◎トヨタ車 米国が輸出拠点へ


 トヨタ自動車は、SUV(多目的スポーツ車)「ハイランダー」の生産をアメリカのインディアナ工場へ移管すると発表(2月8日)しました。アメリカを輸出拠点にする動きが急テンポになり、日本の空洞化の事態がじわじわとすすんでいます。

 ハイランダーは、おもにレクサスを生産しているトヨタ九州(福岡県宮若市)でつくり、オーストラリアやロシアへ輸出してきました。2013年に生産を打ち切るといいます。日本国内では販売していません。

 すでに、アメリカで生産しているシエナ、カムリを韓国へ輸出しています。

 《カムリ》 旧型カムリは、堤工場で生産し韓国へ輸出。新型カムリからは、アメリカのケンタッキー工場で生産している分のうち年間6000台を、2012年から韓国へ輸出。

 《シエナ》 アメリカで生産しているミニバンで、2011年11月から韓国へ輸出。

 韓国への輸出は、関税が8%から4%、ゼロになる米韓FTA(自由貿易協定)をにらんでのものです。1ドル70円台後半の円高が続く日本よりも、ドル安のアメリカで生産し、輸出した方が利益につながるとしてアメリカへの生産移管やアメリカからの輸出をすすめるものです。

 豊田章男社長は、雇用維持ラインの国内生産300万台を「死守する」としていますが、アメリカを輸出拠点にすることがいっそうすすめば、雇用問題が現実の問題になりかねないでしょう。

ハイランダー アメリカトヨタ
(ハイランダー。アメリカトヨタのホームページから)
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円高 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2012/02/15 08:13

◎トヨタ、米国製の新型カムリを韓国へ輸出

 トヨタ自動車は、2012年からアメリカで生産している新型カムリを韓国へ輸出します。12月5日に発表したもの。韓国の関税が、5年後にはゼロになる米韓FTA(自由貿易協定、1月1日に発効予定)をにらんでのものです。

 旧型モデルのカムリは、堤工場(豊田市)で生産し、韓国に輸出してきました。野田内閣は、財界や自動車業界、トヨタなどにおされてTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)をすすめようとしていますが、これの先がけになるものです。

 米国製カムリは、ケンタッキー工場で生産しています。トヨタのアメリカ販売での最大の車種です。年間6000台を韓国へ輸出するとしています。現在、米国から韓国へ乗用車を輸出すると8%の関税がかかりますが、米韓FTAが発効すると4%に、5年後にはゼロになります。

 トヨタが韓国への輸出に踏み切ったのは、輸送費が増えたとしても、円高の日本から輸出するより、米韓FTAを活用した方が利益はあがると判断したものとみられます。

 トヨタは、アメリカで生産している「シエナ」も今年11月から韓国へ輸出しています。カムリの輸出で、米国製トヨタ車の海外輸出に拍車がかかることになりそうです。

 トヨタの豊田章男社長は、「6重苦」の1つに「FTA(自由貿易協定)・EPA(経済連携協定)」問題をあげ、自動車の関税を撤廃し、自由に貿易できるように主張しています。

 関税撤廃問題で現在、焦点になっているのがTPPへの参加問題です。自動車メーカーにとっては、安い賃金の国で生産し、その国から別の国に輸出し、あるいは日本に逆輸入すれば利益はあがるからです。

 日産がマーチをタイで生産し、日本に逆輸入している例があります。関税がゼロになれば、米国製の新型カムリを韓国へ輸出するようなことが大規模に広がり、国内の雇用問題が深刻になる恐れがあります。

新型カムリ
(新型カムリ)
円高 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2011/12/13 14:59

◎プリウス・プラグ・イン 為替を考えるといくら?

 来年(2012年)1月販売予定のプリウス・プラグ・イン・ハイブリッド(PHV)をめぐって、メディアがさわがしい。11月10日付の日経新聞や中日新聞が価格などの想定をしている。

 おもしろいのは、日経は300万円程度というが、中日は320万円程度という。中日は、一足先に発表したアメリカの最低価格は3万2000ドルという。現在の為替相場、78円で計算すると約250万円になる。

ところが、トヨタが設定する320万円では、1ドル100円になる。中日は、「両国の実際の物価水準に合わせたようだ」という。日本での販売価格は、320万円ではなく、為替相場から250万円でいいのではないか?

