014/03/31 15:04

◎49億円の増収ができる 豊田市

 お金がないのでできない――政府や地方自治体は、福祉や暮らしの充実を求める国民、市民につれない態度です。しかし、できるんです。豊田市の3月議会で、法人市民税を上限いっぱいに上げると、市は49億円増収になることがわかりました。

 日本共産党の大村よしのり市議の質問に、市側が答えたもの。法人市民税は、市の判断で税率を上げることが可能です。標準税率は12.3%。これを上限の14・7%にまで上げると、豊田市では49億円の増収になるというものです。

 全国の42の中核都市のうち、標準税率以上に税率を上げているのは36市、率にして85%にのぼることも市の答弁で明らかになりました。

 豊田市は、トヨタ自動車の企業城下町。この3月期決算では、過去最高の2兆4000億円の営業利益(連結)をあげる見通しです。そのトヨタの税率負担(「しんぶん赤旗」が05~12年度の「法人3税」のデータをもとに試算)は、表のように26・1%という低いものです。

50 税率負担少ない企業 20130710
(「しんぶん赤旗」、2013年7月10日付から)

 トヨタだけでなく、大企業の実際の負担は低いものです。それなのに、安倍政権は高い、高いといって引き下げようとしています。

 豊田市で49億円の増収になったら、何ができるのでしょうか? 市の2014年度の予算(実質)は、前年度より81億円増の1749億円。予算のうち、生活面を見てみると、たとえば保育課は0~2歳児の受け入れ拡大で6億1517万円を計上しています。

 全国で、保育の充実は女性が働き続けるためにも喫緊の問題になっています。保育や福祉、暮らしのいっそうの充実のために法人市民税を上限いっぱいまで上げることが必要ではないでしょうか。

 (注)「法人3税」とは、国税の法人税と地方税の法人事業税、法人住民税の3つのことです。
トヨタの街から | コメント(2) | トラックバック(0) | 2014/03/30 10:51

◎毎週金曜日行動2年 フライデー・リポート

 原発ゼロをめざす毎週金曜日の行動が3月28日、関西電力東海支社(名古屋市東区)前で開かれた。東京の首相官邸前行動は、この日でちょうど2年。これまでにないような、毎週、毎週のねばり強い運動が、日本にある48基の原発が現在、稼働できない状況をつくりだしている。

関電前2 20140328 (1)


 春4月はもう目の前。関電ビル前の桜も開花している。来週は、満開だろう。行動が始まる時間の午後6時は、日差しも日に日に明るくなっている。中部電力前で行動している人々も午後7時過ぎに合流した。

関電前3 20140328


 安倍政権と原子力規制委員会は、九州電力川内原発を皮切りに再稼働をさせようとねらっている。原発なくせは国民過半数の世論だ。これに正面から挑戦しようというのは許せない。

 「再稼働反対!」「廃炉!」「廃炉!」――ギターを鳴らし、コールし、声をあげた。

関電前2 20140328 (2)


 首相官邸前では、日本共産党の笠井亮衆院議員、吉良よし子参院議員が、「今日をスタートに、この2年の力を広げて頑張ろう」「この声が聞こえないと言わせない」と首相官邸前や国会議事堂に向けてスピーチ、コールした。

 ネットを見て驚いた。大分県の九州電力大分支社前では、3年前の7月から、原発なくせ、と「九電毎日要請」の運動をしている女性がいるのだ。980日目になるという。

官邸前 20140328
(首相官邸前で、笠井亮衆院議員=右=と吉良よし子参院議員、ネットから)

 関電前、官邸前、九電前…安倍首相よ、この声が届かないとは言わせない。すべての原発は、廃炉しかない! 3月30日(日)には、月1回の「脱原発デモ」が名古屋市の中心部の栄で行われる(午後1時30分に伏見の白川公園に集合)。10回目だ。

