◎これで「おおむね妥当」なのか! 安倍政権の「働き方改革」法案

 厚労相の諮問機関、労働政策審議会は9月15日、安倍政権がねらう「働き方改革」の関連法案の要綱を示しました。労働者側委員(連合の10人)が反対したにもかかわらず、加藤勝信厚労相に「おおむね妥当」と答申しました。

 関連法案は、28日から開く臨時国会での与野党の最大の対決法案になります。

 答申に先立って開かれた労働条件分科会では、「残業代ゼロ」法案(「高度プロフェッショナル制度)」と、過労死ラインを上回る月「100時間未満」までの残業を認める残業の上限規制を1本化した労働基準法改定案の法案要綱を、労働者側の反対を押し切って「おおむね妥当」との答申をとりまとめました。

 連合は、一時、「残業代ゼロ」法案を容認する方向で、水面下で安倍政権と交渉してきました。しかし、組織内から突然の変更に異論が相次いだために撤回。これまで通り、同法案には反対します。

 一方で、残業の上限規制については日本経団連と交渉して合意した経過があります。「残業代ゼロ」法案と残業の上限規制を労基法改定に1本化することに反対してきましたが、安倍政権は押し切りました。

 労働基準法改定案には、連合が要求した年104日以上の休日を企業に義務付けるなどが新たに織り込まれており、連合の要求をのみ込だ形になっています。

 また、裁量労働制の営業への拡大については、「既製品やその汎用的な組み合わせの営業は対象業務になりえない」などと一部修正しています。

トヨタ技術労働者ら
(出勤するトヨタの技術労働者ら=三河豊田駅前)

 分科会では、使用者側委員から、「残業代ゼロ」法案や裁量労働制の拡大が、「イノベーションの促進、時間と場所に制約されない柔軟な働き方に資するもの」などとのべ、労基法改定を求めました。

 安倍政権の「働き方改革」の法案については、労働弁護団が前日の14日に国会内で緊急院内集会を開催。連合や全労連などの労働組合や弁護士、研究者、過労死家族の代表らが参加。共同の力で阻止しようと訴えました。

 「全国過労死考える家族の会」の寺西笑子代表は、「過労死を増やすという真逆の方向に行こうとしている。何としても阻止したいとのべました。

 安倍政権は、森友・加計学園問題、憲法9条を20年までに改悪することを表明するなどして支持率を大きく低下させています。「残業代ゼロより過労死ゼロ」(連合のスローガン)を実現するために臨時国会で廃案に追い込みましょう。
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残業代ゼロ法案 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2017/09/16 12:54

◎「残業代ゼロ」法案と残業の上限規制を一本化

 安倍政権は9月末にも開く臨時国会に、労働関係の2つの法案を一本化して提出しようとしています。8月30日に開いた労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の分科会で厚労省側が正式に表明しました。

 1つは、2015年に提出した「残業代ゼロ」法案(高度プロフェッショナル制度)で、野党や労働界の強い反対で、2年以上論議されず棚ざらしになってきました。

 同法案は、「労働時間の規制を除外する」といって、労働基準法の1日8時間、週40時間の労働時間規制をなくすもので、残業代はなくなります。

 対象労働者は、金融商品の開発業務や研究開発業務など“高度プロフェッショナル”な仕事にたずさわり、労働者の平均賃金の3倍以上(年収1075万円を参考に検討)で、希望する者などとしています。

 同時に、何時間働いても一定時間しか働いたことにならない裁量労働の企画業務型に、「営業」(課題解決型提案営業)と「裁量的にPDCAを回す業務」を加えようとしています。PDCAとは、Plan(計画)-Do(実行)―Check(評価)-Act(改善)のサイクルを回す業務のことをいいます。

15 高度プロフェッショナル 労政審
(労働政策審議会の分科会で示された「残業代ゼロ」法案=「高度プロフェッショナル制度」の創設について=の骨子)

