◎内部留保を活用し3%の賃上げを

 「内部留保を活用し3%の賃上げを」――こう書くと、「また、お前たちがいいだした」と批判されかねないのですが、実は安倍政権の経済財政諮問会議が真剣に議論しているのです。

 11月4日、その経済財政諮問会議が開かれ、甘利明経済再生担当相は会議後の記者会見で、賃上げについて年3%程度をめざすべきだとの考えを示しました。甘利担当相は「賃上げすれば消費が伸び、景気が良くなるのはみんな知っている。そこまで踏み込めるかどうかだ」と財界に求めたのです。

 先月10月16日の経済財政諮問会議では、榊原定征日本経団連会長ら民間4議員が「アベノミクスの第2ステージに向けて」との資料を提出。このなかで、「活用されていない内部留保を、人的投資、将来利益の源泉となる投資、取引先を含めた経営力強化に振り向けて好循環拡大を図るべき」とのべています。

 内部留保を活用して、賃上げや取引先――下請け単価の引き上げに使うべきだというのです。これは、ブログ「トヨタで生きる」で、くり返し主張していたことではありませんか。朝ドラの「あさが来た」の主人公・あさのセリフではありませんが、「びっくりポン」ですね。

 同じ日の会議で、麻生太郎副総理兼財務相は「企業収益等の動向について」の資料を提出。「経営陣には、過去最高水準の企業収益を、更なる収益力の向上に向けた投資や従業員の給与などに振り向けることが求められているのではないか」と踏み込みました。

 その上で、「現金・預金と内部留保の推移」というグラフを示しました。内部留保は、2002年の188兆9000億円から14年の354兆4000億円にまで積み上がっているという表です。

12 経済財政諮問会議 麻生資料

35 経済財政諮問会議 麻生資料
(経済財政諮問会議で、麻生太郎財務相が提出した内部留保の資料。下は、それを拡大したもの)

 こうした表も、「トヨタで生きる」で示してきた表です。ちなみに「現金・預金等」も14年で210兆2000億円までに積み上がっているといいます。

 トヨタ自動車には、内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、15兆8449億円(2015年4~6月決算)もあり、ダントツの日本1です。甘利経済再生担当相のいうような3%の賃上げはいくらになるでしょうか?

 15春闘の基本賃金ベースは、EX級、技能4等級、技能職で35万7030円でした。仮にこれを使うと、1万711円になります。甘利担当相は、トヨタに1万円の賃上げを求めていることになります。

 15春闘の賃上げ実績は、トヨタ労組が6000円を要求して4000円でした。16春闘では、甘利担当相に応えて1万数千円の要求をかかげ、1万円を獲得しようではありませんか。

 トヨタは、「内部留保たっぷり」ですから。
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内部留保 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2015/11/05 11:18

◎大企業の内部留保 その活用は日本経済のためです

 このブログ「トヨタで生きる」では、トヨタ総行動(2月11日)の運動を紹介しました。このなかで、愛知県労働組合総連合の榑松佐一議長がこう訴えたと書きました。

……
 「トヨタは、この3月期の決算で2兆7000億円もの営業利益をあげる見通しであり、内部留保は15兆円にものぼります。いまや自民党・安倍政権さえ内部留保を賃上げなどに活用することを主張しています。全労連や日本共産党が主張してきたことが世論になっています」
……

15総行動 内部留保
(内部留保の活用を訴えるトヨタ総行動=2月11日、トヨタ本社前で)

 これに対し、病院や診療所の内部留保をなぜ取り上げないのか、日本共産党に企業の内部留保を批判する権利があるのか、などのコメントが寄せられました。

 私たちが大企業の内部留保を問題にするのは、「285兆円にまで積み上がった大企業の内部留保の一部を活用し、大幅賃上げと安定した雇用を増やし、中小企業への単価引き上げを行うなど、国民の所得を増やす経済改革にとりくみ、税収を増や」(昨年12月の日本共産党の総選挙政策)す、という立場からです。

 資本金10億円以上の大企業は、病院や診療所などと比べもののならない、日本経済のあり方を左右する大きな力を持っています。そうした大企業が285兆円もの内部留保をたくわえていることについて、麻生太郎財務相は昨年12月16日の記者会見で、「企業に内部留保がたまっている。賃金か配当か設備投資に回すのが本来の姿だ」とのべました。

 ためるだけでは経済の循環にまわらないからです。麻生財務相は、ためるだけの大企業は「守銭奴だ」とまでいいました。とりわけトヨタの15兆円の内部留保は、1社だけで285兆円のうちの5%も占めるほどダントツの日本1です。

 その一部を賃上げや期間従業員など非正規雇用労働者の正社員化、下請け単価の引き上げなどにまわせば日本経済の好循環になるでしょう。中日新聞(昨年11月12日)も「社説」で、「トヨタ最高益 下請けには〝恩返し〟を」と書きました。下請けに単価の切り下げを求めてきたトヨタが、「今回はトヨタが支援する番ではないか」と強調。「部品買い上げ価格の引き上げ」などを求めたのです。

