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◎「“春闘”の構造を変える」 トヨタ労組

 トヨタの「評議会ニュース」が職場に配布された。「19ゆめW 要求決定!」といって19春闘の要求案が2月8日に開かれた評議会で満場一致で可決されたという。

……
 技能職、中堅技能職、技能5等級の賃金を310、580円とする。
 技能職、EX級、技能4等級の賃金を383、310円とする。
 技能職、EX級、技能3等級の賃金を417、990円とする。
 賃金引き上げ・人への投資を合わせて、全組合員一人平均で12、000円を要求する。
……

 年間一時金は、基準内賃金の6・7ヵ月。

評議会ニュース ベア分消える


 昨年まであった賃上げ分(ベア分)が消えた。なぜ、ベア分を明らかにしないのだろうか? 上郷支部の職場委員長が質問していた。

 「研修や評議会などを通じて、執行部から、要求の形を変えていくという説明は受けており、職長・評議員はその目的・趣旨について理解を深めていたが、職場委員や一般組合員の中には、昨年までとの違いに戸惑っているメンバーもいた」

 「要求の形を変える」? ベア分を示さないことだ。組合員が戸惑うのは当然だろう。副委員長が答弁している。「に中小企業で働く仲間の底上げがまだ進んでいないことが課題」「賃金の絶対水準を重視した取り組みに変えていく」という。

 トヨタ関連、トヨタ下請け(中小企業)の仲間の賃金の格差、底上げをはかることは当然だ。そのために「賃金の絶対水準」を重視し、3つの到達目標を示したことも理解できる。

 しかし、なぜベア分を示さないのかまったくわからない。副委員長も答えていない。納得できない。このことによって、「社会全体の”春闘”の構造を変えていく」と副委員長は答弁しているが、トヨタがベアを明らかにしないことが、どうして春闘の構造を変えることになるのか、まったくわからない。

 西野勝義委員長が決意表明している。トヨタをはじめ世界の自動車会社は、「100年に一度の大変革期の中」で、「グループ全体の競争力強化に向け懸命に取り組んでいる」などと語る。

 それとベア分を示さないこととは、どうつながっているのか? わからないことばかりだ。
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19春闘 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/02/15 10:12

◎トヨタ労組 賃上げ要求を提出 ベア明示せず

 トヨタ自動車労組は2月13日、19春闘の要求を会社に提出しました。例年のように4回の労使協議会が開かれ、3月13日の第4回労使協議会で会社側が回答を示します。

 今年の賃上げ要求は、「賃金引き上げ・人への投資を合わせて、全組合員一人平均で1万2000円を要求する」というもの。定昇に当たる賃金制度維持分、自己研鑽補助、シニア期間従業員の昼食費補助などが含まれています。

 具体的なベア額を示していません。18春闘で、3000円を要求した組合に「昨年を上回る」という日本語回答をして具体的なベア(ベースアップ、賃上げ)額を示さなかった会社に沿ったものです。

 メディアは、「ベア非公表 労使で一致」(日経、14日付)、「他の(自動車の)労組は従来通りベア額を示す形で要求し、足並みが乱れた」(朝日、14日付)と報道しています。

 関連・下請け会社との格差是正のためには、ベアの上げ幅ではなく、どれだけの賃金に到達するのかが重要として、①技能職、中堅技能職、技能5等級の賃金を31万580円とする、②技能職、EX級、技能4等級の賃金を38万3310円とする、③技能職、EX級、技能3等級の賃金を41万7990円とする――という3つの到達目標を示しています。

 利益・内部留保日本1のトヨタが2000年代は、日本の賃上げの“春闘相場”を決めてきました。そのトヨタの労使がベアを非公表にしたことで、春闘を引っ張る組合がいなくなるとともに、上部団体の連合や自動車総連、金属労協(JCM)の賃上げがどれほどになったかの正確なデータを得られなくなることを意味します。

トヨタ労組 18春闘本社ブロック集会
(トヨタ労組の18春闘本社ブロック集会)