 もう1つは、残業時間の上限規制法案です。上限規制といいますが、残業は「2~6カ月の平均で月80時間」、繁忙期には「月100時間未満」まで認めるものです。

 厚労省が過労死ラインとしている「月80時間」を上回るものです。上限規制というのなら、厚労大臣告示で定めている週15時間、月45時間を法案化すべきです。

 安倍政権は、この2つの法案を労働基準法改定で一本化するというものです。残業の上限規制では、日本経団連が「月100時間」、連合が「月100時間未満」で対立し、安倍首相の裁定で「月100時間未満」で合意したという経過があります。

 また連合では、「残業代ゼロ」法案でも、「年104日以上の休日確保の義務化」などを安倍首相に求めて容認する動きがありましたが、連合内の組合から強い反対が噴出し、撤回した経過があります。

 連合は、この日の対応について、「労働者側委員からは、時間外労働の上限規制の法案は、長時間労働を是正するために早期に実現すべきであるが、一方で、2015年法案(注、「残業代ゼロ」法案のこと)は、時間外労働の上限規制とは趣旨が異なるため、法案の一本化には反対であることを述べました。…企画業務型裁量労働制の対象業務拡大と高度プロフェッショナル制度の創設については反対であることを主張しました」(連合のホームページから)としています。

 全労連は、「残業代ゼロ」法案や安倍政権が提案している残業の上限規制は、「過労死ラインを容認するもの」として強く反対しています。
残業代ゼロ法案 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2017/09/01 16:56

◎連合 「残業代ゼロ」法案の修正を撤回

 「残業ゼロより過労死ゼロ」の旗印は守られた! 「残業代ゼロ」法案(「高度プロフェッショナル」制度を盛り込む労働基準法改定案)の修正を安倍首相に求めた(7月13日)ことで紛糾を続けていた連合は7月26日、これを撤回することを3役会(会長、事務局長、副会長)で確認しました。

 今日27日に札幌で開く中央執行委員会で正式に決めます。連合傘下の組合から厳しい批判が相次いだのをはじめ、全国過労死を考える家族の会など労働関係の団体が強く反対したために撤回したものです。

 神津里季生会長が安倍首相に修正を求めてから2週間。連合執行部がいったん決めた方針を撤回するのは、連合結成(1989年)以来、異例のことです。

連合本部
(連合本部=東京都千代田区)

 「残業代ゼロ」法案は、労働基準法の1日8時間、週40時間の「労働時間の規制を除外する」というもので、どれだけ働いても残業代は出なくなります。過労死をいっそう増やすものです。安倍政権が2015年に国会に提出して以来、2年あまり一度も審議されていません。

 対象労働者は、金融商品の開発業務や研究開発業務など“高度プロフェッショナル”な仕事にたずさわり、年収1075万円以上で、労働者の平均賃金の3倍以上、希望する者などとしています。

 第1次安倍政権も、「残業代ゼロ」法案を提出しましたが、労働界や野党がこぞって反対したために廃案になりました。安倍政権は、これに懲りてあたかもごく少数の“高度プロフェッショナル”のための、成果に応じて賃金が支払われる制度などと装いを新たにして提出してきました。

 しかも、1カ月の残業を過労死ラインの「100時間未満」まで認めるなどとする労働基準法の改悪とセットにして秋の臨時国会で通過をねらっています。

 連合の逢直人事務局長らが、水面下で安倍政権や日本経団連と接触して、修正を打診していたことが明るみに出ました。連合内の正式の会議で議論もせずに、安倍首相に直接、修正を要求するという組合民主主義を壊すような手法にも、批判が噴出しました。

 修正内容も、「104日以上の休日」を企業に義務付ける、臨時の健康診断など4つから選択するというもので、労働者の健康を守り、過労死をなくすことからはほど遠い内容と強い批判が上がりました。

 神津会長の修正提案に安倍首相が、「残業代ゼロ法案といったレッテル張りの批判に終始すれば、中身のある議論が行えないと考えていたところ、本日の提案は、中身についての提案であり、建設的なもの」などとのべて歓迎したことも、連合内外で、これまでのたたかいを逆なでするものとの批判が出ました。