 日本共産党は、日本の政治に責任を負う立場から、大企業の内部留保の活用を長年にわたって主張してきましたが、それは世論になり、安倍政権の幹部さえ主張するようになってきたのです。
内部留保 | コメント(5) | トラックバック(0) | 2015/02/13 10:30

◎豊田社長、もう1つ“英断”を

 トヨタ自動車は1月6日、燃料電池車(FCV)の特許約5680件を2020年末まで無償で開放すると発表しました。ライバル社の日産自動車の志賀俊之副会長が「ものすごい英断」などと語るなど、賛美の声が上がっています。

 トヨタは昨年12月から、世界の自動車メーカーに先駆けて、FCV車・ミライを市販しました。走行中には、水しか排出しないために“究極のエコカー”と呼ばれ、次世代の車としては電気自動車より本命ともいわれています。

 ホンダは、来年度中に市販するとしています。ばく大な開発費がかかるために富士重工などは開発に取り組める段階ではないといいます。しかも、水素ステーションの整備には5億円が必要といわれ、現在では全国に約40カ所しかありません。

 豊田章男トヨタ自動車社長は、「水素社会の実現には長い道のりが必要で、1自動車会社だけではできない」と語っています。トヨタが世界の自動車のトップメーカーだとしても、1社だけでは無理であり、特許の無償公開でFCVの普及を優先させた方が、市場を拡大できると判断したものです。

 水素ステーション関連の約70件の特許は無期限で開放するとしているように、ガソリンに代わるインフラ整備には、幅広い参入を呼びかけています。

ミライ (2)
(燃料電池車、ミライ)

 今回の特許の無償公開には、「さすがトヨタ、太っ腹」などの賞賛の声が上がります。そこで、豊田社長に、もう1つ“英断”してもらいたいのがあります。14兆円もの日本1の内部留保を、賃上げや下請けの単価引き上げなど、日本経済の発展のために活用してほしいことです。

 日本共産党は、内部留保の活用について長い間、主張してきましたが、今や自民党の麻生太郎・副総理兼財務相や谷垣禎一幹事長らも主張するなど、当たり前の主張になっています。

 麻生財務相は、「たまった内部留保が賃金や配当、設備投資に回らず、じーっとしている(今の)状態は異常だ」(2013年2月20日、日本共産党の大門実紀史参院議員の質問に対する答弁)とのべ、「まだカネをためたいなんて、ただの守銭奴にすぎない」(1月5日)と批判するほどです。

 安倍首相はここ2年、日本経団連に賃上げを要請していますが、トヨタが率先して賃上げに踏み切れば、その波及効果ははかりしれないでしょう。国家公務員組合連合会は、月2万円の賃上げには、トヨタは内部留保の0・77%を取り崩すだけで可能との試算を明らかにしています。

 トヨタには、3万社に近い下請けがあります。帝国データバンクの調査で、その売り上げは、2008年のリーマン・ショック前の07年度と13年度を比較すると、減収になったのは7割を超えました。

 トヨタが1~2兆円を超える利益をあげるなかでも、下請けは半期ごとに1~1・5%、時には3%の単価の値下げを求められてきたといいます。さすがに昨年10月、14年度下期は「約450社の1次取引先に対し要請しないことに決めた」(日経新聞、1月8日)といいます。

 日本1の大企業のトヨタが、賃上げや下請け単価の引き上げなどに内部留保を活用することに踏み切れば、他の企業も同じように追随するでしょう。そうすれば285兆円にも達し、「じーっとしている」(麻生財務相)巨額の内部留保が動き出し、日本経済の好循環につながるでしょう。

 豊田社長、もう1つの英断に踏み切ってみませんか。

内部留保 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2015/01/09 16:57

◎内部留保とは? 「知恵蔵2013の解説」

 内部留保とは何ですか? このブログ「トヨタで生きる」では、くり返し明らかにしています。朝日新聞のWeb版「知恵蔵2013の解説」では、つぎのようにのべています。

 「企業の純利益から、税金、配当金、役員賞与などの社外流出分を差し引いた残りで、『社内留保』ともいう。ひらたく言えば『企業の儲けの蓄え』のことだが、会計上は『利益準備金』『任意積立金』『繰越利益剰余金』などの項目で、貸借対照表の純資産の部に計上される」

 続いて、こう指摘します。
 「当初は共産党や労組が主張していたが、雇用不安が深刻になった08年末~09年にかけて、政府閣僚からも同調する声が相次ぎ雇用維持の財源として論じられるようになった」

 08年とは、リーマン・ショック時の派遣労働者切り、期間従業員切りのことを指しています。トヨタ自動車で6000人以上の期間従業員を、トヨタ車体の派遣労働者などグループ会社を合わせて1万1060人以上を雇い止め・解雇しました。

 この年の12月24日に、日本共産党の志位和夫委員長とトヨタの古橋衛専務取締役との会談が、東京都渋谷区の党本部で開かれました。86年の党の歴史の中で、大企業の幹部が初めて党本部を訪れたことに、新聞、テレビが一斉に報道しました。