 産業別に結集してきた自動車総連は、トヨタが非公表にしたことにマツダ労組が同調。一方で、「賃金改善相当分3000円」(日産労組)、「ベア3000円」(本田技研労組)、「賃金改善分3000円」(三菱自工労組)、「賃金改善分3000円」(ダイハツ労組)、「賃金改善3000円」――などと2分され、産別共闘に問題を残しました。

 トヨタ労組の一時金の要求は、18春闘より0・1カ月分多い年6・7カ月です。
19春闘 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/02/14 10:52

◎ベア要求額消える トヨタ労組の19春闘要求案

 トヨタ自動車労組(西野勝義委員長、6万2657人)は1月28日に評議会を開き、執行部が19春闘要求案を示しました。18春闘で、「昨年を上回る」という日本語回答をして具体的なベア(ベースアップ、賃上げ)額を示さなかった会社に沿うように、19春闘で執行部はベア要求額を示しませんでした。

 具体的に示したのは、「賃金引き上げ・人への投資を合わせて、全組合員一人平均で1万2000円を要求する」というものです。これには、ベアや定昇に当たる賃金制度維持分、自己研鑽補助、シニア期間従業員の昼食費補助などが含まれています。

 その上で、①技能職、中堅技能職、技能5等級の賃金を31万580円とする、②技能職、EX級、技能4等級の賃金を38万3310円とする、③技能職、EX級、技能3等級の賃金を41万7990円とする――という3つの到達目標を示しています。

 18春闘までのようにベア要求額を示さなかったことについては、「社会全体の賃金格差の拡大防止や賃金水準の底上げに向け、賃金水準をより前面に押し出した取り組みとすることで、各労使における”賃金の総額に重点を置いた交渉“への転換に寄与する」ためだとしています。

 つまり、これまでのように日本の大企業で利益NO1のトヨタのベア額を基準にして、他の企業がベア額を決めていた方式では、トヨタと他の企業(関連・下請けなども含め)との賃金格差を縮めることや賃金の底上げを図ることは難しいので、トヨタのベア額は示さないというのです。

トヨタの営業利益と賃上げ
(表はトヨタの営業利益と賃上げの推移。ベア要求、回答を示さなければトヨタの賃上げはわからなくなる)

 一方で、定昇や様々な手当てを含めば、いったいどれだけのベア額が積みあがったかが不透明になり、賃金の社会横断的な水準――賃金の社会性や労働組合が産業別に春にいっせいに賃上げを求めてたたかう共闘――日本独自の春闘が困難になります。

 特に経営が厳しい中小零細企業では、大手労組などのベア目標が労組の拠り所、大義名分になってきた経過があります。

 実際、西野委員長は18春闘の後で、「全トヨタ労連の仲間達からは、賃金制度改善分(注、ベアのこと)の水準が開示されなかった点については、『皆で一緒になって取り組みを進めてきたが、水準が分からない事により、一体感が損なわれたと感じた』という厳しいご意見を頂き、課題が残った事も事実である」などとのべていました。

 労働組合の全国組織の連合は、19春闘でベア2%程度を基準とし、定期昇給相当分を含め4%程度を要求するとしています。トヨタ労組が加わる金属労協(JCM)は、定期昇給など賃金構造維持分を確保した上で、3000円以上の賃上げを掲げています。

 自動車総連は、19春闘からベアの統一要求をやめて、「自動車産業目標」「自動車産業スタンダード」など10種類の「絶対水準」を示し、そこに到達するという方式に切り替えました。

 また、金属労協に加盟し日立製作所などの組合でつくる電機連合は、大手13組合が3000円以上のベアを統一してかかげています。

 トヨタ労組のようにベア要求額を示さない方式で、「賃金格差の拡大防止や賃金水準の底上げ」が果たして可能なのか、職場で真剣に議論する必要があるでしょう。

 またトヨタ労組執行部は、一時金の要求案として、18春闘より0・1カ月分多い年6・7カ月を示しました。賃上げや一時金などの要求案は2月8日の評議会で採決される予定です。
19春闘 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/02/01 15:36

