◎「トヨタ・テクニカル・レビュー」 プリウス特集

 市販されているトヨタ自動車の技術誌、『トヨタ・テクニカル・レビュー』(オーム社、1800円・税別)を読みました。4代目の「プリウス特集」をしているからです。

 4代目プリウスを見かけることが多くなりました。駐車場で、自分が乗っている3代目と並んだことがあります。ぱっと見で、スポーティになっている印象です。重心が低くなり、後部のランプ部分も鋭角になるなど、“おじさんのクルマ”から変身しようとしていることがよくわかります。

10 トヨタ テクニカルレビュー


 「テクニカル・レビュー」では、巻頭論文に、「プリウスが変わった! トヨタが変わった!」があります。

 豊田章男社長の唱える「もっといいクルマづくり」をもとに、TNGAとの融合で、かっこいいデザイン、低重心・新サスペンション・高剛性ボデーによる走りの楽しさ、静粛な空間、先進の安心・安全装備などにより、4代目プリウスは世界に発信していく役割を担っている、といいます。

 プリウスの最大のウリである燃費について、リッター当たり3代目の32・4kmから40・8kmへと突き抜けた燃費性能向上を実現したと指摘しています。

15 トヨタ テクニカルレビュー 中身


 TNGAとは、トヨタの新たな経営戦略、「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」のことです。これまでの車種ごとの開発を改め、ユニットごとに開発して共通化し、原価低減などをめざすものです。4代目プリウスは、その最初のクルマとなります。

 「テクニカル・レビュー」には、「TNGAによるもっといいクルマづくり」の論文もあります。このなかで、初代クラウン以来、「CE(チーフエンジニア)制度」をもとにクルマの開発をめざしてきたが、グローバル化でプラットプラットホームは小分類で約100種類にも増えたといいます。

 また、エンジン種類数も、各国の排気規制の違いなどにより約800種類までに増大したことをあげています。そこでTNGAでは、クルマの心臓部のプラットホームとパワートレーンユニットを新たに開発。これらTNGA部品と呼ぶものを賢く共通化していると指摘しています。

 100ページを超えるプリウス特集は、カラー写真や図、グラフをたくさん使って、4代目プリウスに代表されるクルマの最新技術をわかりやすく伝えています。
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自動車技術 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2016/07/31 09:40

◎身近になった人工知能

 スマホでメールするさい、指で文字を打っていたら? 時代遅れです。文字入力のそばにマイクの印があります。音声で入力すべきです。

 「今日は突然の残業で、家に帰るのは9時ころになります」

 これくらいの文章なら、ほとんど100%の確率で音声を文章に変換してくれます。実は、人工知能が文章化してくれているのです。このことを知ったのは、『「超」整理法』などの著作で知られる野口悠紀雄氏の近著『人工知能が助けてくれる! 話すだけで書ける究極の文章法』(講談社)です。

野口


 野口氏は、音声入力について、要旨、次のように書いています。スマホに音声認識機能が収納されているのではなく、インターネットを通じてアップルやグーグルのコンピューターにつながり、そこで解析されて文字のテキストに変換され、ネットを通じて自分のスマホの画面に表示される…。

 野口氏は、この本もスマホの音声入力を使って書いたというから驚きです。人工知能が私たちの生活のなかにどんどん入りこんでいます。そういえば新聞、テレビ、雑誌、本などで人工知能のことを書いたり、放送したりすることが増えました。

 将棋や囲碁では、人工知能がプロ棋士を負かせています。芸術の分野にまで進出しています。画家・レンブラントの「新作」まで登場しています。レンブラントの作品を3Dスキャンし、構図、筆致、色使いを解析し、「新作」を人工知能を使って描かせるというからビックリです。

 自動車の自動運転も目の前に来ているようです。これも人工知能技術が欠かせないものです。IT技術の巨人、グーグルがプリウスを使って自動運転の走行実験を続けています。

 自動車メーカーは、うかうかできない時代です。トヨタ自動車は昨年11月6日、「人工知能技術」の研究・開発を目的にした新会社、「トヨタ リサーチ インスティテュート」をアメリカに設立すると発表しました。

 今年1月に、シリコンバレーにつくり、5年間で10億ドル(約1200億円)を投入するといいます。人工知能技術が次世代車を左右するからでしょう。身近なところにも人工知能技術が急速に広がっています。まず、スマホで音声入力してみませんか。
自動車技術 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2016/07/27 07:03

◎加速する自動運転技術

 正月明けの1月7日、アメリカ・ラスベガスの世界最大の家電ショーで、トヨタ自動車は、ベンチャー企業と共同開発し、人工頭脳を搭載したプリウスの8台の模型車を走らせ、注目を集めました。

 最初は、学習していないプリウスの模型を走らせますが、お互いにぶつかりあいます。この後、周囲の状況などを人工頭脳に入力し、ハンドル、アクセル、ブレーキに接続させて走らせます。しだいに人工頭脳は学習効果で賢くなり、ぶつかることなくスムーズに走ります。

 その動画をNHKニュースで見て、驚き、感心しました。自動運転の技術がここまで来ているのだ!と。同時に、これからのクルマづくりを左右するのは、自動運転技術だということを痛感しました。

自動運転 模型1
(自動運転のプリウスの模型。最初はぶつかりあいます=NHKの1月7日のニュースから)

 というのも、IT技術で独走するグールグが自動運転に参入し、プリウスを使って実走実験をくり返しているからです。もはや、自動車は自動車産業だけのものではなくなってきたことを示しています。

 「日経ビジネス」(2015年10月26日号)は、「トヨタ、グーグルも頼る自動運転の覇者 コンチネンタル」を特集しました。

 コンチネンタルは、ドイツの老舗のタイヤメーカーですが、自動運転に必要な制御ソフトやセンサーなどの技術に力をそそぎ、いまや売上高でデンソーを抜き、自動車部品トップのボッシュに迫っているといいます。