志位 古橋 ユーチューブ
(ユーチューブから。右側立っているのが志位委員長。左手前が古橋専務=2008年12月24日)

 志位委員長は、トヨタが内部留保のごくわずかを取り崩すだけで人員削減を中止し、雇用を守ることができるとのべ、トヨタが社会的責任を果たすよう求めました。

 この後も日本共産党は、内部留保を賃上げに活用するよう、政府が日本経団連など財界に要請するべきだと国会の質問でくり返し迫りました。今年2月の通常国会の質問で笠井亮衆院議員や大門実紀史、小池晃の両参院議員が質問しました。

 安倍首相は、「小池議員、笠井議員、大門議員に、”企業に賃上げを働きかけよ”といわれ、われわれはその通りにやったわけでありまして(委員会室から、ほーつの声が上がる)、それなりの効果はでたのではないかと思います」と答えました。

 今年8月の「文芸春秋」で志位和夫委員長は、元NHK記者でジャーナリストの池上彰氏から、日本経済をどうするかのインタビューにこう答えています。

……
 志位 第一にデフレがなぜ起きたかという診断が間違っています。最大の原因は、国民の所得が97年をピークに下がり続けていることです。これでは需要が伸びませんから、国民の所得を増やすことに政府の力を最大限に集中すべきです。

 池上 しかし、15年も下がり続けた所得をどうすれば増やせますか。
 志位 いまの大企業には260兆円の内部留保があります。そのうち、預金や株式など、すぐに使えるお金の一部を活用するだけで賃上げはできますよ。私たちの試算では、約1%を活用するだけで、8割の大企業で月額1万円を増やせます(1年間)。

 志位 もちろん、企業の内部留保はストックのお金ですから使い続けることはできませんが、デフレ脱却の起爆剤になるでしょう。それを契機に、日本経済を内需主導の健全な成長の軌道に乗せていく。これが共産党版の「国民の暮らし第一の成長戦略」です。
……

 「内部留保を活用して賃上げを」は、「知恵蔵」で指摘しているように政府も認めるようになりました。14春闘では、トヨタで6年ぶりの賃上げを実現しようではありませんか。

              ◇
 この記事は、12月27日にアップの予定でしたが、都合により25日にアップしました。

内部留保 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2013/12/25 17:48

◎内部留保とは何ですか?

 昨日のブログ「トヨタで生きる」に、妄想人さんから次のようなコメントをいただきました。

            ◇

 内部留保の内訳を教えて下さい。
全てが現金であるかのような表現は良くないです…。
会社が存続し成長してゆく為の内金であって、誰かを助ける為の金でないよ。
その会社の社員である私達が安心して働いてゆける為の金でもある。

            ◇

 内部留保とは、ごくわかりやすくいえば、企業が得た利益を内部に蓄積しているものです。企業は、売上高から材料費、賃金、税金、株主配当金などを支払った後の利益を、「利益剰余金」などとしてたくわえています。

 具体的に、貸借対照表を見てみましょう。金融庁は、企業の有価証券報告書をネットで公開(「edinet」と打ち込む)しています。トヨタ自動車の2013年3月期決算の貸借対照表を見てみましょう。

 企業の力は、単独決算ではなく、連結決算にあらわれています。トヨタの連結決算表の利益剰余金は、12兆6892億円もの巨額にのぼっています。

 これは、公表された内部留保ですが、実際には隠れた内部留保があります。将来の支出にそなえるという名目の各種の「引当金」や「準備金」、それに「資本剰余金」などです。

 これらを合わせたものが内部留保で、トヨタでは13兆円以上になります。この内部留保を、現金や有価証券、土地、建物、機械装置など資産という形で保有しています。

 このうち現金、預金、有価証券などが換金可能な資産です。トヨタの「現金及び現金同等物」は1兆7182億円もあります。これだけの現金を持っているところから、“トヨタ銀行”と呼ばれています。

 電機のトップメーカー、日立製作所の内部留保は1兆3707億円です。トヨタは現金だけで日立を上回っています。トヨタの内部留保額は、ダントツの日本1です。

201111 トヨタ本社です
(内部留保日本1、トヨタ自動車の本社)

 こうした内部留保は、会社が存続・成長していくためには必要だという議論があります。当然ですが、トヨタ1社だけではなく、あらゆる企業が内部留保をため込むことに走ったら、どうなるでしょうか?