 このブログ「トヨタで生きる」では、連合が「残業代ゼロより過労死ゼロ」のスローガンで「残業代ゼロ」法案に反対してきたことをくり返し伝え、その原点に戻るよう求めてきました。

 連合が、安倍首相への修正要求を撤回したことは当然でしよう。安倍政権は、共謀罪の強行可決や国政を私物化する加計学園問題、憲法9条を2020年までに改悪することを主張するなどして、支持率を20%台までに急落させています。

 「残業代ゼロ」法案の2度目の廃案が可能な情勢であり、連合や全労連をはじめ労働界と野党は一丸となって廃案に追い込もうではありませんか。同時に、月「100時間未満」までの残業を認めさせないようにしましょう。
残業代ゼロ法案 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2017/07/27 09:04

◎連合は原点に戻ろう 「残業代ゼロより過労死ゼロ」

 「残業代ゼロ」法案(「高度プロフェッショナル」制度)をめぐって連合は7月21日の中央執行委員会で、執行部が安倍首相に求めた修正に批判が続出したために、さらに議論を続けていくことになりました。

 1989年に結成された連合で、異例の事態が続いています。神津里季生会長が7月13日に求めた修正は、「104日以上の休日」を企業に義務付ける、臨時の健康診断など4つから1つを選択し、労働者の健康を守るというものでした。

 しかも逢見直人事務局長らが水面下で安倍政権と協議していたことが明らかになりました。組織議論をすることもなく、これまでの連合の反対の姿勢を唐突に変更して、安倍首相に修正を求めるというものでした。

 この日の中央執行委員会(単産や地方連合の幹部で1カ月に1回開かれている)では、「連合によると、出席者は75人だった。出席した産別幹部らによると、このうち10人以上が高プロの修正案について発言。その多くが『なぜ組織に諮らずに水面下で交渉したのか』などと、方針転換の経緯や執行部の意図をただす内容だった。『政労使合意を結ぶべきではない』という明確な反対意見も出た」(朝日新聞、22日付)といいます。

 「残業代ゼロ」法案は、第1次安倍政権でも国会に提出されましたが、労働界がそろって反対するなどして廃案になりました。安倍政権は、「高度プロフェッショナル」制度などと、あたかもごく一部の労働者だけの制度のように装いを新たにして提案してきました。

連合 残業代ゼロより過労死ゼロ
(連合が掲げてきたスローガン「残業代ゼロより過労死ゼロ」)

 しかし、労働基準法で定められた1日8時間、週40時間の労働時間規制をはずし、どれだけ働いても残業代は付かないという骨格はなんら変わらないものです。

 いまでも過労死と認定されている労働者は16年度で107人、過労自殺は84人におよぶほどの長時間労働なのに、労働時間規制をはずせば過労死・過労自殺を増やすことになるでしょう。

 連合は、「残業代ゼロより過労死ゼロ」という、労働者の気持ちに寄り添うスローガンを掲げて「残業代ゼロ」法案に反対してきました。それなのに突然の安倍首相への修正要請でした。

 中央執行委員会で執行部への批判が相次いだのは当然でしょう。安倍政権は、共謀罪法の強行や国政を私物化する森友・加計学園問題で支持率を急落させ、崖っぷちといわれる30%を割っています。

 そんな安倍政権に修正を求めるのではなく、廃案に追い込む時でしょう。「残業代ゼロより過労死ゼロ」の原点に戻り、機関会議だけではなく、職場で徹底した議論をすることが求められるでしょう。
残業代ゼロ法案 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2017/07/23 10:29

◎「働く私たちを守れ」 連合前で異例の抗議

 連合が、「残業代ゼロ」法案(「高度プロフェッショナル」制度)の修正要請を安倍首相に行った(7月13日)ことについて、同連合本部前で7月19日夜、労働者らが抗議をする異例の事態になっています。メディアも報道しており、連合結成(1989年)以来の出来事です。