 これで思い出したのが、日本共産党の佐々木憲昭衆院議員の8月3日の円高問題の質問。このブログの8月20日でも紹介した。佐々木議員は、巨額な投機マネーが、相対的に安全といわれる円に逃げ道を求めているとして、衆院財務金融・経済産業連合審査で、その規制を求めた。

 佐々木議員の質問に、野田佳彦財務大臣(当時、現首相)は、世界の為替取引は(2010年4月時点で)1日当たり約400兆円と、輸出総額の100倍にのぼっていると答弁した。また、購買力平価では1ドルは111・40円とのべた。

 佐々木質問で、投機マネーによって、実体経済からかけ離れた超円高になっていること、通貨取引に課税をすることなど、投機マネーを急いで規制することが必要なことが明らかになった。

 PHVの価格設定で、トヨタが日米の物価水準から1ドル=100円にしたというのは、実体経済をかなり反映したものだろう。はからずも現在の超円高が、投機マネーによって実態経済からかけはれていることを示した。

プラグ・イン・ハイブリッド
(プリウス・プラグ・イン・ハイブリッド)
円高 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2011/11/11 06:46

「立地補助金」拡充で円高を抑える? 市田書記局長の質問に野田首相

 「超円高」にどう対応するか? 労働者の雇用を守る上でも重要な問題です。

トヨタ労連(東正元会長)とトヨタ労組(鶴岡光行委員長)は円高が急速に進んでいた8月3日、枝野官房長官(当時)に、「行きすぎた円高の是正に向けて」との申し入れをしました。「緊急かつ実効ある対応を」というものでした。

円高の是正は、現在の大きな政治問題であり、日本共産党の市田書記局長は、9月16日の参院代表質問で取り上げ、野田首相の対応をただしました。

 野田首相の答弁は、「日本銀行と連携してあらゆる政策手段を講じる」という抽象的なものでした。具体策は、「立地補助金の拡充」などにとどまりました。

 野田首相は、財務大臣時代、日銀と7年半ぶりの大規模な為替介入(7月28日~8月29日で4兆5129億円)をしましたが、円高は止まりませんでした。

 民主党の鳩山元内閣も、円高対策として2010年1月に国内立地補助金を成立させました。環境技術関連の新工場をつくった場合、最高で事業費の半分を補助するというもので、当初300億円を計上しました。しかし、「効果は限られる」(エコノミスト)というものでした。その後の円高を見ても、なんら効果はあげられませんでした。

 市田書記局長は質問で、「なぜくり返し円高が日本経済を襲うのか、そこから脱却するために何が必要なのか、という根本的な思考が欠如している」と批判しました。

 その上で、「新たに補助金を出してやるような『立地補助金』などではなく、日本経済を“外需頼み”から家計・内需主導に改革することに正面から取り組むべきではありませんか」と主張しました。

 民主党政権は為替介入をするなどしましたが、トヨタ労組などが求めたような“実効ある対応”にはなりませんでした。小手先の対応では、円高をくり返すだけで、なんら止まらないことは明らかではないでしょうか。“外需頼み”から家計・内需主導に改革することが必要ではないでしょうか。

円高とトヨタ本社
(円高が自動車産業を襲っています。写真はトヨタ本社)
円高 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2011/09/17 20:54

くり返してきたコスト削減、海外シフト それでも円高

 超円高にどう対応するのか? 日経新聞がトヨタ自動車の豊田章男社長ら「社長100人アンケート」の結果を掲載しています(8月23日付)。

一番多かったのが、「国内のコスト削減」の50・0%で、2番目が「部品・原材料の海外調達拡大」の47・9%、3番目が「新興国での現地生産拡大」の37・5%でした(複数回答)。

労働者の賃金を抑えたり、下請けの単価を切り下げるコスト削減、賃金の安い海外への生産シフト…これらは、円高になるごとに、大企業が行ってきたことではないでしょうか?

 表を見てください。1973年以来の円とドルの関係をあらわしています。この40年近く、ひたすら円高がすすんでいます。円高→コスト削減→輸出→円高→コスト削減…同じことをくり返してもよくなるどころかさらに悪くなる―これを“悪魔のサイクル”といいます。円高問題では、“円高体質”といいます。

トヨタは円高がすすむたびに、「日本でものづくりを続ける限界」(小沢哲副社長)などといって海外シフトを声高に叫んでいます。1円の円高で営業利益が340億円減少するといわれるトヨタ。コスト削減や海外シフトをくり返しても円高を止めることができるのでしょうか?