 金がぐるぐる回らないと景気はよくならないでしょう。内部留保として眠らせ、賃金を上げることや設備投資などに回さなかったら、景気は良くならず、クルマも売れなくなるでしょう。

 私たちは、トヨタの内部留保に手をつっこんで取り出すといっているのではなく、社会に還流させることが必要だと主張しています。

 リーデングカンパニーのトヨタが率先して賃上げすること、期間従業員を正社員にするなどして、日本経済を引っ張り、ひいては景気をよくしようと呼びかけているものです。

 ブログ「トヨタで生きる」は、これまでも内部留保問題をアップしてきました。そちらも是非、参考にしてください。ブログの左側の「カテゴリ」のなかから「内部留保」をクリックしてください。
内部留保 | コメント(6) | トラックバック(0) | 2013/09/26 13:39

◎どれだけ内部留保をため込むんですか? 復興特別法人税廃止

 東日本大震災の復興のために、国民と企業は復興増税を納めています。ところが安倍首相は、「復興特別法人税」だけを1年前倒しで廃止しようとしています。自民党内からも「国民の理解を得られない」という声がでるほどです。

 同税は、2012年度から3年間の期限で、法人税に上乗せ徴収(10%)しているもの(同時に、法人実効税率を5%引き下げ)。安倍首相は、14度末の上乗せ終了予定を1年前倒しして、13年度末に特別税を廃止しようしています。

 一方国民には、所得税(年2・1%)は37年12月までの25年間、住民税(年間1000円)は23年度末までの10年間、上乗せされます。こちらは、そのまま徴収しようというものです。

復興特別税の徴収計画 赤旗
(「しんぶん赤旗」、9月22日付から)

 1年前倒しで、企業には約9000億円の減税になります。麻生太郎副総理兼財務相は、「(減税分が人件費でなく)企業の内部留保になるなら世間の理解が得にくい」(毎日新聞、21日付)とのべ、企業に対し減税分を人件費や設備投資に使うよう求める考えを示すなど消極的でした。しかし、安倍首相が押し切ったといわれています。

 自民党の大島理森・東日本大震災復興加速化本部長は、「いくら総理の考えとはいえ、国民の理解を得られるか」(朝日新聞、25日付)と反発し、公明党の税調会合でも「大企業の内部留保になるだけだ」(同)の声があがったといいます。

 大企業の内部留保は260兆円というぼう大な額になっています。トヨタ自動車は、そのうちの14兆円と1企業で約5%も占めています。もちろん内部留保NO1企業です。

 その上に、復興特別法人税廃止になれば麻生副総理や公明党が心配するように、内部留保が増えるだけです。賃金にも、設備投資にもまわらず、じっと眠っている内部留保。いったい、どれだけためこむのでしょうか? 政府がこれを応援する政治とは、何でしょうか?

内部留保 | コメント(34) | トラックバック(0) | 2013/09/25 10:20

◎内部留保、積み上げ加速 共同通信

 共同通信が、トヨタ自動車など大企業30社の内部留保(2013年3月末)が急加速しているという記事を配信しています。東京新聞は、7月25日付けで報道しています。

 それによると―。
 1位 トヨタ自動車 12兆6892億円(12年3月末比6・5%増)
 2位 三菱UFJフィナンシャル・グループ 6兆2679億円(11・9%増)

 30社で総額77兆6435億円になり、これは前期より約6兆円(8・2%)増えたといいます。年平均2〜4%程度だった12年3月末までの3年間に比べて「突出した伸び」になったと指摘しています。

 30社だけでなく大企業の内部留保は、財務省の法人企業統計調査で、281兆円(2011年度)にのぼっています。

 問題は、麻生太郎財務相も認めているように、「たまった内部留保が賃金や配当、設備投資に回らず、じーっとしている(今の)状態は異常だ」(2月20日、日本共産党の大門実紀史参院議員の質問に対する答弁)ということです。

 日本共産党は参院選挙で、デフレ不況から脱出するためには、アベノミクスではなく、働く者の賃金を上げることこそが必要と主張。そのためには大企業がため込んだ内部留保を賃上げや安定した雇用に回るように、政治がイニシアティブを取るよう訴えました。

 これは、企業の内部に手をつっこんで取り出すというものではなく、今年の春闘で安倍首相が日本経団連などに報酬の引き上げを求めたことをはじめ、世論を大きく広げることです。

 トヨタは、ダントツの内部留保トップの企業です。トヨタ労組は、4年連続して賃上げを会社に求めませんでした。5年連続ベアゼロという異常事態です。個々の組合員は、定昇にあたる「賃金制度維持分」があるために、毎年、賃金が上がっているようにみえます。

 しかし、これでは日本経済が内需拡大の好循環に回ることはできないでしょう。この間の日本経済をみれば、内需不足であることを端的に示しています。

トヨタ労組が加盟する連合は、秋口から2014春闘の議論を始めます。財源はたっぷり。14春闘では、必ず賃上げを要求しましょう。

トヨタ本社 201307 2
(右奥の青い建物がトヨタ本社)
内部留保 | コメント(5) | トラックバック(0) | 2013/07/31 10:20

◎日経新聞も内部留保270兆円の使い道を主張

 日経新聞は、安倍政権が打ち出した成長戦略についてふれた6月13日付の記事で、「企業が約270兆円にまで積み上げた内部留保を投資にまわすかどうかもカギを握る」と主張しています。

 日経新聞が、大企業などの内部留保が270兆円もあると認めたのは初めてです。このブログ「トヨタで生きる」では、「内部留保 政治がイニシアチブの発揮を」(6月9日アップ)で、「大企業に眠っている260兆円の内部留保の活用」について、賃上げや雇用に回すべきだと主張しました。