 この日の昼間には、連合の神津里季生会長、逢見直人事務局長と副会長でつくる3役会が開かれ、21日に開く中央執行委員会で執行部の修正提案に理解を求めることにしたといいます。

 NHKは、「このままでは労働者の健康の確保が非常に弱いままになってしまうため修正を申し入れた。その趣旨をきっちり共有していくことが必要だ」と述べたのに対し、出席者からは組織内の手続きを丁寧に踏むよう求める意見が出されました、などと伝えました。

 夜の抗議では、約100人の労働者らが参加。「働く私たちを守れ」「連合は勝手に労働者を代表するな」「私の残業を勝手に売るな」などのプラカードを掲げました。

 そして、「連合は私たちを守って」「長時間労働、サービス残業が合法化されるなんてとんでもない」などと語り、コールしたといいます。

10 連合1
(連合本部=東京都千代田区)

 連合は、残業時間の上限規制でも、過労死ラインである、月「100時間未満」まで、日本経団連と安倍首相との3者で今年3月に合意しています。

 経団連の榊原定征会長と交渉をしてきた神津会長は、「労使関係は片方だけが万々歳にはならない。不満はあるが、ちゃぶ台返しはできない」(3月15日の記者会見)と語りました。

 賃上げ交渉なら要求の100%を獲得ができず、妥協することはあるでしょう。残業の上限規制や「残業代ゼロ」法案は、労働者の命がかかった問題です。過労死に追いやられるような法案に賛成することができないのは当然です。

 この問題が起きると、一部では労働組合不要論や連合を主敵にした論調がありますが、私たちはそうした考えには同調できません。連合は、特定の政党の支持を労働者に強要したり、労使協調をすすめるなどの弱点を持っています。

 そうした弱点は、原点である職場と運動で克服するべきです。連合執行部が安倍首相に行った修正提案では、「労働者の健康の確保」などはできないことは、毎年3ケタもの過労死認定がある日本と職場の実態を見ればわかることです。

 連合執行部は、「残業代ゼロ」法案を職場に降ろし、労働者のなかで十分議論するようにすべきです。今回のように、一部執行部の独走で安倍首相に修正を求めるのは組合民主主義の点からも禍根を残すものです。

残業代ゼロ法案 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2017/07/20 10:44

◎裁量労働制 「連合」の修正案をどう見るか

 連合は、安倍首相に「残業代ゼロ」法案(「高度プロフェッショナル制度」)の修正要請(7月13日)をするとともに、「裁量労働制が営業職全般に拡大されないことの明確化」を求めました。

 トヨタ自動車では、企画裁量型で370人、専門業務型で1403人、合わせて1773人が裁量労働制で働いています(17年3月時点)。延べ244人が健康診断を受診しています。また、国内外の営業部門で働いている労働者がいます。

 連合が営業職全般に裁量労働制を拡大しないよう要請したことについて、すでに営業マンに大量に裁量労働制が導入されている損害保険の職場について、「NPO法人 働き方ASU-NET」は、次のような批判(要旨)を掲載しています。

……
 損保ジャパン日本興亜の「企画業務型裁量労働制」については、本来対象外であるはずの営業や保険金サービス(自動車保険などの損害調査・保険金支払業務)の職員に対してもこの制度が適用されていること。

 職員18、000人のうち、「企画業務型裁量労働制」が6000人強の社員に導入され、そこに「事業場外労働制」と名ばかり「管理監督者」を加えると、実に60%以上の社員が労働時間管理の対象外となっていることを問題視してきました。

損保ジャパン本社
(損保ジャパン日本興亜の本社=東京都新宿区、グーグルアースから)

 同社の「企画業務型裁量労働制」については、(今年)3月22日、参議院・厚生労働委員会で共産党の小池晃議員が取り上げ「損保ジャパン日本興亜の人事部資料を見ますと、企画業務型裁量労働制の対象として『営業』とはっきり書かれております。