 ソフト技術者は約1万2000人にのぼり、技術者全体のほぼ半数を占めているといいます。もはや自動車部品会社ではなく、電機・IT技術会社といっていいでしょう。

 人工頭脳技術についてトヨタは、昨年11月6日、それを研究・開発を目的にした新会社、「トヨタ リサーチ インスティテュート」を設立すると発表しました。16年1月にアメリカのシリコンバレーにつくるもので、5年間で10億ドル(約1200億円)を投入するといいます。

 マサチューセッツ工科大学とスタンフォード大学と連携し、自動車の自動運転をはじめとする研究・開発とともに新たな産業もつくるといいます。

自動運転 模型2
(人工知能で学習し、スムーズに走るプリウスの模型=NHKの1月7日のニュースから)

 自動車メーカーなどが自動運転技術にしのぎを削る大きな目的の1つは、自動運転で事故をなくすことだといいます。確かに、自動列車制御装置(ATC)などを導入した鉄道では、運転士のミスを防ぐ大きな役割を果たしています。

 兵庫県の福知山線脱線事故(2005年)で107人が死亡したのは、JR西日本が尼崎の急カーブにATCを設置していなかったことが原因でした。自動車でも、運転手のミスを技術で防いで事故を減らし、将来的にはなくすことは必要でしよう。

 一方で、リコールの原因の1つはソフトのプログラムミスであることも事実です。国交省の不具合原因分析では、2009年度~13年度の5年間平均で13件、全体の3・8%を占めています(作業員のミスは、29件で同8・5%)。自動運転に欠かせない制御ソフトに不具合があったら、悲惨な事故につながる可能性があります。

 自動運転技術には、限りない可能性がありますが、ソフトの不具合をどう防ぐか? ソフトをつくるのは人間です。ソフト技術者がたくさん働いていた電機産業では、20万人ものリストラが強行されています。

 現在も、シャープや東芝で大規模なリストラが行われています。自動運転技術へのシフトで、自動車の職場は大きく変わるでしょう。ソフト技術者を大切にしてこそ、自動車会社の明日はあるでしょう。
自動車技術 | コメント(5) | トラックバック(0) | 2016/01/12 09:58

◎自動車がハッカーにねらわれる

 7月24日、朝のNHKテレビを見ていて驚いた。アメリカで高速道路を走っているクルマの映像が流れる。突然、ドライバーが何もしないのに、ラジオが大音響で鳴り、ワイパーが動く、急に減速する…。

 アメリカ人のハッカーが自動車専門誌といっしょにつくった映像だ。旧クライスラー(フィアット傘下に入りFCAUSに)車にインターネットで接続し、車をまるごと乗っ取る(ハッキング)実験だ。

車のハッキングの実験
(車のハッキングの映像から)

 車は鉄の塊からコンピューターの塊へと変化してきた。ネットを通じて渋滞情報や最近の地図情報などが取り込める。さらに自動ブレーキから自動運転へ…ネットに接続した車へと大きく変わろうとしている。

 科学の力で、事故ゼロめざす取り組みは重要だ。しかし、その一方でハッキングが襲う。

 コンピューター、インターネットも軍事研究、利用から始まり、今や日常の生活に溶け込み、なくてはならないものになってきた。パソコンやコンピューターがサイバー攻撃されて個人情報などが流失する被害は後をたたない。

 日経新聞(24日付)によると、旧クライスラーは、ハッキングを防ぐソフトを急いで開発し、顧客に更新するよう通知したという。BMWもソフトを更新したという。

 命にかかわる自動車がハッキングされないようにする対策は急務だ。アメリカ人ハッカーなどのハッキング実験映像は、次のアドレスで見ることができる。
https://www.youtube.com/watch?v=MK0SrxBC1xs&feature=youtu.be
自動車技術 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2015/07/24 11:44

◎トヨタ 燃料電池車を今年度中に発売 700万円

 トヨタ自動車は6月25日、燃料電池車(FCV)を今年度中に販売すると発表しました。価格は700万円程度を予定しています。元町工場で生産します。

 燃料電池車を世界の自動車メーカーで市販するのは、トヨタが初めて。ホンダや欧米のメーカーは、来年以降に販売を予定しています。水素を燃料にし、水しか排出しない究極のエコカーといわれている燃料電池車で、ハイブリッド車に続いて主導権を握ろうというものです。

 電気自動車では、日産が先行しました。1回の充電で「228km」(日産リーフ)程度しか走れないことや充電設備の設置がすすんでいないために、普及していません。トヨタは、燃料電池車は700kmほど走ることができるとしています。

トヨタ 燃料電池車 TBS系
(トヨタが発表した燃料電池車=TBS系から)


 しかも水素は、自動車だけではなく、発電や家庭用などへの活用ができることから、トヨタは「将来の有力なエネルギーと位置付けている」としています。石油など枯渇するエネルギーではなく、無尽蔵にある戦略的な自然エネルギーというものです。

 トヨタは、燃料電池車の研究を20年以上続けてきました。その普及のためにハイブリッド車と同じように、購入時に補助金を支給することや数億円ともいわれる水素を充填する水素ステーションの設置について、政府に規制緩和を求めていく考えです。

 豊田市は、市役所近くに「エコフルタウン」を設けています。水素スタンドを設置し、燃料電池車のPRをしています。

 トヨタは、この日の発表をネットで生中継しました。現在も、その発表をトヨタのホームページで見ることができます。
http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/3274916/

自動車技術 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2014/06/26 09:23

◎トヨタ 燃費を向上させたガソリンエンジン開発

 トヨタ自動車は4月10日、これまでより燃費を1割以上向上させたガソリンエンジンを開発したと発表しました。トヨタが先導してきたハイブリッドエンジンは、国内販売では4割を占めているものの、世界では1割程度です。

 欧州では、燃費を向上させたジーゼルエンジンが主流であり、国内ではマツダがスカイアクティブという技術で燃費向上をめざすなど、さまざまな技術があります。

20 新型ガソリンエンジン 
(燃費を向上させたガソリンエンジン)