原発ゼロへ | コメント(0) | トラックバック(0) | 2014/03/29 10:55

◎深夜3時30分の会話

 トヨタ自動車の工場で、2直(午後4時10分から深夜の午前1時まで)の時に作業のトラブルがあった。残業になった。仕事が終わり、家へ帰る途中の午前3時30分過ぎ、コンビニに寄った。

 「おぉ、Aさん。お久しぶり! 残業?」と声をかけられる。知り合いの若者のBだ。Bは、高岡工場で働いている。SUV(多目的スポーツ車)のハリアーの生産をしている。

 A「Bこそ、こんな遅い時間まで残業?」
 B「そうなんですよ。2時間残業の毎日ですよ」
 A「そう。それでこんな遅い時間にコンビニに寄ったの?」

 B「まいっちゃいますよ。残業だけでなく、6、7月まで(土曜日の)臨時出勤もあるというんですから」
 A「しばらく見ないうちに、頬がこけて痩せた感じだね」
 B「わかりますか。仕事、このところきついすからね」

 A「丸い顔だったが、別人のようだよ。声をかけてくれなければ、Bとはおもわなかったよ」
 B「そうですかね。気をつけます」

コンビニ 豊田
(深夜のコンビニ=豊田市内)

 ハリアーは、昨年12月に3代目にモデルチェンジし、高岡工場で生産されることになった。今年1月からはハイブリッド車も販売された。

 2003年に発表された2代目ハリアーは、昨年7月に販売が終了した。ハリアーのレクサス版のレクサス・RXだけになったが、SUVの人気で10年ぶりに3代目の販売になった。若者に支持され、「6カ月待ち」といわれ、売れ行きは好調という。


職場は今 | コメント(7) | トラックバック(0) | 2014/03/28 17:54

◎政党助成金制度20年 何をもたらしたのか?

 このブログ「トヨタで生きる」で、3月25日に「消費税増税 上下水道料金が1548円アップに」を掲載したところ、日本共産党に対し「政党助成金を受け取ってカンパの搾取はやめて党の職員の手当てなどの改善をすべきです」などというコメントをいただきました。

 政党助成金制度は、政治家がわいろを受け取る“政治とカネ”の問題が常に起きるために、企業・団体献金の代わりとして1995年に始まりました。今年で20年目になります。国民1人当たり250円の税金を、政党の議席数に応じて配分するもので、年額320億円の巨額なものです。

 2013年までの19年間に、約5996億円が各党に支給されました。自民党2716億円、民主党1790億円、公明党445億円、社民党342億円などという驚くべき金額です。

 日本共産党は、税金からの支給は国民の思想・信条の自由を侵すものとして、一切受け取っていません。共産党の受け取らない分を、各党は山分けまでしています。

各党の政党助成金の受取額
(「しんぶん赤旗」2013年12月31日付から)

 その使途は、「石原伸晃衆院議員はデジタルカメラ購入」(自民党)、「東京・赤坂の料亭、永田町の中華料理店で、『会議飲食代』の名目で支出。ポロシャツ代63万円」(民主党)、「七十万円を超す椅子(いす)・テーブルセットを購入(公明党)、「料理代に約17万円」(社民党)などという驚くべきものがふくまれています。

 安倍首相が支部長を務める自民党山口県第4選挙区支部(下関市)支部が、09~10年に、クラブやキャバクラ、ラウンジ、スナックなど29店に飲食代として計49回、合計108万円あまりを政治資金から支出していました。新聞に暴露され、秘書らがあわてて政党支部に返金しました。

 この3月26日、みんなの党の渡辺喜美代表が大手化粧品のDHCの会長から合計8億円を借りていた問題が浮上しました。選挙資金だった場合、収支報告書に記載がない場合、公職選挙法に違反するといわれています。

 みんなの党も、政党助成金を受け取りながら、一方ではこうした疑惑を受けるようなことをしています。

 東日本大震災が起きた2011年、日本共産党は「政党助成金を返上して『復興財源に』と呼びかけました。住宅の全壊・全焼・流失などに対する義援金の第1次配分は1世帯35万円でしたが、政党助成金の1年間の総額は、9万世帯分に相当します。どの政党も知らんぷりをきめこみました。