 日本共産党と日経新聞は、企業に260~270兆円の内部留保がある事では共通認識になっています。日本共産党は、内部留保のわずか1%を使うだけで、「月1万円」の賃上げが可能だと主張しています。

 これは、企業の内部留保に手をつっこんで取り出すという意味ではありません。安倍首相は13春闘時に、日本経団連など3つの経済団体に、賃上げをふくむ雇用者報酬の引き上げを要請しました。このように、政治がイニシアチブを発揮して、企業の中に使わずに眠っている内部留保を、日本経済に還流させようというものです。

日経内部留保 20130613
(企業の「内部留保270兆円」にふれた日経の記事=6月13日付)

 安倍首相は4月19日にも、経済3団体に、企業は3年間の育児休暇制度を取り入れるように要請しました。この制度には議論がありますが、政治がイニシアチブを発揮し、財界に正面から迫ることは必要です。

 アベノミクスで株や為替が乱高下している現在、賃上げや非正規雇用労働者を正社員にする雇用増などに内部留保を活用し、消費を活発にすることこそ、日本経済をデフレ不況から脱却する道ではないでしょうか。

 トヨタ自動車は、明日6月14日に株主総会を開きます。日経新聞は、内部留保にふれた同じ13日の新聞で、トヨタなどの株主総会にふれ、「手元資金70兆円の使い道」の記事を掲載しています。

 このなかでトヨタは、配当金を40円増やしたこと、一時金を増やしたこと、設備投資を910億円積み増しする(前期比7%増)ことを指摘しています。しかし、賃上げや雇用増はありません。

 トヨタの現金や有価証券などの手元資金は、3兆円を超え、日本でトップ。内部留保も14兆円を超えてトップです。こうした潤沢なお金を、トップ企業らしく、率先して賃上げや雇用増に使って消費を活発にし、日本経済が好循環になるようにしてほしいものです。
内部留保 | コメント(13) | トラックバック(0) | 2013/06/13 10:31

◎内部留保を問題にした2人の学者

 企業がため込んで、使われない内部留保について、2人の学者が新聞で問題提起しています。1人は、ニューヨーク大学名誉教授の佐藤隆三さん=理論経済学=。もう1人は、東大名誉教授の醍醐聡さん=会計学=です。

 佐藤名誉教授は、静岡新聞(3月5日付)の「論壇」に、「『内部留保を給与の増額に使え』と主張してきたのは日本共産党である。これを完全に無視してきたのは自民党であり政権与党だった民主党なのだ」と書きました。

 なぜ、こうしたことを主張したのか? 佐藤名誉教授は、「共産党については日米同盟などいろいろな問題で考え方は違いますが、内部留保に関する主張には大いに賛成です」とのべ、「しんぶん赤旗」(3月18日付)のインタビューに応じました。

 佐藤名誉教授は、「一番最初に企業がすべきことは新しい設備に投資することです。次にすることは従業員に多く給料を払うことです」と強調。企業が設備投資をせず、株や債券を買ったりするのは企業本来の目的から外れています、と語っています。

 その上で、「トヨタ自動車はトヨタ銀行といわれるくらい大量のお金を抱えています」と指摘し、「それをどう運用するかが経済が発展するかどうかの分かれ目です」といいます。

 アベノミクスについて、お金が本当に設備投資に回らないとインフレにになって、物価だけ上がって賃金は上がらないといいます。日本共産党の志位和夫委員長が「以前から内部留保を使って賃上げをと言ってきました」とのべ、「共産党の主張はまったく当然です」と語っています。

 醍醐名誉教授は、朝日新聞(3月22日付)で、「企業の社会的責任 内部留保に課税すべきだ」と書いています。このなかで、企業の内部留保は、リーマン・ショック直後の195兆円から昨年9月には217兆円へと増加しているが、「労働分配を犠牲にした結果」だと指摘しています。

 企業利益が従業員1人あたり2・4倍になったのに、現金給与総額は1倍のままだという「平成23年版労働経済白書」を引用。「ため込まれた内部留保のいびつさに多くの人々の意識が向いている今だからこそ、私は『内部留保税』の創設を提案したい」と語っています。

 また、日本の社会保障財源に占める事業主負担の割合は、フランス42%、ドイツ35%なのに、日本は25%と軽いこと、給与抑制や非正規雇用労働者の拡大などが加わった結果、企業の内部留保が巨額になったと強調。「大企業にも応分の社会的責任を果たすよう、もっと求めるべきである」とのべています。

内部留保 2人の学者
(「しんぶん赤旗」のインタビューに答える佐藤隆三名誉教授=左=と朝日新聞に寄稿した醍醐聡名誉教授)

 日本共産党は、眠っている内部留保を賃上げに使うことや非正規雇用労働者を正社員にすること、下請け会社の代金を切り下げるのではなく、正当な対価で支払うことなどして社会に還流させ、日本経済をデフレから脱却させて、まともにすることを主張しています。