 トヨタは、ハイブリッドで培ってきた技術をガソリンエンジンの燃費向上に生かそうと開発をすすめてきました。具体的には、1・3ℓガソリンエンジンでは、これまでハイブリッド専用エンジンに採用してきたもので、熱効率を改善して燃費を向上させる技術を採用するなどしています。

 さらにアイドリングストップ機能などと合わせ、これまでより約15%の燃費を向上させたとしています。また、ダイハツと共同開発した1ℓのガソリンエンジンでは、最大約30%の燃費を向上させたといいます。

 トヨタは、近くマイナーチェンジする車にこのエンジンを搭載するのをはじめ、2015年までに世界で14車種に導入するとしています。

 この技術は、トヨタの4つの部門の1つ、ユニットセンター傘下のパワートレーン共同開発棟(本社工場内)で開発をすすめてきたものです。

パワートレーン棟
(パワートレーン共同開発棟)
自動車技術 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2014/04/11 10:26

◎燃料電池車 2015年に元町工場で生産

 ハイブリッド車の後は、電気自動車か、燃料電池車か? 次世代自動車の開発をめぐって世界の自動車メーカーは激しい争いをしています。

 燃料電池車は、水素と酸素を反応させて電気をつくる、「究極のエコカー」といわれています。公害のもとになる二酸化炭素を出さないからです。

 日産は、2010年12月にリーフで電気自動車の先行を切りましたが、価格が高いこと、走行距離が短いことなどで販売が思うように伸びず、今年1月から値下げしています。

 トヨタ自動車は、iQをベースにした電気自動車eQを昨年12月に販売しましたが、ほとんど宣伝していません。一方、燃料電池車はBMWと技術協力しています。2015年に市販することも明らかにしており、燃料電池車へのシフトが鮮明になっています。

 読売新聞は、同年の販売計画は年約700台と報じました(4月5日付)。1回の水素補給で700km以上走り、電気自動車より走行距離が長く、販売価格は500万円前後。元町工場で生産するとしています。

 政府はこの3月、愛知県と三重県沖の海底にあるメタンハイドレートから世界で初めて天然ガスの採取に成功したと発表しました。天然ガスからは、水素をつくることができます。

 NHKは3月19日、水素が大量に安く確保できる見通しができたと報じました。また、水素と酸素を反応させるためのカギになるのがプラチナで、その価格は、1グラム約5千円、車1台あたり、約100グラム使うため、プラチナだけで約50万円もかかるとしています。

 トヨタは、プラチナの使用量を、開発段階から3分の1にまで減らすことができたといいます。さらに群馬大学では、プラチナに代わって安価なカーボンを使う研究がすすんでいると伝えています。

 トヨタでは、燃料電池車の生産が2年後に、元町工場で始まろうとしています。

燃料電池車 トヨタHP
(トヨタの燃料電池車のコンセプトカー=トヨタのホームページから)
自動車技術 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2013/05/07 13:54

◎トヨタ 加速する燃料電池車開発 BMWと正式提携

FC車のコンセプトカー
(トヨタのFC車のコンセプトカー)

 トヨタ自動車は、“究極のエコカー”といわれる燃料電池(FC)車の開発を加速させています。ハイブリッド車の次は、電気自動車か、FC車か――次世代車技術で主導権を握りたいという思惑があるとみられています。

 トヨタは1月24日、車技術で広範な提携をすることになったドイツの高級車メーカー、BMWと正式に契約したことを発表。このなかで、FCシステムの具体的な提携を明らかにしています。

 「BMWとトヨタは、ゼロエミッション社会の実現に向け、FC技術の普及を共通の目標とし、中長期的な協力を進めていく。2020年を目標に、両社の技術を持ち寄り、FC車の普及拡大を目指し、FCスタック・システムをはじめ、水素タンク・モーター・バッテリーなど、FC車の基本システム全般の共同開発を行う。また、FC車の普及に必要な、水素インフラの整備や規格・基準の策定に向け協力していく」

 トヨタは、2015年にFC車を、世界で初めて販売することを明らかにしています。日経新聞は、セダンタイプで500万円程度を目標にしていること、電気モーターなど駆動系の制御システムがハイブリッド車と共有できる(1月25日付)と伝えています。

 トヨタは、世界の自動車メーカーに先駆けてハイブリッド車を開発。販売で優位に立っています。電気自動車は、国内で日産自動車が先駆けて2010年12月にリーフを販売しました。しかし、販売は低迷。昨年12月末までの世界累計販売は約5万台、このうち国内販売は約2万1000台にとどまっています。

 このため1月17日、約28万円値下げし、国の補助金を入れて最低価格221万円で販売することを発表しました。この価格は、プリウスとほぼ同じです。

 トヨタは、iQをベースにした電気自動車eQを昨年12月に限定100台(360万円)で発売することを明らかにしています。電気自動車の普及は、当面むずかしいと判断し、FC車の技術開発を急ぐものとみられます。


自動車技術 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2013/01/28 09:54

◎自動走行は可能か? トヨタが実験車

 最近、中国旅行から帰って来た友人が興奮して話してくれた。
 「中国の自動車運転マナーのひどさは知っていたが、車が増えすぎて怖かった。寿命が縮まったよ。少なくとも車優先から人優先にしなくてはね」

 友人は、特にロータリーでは前を見なかったという。もちろん、運転していたわけではない。中国人の運転技術にビックリというのだ。ロータリーには、信号機がないから、直進車と右折車、左折車がどっと突っ込んでくる。

 直進しようとすると、右側からの直進車が目の前へ90度の角度で突っ込んでくる。あぶない! どの車も譲らない。先に突っ込んだのが勝ちというわけだ。おそる、おそる前を見ると、車間距離はほとんどない。中国人運転手も、「雑技団(サーカス)だ!」と苦笑いしたという。

中国 北京の交通
(中国・北京の早朝の交通事情。両側6車線の幹線道路。上を新幹線が走る)

