◎中西経団連がスタート 原発、そして「Society 5.0」


 日本経団連の総会(5月31日)で、会長に選出された日立製作所の中西宏明会長(72)。日立では、英国での原発新設の先頭にたち、自身がコンピューターの仕事にたずさわってきただけに、「Society 5.0」に意欲を示しています。経団連をどこへ引っ張っていくのか――。

 経団連の会長は、現会長が次期会長を指名します。2代続いて本命から断られ、住友化学、東レという小規模の企業から選ばれましたが、今回は電機のトップメーカーの出身となります。

 東レ出身の榊原定征・前会長は、安倍政権と「蜜月」の関係といわれたほど安倍政権べったりでした。安倍首相は、「地球儀を俯瞰する外交」といって、財界人を引き連れて原発輸出などのトップセールスを続けてきました。

 それだけに、中西経団連は原発では安倍首相と呼吸が合っています。日立は、東芝が米原発大手のウエスチングハウスを買収して経営破たんに追い込まれたにもかかわらず原発にのめり込んでいます。

 英国中部のアングルシー島で、2基の原発を新設し、2020年代前半の稼働を英国政府とめざしています。総事業費が3兆円を超えるといいます。

 この計画が予定通りに進まなかった場合のリスク対策費として、総額4500億円を、「日立と日英それぞれの政府・企業連合の3者が各1500億円ずつ拠出する」など(日経、5月30日付)といいます。

 安倍政権は、この日立の原発輸出を後押ししようとしています。英国での原発新設がつまずけば、国民にツケがまわってくることになります。福島第一原発事故を起こした上に、その検証もないままに日本が原発を輸出していいのでしょうか?

12 日立本社 東京駅前
(東京駅前の日立製作所本社が入るビル=左手)

日立 中西会長
(中西宏明会長=日立のホームページから)

 中西会長は、会長に選出された後の記者会見で、中西経団連の「第1の課題は、Society 5.0の推進であり、これが豊かで活力ある日本につながっていくと確信している」と強調しました。

 内閣府のホームページを見ると、「狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画(注、16年1月策定)において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました」とあります。

 「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と抽象的でバラ色の未来を描いています。

 具体例として、人工知能技術と結びつけた自動走行システムなどがあがっています。これにはトヨタの名前があがっています。原発と同じように、いわば企業戦略を後押しすることを主眼に置いています。

 いま世界と日本は、一握りの富裕層と大部分の中間層・貧困層に分断され、しかも中間層が没落しています。貧困・格差の増大、戦争・テロ、地球温暖化など資本主義の矛盾が噴出しています。

 人類社会の発展は、マルクスが理論的基礎をつくった科学的社会主義が明らかにしたように、原始共産制→奴隷制→封建社会→資本主義社会→共産主義社会へとすすむ道が示されています。

 「Society 5.0」というような道筋では、資本主義の根本矛盾は決して解決できないでしょう。デジタル化、人工知能など科学の発展と人類の幸福を両立させるには、資本主義の利潤第一主義の狭いわく組みから脱出することが求められるのではないでしょうか。
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日本経団連 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/06/02 16:15
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