 これは明らかに対象外だと思います。実際、労働者へ聞いたところ、支店とか、20人から30人程度の支社の一般の営業職にまで企画業務型が導入されている。これ直ちに調査すべきじゃないですか」と追及しました。

 これに対して塩崎恭久・厚生労働大臣は、「労働基準法違反ということを確認された場合には当然厳しく指導していかなきゃいけないというふうに思います」と回答しています。

 すでに国会マターとなっているこうした問題を検証し、労働基準法違反がまかり通っている現状を明らかにすることが連合の当面行うべき仕事ではないでしょうか。
……

 全文は、次のアドレスで読めます。
http://hatarakikata.net/modules/column/details.php?bid=411
残業代ゼロ法案 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2017/07/19 08:32

◎「残業代ゼロ」法案とは「レッテル張り」か?

 労働組合の全国組織、連合の神津里季生会長が、「残業代ゼロ」法案の修正を安倍首相に要請(7月14日)したことについて、「連合ニュース」が伝えています。このなかで、安倍首相は、次のように答えたといいます。

……
 現在提出している労働基準法改正案の目的は、働く人の健康を確保しつつ、その意欲や能力を発揮できる新しい労働制度の選択を可能とするものであり、残業代ゼロ法案といったレッテル張りの批判に終始すれば、中身のある議論が行えないと考えていたところ、本日の提案は、中身についての提案であり、建設的なもの。
……

 「残業代ゼロ」法案とは、「労働時間の規制を除外する」といって、労働基準法の1日8時間、週40時間の労働時間規制をなくし、成果に基づいて賃金を支払うというものです。残業代はなくなります。

 対象労働者は、金融商品の開発業務や研究開発業務など“高度プロフェッショナル”な仕事にたずさわり、年収1075万円以上で、労働者の平均賃金の3倍以上、希望する者などを想定しています。

 安倍政権は、「高度プロフェッショナル」制度と呼び、労働基準法の改定を2015年に国会に提出しました。

 神津会長は、「毎年100名を超える方が過労死で亡くなっている現実を直視すれば、いま政府がなすべきことは『残業代ゼロ』制度を作り出すことではなく『過労死ゼロ』を実現するための施策を早急に講じることだ」とのべ、連合は、「残業代ゼロより過労死ゼロ」のスローガンで強く反対してきました。

10 連合2
(連合の本部=東京都千代田区)

 全労連など労働界や野党も一致して反対してきたために、一度も審議されませんでした。

 安倍首相は、神津会長の修正提案に対し、連合も「残業代ゼロ」と呼んだ法案を「レッテル張り」とのべたうえに、連合の提案を「建設的なもの」と評価し、持ち上げました。

 「レッテル張り」どころか、法案の本質をずばり突いたのが「残業代ゼロ」です。“高度プロフェッショナル”などといって本質を隠し、労働者を長時間労働と過労死に追いやることの方がレッテル張りでしょう。

 安倍首相は、首相と神津会長、日本経団連の榊原定征会長の3者で政労使合意ができるよう「最大限、尽力したい」と連合の修正提案に賛同しました。

 労働組合の全国組織の1つである連合が、修正提案をしたことに連合内からも強い批判が出ています。全労連も反対しています。連合は、10月に大会を開く予定です。

 連合は、「残業代ゼロより過労死ゼロ」の原点に戻り、大会をめざして組織内討論を尽くすとともに、「全国過労死を考える家族の会」など広範な団体の意見に耳を傾けるべきではないでしょうか。

残業代ゼロ法案 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2017/07/17 15:24

◎泣いている、「残業代ゼロより過労死ゼロ」

 連合のスローガン「残業代ゼロより過労死ゼロ」を、2014年に初めて知った時、「労働者の気持ちにぴったり」と感動したものでした。そのスローガンが、労働者や過労死の家族らの涙で消えようとしています。

 7月13日、連合の神津里季生会長は、安倍晋三首相と会談し、「残業代ゼロ」法案(「高度プロフェッショナル」制度)の修正を要請しました。安倍首相は、「しっかり受け止める」とのべたといいます。