 アメリカ・ラスベガスで開かれている国際家電見本市「インターナショナルCES」。トヨタ自動車が自動走行車の実験車を公開した。レクサスLSに、GPS(衛星利用測位システム)やカメラ、レーダーなど搭載。走る車の周辺の人や物、信号などを感知し、安全走行をハイテク製品で支援するというものだ。

 車が、“鉄のかたまりからソフトのかたまり”といわれるようになって久しい。マイコンの性能が車の性能に直結するようになり、車の制御プログラムはぼう大なものになった。

 富士重工が、他の車や自転車、人に急接近し、あわや衝突という場合、自動でブレーキをかける装置をインプレッサに搭載している。自動走行は、さらにこうした技術力を高めて、車にフル装備しようというものだ。

 社会インフラの整備や事故の時の責任など課題も多い。しかし、こうした技術が可能なことは、パソコンやスマホなどの爆発的技術進歩、普及を見ているとよくわかる。

NHK1月8日 車の自動走行
(トヨタの自動走行の実験車=NHK、1月8日)

 自動走行の実験では、グーグルがトヨタのプリウスをベースに実験を重ね、一歩先んじているという。トヨタに続いてアウディやフォードも実験に乗り出すという。「自動車販売・生産世界1のトヨタが先行していることから、一気にすすむのではないか」という観測がある。

 中国での雑技団的運転技術の話を聞くと、人間の運転技術のすごさに感動するが、事故がなくなるわけではない。中国では、年間3万人の交通事故死があるという。自動走行車は、まだ先のこととしても、その技術の成果を応用し、現在の車に反映されることを願う。
自動車技術 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2013/01/11 09:45

◎up!の燃費はアクアと変わらない?

 フォルクスワーゲン(VW)が新車のコンパクトカー、up!の販売に力を入れている。999ccのエンジンで、149万円からだという。先日、そのキャンペーンがあり、乗ってみた(動かないが)。

 車内は広くはないし、内装もイマイチの感じだったが、「モーターファン」の別冊「up!のすべて」を読んで驚いた。同誌が、up!とアクア(エンジンは1496cc)、フィット・ハイブリッド(同1339cc)の3車を実際に走らせて、燃費の比較をしていたからだ。

 高速道路、一般道路、山岳路(登り、下り)で比較している。高速道路では、up!が1リットル当たり22・7km、アクアが26.0km、フィットが25・0kmとアクアがリードした。

 山岳路の登りでは、それぞれ14・3、13・1、12・9とup!がリード。これは車重が920kgのup!が、1080kg(アクア)、1140kg(フィット)より軽いからだという。上り坂ではハイブリッドのよさが発揮できなかった。

 総合では、up!が21km、アクアが22・5km、フィットが21・7kmになった。up!の燃費は、「ハイブリッドに比肩している」(同誌)という。トヨタやホンダなど「ライバルメーカーにとってはとんでもない脅威」(同誌)という。ハイブリッド技術は、突出したものではないのか…。

 VWは、世界でトヨタと激しく販売競争をしている。昨年は、VWがトヨタを抜いてGMに続いて世界2位になった。今年前半は、トヨタがVWを抜いている。VWは、2018年にグループ全体で世界販売1000万台をめざすという。

 興味をそそられたのは、JC08モードの達成率だ。いわゆる日本メーカーのカタログ値と実走距離とが実態とはかけはなれている問題である。このブログでも問題視したが、up!の達際率は91%なのに、アクアは64%、フィットは82%だったという。

 アクアのJC08モードは、カタログでは35・4kmだ。これが本当なら、そろそろ日本メーカーもカタログ値の表示の仕方を考え直す時期にきているのではないか。

vw.jpg
(VWのup!)
自動車技術 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2012/11/11 10:19

◎驚異 スマホでカーナビ

 スマートフォーン(スマホ)を使ってカーナビにする人々が増えています。
 「いや、びっくり。これまでのカーナビより、安いうえにきめ細やかですよ!」

 知人がスマホでカーナビの無料体験(1カ月)をし、興奮した様子で連絡してきました。さっそく、知人の車に同乗しました。スマホに、目的地を入力します。

 知人が乗っているのは、カーナビなしのヴィッツ。遠出するときは、苦労していました。「ドライブサポーター」というアプリをダウンロードし、無料体験したのです。

 いやいや、驚きました。カーナビとまったく変わりません。女性の声で、「信号を左折」「500メートルで斜め右方向」と大きな声で案内してくれます。目的の施設に着いても、車の入り口の方向をきめ細かく案内してくれます。

 私が使っているのは、プリウスのトヨタ純正品のカーナビ。20万円を超える高い製品です。プリウスの三角窓を壊して、カーナビが盗まれるケースが多いと聞いています。

 「ドライブサポーター」は、月額315円からという安さ。スマホがインターネットにつながっていますから、渋滞情報を1分ごとに更新したり、駐車場の満車空車情報、ガソリン価格がわかるスタンド検索など、いたれりつくせりです。

 しかし、画面がカーナビに比較して小さいという問題があります。知人は、「カーナビを付けなかってよかった。もちろん、このアプリを使いますよ」といいます。

 これからは、スマホでカーナビの方が激増するという予想があります。カーナビ・メーカーも対応に大あわてといいます。ネット社会は、車の使い方も大きく変えようとしています。

ドライブサポーターのアプリ画面

「ドライブサポーター」のアプリ画面=同サポーターのホームページから
自動車技術 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2012/08/14 09:31

◎ハイブリッドを脅かすフォルクスワーゲンのTSIとは?

 トヨタ自動車のある工場での話―

Aさん 日経新聞(2月26日)を読んだかい?
Bさん 読んだ、読んだ。
 トヨタのハイブリッドも万能じゃないのか?