労働者や下請け犠牲の円高対策ではなく、内需を拡大し、家計を温めることに日本の大企業が大きく転換する時ではないでしょうか。

円高推移表
(ネット「社会実情データ図録」から)
円高 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2011/08/24 20:53

超円高 投機マネーの規制を

 円高が止まりません。8月19日のニューヨーク外国為替市場では、一時、1ドルが75円95銭と戦後の最高値を更新しました。

 新聞各紙は、トヨタ自動車は1円の円高で営業利益が340億円目減りする(日経新聞、20日付)と煽り、「日本のモノづくりが流失する時期がきた」とトヨタ幹部の言葉を紹介しています。

 現在の円高は、アメリカやヨーロッパ各国の政府の債務問題が大きな要因になっています。アメリカは債務残高の法定上限を引き上げましたが、1000兆円を超える財政危機に陥っています。高い失業率、低迷する個人消費など、アメリカ経済の先行き不安が広がっています。

 こうしたなかで、巨額な投機資金が、相対的に安全といわれる円に逃げ道を求めています。日本共産党の佐々木憲昭衆院議員は8月3日の財務金融・経済産業連合審査で、巨額の投機マネーの規制を求めました。

 佐々木議員の質問に、野田佳彦財務大臣は、世界の為替取引は(2010年4月時点で)1日当たり約400兆円と、輸出総額の100倍にのぼっていると答弁しました。また、購買力平価では1ドルは111・40円とのべました。

 投機マネーによって、実体経済からかけ離れた超円高になっていることが明らかになりました。通貨取引に課税をすることなど、投機マネーを急いで規制することが必要です。同時に、日本の大企業の「円高体質」にもメスを入れる必要があります。

 トヨタなど日本の輸出大企業は、労働者の賃金・雇用、下請け犠牲でコストを削減する→輸出を増やす→ふたたび円高→コスト削減…という「円高体質」を続けてきました。外需頼みから家計・内需を増やすことへと大きく転換しないと、円高は止まることはないでしょう。

トヨタ本社
(トヨタ本社=向う側と旧本社=手前)
円高 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2011/08/20 18:25

GDP、1~3月年3・7%減 産業の空洞化につながる?

 内閣府が5月19日に発表した2011年1~3月のGDPは、年率に換算して3・7%減へと大幅に落ち込み、産業の空洞化につながるという指摘も出ています。雇用問題に発展しそうです。

 大幅減は、東日本大震災と福島原発事故で、消費や生産、輸出が一気に縮小したためです。自動車や電機などの産業は、部品供給網が寸断され、トヨタ自動車は工場の稼働がストップしました。

 与謝野馨経済財政担当相は、今後のリスク要因として、電力不足や原発事故の風評被害、産業の空洞化をあげています(「日経」19日夕刊)。同紙は、ドイツ証券の安達誠司シニアエコノミストが、「生産拠点の海外移転や廃業につながる可能性は否定できない」とのべているコメントを掲載しています。

 実際、トヨタの2011年3月期決算発表では、円高などを理由に「日本でのものづくりを続ける限界を感じている」(小沢哲副社長)と国内生産を海外に移すことを示唆する発言がありました(当ブログ、ホームページ5月12日参照)。

 生産の海外移転は、労働者の雇用や下請け・中小零細企業の営業に大きな影響をあたえます。雇用、営業をまもるためにともにたたかいましょう。

高岡工場ではラインが1本ストップ

(高岡工場では組立ラインが1本ストップしています)
円高 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2011/05/21 09:59

トヨタ決算発表席上で 国内生産を海外への発言

 トヨタ自動車の2011年3月期決算発表(5月11日)の席上、豊田章男社長や小沢哲副社長が、円高、TPP問題などを理由に国内生産を海外に移す考えを示唆したことが大きな波紋を呼んでいます。

 日経新聞電子版や朝日新聞などが報道しています。それらによると―。

豊田社長 「トヨタは日本で生まれ育てられたグローバル企業。この産業基盤、雇用基盤をどう維持していけるかを考え、従来から日本でのものづくりにこだわりたいと言ってきた。その思いは今も変わらない」

 小沢副社長 「円高、1ドル=80円の為替水準の中では、収益を預かるCFOとしては日本でのものづくりを続ける限界を感じている。国際的な競争でもドイツ車、韓国車はそれぞれの通貨安の恩恵を多いに享受している。韓国の産業とはFTA(自由貿易協定)、環太平洋経済連携協定(TPP)といった通商政策、税制でも差がつきつつある。いつまで日本でのものづくりにこだわるのか、すでに1企業の努力の限界を超えているのではないか。社内の関係部署、社長に対してその旨の進言をせざるをえない」

 豊田社長 「私の『日本のものづくりを守りたい』という思いだけではやっていけないことは十分理解している。だが震災を通じて日本のものづくりの底力も感じている。世界の強豪と同じ土俵で戦えるような環境整備が製造業の望みだということは理解してほしい」