◎「労使自治論」前面に 経団連「経労委報告」

 日本経団連は1月22日、2019年春闘の経営側方針である「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)を発表しました。今年は、「賃金の引き上げは、政府に要請されて行うものではない」「労使による議論をへて企業が決定する」と「労使自治論」を前面に掲げました。

 東レ出身の榊原定征・前経団連会長は、「アベノミクス」が破綻しないように賃上げ要請を続けてきた安倍首相に応え、2014年以来、いわゆる「官製春闘」を黙認して一定の賃上げを容認してきました。

 今年の「経労委報告」では、賃上げが選択肢になるのは、「生産性向上により、収益が安定的に拡大している企業」の場合だと強調し、「官製春闘」を否定。日立製作所の中西宏明会長が経団連会長に就任したことを受けて、金属大手労使が主張する「労使自治論」を前面に押し出した上に賃上げ抑制を露骨に示しました。

10 経労委報告 2019
(「経労委報告」の2019年版。昨年は税込みで972円でしたが、今年は1296円に。賃上げせずに値上げするのかとの声も)

 具体的な賃上げについても、連合が求める月例賃金引き上げ(ベースアップ=ベア)ではなく、「多様な方法による年収ベース」にするとし、「業績や成果、貢献度」を加味したものではならないとしています。

 「経労委報告」で経団連が主張するように、賃上げは「収益が安定的に拡大している企業」にのみとすれば、ごく限られた大企業に限定されてしまう賃上げ不要論に通じるものです。

 巨額の内部留保についても、「経労委報告」で利益剰余金は12年度の304兆円から17年度には446兆円へと、わずか5年間で142兆円も増えたことを認めています。

 さすがに昨年の「経労委報告」は、「過剰に増やすようなことがあれば、投資家の視点から決して許されない」とのべていました。ところが今年は、「人財への投資」へ活用するという指摘も消え、「適正な水準の内部留保を確保することの重要性が一層高まっている」と“一層”ため込むことを宣言しています。
19春闘 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2019/01/26 18:13

◎「賃上げ、労働条件の改善こそ経済回復の道」 労働総研が19春闘へ提言

 労働組合の全国組織、全労連と協力・共同している労働運動総合研究所(労働総研)は1月16日、2019春闘の提言「賃上げ、労働条件の改善こそ経済回復の道」を発表しました。
http://www.yuiyuidori.net/soken/

 その骨子は、「Gセブン7か国の経済成長率を比較すると、日本は下から3番目と低く、唯一、実質賃金がマイナスである。国際的にもアベノミクスの失敗は明らかである」と指摘しています。

 その上で、「とりあえず、安倍政権発足時まで生活を戻し、維持するだけで、7・16%、2万3044円の賃上げが必要になる」と大幅賃上げの必要性を強調しています。

 労働総研が提起している労働者のための「働き方改革」(働くルールの確立)にふれ、「非正規労働者の正規化、最低賃金の1500円への引き上げおよび2万5000円の賃上げを実施すると、59・5兆円の財源が必要になるが、それによって付加価値(≒GDP)が34・8兆円増加し、税収も6・355兆円の増収となる」と試算しています。

 それにより、「GDPの増加34・8兆円は、2016年のGDPの6・5%に相当するから、第2次安倍内閣発足後、平均1・14%であった経済成長率が6倍近くに加速されることになる」としています。

労働総研 19春闘提言


 日本の企業の2017年度の内部留保が667・3兆円に達したこと。従業員1人あたりでみると、全体で1531万円、資本金規模1000万円未満の企業でも214万円あり、財源は十分である、としています。

 19春闘では、「賃上げおよび労働条件の改善は、労働者だけではなく、日本経済にとっても必要なのであり、それを実現するのは、労働組合の社会的責任である」と春闘を元気にたたかうよう激励しています。

 2万5000円の賃上げは、全労連が掲げています。大企業の内部留保はたっぷりであり、一方で労働者の実質賃金はアベノミクスの失敗で減り続けています。内部留保が20兆円を超える断トツのトヨタ自動車では、大幅賃上げは可能です。

 労働総研の提言を職場論議に生かしましょう!