 同法案は、「労働時間の規制を除外する」といって、労働時間ではなく成果に基づいて賃金を支払うというものです。残業代はなくなります。対象労働者は、金融商品の開発業務や研究開発業務など“高度プロフェッショナル”な仕事にたずさわり、年収1075万円以上で、労働者の平均賃金の3倍以上、希望する者などを想定しています。

 消費税のように、小さく産んで大きく育てたように、業務対象者も年収制限も拡大させることは目に見えています。労働者を長時間労働、過労死に追いやるでしょう。

 秋に開かれる臨時国会で安倍政権は、同法案と月「100時間未満」までの残業の上限規制法案(いずれも労働基準法改定案)がセットで提案することをねらってきましたが、これを手助けするものです。

連合17メーデー
(全トヨタ労連も参加した東京の連合のメーデーで、「もう、過労死はなくそう」「インターバル規制を導入しよう」などのスローガンを書いた旗がなびきました=東京・代々木公園、17年4月29日)

 安倍政権は、2015年に国会へ「残業代ゼロ」法案を提出しましたが、2年以上にわたって審議が行われませんでした。これに先立つ14年10月28日、連合は厚労省前で集会を開き、神津会長はつぎのように訴えました。

 「毎年100名を超える方が過労死で亡くなっている現実を直視すれば、いま政府がなすべきことは『残業代ゼロ』制度を作り出すことではなく『過労死ゼロ』を実現するための施策を早急に講じることだ。関係者はそのために知恵を絞るべき。労働時間法制の改悪は、我々の総力を結集して何としても阻止しよう」

 その神津会長は、「できる限り是正しないといけない」と言って安倍首相に修正を要請したのです。修正の内容とは、別表のように「104日以上の休日」を企業に義務付ける、臨時の健康診断など4つから選択するというものです。

日経 修正
(修正のポイント=日経新聞、7月14日付から。日経は「残業代ゼロ」法案を「脱時間給」と称しています)

 この程度の修正で長時間労働が是正され、過労死がなくなるのか? 連合内からも批判が噴出。7月8日に連合で開かれた会議では、主要単産の自動車総連や電機連合などから批判が続出し、修正を容認したのは連合の逢見直人事務局長の出身単産のUAゼンセンだけだったといいます(日経新聞、14日付)。

 唐突な連合の修正要請ですが、実際には「水面下の変身」(朝日新聞、14日付)といわれるように、逢見事務局長らが安倍政権や日本経団連とひそかに接触を続けてきたといいます。

 連合内でまともな議論も行わず、安倍首相と直に取り引きするなどは労働組合のすることでしょうか。日経新聞(14日付)は、安倍政権のこんな政治的思惑を指摘しています。

 「首相サイドには、共産党との連携に傾く民進党執行部への不信感を強める連合を揺さぶるため、修正要求に応じて、民進党内の保守系議員の離反を促す意図もありそうだ」

 「残業代ゼロ」法案には、野党4党や連合、全労連などがこぞって反対してきました。安倍政権が、共謀罪法の強行や国政を私物化する森友・加計学園問題で支持率を急落させている現在、「残業代ゼロ」法案を葬り去るチャンスの時です。

 大きな声をあげたい。神津会長ら連合幹部は安倍政権にすり寄るのではなく、もう一度、「残業代ゼロより過労死ゼロ」の旗を振り、「労働者の総力を結集して阻止しよう」と訴えるべきではないか――。
残業代ゼロ法案 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2017/07/14 15:35

◎今こそ「残業代ゼロより過労死ゼロ」の旗を高く掲げる時

 日経新聞の7月11日付1面トップの記事に驚きました。連合をはじめ労働界や野党が一致して、安倍政権の「残業代ゼロ」法案(ホワイトカラーエグゼンプション)に反対しているのに、連合執行部が安倍首相に修正提案をして、同法案を受け入れる方向だという記事が掲載されたからです。