 新聞各紙には読者の声として、「半額ぐらいは供出したらどうだろう。もとは国民の税金だ」(東京新聞)、「それでも政党助成金をもらうつもりなのか」(朝日新聞)、「各政党も交付金を返上し、率先垂範して被災者とともに立ち上がる姿勢を見せてもらいたい」(毎日新聞)が掲載され、日刊スポーツ新聞は、「いっそのこと来年度の政党交付金を全額寄付したらどうだろうか」と主張しました。

 日本共産党は、東京都渋谷区の本部ビルが、阪神大震災級の地震があった場合、「倒壊の危険性がある」との診断を受け、約85億円をかけて建て直しました。その資金の40億円は、党員や支持者らのカンパでした。

 群馬県のハンセン病の施設にある党支部は、「党は家族であり、ふるさとです」といって200数十万円のカンパを寄せました。日本共産党が、仮に政党助成金を受け取っていたならば、社民党より多い300数十億円になります。カンパを集める努力も必要ではなかったでしょう。

 日本共産党は、政党の活動費は、国民、労働者のみなさんの100円、1000円という小口カンパや「しんぶん赤旗」の事業費などに依拠しています。草の根の活動こそが党活動の基本と考えているからです。もちろん、トヨタ自動車の労働者からもカンパを寄せていただいています。

日本共産党 | コメント(8) | トラックバック(0) | 2014/03/27 11:22

◎技術者集団が疲弊? トヨタ、ホンダのリコール

 トヨタ自動車の看板車種、プリウスの制御ソフトに欠陥があったために先月の2月12日、トヨタはリコールしました。その2日前に、ホンダンの看板車種、新型フィットが、制御ソフトの欠陥で3回目のリコールをしました。

 いずれもハイブリッド車の制御ソフトの欠陥では共通しています。なぜ、制御ソフトの欠陥が相次ぐのか? 日本経済新聞(24日の電子版)が、新型車発表から半年で3回のリコールをしたフィットの原因を追っています。

 フィットのリコールは、1回目が新車販売(13年9月6日)の1カ月後の同年10月24日。2回目が同年12月20日。3回目が14年2月10日。合わせて11万台余り。EUC(エンジン制御ユニット)などのプログラムに欠陥があり、エンストを起こし坂道で止まったままになる、などの事故が起きています。

フィットHV リコール
(フィットの制御プログラムの改善説明)

 このため、修正プログラムをインストールして欠陥を直します。これは、プリウスのリコールでも同じで、ディーラーで20分ほどの作業です。

 日経新聞は、ホンダの新車の世界同時立ち上げで、技術者集団が疲弊しているのではないか、と指摘しています。フィットの開発にかかわったある技術者は、「旧モデルの6倍の開発要員が欲しかったが、結果として2・5倍の規模でこなした」と語っていることを紹介しています。

フィット HV
(フィット=ホンダのホームページから)

 また、伊東孝紳社長が打ち上げた2016年度に世界販売台数600万台という量とF1への再参戦、燃料電池車の開発など質の問題の二兎を追う「成長痛」ではないかと指摘しています。

 トヨタも世界販売1000万台とハイブリッド車、燃料電池車、自動走行自動車などの開発という二兎を追っています。そのなかで、制御プログラムの欠陥という共通したリコール原因が起きています。

 技術者集団が疲弊していないか? 十分な人員、時間が保障されているのか? 余裕があるのか? 安全なクルマづくりのためには、人と技術をなによりも大切にしてほしいと思います。
品質・リコール問題 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2014/03/26 08:42

◎消費税増税 上下水道料金が1548円アップに

 消費税が、いよいよ4月1日から、5%から8%へ増税される。自動車を駆け込みで買おうとしても、いまからでは国土交通省への登録に間に合わないだろう。スーパーなどは、日用品を駆け込みで買う客でにぎわっている。