              ◇

 この記事は、1月22日にアップする予定でしたが、都合により前日にアップしました。
19春闘 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/01/21 14:55

◎自動車総連 19春闘統一要求掲げず

 18春闘で、トヨタ自動車が賃上げ額(ベア)を公表しなかったことが19春闘を揺さぶっています。トヨタ労組が加わる自動車総連は1月10日、横浜市で中央委員会を開き、19春闘では統一要求を掲げない方針を決めました。

 自動車総連は、2002年春闘でトヨタ労組がベアゼロに抑えられて以降13年まで、ベアはゼロか、1000円程度の低額で推移してきました。14年以降は、15年に「月6000円以上」、16~18年は「月3000円以上」のベア要求を掲げてきました。

18春闘 jcmボード
(金属労協の18春闘回答ボードには、トヨタは「昨年を上回る」との日本語回答で、ベアは非公表でした)

 総連として、こうしたベアの統一要求をやめて10種類の「絶対水準」を示すという方式に切り替えるものです。大手と中小の賃金格差が縮まらないというのが理由です。

 これまでのように「上げ幅だけではなく、賃金カーブや配分に係る課題に目を向けるなど『絶対額を重視した取り組み』をこれまで以上に進める」(総連の高倉明会長)としています。一方で、比較的賃金が高いトヨタ労組などは、事実上、賃上げ抑制になる可能性もはらんでいます。

 10種類の絶対水準は、「賃金センサスプレミア」「自動車産業プレミア」「自動車産業目標」「自動車産業スタンダード」「自動車産業ミニマム」の5段階を、「技能若手労働者」と「技能中堅労働者」に分けるもの。

 「技能中堅労働者」の「賃金センサスプレミア」は37万円で、「自動車産業ミニマム」は24万円です。13万円もの開きがあり、この方式での格差是正は長期にわたる可能性があります。

 トヨタ労組執行部が組合員に要求案を示すのは、1月下旬の評議会です。総連の方針を受けて、どのような要求案を出すのかが注目されます。
19春闘 | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/01/13 20:26

◎トヨタの賃上げ非公表、自動車総連に影響

 トヨタ自動車が18春闘で、3000円の賃上げ(ベア)を要求した組合に対し、「昨年を上回る」と日本語回答し、ベアを非公表にしたことが19春闘に影響を与えています。

 自動車総連は12月13日、19春闘の方針案を発表しました。これまで総連としてベアの統一要求(18春闘は3000円)を示してきましたが、これをやめて10種類の「絶対水準」を示すという方式に切り替えるといいます。

 利益トップのトヨタは、2000年代に入り賃上げ相場を決定する役割を果たしてきましたが、今後も非公表を続ける見込みであること。統一要求では、大手企業と中小企業の格差は縮まらない――などのためと見られています。

 10種類の絶対水準は、「賃金センサスプレミア」「自動車産業プレミア」「自動車産業目標」「自動車産業スタンダード」「自動車産業ミニマム」の5段階を、「技能若手労働者」と「技能中堅労働者」に分けるもの。

 「技能中堅労働者」の「賃金センサスプレミア」は37万円で、「自動車産業ミニマム」は24万円です。13万円もの開きがあり、この方式で格差が果たして縮まるかどうか?