 「残業代ゼロ」法案とは、労働基準法で定められた1日8時間、週40時間の労働時間制度を崩し、賃金は仕事の成果で決めるというものです。どれだけ働いても“残業代はゼロ”です。

 対象労働者は、金融商品の開発業務や研究開発業務など“高度プロフェッショナル”な仕事にたずさわり、年収1075万円以上で、労働者の平均賃金の3倍以上、希望する労働者などが対象といいます。

 日経新聞は、「脱時間給」法案と称しています。日経によると、修正内容は次のようだと指摘します。

……
 「労使に休日取得を徹底させ、年104日以上の休日確保を企業に義務付ける。労使が複数のメニューから休みやすい体制を選べる仕組みも作る。「(退社から出社までに休息を設ける)勤務間インターバル」「労働時間の上限設定」「2週間連続の休暇の確保」「臨時の健康診断の実施」などを選択項目とする方向だ。
……

連合愛知
(連合愛知やトヨタ労組が賃上げとともに、「STOP労働者保護ルールの改悪」などをかかげたカラーリーフ。「残業代ゼロより過労死ゼロ」を主張しています)

 「しんぶん赤旗」(12日付)は、「年104日の休日とは、週休2日だけを与えれば、あとはお盆や正月、国民の休日も休まず働かせることができるものです。4週間の最初に4日の休日と次の4週間の最後に4日の休日を与えれば、48日間連続して働かせることも可能です」と批判しています。

 これでは労働者は、過労死してしまうでしょう。連合はこれまで、「残業代ゼロより過労死ゼロ」のスローガンをかかげ、残業代ゼロに強く反対してきました。「連合執行部の唐突な『方針転換』に身内からも異論が相次いでいる」(朝日新聞、12日付)といいます。

 共謀罪法の強行や国政を私物化する森友・加計学園問題で、安倍政権の支持率は30%そこそこまでに急落しています。安倍政権は、明日どうなるかわからなくなっています。

 そんな政権に修正提案する時でしょうか? 「残業代ゼロより過労死ゼロ」の旗を今こそ高く掲げる時ではないでしょうか。
残業代ゼロ法案 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2017/07/12 20:45

◎日本の課長と部下は、1日10時間以上働く割合が多い

 リクルートワークス研究所は4月9日、中国・タイ・インド・アメリカ・日本のマネジャーとマネジメントにかんする「五カ国マネジャー調査」(14年9~10月調査。回答者数は各国で302~429人)を発表しました。「仕事とキャリアの国際比較」というユニークな調査です。

 なかでも1日当たりの労働時間の5カ国比較は、考えさせられます。1日10時間以上働く割合は、日本の課長が36・9%、アメリカの課長が35・9%で、両国とも長時間労働になっています。

 しかし、10時間以上働く部下の割合をみると、日本ではが28・5%、アメリカが9・5%と大きな開きがあります。アメリカの部下は、8時間以上9時間未満(定時退社)が61・2%と大多数を占めています。

 リクルートワークス研究所は、「マネジャーだけが長時間労働するアメリカに対して、日本は、課長もその部下も同じくらい長時間労働している」と分析しています。

 1日10時間以上働くのは、中国は課長4・4%、部下2・0%で、タイは課長10・5%、部下16・2%、インドは課長12・5%、部下10・0%でした。

 以下は、リクルートワークス研究所の分析です。

 ・アメリカでは、マネジャーと部下は、そもそも階層からくる仕事の内容が異なり、その働き方も違ってくる。
 ・日本では、マネジャーと部下が同質的で、相似形をなして、マネジメントやプレイヤー業務に従事していると考えられる。

 ・中国は、週5日労働で、課長本人も部下も時間外労働をほとんどしない。時間管理が厳しいことがわかる。
 ・タイは、課長本人と部下ともに、2割程度が時間外労働をする。インドも同様に、階層を問わず、2〜3割程度が時間外労働をするが、インドでは、1日7時間未満の短時間労働の割合が高い。