 身近なところでは、毎日使う上下水道がある。3月の豊田市市議会で、公共料金について3パーセントの増税分を値上げする条例が提出された。日本共産党の大村よしのり市議の質問で、平均的な家庭では、水道料金が年900円、下水道料金が年648円、合計で年1548円の値上げとなることが明らかなった。

水道料金
(水道料金も増税される)

 ちなみに昨年のわが家の水道料金を調べてみた。2カ月ごとに支払う。

 2月  7299円
 4月  6116
 6月  6285
 8月  6285
 10月 5015
 12月 3825

 1年間の水道料金は3万4825円になる。5%の消費税分を除くと、3万3083円になる。これに3%の増税分を計算すると992円になる。1000前後の負担増になる。下水道の負担増は別である。家計全体では、他にも3%の増税分が襲いかかる。日経新聞の試算では、平均的な家庭で月7833円の負担増になるという。

 14春闘でのトヨタ自動車の賃上げは、2700円だった。新退職金制度へ2750円が移行されるから、実質的にはマイナスになる。水道料金の負担増はでてこない。

 毎日入る風呂がぜいたくなことになるのだろうか? あるいは、トイレの水は毎回流さない…なんかみみっちい考えしか浮かばない。いやな話だ。

トヨタの街から | コメント(8) | トラックバック(0) | 2014/03/25 14:29

◎ドラマ「LEADERS」を見て 平和でこそ乗用車は生産できる

 TBS系が3月22、23日の両日、5時間枠のテレビドラマ「LEADERS」(リーダーズ)を放送しました。トヨタ自動車の創業者、豊田喜一郎をモデルに、豪華な俳優陣を配置する大型ドラマとあって、多くの人々が視聴したでしょう。

 ドラマでは、主人公のアイチ自動車工業の愛知佐一郎が、「国産乗用車をつくり、ハイウエイを走らせたい」「人も技術も育てたい」という夢を現実にしていくための苦闘とロマンを描いています。エンジンの開発で、爆発を起こすなど失敗の連続。屈せず挑戦する技術者たち…。

 陣頭指揮をとる佐一郎は、社長から金食い虫の「道楽だ」と罵倒され、日本銀行総裁からは、「夢のまた夢だ」と嘲笑されます。それでも、一途に夢を追い、国産乗用車を完成させる姿は、感動的であり見る人の心をゆさぶります。

 ドラマのヤマ場は、戦後の日銀の金融引き締めによる失業、倒産の嵐のなかで、アイチ自動車が銀行から2億円の融資を引き出すことができるかどうか、日銀の示した人員整理を飲むかどうかの葛藤シーンです。

 1600人の人員整理を示すアイチ自動車の幹部。佐一郎は、「社員は家族だ。人員整理はありえない」「必要のない人間とそうでない人間を、どう区分できるのか」と激しく抵抗します。

「リーダーズ」
(TBS系のテレビドラマ「LEADERS」(3月23日放送)のシーン)

 会社幹部「会社がつぶれたなら、全員放り出される」
 労組幹部「仲間が首切られるのを、何もしないで見ているわけにはいかない」

 労組は会社と、人員整理をしない代わりに賃下げを飲む、という約束をします。しかし、人員整理できなければ銀行の協調融資はできないと日銀総裁らに迫られ、佐一郎は人員整理に踏み切ります。そして引責辞任します。

 労働者のなかから1760人が希望退職募集に応じます。労使が会社再建案に合意した15日後、朝鮮戦争が勃発し、アイチ自動車はトラックのばく大な注文を受け、一気に息を吹き返します。

 ドラマは、トヨタ自動車の「75年史」などをもとに描かれていますが、描かれなかったこともあります。たとえば、アメリカ占領軍(GHQ)が、全組合員を集め、争議の中止と首切りを飲むようにと演説し、圧力を加えたことです。