 そうらしい。「ガラパゴス化(注、孤立化するという意味)の懸念」と書いてあったぞ。
 フォルクスワーゲンが開発した「TSI」が、中国メーカーに急速に広がっていると書いてあった。

 ハイブリッドは、中国側は仕組みが複雑すぎるという。
 TSIとは、従来のエンジンを小型化し、ターボチャージャーという馬力を増す装置を組み合わせてハイブリット車並みの走りと燃費が実現できる――と書いてあった。

 TSIというのがよくわからん。
 よし、おれの住んでいる近くにトヨタ車の技術者がいるから聞いておくよ。

 技術者

TSI®はフォルクスワーゲンの登録商標で、FSI®(フォルクスワーゲンのガソリン直噴エンジンの登録商標)にターボチャージャーやスーパーチャージャーを組み合わせ、小型・高出力・低燃費化をねらった技術のことです。
詳しくは:http://www.volkswagen.co.jp/experience/innovation/tsi/


地球温暖化などの環境問題から排出ガス規制や燃費規制が強化される中で、クリーンで燃費の良い車が求められています。
 
燃料を燃やすのに必要な空気を沢山供給できる過給技術、空気量の調節やポンピングロスを減らすのに有効な可変バルブ機構、必要なタイミングで必要な量の燃料を供給する電子燃料噴射制御技術、無駄な燃料を使わないアイドリングストップ技術、動力伝達効率の良いトルクコンバータやCVTなどの技術の進歩で、従来よりも高出力で低燃費の車が生産されています。

既存の技術を徹底的に磨き上げることで低燃費化を目指したものに、マツダの「スカイアクティブ」やダイハツの「e:Sテクノロジー」、日産の「PURE DRIVE(ピュアドライブ)」などがあり、ハイブリッドに迫る低燃費を謳い文句に各社独自のネーミングで消費者へ売り込みを図っています。

クリーンで環境に優しい車の最終的な形がEV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)だと言われており、その途中の形がハイブリッドやプラグインハイブリッド車だと言われています。

既存の技術を磨き上げ、まだ採用していない既知の技術を組み合わせることでさらに燃費を向上させることは可能です。ハイブリッドは、それらの技術を利用しつつさらに制動のエネルギーを利用することが可能であり、原理的に見てより優れたシステムだと言えます。

かつて、ビデオテープでVHS方式とβ方式が争った時、画質やサイズで優れたβ方式が市場の覇者になれなかった事を考えると、ハイブリッドだけが優れた方式で、覇者になれると考えるのは正しいとは言えないでしょう。

化石燃料依存から再生可能エネルギーへの移行期間では様々な方式の動力源が生き残る可能性があります。それぞれの国や地域の状況に合わせたものが生き残れると考えられます。

熱効率的に優れたディーゼルエンジンが、国内の乗用車に搭載されなくなって久しいですが、欧州では50%を超える市場占有率があります。排出ガス規制の違い(CO2重視かNOx重視か)や燃料に対する国策の違いなどによって優位なエンジンが異なる典型です。

ユーザーの立場から言えば、購入価格も維持費も安くて環境にも優しい車が良いですよね。

VWのTSI
(フォルクスワーゲンのTSI技術=同社のホームページから)http://www.volkswagen.co.jp/experience/innovation/tsi/ 
自動車技術 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2012/03/04 08:48

◎「86」に搭載された「水平対向エンジン」って何だ?

 ――ある小学校での話

 5年生の児童 先生、モーターショーに行ってトヨタの「86」を見てきたよ。かっこいいスポーツカーだったよ。見学者がいっぱいで写真がうまくとれなかった。

 先生 私はスバルのR2(軽自動車)に乗っているけれど、「86」は4月6日から発売されると新聞にでていたよ。13年ぶりの新型スポーツカーだって。スバルの富士重工とトヨタが共同開発したんだってね?

 児童 先生、そうだよ。重心を低くするために、富士重工の「水平対向エンジン」の技術を使っているんだ。

 先生 へぇー、君はくわしんだね。ところで、「水平対向エンジン」って何?

 児童 へつ、へつ、そこまでは知らないよ。

 先生 私の知り合いにトヨタ車の技術者がいるわ。電話するから質問してみる?

 児童 もしもし、「水平対向エンジン」について教えてください。

 技術者 ちょっと難しいけど…、エンジン(内燃機関)はガソリンや軽油、LPGガスなどの燃料が燃えることで空気と燃料の燃えたガスの体積が膨張してピストンが動き、力が軸に伝わることで回転力を取り出しているんだよ。
 
このピストンが往復運動するものがレシプロエンジンで、回転運動するものがロータリーエンジンと言います。ロータリーエンジンは聞いたことが有るのじゃないかな?

レシプロエンジンはあまり聞かないかもしれないけれども、もっとも一般的なエンジンで、「直6エンジン」とか「V8エンジン」とかは車好きの人なら聞いたことがあるよね。

レシプロエンジンのピストンが往復運動するところを気筒(シリンダー)と言います。この気筒の並び方で色々な呼び方があって「水平対向エンジン」もその一つです。

「直6エンジン」は直列6気筒エンジンの略称で、気筒が6本直列に並んだものです。「V8エンジン」は気筒がV字型に左右4本づつ並んだもの(正面から見て)です。

V型エンジンのV字の角度(バンク角)も色々あり、Vが二つ重なったW型エンジンも有るんですよ。これで、直4エンジンとかV6エンジンとかの気筒配列も分かりますよね。

「水平対向エンジン」はクランク軸を中心にして水平に向き合っているものを言います。君も知っているように、エンジンの高さを低く抑えることが出来るので重心も低く出来るんだよね。

水平対向エンジンはポルシェやスバルが有名だけど、古くはトヨタスポーツ800やパブリカにも採用されていたんだよ。

201111 「86」

「86」 水平対向エンジン
 「86」の水平対向エンジン
自動車技術 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2012/02/12 07:49

◎慣らし運転は必要?

 軽自動車の新車を買ったおばさん(66歳) 今まで中古の軽自動車で、がたがたいって不安だったけれど、軽の新車はいいねぇ。ハンドルなど全体が堅い感じだけど、安心感があるわ。

 自動車にくわしい中年おじさん よかったね。だけど、新車のうちに高速道路などを走り込んでおかないと、エンジンの調子がでなくなるよ。慣らし運転というけれどね。

 おばさん えっ、知らなかった!