 つまり、日本国内には円高やTPP問題などがあり、国内で生産していては国際競争に負けるといって、国内生産を海外に移そうという主張です。「100万台海外に移せば10万人以上が失職」(「朝日」)といわれています。

 このブログ「トヨタで生きる」では、円高はなぜ起きるのか、労働者、国民から見たTPP問題をくり返し考えてきました。

たとえば、「円高体質を変えるには?」(2010年10月4日)、「外需頼みだったトヨタ」(同10月11日)、「輸出用カローラを海外へ?」(同10月15日)、「TPPとトヨタ労働者」(同11月30日)、「生産移転は現実? 豊田社長の新年あいさつ」(2011年1月15日)、「シリーズ『5重苦』について考える TPP問題」(同1月16日)…。

あらためてこの問題を考えたいと思います。みなさんの御意見をお待ちしています。
20110511 トヨタ決算
 (決算発表をする豊田章男社長=右=ら、WBSから)
円高 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2011/05/12 08:54

円高体質を変えるには?

■■プラグイン
日本経済は、2008年のリーマン・ショック以来、先行きの見えない実態が続いています。とりわけ、8月からの急速な円高が追い打ちをかけています。

 今日の円高は、アメリカ経済の減速や先行き不安、ギリシャなどの財政危機のもとで巨額の投機マネーが円に流入していることから起きているものです。
同時に、円高の大本には、円高→大企業が労働者と中小企業を犠牲に、コスト削減し、「国際競争力」を強める→輸出をふやす→またもや円高…という悪循環、“悪魔のサイクル”をくり返してきた“円高体質”にあります。
このことが、さらに生産拠点を海外に移す、産業の空洞化をすすめるものになってきました。

“外需頼み”ではなく、GDPの6割を占める個人消費を増やす―内需主導にしてこそ円高体質を改めることができるでしょう。そのためには、非正規雇用労働者の正社員化や下請け単価の切り下げをやめさせることなど、個人消費をおおいに増やすことが必要です。
■■円高体質
■■2010生産販売円グラフ
トヨタで見てみると、内需主導の必要性がいっそう明らかになります。
トヨタの2010年度の計画によると、世界で740万台の生産(トヨタとレクサスのブランド)をかかげています。このうち、日本国内で販売するのはわずか135万台、18%にすぎません。輸出は187万台、25%で、国内販売を大きく上回っています。海外生産は国内生産を上回る420万台、57%を占めます。

国内販売は年々、減少を続けています。年収200万円以下のワーキングプア(働く貧困層)が労働者の3人に1人に増大しています。これでは車を買うことはできず、国内販売が減少するのも当然です。トヨタでは、非正規雇用労働者の期間従業員が現場の3分の1を占めました(2004年)。一転して、リーマン・ショックの前後には約6000人の期間従業員を解雇しました。

内需主導は、トヨタ1社でできることではありません。しかし、期間従業員を正社員化する、下請け単価の切り下げをやめる―など日本最大の大企業のトヨタが率先してこそ円高体質を改める道が開けるでしょう。


■■志位・2中総

日本共産党の第2回中央委員会総会での志位和夫委員長の報告(2010年9月25日)から


「景気回復」――実態は日本経済の歪みの拡大と再生産 
第一は、経済危機をどう打開するかという問題です。2008年秋のリーマン・ショックにはじまった世界経済危機は、「派遣切り」「下請け切り」など、日本の経済と社会、国民生活に重大な打撃をあたえています。それから2年、日本経済の現状をどうとらえるか。

 リーマン・ショック後、日本経済は急速に悪化し、その落ち込みは先進7カ国のなかで最も激しいものでしたが、2009年2月ごろを底にして、その後1年3カ月あまりは、鉱工業生産指数の動向等で見ると、生産が増えつづけました。しかし、それは日本経済の異常な歪みをいっそう深刻にする、つぎのような問題点をもっています。

 ――大企業は、自動車や電機など輸出関連企業を中心に、純利益を4兆円から7兆円に急増させ、内部留保を1年間で233兆円から244兆円にまで膨張させました。そのなかでも手元資金は52兆円となり、「空前のカネあまり」状態となっています。

 ――この大企業の「V字回復」は、非正規労働者の大量解雇、正規労働者の賃金・ボーナスカットや退職強要、下請け中小企業の一方的単価切り下げや発注打ち切りなど、経済危機の矛盾を労働者と中小企業に押し付けた結果にほかなりません。