 ドラマの中で佐一郎と妻が語りあう場面があります。

 妻「みんな戦争を引きずっているんです」
 佐一郎「すべての日本人が、あの戦争を引きずって、もがいている」

 戦前、佐一郎は5年かけて乗用車を完成させた時、軍から軍用トラックの生産を命じられます。終戦1日前の8月14日には、挙母工場(現在の本社工場)がアメリカ軍から爆撃され、壊滅的な被害(核模擬爆弾が落とされた)を受けます。

 佐一郎の国産乗用車づくりの夢は、戦争に何度もほんろうされたのです。乗用車は、平和でこそ生産できるということを、ドラマは示しています。同時に、「社員は家族だ」という佐一郎の信念を、トヨタの経営でいつまでもつらぬいて欲しいものだと感じました。
その他 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2014/03/24 13:35

◎トヨタ下請けの怒り――14春闘を考える⑦

 トヨタ自動車が14春闘で、組合の賃上げ要求に回答した3月12日。日本経済新聞系の東京テレビは、トヨタ下請けをまわり、賃上げの取材をしていました。「小規模工場にも賃上げの動きは少しずつ出始めていました」と報告。そのなかで、匿名を条件にトヨタ孫請け会社の経営者は、こう語りました。

 「賃金が上げられるほど工賃が上がらない。外国に持っていけば安くできるが、この仕事を国内でやりたいなら、うちが見積もった3分の1くらいの価格で(やれと)。こういうことを言うとトヨタを怒らせるかもしれないが、自分のところでひとりもうけして、われわれには返ってこない」

トヨタ下請け 東京テレビ
(トヨタの孫会社の経営者に取材する東京テレビのキャスター=3月12日放送から)

 親会社のトヨタには、正面切っては言えない下請け経営者の怒りでした。これは1例で、「トヨタ総行動実行委員会」(愛知県労働組合総連合などがつくる実行委員会。1981年に始まり今年で35回目)の西三河地域中小企業アンケートでも、同様の怒りが噴出していました。

 「リーマンショック以来、たび重なる下請け単価値下げによって、社員の賃上げはとてもできない」

 「大企業には、毎年の定期価格改定(4、10月)は、直ちにやめてもらいたい。利益は中小企業にはださせないしくみとなっているのでは?」

 「大企業との給料の格差が広がるばかり。部品の単価、時間当たりレートのupをしてほしい」

 「消費税の問題よりも仕事の減少、単価の引き下げ要請が問題だ。一次、二次企業からの要求は年2回、3%以上の要求がある」

 「末端企業は単価を下げることに協力し、親企業は利益をあげた。自分たちだけ給与をあげて喜ばず、少しは潤いをわけて下さい」

 トヨタの下請けへの単価切り下げは、年2回あるというのは常識になっており、トヨタ1人だけがもうけていると怒っています。「休みもなく頑張っている。何度もやめたい、本当に毎日思っているのです」という悲痛な声が上がっています。

トヨタ総行動 20140211
(トヨタ総行動で、トヨタ本社前で訴える愛知県労働組合総連合の榑松佐一議長=2月11日)

 アンケートは、自動車部品製造や金属加工業を中心とした中小企業1046社に手渡したり、郵送したりして152社から回答を得ました。

 この1年間で単価切り下げの要請は、「あった」と答えたのが90件と過半数を数えました。

 「今後の見通し」では、「悪くなる」と答えたのは73事業所で、「良くなる」と答えたのは8事業所にすぎませんでした。

 安倍内閣は、アベノミクスで「大企業が利益をあげれば下請け、労働者にもまわってくる」という“トリクルダウン”を主張しています。実行委員会は、アンケートの結果からは、「まったく機能していない」と厳しく批判しています。

 その上で、大企業の利益・内部留保の中小企業への還元と政府など行政の中小企業支援策の拡充は欠かせないと主張。経済産業省や愛知県への要請とともに、5月下旬にはトヨタと関連企業への要請をおこなうとしています。
2014春闘 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2014/03/23 15:20