 (おばさんは、ネットで「慣らし運転」を調べて見てびっくり。トヨタと日産、ホンダで意見が分かれていると書いてある)

 おばさん どうなっているの? だれか教えて!

 自動車技術者
 うーん、慣らし運転ですか? 最近はあまり気にしてませんね。でも、高速道路で走りこむのはいかがなものかな?

 たしかに昔(1970年代ころ)は慣らし運転が推奨され、トランスミッションのドレンプラグに磁石が使われ、新車の無料点検時に金属粉が付いていたような気がしますけど…。その頃は、マニュアル式が当たり前で、ギアのあたりが付くまであまり回転数を上げない様な運転をしていましたね。

 エンジンではシリンダー内をピストンが上下運動し、ピストンリングが油膜を介してシリンダー内面に押し付けられています。クランクシャフトやカムシャフトなども油膜の隙間があるとはいえ、油圧が上がらなければ(オイルが無ければ)金属同士が当たることもありえます。

 でも今は、慣らし運転をしなかったからと言って焼きつくような国産車のエンジンはありません。加工精度が向上し、隙間を一定の条件に合わせるサイズ合わせの管理も徹底されているからです。

 たしかに、新しいエンジンで試験をするときには試験条件を合わせるために擦り合わせ運転をしています。これは、摩擦損失などがエンジンの出力などに微妙な影響が出ないようにするためで、一般のユーザーが気にする問題ではないように思います。

 昔、ガソリンスタンドなどで出力が向上すると言ってオイルに添加剤を入れることが薦められていた時代がありました。実際に試験をしてみたところ通常の性能試験では有意差は分かりませんでした。車の限界に挑むレースカーでもない限り、特別なことは何もする必要はありません。

 また、今の車は電子機械か? と思われるほど色々な部分が電子制御化されています。工場出荷後に、機械的な当たりを滑らかにする擦り合わせや慣らし運転が必要な部品はありません。

 実感として車は、一定距離を走行した後の方が燃費は向上するように思います。これは、慣らし運転の有無にかかわらず実感できることでしょう。新車を大事に乗る気持はよく分かりますが、普通のユーザーが慣らし運転をする必要はないと思われます。慣らし運転は、気になる人がやればよい程度でしょう。でも高速道路でどんな運転をするつもりでしょう? 気になります。

 大事なことは、急の付く運転をしないこと、エンジンオイルが無い状態での運転をしないことです。

新車

(新車はピカピカ)
自動車技術 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2012/01/23 16:13

◎ターボチャージャーとスーパーチャージャーの違いは?

 トヨタの工場労働者らが、まだお屠蘇気分でわいわいがやがや話している。

 Aさん 正月にみんなが集まったら、トヨタのアクアが1ℓで40km走るといって話題になったよ。
 Bさん 初めて40kmを超えたからね。
 Cさん 軽自動車も“負けじ”とミライースが30kmの大台に乗ったよ。燃費競争は激しいね。

 A 最近の軽自動車は、ターボチャージャーを搭載して燃費をよくしているよ。
 B えっ、ターボチャージャーは燃費が悪くなるんじゃなかった?
 C 悪いのは、はスーパーチャージャーじゃなかったけ。

 A そもそも、ターボチャージャーとスーパーチャージャーの違いはなんだ?
 B うーん?
 C 知り合いにトヨタ車の技術者がいるから聞いてみるよ。

 技術者
 ターボチャージャーもスーパーチャージャーも、エンジンのシリンダー内に空気を沢山送り込むための過給装置です。

 エンジンの性能を向上させるには、吸入空気量を増やす必要があります。シリンダー内により多くの空気が存在すれば、より多くの燃料を燃焼させ、より大きな出力を得ることが出来ます。
(だから、より多くの空気が入るように最近のエンジンは圧縮比が低い)

 同じエンジンで出力を向上させる方法として、ターボチャージャーやスーパーチャージャーを取り付ける方法が一般的です。

 ターボチャージャーは、タービンとコンプレッサーで構成されており、エンジンの排出ガスのエネルギーでタービンを回転させ、タービンと直結したコンプレッサーで空気を圧縮してエンジンに送り込む装置です。

 スーパーチャージャーは、クランク軸の動力をベルトなどで取り出して圧縮機(コンプレッサー)を駆動して、空気をエンジンのシリンダー内に送り込む方式のことです。トヨタではルーツポンプ方式が一般的で、MR2やクラウンなどに採用されてきました。

 ターボチャージャーの動力源は、エンジンから出る排気ガスのエネルギーであるのに対し、スーパーチャージャーはクランク軸の回転力をベルトで等で取り出しているという大きな違いがあります。

 スーパーチャージャーは、駆動エネルギーが直接出力損失に繋がるので燃費には悪影響を及ぼしますが、排気温が低い低速域ではスーパーチャージャーの方が出力向上に有利だと言われています。

 ターボチャージャーは、排気圧力の上昇による間接的な出力損失があるものの、その損失は比較的少ないと言われています。一つのターボチャージャーで低速から高速まで出力向上につなげるのは難しいので、最近では可変ノズルターボやツインスクロールターボ、ツーステージツインターボなどを採用して低速から高速まで出力を向上させている例があります。

 ターボ付きエンジンは、同じ出力のエンジンと比べて小型・軽量化できることから広い意味では燃費向上に寄与しています。しかし一般的には、燃費向上のためではなく、エンジンの高出力化のためと言えるでしょう。

 特に、軽自動車では安全対策などで車両重量が増加し、ワンボックス車などの車両重量が大きい車が人気であることから、パワー不足を補うためにターボチャージャーを取り付けた仕様が人気なのではないでしょうか?

トヨタの軽 pixis
(ダイハツがトヨタブランドで生産している軽自動車のpixis)


自動車技術 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2012/01/17 08:40

◎暖房はエンジンの熱を取っている?!