JCM 18春闘ボード
 (トヨタ労組が加盟する金属労協=JCM=の18春闘回答ボードは、トヨタは「昨年を上回る」との日本語回答で非公表でした)

 メディアでは、「今回の方針変更は、18年春闘でトヨタ自動車が会社としてベアの実額を非公表とした影響がありそうだ。最大手メーカーのベア水準が分からなくなったため、自動車総連としては実額要求を打ち出しにくい」(日本経済新聞)、「18年の春闘では、相場の牽引役だったトヨタ自動車が妥結したベア額を公表せず、トヨタの労組もこれを受け入れた。この動きを黙認した格好だ」(朝日新聞)――などとトヨタの非公表が影響したとしています。

 上部団体の自動車総連の方針を受けて、トヨタ労組はどのような方針を打ち出すのか注目されます。トヨタ労組執行部が要求案を示すのは、来年1月下旬の評議会です。
19春闘 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/12/14 17:16

◎トヨタ春闘はどこへ行くのか? (下)

 トヨタ労組の「評議会ニュース」(12月4日発行)は、「19ゆめW 取り組みにあたって」の特集を組んでいます。このなかで、“トヨタショック”と呼ばれた2002年の春闘についてふれています。

 02春闘では、組合のベア1000円の要求に対し、奥田碩会長=当時=が「いつまで100円玉の争いをしている」と一喝してベアゼロに抑えたといわれています。

 1兆円を超える、大企業トップの営業利益を上げていたトヨタ。そのトヨタのベアゼロは、他の企業に衝撃を与え、軒並みベアゼロになりました。“トヨタショック”と呼ばれました。

 「評議会ニュース」では、次のようにのべています。

……
 ・02ゆめWは「このまま毎年賃上げを続ければ日本のモノづくり競争力を失う」との会社判断から、当時、過去最高益でありながら、それまで続いていた改善分獲得が途絶え(ベアゼロ)、他社でもベアゼロが続出し、社会全体に大きな衝撃を与えるとともに、「改善分が当たり前でない時代」への変化点になった。

 ・ベアゼロとなって以降の数年は、トヨタの業績は向上していたが、日本経済全体の状況(収益状況の厳しい企業が多数存在したことなど)を考慮すると、労働界全体が賃上げに取り組める状況ではなかった。そのため、トヨタのみが改善分に取り組むことは難しい状況が継続した。
……

30 トヨタの営業利益と賃上げの推移


 表のように、02年から13年までの12年間、ベアがあったのは3回、それもわずか1000円にすぎず、あとは軒並みベアゼロとなり、賃上げ“冬の時代”が続きました。08年のリーマン・ショックで、トヨタは赤字になったとはいえ、この間、トヨタは1兆円から2兆円超の営業利益をあげていました。

 これを脱したのが14春闘です。トヨタが2兆円を大きく上回る営業利益を上げる中で組合は4000円のベアを要求。2700円のベアを獲得しました。15春闘では、6000円を要求し、4000円を獲得しました。

 18春闘までの5年間、連続して賃上げがある春闘になりました。しかし、安倍政権が日本経団連に賃上げを要請したことから、メディアからは「官製春闘」と揶揄される事態になりました。

 こうしたなかでトヨタは、18春闘で組合が3000円のベアを要求したにもかかわらず、「昨年を上回る」という日本語で回答し、ベアを「非公表」としました。利益日本1のトヨタの「非公表」は、「社会全体に大きな衝撃を与え」ました。

 この16年間の春闘を振り返ると、19春闘でトヨタ労組がどのような要求を掲げるのかが、今後の日本の春闘のターニングポイント(転機)になりそうです。組合員の切実な願いに応えるような要求であったほしいと思います。
19春闘 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/12/12 20:54

◎トヨタ春闘はどこへ行くのか? (上)

 トヨタ自動車の19春闘が始まります。トヨタ労組の「評議会ニュース」(12月4日発行)は、「19ゆめW 取り組みにあたって」の特集を組んでいます。

 トヨタ労組にとって19春闘は、特別の意味を持っています。18春闘で3000円の賃上げ(ベア)を要求したにもかかわらず、会社の回答は「昨年を上回る」という日本語回答で、会社は具体的な数字を非公表としたからです。

 組合は、ベア3000円に賃金制度維持分(定期昇給分)として7300円、合わせて1万300円を要求しました。これに対し会社の回答はつぎのようでした。

……
 「人への投資」も含め、一般組合員、SP、パートタイマー、シニア期間従業員、全組合員の昇給額とし、その金額は一人平均11700円、率にして3・3%とする。
……