 2人の学者と考え方に違う点もありますが、巨額な内部留保に光をあてて日本経済を発展させようと点では共通しています。14兆円のダントツの内部留保を抱えるトヨタ自動車が社会的責任を果たすことが求められています。
内部留保 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2013/03/27 08:02

◎内部留保 「大企業のなかに手をつっこむものではない」

 企業の内部留保問題を取り上げた、日本共産党の笠井亮衆院議員の基本的質疑(2月8日)が反響を呼んでいます。朝日新聞は9日付で、そのするどい質問から「第1委員室の男」と紹介しています。

 首相との論戦が行われ、テレビで生中継される衆議院の部屋が「第1委員室」と呼ばれるからです。

「朝日」 笠井議員


 笠井議員は、内部留保について安倍首相や麻生財務相に、こう主張しました。
 「大企業のなかに手をつっこんでお金を取り出して国民のために使えと言っているのではなくて、それぞれの会社が自ら雇っている労働者や下請けの給料が上がるために使うように、政治がルールつくろうということを提起しているんです」

 “トヨタは14兆円の内部留保を還元せよ”というと、トヨタのさいふに手をつっこんで奪うように聞こえるんですね。そうじゃない、と笠井議員は次のようにいいます。

 笠井議員 「人間らしい暮らしを保障するということで、われわれの提案は三つです。一つは、労働者派遣法の改正で正規雇用を原則にする。二つ目に、最低賃金を時給1000円以上に引き上げる。いま全国平均749円ですが、中小企業には国が手当てしながら引き上げる。そして第三に、公正取引で適正な下請け、納入単価を実現する。そういうことをきちっと政治が決めれば、企業が内部留保を活用して、自らの労働者の賃金や下請けに対して払うことができる」

 トヨタのテクニカルセンターには多くの技術派遣労働者がいます。最近も、40代で雇い止めされた人がいます。現在、ハローワークで仕事をさがしています。

 また、トヨタには3カ月~1年(最長2年11カ月)の短期の雇用をくり返す期間従業員の人がいます。リーマン・ショック時には6000人以上が雇い止めされました。労働者派遣法の改正に続いて、期間従業員のような有期雇用を改正し、正規雇用を原則にすることが必要です。

トヨタ本社の住所
(トヨタ本社ビル)

 笠井議員の質問に、麻生財務相は「内部留保が増え続けたというところが一番問題なんだと思います」と認めました。

 さらに笠井議員が、内部留保の1%だけでも、ほとんどの企業で賃上げが可能ことを明らかにすると、麻生財務相は、「今言われたようなことができる条件に企業側はあるということは確かだと存じます」と答えました。

 安倍首相も、今日8日に日本経団連の幹部らに、「賃上げや一時金が増えるよう要請を行っていきたい」と答弁しました。おもしろくなりました。トヨタで働くわれわれの給与が増えて欲しいですね。
内部留保 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2013/02/12 09:40

◎雑誌『経済』が内部留保特集 トヨタを分析


 雑誌『経済』(新日本出版社発行、980円)の9月号が、「財界・大企業と内部留保」の特集を組んでいます。約80ページの大特集で、9月号の半分を占めています。7つの論文、1つのデータ分析からなる力作です。

 日本で最大の内部留保をたくわえるトヨタ自動車が、各論文で分析対象になっているのが特徴です。巻頭論文は、日本福祉大学の大木一訓名誉教授の「『内部留保』の膨張と21世紀日本資本主義」です。

 大木氏は冒頭、「大企業の『内部留保』は21世紀日本資本主義の特質に深く根ざした問題であり、その『活用』いかんは、日本経済の将来を決定的に左右する問題の1つである」と指摘しています。単に、1企業に蓄積された内部留保を労働者らに還元することにとどまらず、内部留保を社会に還流させることが、今後の日本経済を左右するものだという大きな問題提起をしています。

 さらに、内部留保はどのようにして蓄積されてきたのか、と提起し、「3つの主要な源泉」を見いだすことができるとしています。それはー。
(1) 労働者階級に対する、その生存を脅かすほどの猛烈な搾取強化の展開である、こと。
(2) 中小・下請け企業に対する大企業の収奪が、強権的とも言える過酷さで押し進められるようになっていることである、こと。
(3) 金融収益の拡大である、こと。

 大木氏は、その具体的資料を示しながら、たとえばリーマン・ショック後のトヨタの「V字回復」は、下請け単価の切り下げ、期間工の解雇、従業員のボーナス・カットなどなりふりかまわぬものであり、それが「業績回復」の主因だったことをあげています。

 名城大学の谷江武士教授は、「内部留保とは何か、何に使っているか」との論文で、トヨタを詳細に分析しています。谷江氏は、内部留保は、「公表内部留保」と「実質内部留保」に分けることができると指摘しています。

 その上で、トヨタの2012年3月期決算では、単独ベースの内部留保は7兆7564億円、連結ベースの内部留保は14兆282億円にのぼることを明らかにしています。そうした巨額の内部留保を何に使っているかを分析しています。