 結論は、「日本のマネジャーとその部下が、長時間労働を前提として働いているのだとしたら、外国人にとって魅力ある職場とはいえず、よい人材を集められないだろう」と強調しています。

東京駅前 出退勤
(東京駅の丸の内側)

 1日10時間以上働くのは、日本の課長が36・9%、部下が28・5%というのは、国際的にみても異常に多いことがわかります。日本の1日の労働時間は8時間ですから、2時間以上の残業をしていることになります。

 1カ月で換算すると40時間以上になります。厚労省の通達では、「月45時間」を超えると、健康障害のリスクが徐々に高まるとしており、月80時間は「過労死ライン」としています。

 厚労大臣告示では、残業は「月45時間」までとしています。日本共産党の志位和夫委員長は2月20日の衆院予算委員会で、残業の上限を法律で「月45時間」とするよう求めました。

 安倍首相は、これに応じませんでした。今回のリクルートワークス研究所の5カ国国際調査からも、月45時間の法制化がきわめて重要なことがわかります。
残業代ゼロ法案 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2015/04/10 10:27

◎ダンダリンも、「だめです!」

 安倍内閣は4月3日、過労死を促進する、いわゆる「残業代ゼロ法案」(安倍内閣は「高度プロフェッショナル制度」と呼称)の導入に向けて、労働基準法を一部「改正」することなどを閣議決定しました。

 1日8時間、週40時間の労働時間制度を根本的に崩すもので、残業代がなくなる一方で、労働者は過労死するまで働かせられる制度です。トヨタ労組が加盟する連合は、「残業代ゼロより、過労死ゼロ」と主張し、導入に反対しています。

 安倍政権は、5月の連休明けに国会に提出し、来年4月から実施しようとしています。対象者は、研究開発職や為替ディーラー、アナリストなどで、年収が1075万円以上としています。トヨタでは、研究開発職は約2万人におよびます。

出勤 テクニカル
(出勤するトヨタ社員ら。向こう側のビルは、技術者が働くテクニカルセンター)

 この法案が、「新たな労働時間制度」などと呼ばれていた昨年11月に、労働基準監督官の約2000人を対象にアンケートを実施し、1370人から回答を得たのが全労働省労働組合です。

 労働基準監督官は、職場に出向いて労働者の労働実態を監督・指導しており、労働者の働き方をもっともよく知っています。テレビドラマ、「ダンダリン」(2013年秋放送)で竹内結子が演じたので知られています。

 それによると、「残業代ゼロ法案」の導入に「賛成」は13.3%にとどまり、「反対」は53.6%、「どちらとも言えない」が33.1%で、反対が半数を超えました。

 同法案の導入による影響については、「長時間・過重労働がいっそう深刻化する」が73.4%、「長時間労働が抑制され効率的な働き方が広がる」は4.2%、「わからない」が22・4%でした。過労死が促進されると懸念していることが浮き彫りになりました。

全労働
(全労働省労働組合のホームページから。小数点以下はなし)

 日本共産党の志位和夫委員長は、安倍内閣の閣議決定の翌日の4月4日、激しくたたかわれているいっせい地方選挙で、静岡県静岡市、浜松市、愛知県豊橋市で街頭演説しました。

 このなかで志位委員長は、「残業代ゼロ」法案にふれ、「こんな法律ができたら、過労死が増えるのは火をみるより明らかです」と厳しく批判。経団連・経済同友会役員企業の35社中28社が「過労死ライン」=月80時間を超える残業協定を結んでいる実態を指摘しました。

 これを「異常だと思わないか」と何度問うても、かたくなに「異常だ」と口にしない首相に対し、“異常を異常と言えない、あなたが異常だ”と問い詰めた自らの国会論戦(2月20日)を紹介しました。

 その上で、「残業代の上限を法律で規制(月45時間)し『過労死ゼロ』の日本をつくっていきましょう。『国民が世界で一番暮らしやすい国』をつくりましょう」と訴えました。

残業代ゼロ法案 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2015/04/05 11:55
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