 「評議会ニュース」では、これを振り返り、「要求と回答が異なったことや回答の一部が非公表になったことは異例」とのべながら、「一方、会社回答に込められている、『全員活躍』『関係各社との格差是正』に向けた取り組みを進めていきたいという考えは、理解できないものではない」としています。

 しかし、日本の春闘でトップ企業のトヨタの果たす役割は2000年代になって決定的になっており、ベア額の非公表という事態にトヨタの労使に批判が集中しました。

トヨタ労組 18春闘
(トヨタ労組の18春闘本社地区ブロック集会)

 このため「評議会ニュース」では、19春闘では要求について次のような方向性を示しています。

……
■今後の要求においては、基準内賃金の重要性は踏まえつつ、それ以外の「人への投資(総合的労働条件等)」も検討していくべきではないか。

■「人への投資」については、下記の観点を基に考えるべきではないか。

 職場:職場の声・ニーズを踏まえた上で、その課題を解決することで更なる競争力強化に繋がるもの(*)。

 (*)台数増/能率向上/費用低減など、利益に直接繋がるもののみに限らず、個別課題を解決することにより、組合員の意欲・活力につながるものも含む。

 社会性:社会的な課題の解決につながるものかなど、世の中への影響を考慮。

 ⇒日頃より組合員の皆さんから頂いている声や期初研修などで吸い上げた意見も踏まえ、今後執行部で検討していく。
……

 執行部が具体的な要求案を示すのは、19年1月下旬に開く予定の評議会です。どのような要求案になるのか、19春闘は特別に注目されます。
19春闘 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/12/11 17:26

◎ベア非公表についてトヨタ労組の見解は

 2018年春闘でトヨタ自動車労組は、賃上げ(賃金制度改善分)として3000円を会社に要求しましたが、会社が回答したのは「昨年を上回る」という日本語回答で、具体的な数字を示しませんでした。

 トヨタ労組の西野勝義委員長は、回答を受け入れるかどうかの評議会(3月30日)のあいさつで、次のようにのべました。

 「全トヨタ労連の仲間達からは、賃金制度改善分の水準が開示されなかった点については、『皆で一緒になって取り組みを進めてきたが、水準が分からない事により、一体感が損なわれたと感じた』という厳しいご意見を頂き、課題が残った事も事実である。来年以降のゆめW(注、春闘のこと)の取り組みに向けて、要求案や交渉の進め方などにつき、執行部として検討していく」

 トヨタ労組の第85回定期大会が10月13日に開かれましたが、ベアが非公表になったことについて代議員から次のような質問が出ました(組合の「評議会ニュース」から)。

 「執行部が認識している課題は以下3点と伺った。①組合の要求と会社の回答形式が異なったこと②賃金制度改善分の獲得額が非公表であったこと③労使協における労使の主張がかみ合わなかったこと。上記課題についての執行部の受け止め、“19ゆめW”に向けて、どのような議論が行われているかを教えてほしい」

トヨタ労組集会
(18春闘のトヨタ労組の本社地区ブロック集会)

 これに対し、執行部は次のように答弁しました。

 「要求と回答の形式が異なったことは異例だが、『社会全体の格差是正』や『トヨタで働く者の一体感醸成に向け取り組みを進めたい』という会社の考え方自体は、執行部が目指すものと根元は同じであると認識」

 「“19ゆめW”の要求は、『何を求めていくことが組合員のためになるのか』『会社の競争力に結びついていくのか』を踏まえ、現在、執行部にて議論を進めている」

 執行部での議論途中などとして、具体的な答弁ではありませんでした。ベア非公表は、トヨタの労使にとどまらず、日本の春闘に大きな与えました。トヨタ労組が加わる金属労協(JCM)や連合の賃上げ回答に、トヨタ労組をふくむことができなくなったからです。

 春闘の“リーダー労組”を自認するトヨタ労組の明確な総括、今後の方向が求められます。
19春闘 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/10/26 14:16