 日本大学の田村八十一教授は、「世界の巨大企業における内部留保の状況」の論文で、世界の利益トップ10の企業とトヨタをふくめた12社を分析。エクソンモービルなど石油企業が巨額の内部留保をたくわえていること、トヨタもこれらの企業に次ぐ内部留保を蓄積していると指摘しています。

 トヨタのある労働者はいいます。「トヨタは、単独決算が赤字だと盛んにいう。家計で赤字だというと、貯金もないから借金しなくてはならないと考える。だが、トヨタのいう赤字とは、その決算期だけの赤字であり、これまでにため込んできた貯金―内部留保が、日本の企業でケタ違いにばく大であることが、この『経済』の特集でよくわかった。赤字だといって驚くことはないと思う。どうしてこうなるのか? この内部留保をどう使ったらいいのか? この特集でじっくり勉強したい」

『経済』201209号
内部留保 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2012/08/24 12:49

◎企業の“カネ余り”をどうするか? 三菱コンサルティング

 1990年代終わりから企業のカネ余りが続いている―昨日に続いて“カネ余り”の問題です。堅い話が続きますが、しばらくお付き合いをお願いします。このブログ「トヨタで生きる」では、内部留保について多数のコメントをいただいたからです。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングは3月9日、「新たな局面に入った企業のカネ余り」と題する論文を発表しました。

 論文では、「日本の企業部門は1990年代終わりからカネ余りの状態にある」と分析しています。「企業が設備投資などを通じて国内で資金を還流させなくなると、国内経済は活性化しにくく、結局は投資機会や雇用機会も拡大しない悪循環に陥ってしまいやすい」と指摘しています。

 企業は、バブル期までは資金不足で、主に有利子負債の拡大で資金を調達したが、1990年代終わりからは資金余剰に転じ、そのほとんどを負債の返済にあてたと分析しています。2005年以降は、対外投資などの金融資産の拡大傾向が鮮明になっているとしています。

 しかし、余剰資金が海外投資に向かって企業の利益がふくらんでも、「国内経済の成長にはつながりにくい」として、「国内で資金を還流させて経済全体の成長率を高めるべく、企業が創出した付加価値の分配方法を見直すことも検討に値する」といいます。

 見直すことにあげているのが「労働への分配」です。こうのべています。

 「労働への報酬を増やすことは社員のモチベーションを高め、企業の競争力を強化することにもつながり、さらには家計の所得の増加を通じて売上の拡大として再び企業に戻ってくる面もある。バブル崩壊の後遺症からなかなか抜け出せない中で、人件費はコストであり制御すべきもの、という発想が多くの企業で定着した感があるが、そろそろこの発想は変えるべき時期にきているのではないか」

 考えさせられる指摘ですね。来年の春闘は、4年連続してベア要求を見送るのではなく、「発想を変える」ようにしようではありませんか。

99 三菱 企業のカネ余り 
(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの論文から転載)
内部留保 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2012/03/25 08:29

◎シリーズ「内部留保」とは何か? なぜ急増したのか?

内部留保推移 労働総研

 トヨタ自動車をはじめとする日本の大企業の内部留保は、異常なほど増加しています。なぜでしょうか? 全国労働組合総連合(全労連)と協力・共同している労働運動総合研究所(労働総研)の知恵を借りましょう。

 上の表は、労働総研が作成したもので、大企業の内部留保の増大の経緯と賃金の増減をあらわしています。データは、財務省の「法人企業統計」などをもとにしています。この表からは、次のことがわかります。

 1998年には、143兆円だった内部留保は2009年度には257兆円へと、10年余りで1・8倍に激増しています。一方、売上は、1998年度は1381兆円で、2009年度は1368兆円へと13兆円も減らしています。

 これは、▽労働者の賃金が上がらなかったり、切り下げられたこと、▽企業が正社員を増やさず、派遣労働者や期間従業員など非正規雇用労働者を大量に増やしたこと、▽下請け単価を切り下げこと――などによるものです。表からは、その事がはっきりわかります。トヨタは、その典型ですね。

 しかも、大企業は利益を設備投資にも回してきませんでした。土地や工場・機械などの「有形固定資産」は、1998年度の498・5兆円から2009年度の459.1兆円へと39.4兆円も減少しているのです。

 ですから、内部留保が急増しているのです。

 実際、富士通総研の根津利三郎エグゼグティブ・フェローは、日本の企業の遊休資金は1997年10月から2009年12月まで増え続け、その総額は200兆円になっているとのべています。「なぜ企業はかくも貯蓄をするのか」との答えでは、▽有望な投資機会がない▽不確実な将来への備え▽各国で行われた法人税の減税―などをあげています(「トヨタで生きる」2011年1月4日参照)。

 大企業が内部留保をためつづけ、賃上げにも投資にも回さないなら、GDPの6割を占める個人消費が冷え、日本経済はますます縮小していくでしょう。内部留保の活用を真剣に論議する時です。

内部留保 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2012/03/08 10:05

◎シリーズ「内部留保」とは何か?