 ドラ―バー暦20年の父 冬もエコ意識を持って、コートを着て、手袋をしてできるだけ車の暖房しないようにして運転しているよ。

 運転歴2年の娘 えっ! お父さん、知らないの? 私は教習所で教えてもらったわ。暖房は、エンジンの余熱を取り入れてしているの。夏のクーラーと違って、エコ運転に関係ないのよ。

 父 何? 本当か!

 娘 だからお父さんの車に乗せてもらうと寒かったのね。

 父 エンジンの余熱って何だ?

 娘 くわしくは知らない。私のボーイフレンドのお父さんがトヨタの車をつくっている技術者だから聞いてみるわ。

 技術者 
寒い日が続くけど、お父さんは頑張っているんだね。一般的にはあなたの言うとおりだけど、お父さんのがんばりは必ずしも無駄とは言えない部分もあるんだよ、なんだかややこしいけど…。

自動車の暖房は、エンジンからでる熱を利用するのが一般的です。エンジンをオーバーヒートから守るために、水を使って冷やしたり空気を使って冷やしていますが、最近では一般的に水を使って冷やす水冷式エンジンが採用されています。

このエンジンを冷やす水(不凍液入り冷却水:LLC)はウォーターポンプで循環させますが、エンジンが温まるまでエンジンの中に留まるように制御しています。LLCの温度が設定温度(80度くらい)まで上昇するとサーモスタットという調節弁が開きラジエーター(放熱器)にLLCが流れます。ラジエーターで熱を外に出すことでエンジンを冷やします。このエンジンを冷やしている温水の一部を利用して暖房に使います。車を動かすという仕事をしていない熱ですから余熱と言えるでしょう。

(蛇足かもしれませんが、空冷式エンジンは排気管やエンジン回りからの放射熱を暖房に利用しています)

最近では燃費向上やCO2削減などの観点から、エンジンの温度を早く上昇させ、摩擦を減らして無駄な燃料を使わない工夫をしています。ハイブリッド車などでは電動ウォータポンプを採用し、一定の温度に上昇するまでLLCが循環しないようにしています。(一般的なウォータポンプは、エンジンと一緒にベルト駆動して回すので、エンジンが温まるまで無駄なエネルギーを使っています。)

LLCの熱を暖房に使う為には、LLCを一定温度以上に保つ必要があります。停車中にエンジンを止めるアイドリングストップを頻繁に使うと、LLCの温度が下がって寒冷地では暖房が利かないということも起こり得ます。これを避けるために、暖房中はエンジンが回り続ける可能性も有ります。これが燃費の悪化につながるわけで、実際に今までのプリウスなどのハイブリッド車は、街中をチョイ乗り運転した場合、冬季の方が燃費が悪いようです。

寒冷地仕様のハイブリッド車や電気自動車ではPTCヒーターという半導体セラミックを使った電気を使うヒーターが採用されています。これはハイブリッド車のアイドリングストップには影響を与えないので燃費向上に効果が期待できますが、電気を使うわけですから燃費が悪くなる方向には変わりがないようです。

お父さんの省エネ努力も大切ですが、原理を知った上で、長時間運転時には暖房を使った方がいいと思いますよ。

アクアのエアコンボタン P1060193
(アクアのエアコン類のボタン)
自動車技術 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2012/01/09 05:50

◎マツダがガソリンエンジンの燃費性能を大幅に改善したんだって!

 東京モーターショーを見に行ったトヨタ自動車のお父さんと娘の会話―。

 娘 マツダのデミオはかっこよかったよ。スカイアクティブ技術で、リッター30kmを達成したんだってね。CX-5もフルスカイアクティブ搭載といっていたよ。

 父 へー。そうかい。もうガソリンの燃費改善はむずかしいよ。これからは、トヨタのハイブリットの時代だ。その先は、電気自動車だ。

 娘 お父さん、それは違うよ。エンジン(内燃機関)は、実用化から1世紀以上たって、もう大幅改善はむずかしいといっていたのを、マツダはやったんだって。

 父 ガソリンエンジンは、圧縮比を高めれば燃費がよくなるというのは技術者の常識だ。だけれど、ガソリンが異常燃焼を起こし、かなづちでたたくような音を発するノッキングが起きるからね。

 娘 マツダは、その限界を突破したんだといっていたよ。NHKのプロジェクトXのような物語だね。

 父 先日の日経新聞(12月11日)は、某大手メーカーは、ハイブリット機構の開発だけに1000人以上の技術者を投入しているが、マツダはわずか20~30人で開発したと書いていたぞ。トヨタは、やられたな。

 娘 ところで、スカイアクティブ技術というのは、どんな技術なの?

 父 む、む…お父さんは工場で働いているからわからん。トヨタの自動車をつくっている技術者に聞いてくるよ。

 技術者 スカイアクティブ? 何の名前ですか? あー、マツダのデミオのことね。どのメーカーさんも商品を売り込むためのネーミングに苦労されているようですね。
 
マツダのホームページで見ると、SKYACTIV TECHNOLOGYのネーミングについての説明はありませんが、エンジン・トランスミッション・ボディー・シャーシーについてそれぞれSKYACTIV-と名付けて改良内容を説明しています。

 これら全てを同時に改良して100Kg軽量化し、エンジンの燃焼効率やトランスミッションの伝達効率、空力抵抗を向上させたとしています。これら全体をスカイアクティブテクノロジーと呼び、デミオ13- SKYACTIVでは10-15モード燃費で30.0Km/ℓを実現したとしています。

 もっとも改良度が高かったというエンジンについてみると、ガソリンエンジンの圧縮比を14.0という高い値に設定して燃焼をうまく適合させ、燃費とトルクを15%向上させたといいます。

 みなさんがご存じのように、ガソリンエンジンには圧縮比を上げるとノッキングと言うハンマーで金属をたたくような音がする異常燃焼が発生する問題があります。

 マツダは、ループ型の排気管を採用して熱い排気ガスが別の気筒に流れ込まないようにしてノッキングの発生原因である残留ガスを大幅に低減し、さらにピストン形状やインジェクターの改良で最適な燃焼を実現したとしています。