◎連合が「基本構想」に賃上げ目標示さず? トヨタの影響か

 トヨタ労組の上部団体で、労働組合の中央組織の連合は、春闘の「基本構想」に、これまでは賃上げ(ベア)の目標を示してきましたが、19春闘では示さないことを検討していることがわかりました。

 朝日新聞(10月3日付)が報道しているものです。それによると連合は、18春闘のまでの3年間、「2%程度を基準」とした賃上げ目標を「基本構想」に入れていました。

 ところが、連合が10月2日に開いた幹部会議で示した19春闘の「基本構想」の素案には、賃上げ引き上げ率の目標の記載がなく、「闘争の争点を賃金の『上げ幅』追求から働き方の価値に見合った賃金『水準追求』へと転換をはかっていかなければならない」とあり、19春闘はその足がかりとするとしていました。

 この方法に異論がでたために、連合執行部は、「基本構想」の次の段階の「闘争方針」には、何らかの賃上げ引き上げ率目標を入れると説明したといいます。

 朝日新聞の記事は、連合の方針の見直し検討には、春闘相場をリードするトヨタが18春闘で賃上げを非公表にしたことがあるのではないかとして、連合関係者の声をのせています。

トヨタ労組の18春闘
(18春闘で開かれたトヨタ労組の本社ブロック集会=3月6日)

 トヨタ労組は9月はじめの「評議会ニュース」で、前期の経過報告、後期の運動方針(案)を掲載しています。そのなかの「賃金」のなかで、18春闘で賃上げ額が非公表になったことについて、「組合要求(注、3000円)と会社回答が異なる形式であったことや、賃金制度改善分(注、ベアのこと)が非公表となったことも踏まえ、今後の要求のあり方を検討していく」としています。

 その上で、賃上げの「主張の考え方(イメージ)」として、「これまで」は、「過去の取り組み成果に重きをおいて主張」してきたとしています。「今後」は、「取り組みの成果のみでなく、競争力強化に向けた組合員の危機感・思い・決意などもしっかりと主張」していくとしています。

 つまり、過去の成果ではなく、「競争力強化に向けた組合員の危機感・思い・決意などもしっかりと主張」していくことに力点を置いていくというものです。

 そこには、豊田章男社長が18春闘の第3回労使協議会で発言したことが大きな影響を与えています。「評議会ニュース」でも改めて社長発言を紹介しています。

 「(組合側から)第1回、2回で伺った多くの話は兎にも角にも、『自分達はやった。成し遂げた。努力してきた。』と、アピールを重ねているように聞こえました。(中略)敢えて、厳しい言い方をしますと、百年に一度の危機感を本当に持っているならば、自分達の過去の成果に目を向けている暇はありません。」

 豊田社長が常に語っているのは、電動化、自動運転化、コネクテッド化、シェア化など世界の自動車産業の「100年に1度の大変革の時期」に、これまでのように他の自動車会社との競争だけではなく、グーグールのようなIT企業などが参入しているもとで、トヨタは「生きるか、死ぬか」という危機のなかにあるということです。

 そのためには、「過去の成果に目を向けている暇」はなく、「競争力」をいっそう強化しなければならないという考えです。組合の主張の「今後」が「競争力強化」になっているのは、豊田社長のこうした発言が背景にあるのです。

 連合の春闘は、大企業労組から中小零細企業労組までが産業別に結集し、統一した賃上げ目標を掲げてたたかってきました。特に、経営が厳しい中小零細企業では、連合が掲げる賃上げ目標が労組の拠り所、大義名分になってきました。

 そうした中小零細企業労組では、連合が「基本構想」で賃上げ目標を掲げないことを検討していることに反発が出ているといいます。春闘の“リーダー労組”を自認するトヨタ労組が、日本の春闘全体に与える影響は大きく、18春闘のように回答非公表を受け入れるのではなく、「今後」の方針もトヨタだけではなく、日本の春闘全体に目配り・配慮して出すべきではないでしょうか。
19春闘 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2018/10/06 12:36
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