◎内部留保、最賃、雇用ルール――14春闘を考える⑥

 トヨタ自動車の14春闘で、特筆すべきは非正規雇用労働者である期間従業員の日給が200円アップしたことでした。月額4000円ほどになり、期間従業員からは喜びの声があがっています。

 パートやアルバイト、派遣労働、契約労働(期間労働)など日本の非正規労働者の割合は、いまや4割に迫ろうとしています。一時的、臨時的業務であり、正社員の代替にしない、という2大原則で労働者派遣法を自民党が成立させたのは1985年。当時、非正規労働者の割合は、16・4%でした。

 それから10年後の95年に日本経営者団体連盟(日経連、02年に経団連と合併)が「新時代の『日本的経営』」を発表。労働者を、(1)管理職、総合職、技能部門の基幹職など「長期蓄積能力活用型グループ」、(2)企画、営業、研究開発など「高度専門能力活用型グループ」、(3)一般職、技能、販売など「雇用柔軟型グループ」の3つのグループに分けるというものでした。

 要するに、人件費のコスト削減のために、幹部社員になる一部エリート、日常業務をこなす一般社員、補助的作業の非正規雇用労働者の3つに分類して雇用するというものでした。

 自民党は、経団連の方針を受け、労働の規制緩和を次々とすすめました。製造業への派遣の解禁など労働者派遣法の原則自由化は、その1つでした。非正規労働者は激増しました。青年の2人に1人が非正規という深刻な事態になりました。

 トヨタ自動車でも、非正規労働者は13年3月期決算で、連結で8万3190人(20・0%)、単独で9320人(12・5%)を占めています。

非正規推移
(厚労省のホームページから)

 半世紀以上の歴史を持つ日本の春闘で、非正規労働者の賃上げや正社員化が大きな課題になってきました。トヨタの14春闘では、非正規労働者の賃上げとともに、正社員の賃上げが6年ぶりに実現するなど、春闘の新たな出発点になりました。この春闘をどう発展させるのか?

 日本共産党は、14春闘にあたって、「こうやって賃上げ実現を」と3つのことを提起しました。(1) 大企業の内部留保の一部を活用する、(2)最低賃金を大幅に引き上げる、(3)雇用のルールを強化する、の3つです。

 トヨタ自動車の内部留保の大きな部分をしめる利益剰余金(2013年3月期)は、連結で12兆6892億円、単独では7兆1076億円です。労組の賃上げ、一時金、期間従業員の日給アップなどの要求は、満額回答しても300億円ほどで、単独の利益剰余金のわずか0・4%程度でした。内部留保を活用すれば1万円以上の賃上げは可能でした。

トヨタ労組 集会
(トヨタ労組の14春闘本社地区集会)

 愛知県の地域最賃は時給780円、産別最賃(輸送用機器器具製造業)で時給863円という低さです。中小零細企業に直接援助して、すくなくとも1000円に引き上げれば、トヨタ関連、下請け労働者の賃上げにつながり、トヨタ自動車との賃金格差も是正できます。

 安倍政権は、労働者派遣法の2大原則をくずし、“一生涯ハケン”になるような派遣法の改悪を閣議決定し、通常国会での成立をねらっています。トヨタでは、テクニカルセンターなどで技術派遣労働者がたくさん働いています。

 安倍内閣は、日本経団連や大企業に賃上げを要請する一方で、サービス残業を合法化することや解雇の自由など労働の規制緩和をいっそうすすめようとしています。雇用のルールを破壊すれば、日本は賃下げ社会になってしまいます。労働者派遣法を抜本的に改正することや均等待遇、ブラック企業を規制することなど、雇用ルールの強化こそ賃上げ社会にする道です。

 15春闘では、今年の春闘から学び、賃上げが当たり前になる日本をつくろうではありませんか。

2014春闘 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2014/03/22 11:31
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