◎日本の課長と部下は、1日10時間以上働く割合が多い

 リクルートワークス研究所は4月9日、中国・タイ・インド・アメリカ・日本のマネジャーとマネジメントにかんする「五カ国マネジャー調査」(14年9~10月調査。回答者数は各国で302~429人)を発表しました。「仕事とキャリアの国際比較」というユニークな調査です。

 なかでも1日当たりの労働時間の5カ国比較は、考えさせられます。1日10時間以上働く割合は、日本の課長が36・9%、アメリカの課長が35・9%で、両国とも長時間労働になっています。

 しかし、10時間以上働く部下の割合をみると、日本ではが28・5%、アメリカが9・5%と大きな開きがあります。アメリカの部下は、8時間以上9時間未満(定時退社)が61・2%と大多数を占めています。

 リクルートワークス研究所は、「マネジャーだけが長時間労働するアメリカに対して、日本は、課長もその部下も同じくらい長時間労働している」と分析しています。

 1日10時間以上働くのは、中国は課長4・4%、部下2・0%で、タイは課長10・5%、部下16・2%、インドは課長12・5%、部下10・0%でした。

 以下は、リクルートワークス研究所の分析です。

 ・アメリカでは、マネジャーと部下は、そもそも階層からくる仕事の内容が異なり、その働き方も違ってくる。
 ・日本では、マネジャーと部下が同質的で、相似形をなして、マネジメントやプレイヤー業務に従事していると考えられる。

 ・中国は、週5日労働で、課長本人も部下も時間外労働をほとんどしない。時間管理が厳しいことがわかる。
 ・タイは、課長本人と部下ともに、2割程度が時間外労働をする。インドも同様に、階層を問わず、2〜3割程度が時間外労働をするが、インドでは、1日7時間未満の短時間労働の割合が高い。

 結論は、「日本のマネジャーとその部下が、長時間労働を前提として働いているのだとしたら、外国人にとって魅力ある職場とはいえず、よい人材を集められないだろう」と強調しています。

東京駅前 出退勤
(東京駅の丸の内側)

 1日10時間以上働くのは、日本の課長が36・9%、部下が28・5%というのは、国際的にみても異常に多いことがわかります。日本の1日の労働時間は8時間ですから、2時間以上の残業をしていることになります。

 1カ月で換算すると40時間以上になります。厚労省の通達では、「月45時間」を超えると、健康障害のリスクが徐々に高まるとしており、月80時間は「過労死ライン」としています。

 厚労大臣告示では、残業は「月45時間」までとしています。日本共産党の志位和夫委員長は2月20日の衆院予算委員会で、残業の上限を法律で「月45時間」とするよう求めました。

 安倍首相は、これに応じませんでした。今回のリクルートワークス研究所の5カ国国際調査からも、月45時間の法制化がきわめて重要なことがわかります。
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残業代ゼロ法案 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2015/04/10 10:27

◎ダンダリンも、「だめです!」

 安倍内閣は4月3日、過労死を促進する、いわゆる「残業代ゼロ法案」(安倍内閣は「高度プロフェッショナル制度」と呼称)の導入に向けて、労働基準法を一部「改正」することなどを閣議決定しました。

 1日8時間、週40時間の労働時間制度を根本的に崩すもので、残業代がなくなる一方で、労働者は過労死するまで働かせられる制度です。トヨタ労組が加盟する連合は、「残業代ゼロより、過労死ゼロ」と主張し、導入に反対しています。

 安倍政権は、5月の連休明けに国会に提出し、来年4月から実施しようとしています。対象者は、研究開発職や為替ディーラー、アナリストなどで、年収が1075万円以上としています。トヨタでは、研究開発職は約2万人におよびます。

出勤 テクニカル
(出勤するトヨタ社員ら。向こう側のビルは、技術者が働くテクニカルセンター)

 この法案が、「新たな労働時間制度」などと呼ばれていた昨年11月に、労働基準監督官の約2000人を対象にアンケートを実施し、1370人から回答を得たのが全労働省労働組合です。

 労働基準監督官は、職場に出向いて労働者の労働実態を監督・指導しており、労働者の働き方をもっともよく知っています。テレビドラマ、「ダンダリン」(2013年秋放送)で竹内結子が演じたので知られています。

 それによると、「残業代ゼロ法案」の導入に「賛成」は13.3%にとどまり、「反対」は53.6%、「どちらとも言えない」が33.1%で、反対が半数を超えました。

 同法案の導入による影響については、「長時間・過重労働がいっそう深刻化する」が73.4%、「長時間労働が抑制され効率的な働き方が広がる」は4.2%、「わからない」が22・4%でした。過労死が促進されると懸念していることが浮き彫りになりました。

全労働
(全労働省労働組合のホームページから。小数点以下はなし)

 日本共産党の志位和夫委員長は、安倍内閣の閣議決定の翌日の4月4日、激しくたたかわれているいっせい地方選挙で、静岡県静岡市、浜松市、愛知県豊橋市で街頭演説しました。

 このなかで志位委員長は、「残業代ゼロ」法案にふれ、「こんな法律ができたら、過労死が増えるのは火をみるより明らかです」と厳しく批判。経団連・経済同友会役員企業の35社中28社が「過労死ライン」=月80時間を超える残業協定を結んでいる実態を指摘しました。

 これを「異常だと思わないか」と何度問うても、かたくなに「異常だ」と口にしない首相に対し、“異常を異常と言えない、あなたが異常だ”と問い詰めた自らの国会論戦(2月20日)を紹介しました。

 その上で、「残業代の上限を法律で規制(月45時間)し『過労死ゼロ』の日本をつくっていきましょう。『国民が世界で一番暮らしやすい国』をつくりましょう」と訴えました。

残業代ゼロ法案 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2015/04/05 11:55
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