 燃料の電子制御化によりガソリンエンジンの性能も大幅に向上しており、燃焼効率もディーゼルエンジンに近づきつつあります。燃料の供給量・タイミング・霧化と噴霧の形状や燃焼室の形状などを最適化することによって出力や燃費を向上させることができます。

 軽量化・アイドリングストップ・空力抵抗の低減も燃費向上に欠かすことのできないものです。

 マツダの技術は特別新しいものではなく、これらの既存の技術を積み重ねて10-15モード燃費で30.0Km/ℓを実現したものです。

 石油資源の枯渇と原油価格の高騰から、電気自動車・プラグインハイブリッド車・ハイブリッド車に軽自動車も含めて低燃費を謳う車が増え、低燃費化競争がますます進むものと思われます。

 欧州では、CO2削減の観点からディーゼル車の普及が進んでいます。ターボ過給、電子制御による多段直接噴射技術が、臭い・きたない・うるさいディーゼルエンジンを効率の良いCO2の排出が少ない高トルクエンジンに変身させ、高級車にも多く搭載されています。

 今回マツダがSKYACTIV-Dと称してディーゼルエンジンも紹介していることは注目に値するものです。

マツダ CX-5 (2)
(スカイアクテイブ技術を搭載したCX-5)
自動車技術 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2011/12/24 07:03

◎「JC08モード」とは?

 プリウスに乗っているおじさん 「燃費がいいというのでプリウス3代目を買ったが、1リットルで実際に走ってみたら21キロ程度だ。カタログには38キロとあるが、インチキじゃないのか?」

 トヨタ販売店の社員 「こんど発売になるプリウス・プラグインハイブリッドは、『JC08モード』で61キロ走りますよ」

 おじさん 「その『JC08モード』って何だ?」
 社員 「今までの『10・15モード』では、いわれますように正確ではなかったもので、改めたんですよ。国土交通省の審査も受けていますからね」

 おじさん 「モード、モードといわれてもわからん。素人にわかるように説明してくれ!」
 社員 「申し訳ありません。うちの技術者に答えさせますから」

 技術者「カタログに記載されている燃費と実際に走行した時の燃費の差に販売店に文句を唱えた人は多いと思います。初期型プリウスの販売店では、燃費の良い走り方の説明用紙を用意していましたからかなり苦情が多かったことが考えられます。

 かなり以前の燃料消費量は、時速60kmの一定速度で走行した時の値を60km/h定地燃費として表示していました。しかしこの方法では、実際の走行燃費よりもはるかによい数字となるのは当然のことでした。その後、実際の走行パターンを取り入れた『10・15モード』燃費で表示するようになりましたがそれでも実際の走行燃費よりもかなりよい数字です。

 『10・15モード』燃費は、市街地や郊外を想定した走行の様子をシャシダイナモメータという試験装置上で再現して(モード運転して)測定するものです。このモード運転は、エンジンが温まった状態で試験を開始しており、実際の走行と大きく差が出る最大の原因がここにあります。

 エンジンが冷えていると各部品間の隙間が狭く、潤滑油の粘度も高いので回転運動をしている部品の摩擦損失が大きく、その分燃料もムダに多く消費することになります。毎日、長時間運転する人ならともかく、短時間のチョイ乗りを繰り返す人は燃費がかなり悪くなり、温かい状態でしか測定していない『10・15モード』の値より悪いのは当たり前だと言えます。

 「急加速しないように」とかエアコンやヒーターをあまり使わないようにとかの工夫をしてもなかなかカタログに記載された燃費になりませんよね。カタログに記載されているのは、あくまでモード燃費であり、運転方法を決めて燃料消費量を計ったときの値を示すもので、実走行燃費とはまったく異なるものだからです。

 この『10・15モード』に対して、最近表示されるようになったのが『JC08モード』です。このモードは、エンジンが冷えた状態からのスタートや最高速度の変更で、より実態に近いものになっていると言われています。(実際のモード運転パターンはJAMA日本自動車工業会のホームページなどから知ることが出来ます。)

 より実燃費に近いと言われる『JC08モード』燃費ですが、購入者の立場から言えば、測定方法を決めたモード燃費よりも実燃費の方を知りたいですよね。実燃費は走り方や気候、地形によっても大きく異なります。街の販売店の顧客情報として実燃費情報を流せると良いのでしょうが…」

東京MS プリウス
(プリウス、2011年東京モーターショー)
自動車技術 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2011/12/17 08:38

◎ハイブリッドは得か? わからん? 技術者に聞いてみよう

 ―プリウス・ハイブリッド車のニッケル水素バッテリー交換は、新車登録から5年、もしくは10万km走行の早い方といいます。電池は寿命があるから仕方がないのか? 交換費用は12万8000円です。それでもハイブリッド車は得なのですか?

 ―トヨタの自動車をつくる技術者が回答します。
初代プリウスのバッテリーは何故か途中から永久保証になりました。初期型のバッテリーには耐久性等に問題があったと思われます。私の場合、11年間・13万キロ走行で3回交換したにもかかわらず無償でした。

現行の三代目プリウスも使用していますが、初代後期型を含め、二代目以降は信頼性が大幅に向上していると聞きます。保証期間が5年もしくは10万キロですので通常の使い方ではそれ以上持つようです。

私の場合、3代目プリウスの平均燃費が21Km/Lですので10万キロで4761.9L使うことになります。ガソリン価格が130円/Lとすると61万9千47円になります。比較対象の車や走行距離にもよりますが、バッテリー交換を含めても一般的には維持費はかなりお得ではないでしょうか?

しかし、車両価格や税金を含めれば軽自動車がお得な車と言えると思います。エコな生活が出来るのなら徒歩・自転車・公共交通機関利用がお勧めです。

私の優先順位は、ささやかなCO2削減行動と健康のためも含めて▽徒歩▽自転車▽公共交通機関▽マイカー・プリウスの順です。でもこれは、時間に追われる生活をしている中ではかなりの決心が必要ですね。

2011 プリウス2台
(プリウス2台)
自動車技術 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2011/12/03 08:08
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