 ――雇用情勢と賃金は低迷を続けています。完全失業率は5・2%と悪化したままであり、新卒者の就職難はきわめて深刻です。雇用者報酬は、鉱工業生産が最も落ち込んでいた2009年1~3月期の水準にも到達せず、低く押し下げられたままです。

 このようにリーマン・ショック以降の2年間の「景気回復」なるものの実態は、従来型の大企業中心、“外需頼み”のものであり、雇用と家計、中小企業の回復は進まず、内需は引き続き低迷したままとなっています。大企業は利益を増やしても、内需が低迷し、新たな投資先がないため、内部留保、余剰資金だけが増大しています。

 こうして、この2年間の日本経済は、それ以前に顕著となっていた日本経済の異常な大企業中心主義の歪み――労働者と中小企業の犠牲のうえに一部の大企業だけが富をため込み、「国民が貧しくなる国」「経済成長が止まった国」となってしまった歪みを、拡大して再生産するものとなっています。
■■まんじゅしゃげ
円高問題――緊急対策とともに、「円高体質」の歪みを根本からただす改革を 
急激な円高の進行が、日本経済と国民生活の危機に、追い打ちをかけています。日本で繰り返されている円高の問題点は、為替レートが購買力平価(その国で、その通貨で、どれだけの商品を買うことができるかという円の実力)から大きく乖離(かいり)して、高騰することにあります。

購買力平価はOECD(経済協力開発機構)の2009年のデータによると1ドル=114円です。これが生活からみた日本の円の実力です。ところが為替レートは、この間、1ドル=82円~85円台となっています。すなわち現在の為替レートは、円の実力に比べて3割の割高となっている。ここが問題です。

 円高は、すでに中小企業、下請け企業の経営を圧迫し、深刻な影響を及ぼしはじめています。大企業による「円高対応」を口実にした、労働者のリストラや賃下げ、下請け中小企業の単価切り下げ、発注打ち切りなど、深刻な事態が生まれています。円高は、輸出型産業だけでなく、「安い輸入品」の拡大という経路をつうじて、農業をはじめとした1次産業を含む内需型産業も圧迫しています。
■■独身寮
(トヨタの独身寮)

 今回の急激な円高の直接的な国際的原因は、アメリカ経済の減速と先行き不安の高まりにくわえ、ユーロもギリシャなどの財政危機によって不安定になっているもとで、巨額の投機マネーが欧米から流出し、「相対的に安定」しているとされる円に流入していることからおこっているものです。

 同時に、円高危機を繰り返す大本には、日本経済の歪みがあります。すなわち、ごく少数の輸出大企業が、労働者と中小企業の犠牲のうえに、果てしないコスト削減を進め、突出した「国際競争力」を強め、外国市場への輸出をふやしてきたことが、「円高体質」をつくってきたという問題があります。

 いま輸出大企業は、「1円の円高で数百億円の損失」など、「円高危機」を声高に叫んでいます。しかし、円高がおしよせるたびに、資金力と競争力を背景にしたさまざまな防衛策を講ずるとともに、その矛盾を労働者と中小企業に転嫁することで、さらなる「国際競争力」を獲得してきたのが輸出大企業でした。財界・大企業が、円高にいっそうのコスト削減で対応し、円高のもとでも輸出をふやすという方針をとりつづけてきたために、円高が新たな円高を呼び、「円高体質」が慢性化するという悪循環をつくりだしてきました。

 また財界・大企業が、部品の海外からの購入をふやすとともに、生産拠点を海外に移転させることを、円高対応のもう一つの基本戦略としてきたことは、産業の空洞化を急速にすすめるものとなりました。

 以上を踏まえ、わが党は、円高から労働者の雇用、中小企業の経営を守る緊急対策をとるとともに、日本経済を“外需頼み”から家計・内需主導に改革し、「円高体質」を根本からあらためていくことを強く求めます。

とくに輸出大企業がつくった日本経済の「円高体質」を是正するために、非正規雇用労働者の正社員化、最低賃金の抜本的引き上げ、長時間・過密労働の是正、下請けいじめの速やかな是正、大企業と中小企業との対等な取引ルールの確立など、労働者と中小企業の生活と経営を守る抜本的手だてを政治の責任でとることを、強く要求します。

また、今回の円高を引き起こした直接的要因が、巨額の投機マネーにあることをふまえ、日本政府は、国際的な通貨取引課税の創設も含めて、国際的な為替投機規制の取り組みを開始するよう、世界各国に働きかけるべきです。

 (報告の全文は、日本共産とのホームページで「第2回中央委員会総会」と検索すると読むことができます)
円高 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2010/10/04 21:06
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