 この間、ブログ「トヨタで生きる」では、トヨタ自動車の内部留保が日本でダントツの13兆円もあり、そのばく大な内部留保を賃上げなど社員、関連・下請け、地域に還元すべきだと訴えてきました。内部留保について、多くのコメント、意見をいただいています。たとえば、2月29日には――。

資料をUPしてください。
太字の文トヨタの内部留保の内、現金として(運転資金を除く) いくらあるのか?現金以外の資産がいくらなのか 教えてくださいm(__)m たった と 言える根拠が知りたいです。

 こうした質問のほかに、誤解もたくさんあります。そこで、内部留保とは何かをシリーズで見てみます。

 (表)内部留保の内容
(1)公表内部留保
   利益剰余金 1、その他利益剰余金
           a、任意積立金
           b、○○積立金
           c、別途積立金
           d、繰越利益剰余金
         2、利益準備金
(2)実質内部留保 1、資本剰余金
           a、資本準備金
           b、その他資本剰余金
          2、長期負債性引当金
           a、退職給付引当金
           b、○○引当金
          3、(土地や有価証券の含み益)
          4、(減価償却の過大償却部分)

 上の表は、貸借対照表からひろった項目です。2010年5月16日に開かれた第26回トヨタシンポジウム(愛知労働組合総連合などでつくる実行委員会主催)で、名城大学の谷江武士教授が記念講演した「トヨタの内部留保と労働者」のレジメから引用したものです。

 谷江教授は、内部留保とは、「企業が実現した利益のなかから企業内部に蓄積した部分をいう」と指摘します。企業は、当期の純利益と過年度からの繰越利益剰余金を合算したものから株主へ配当し、その残りを利益剰余金として社内に留保する――利益剰余金は、上の表のような内訳からなっており、これを公表内部留保といいます。

 それ以外の資本剰余金や長期負債性引当金、貸倒引当金などを実質内部留保といいます。減価償却の過大償却部分などは、計算が複雑なために内部留保として加えないケースもあります。

 下の貸借対照表は、トヨタの2011年3月期決算(連結)です。利益剰余金は、11兆円を超えるばく大なものですね(単位、100万円)。

99トヨタ201203決算貸借対照表
内部留保 | コメント(12) | トラックバック(0) | 2012/03/07 19:15

減税しても内部留保がたまるだけでは (下)

 菅首相のいうような、法人税減税で「企業による設備投資や雇用の拡大効果」を発揮させることはできないでしょう。それならば、トヨタのように、ため込んだ11兆円もの利益剰余金=内部留保の活用に求めるべきではないか―。

 国内消費は、冷え切っています。自動車の国内販売は、年々減少するばかり。自動車工業会が17日発表した2011年の国内新車販売見通しは、447万台です。10年の496万台(推定)から約10%もの減少です。

 これは、1977年(419万台)以来、34年ぶりの低水準というから驚きです。トヨタも10%減の130万台といわれています。国内販売の不振について、トヨタの幹部は「若者の車離れ」などをあげます。

 若者の2人に1人は、年収が200万円以下のワーキングプア(働く貧困層)です。トヨタの期間従業員の年収は、200数十万円です。これでは、新車に手が届かないでしょう。

菅首相は、「1に雇用、2に雇用」と、口を開けば「雇用」の言葉を使いますが、雇用にについてこうすべきではないでしょうか。労働者派遣法や期間従業員のような有期雇用を抜本的に見直し、非正規で働く不安定雇用を規制し、正社員が当たり前の雇用形態に戻すことです。

大卒の内定者が57%で、新・就職氷河期といわれる現在、企業に新卒者の雇用に責任を持ってもらうことが必要です。新卒=失業では、未来をになう若者の夢も希望も奪うことになります。

大企業は空前の「金余り」状態です。大企業が1年間で増やした内部留保は11兆円にのぼります。内部留保増加分の3・4%分を使えば新卒者15万7000人を雇用できます。菅首相は、新卒者の採用増を強力に働きかけるべきです。

 大企業をダムにたとえるなら、そのダムに満々と水は貯えられており、ほんの一部を下流に放流すれば国民は繁栄できるはずです。満ち溢れんばかりのダムに、さらに水を注ぎ足し、溢れることを期待するのであれば、とても政治とはいいがたいでしょう。
 
 大企業を応援すれば、そのうちにおこぼれが回ってくるという古い自民党流の経済は破たんしています。その焼き直しでは期待できない。大幅賃上げ、サービス残業の是正、年休の完全取得、労働時間の短縮―目前の2011春闘を日本経済を立ち直させるものにしましょう。

0902トヨタ総行動

(トヨタ本社前をデモ行進=トヨタ総行動から)
内部留保 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2010/12/19 07:52

何に使う? 法人税減税 (上)

99何に使う法人税減税

 (しんぶん赤旗 17日付から)

 「盗人に追い銭」では、国民の暮らしは守れない―決断は早かった。菅首相は、財界の要求に応えて法人税の5%引き下げを指示しました。

 日本経団連の米倉弘昌会長は14日、もろ手をあげて歓迎し、「菅首相の決断に敬意を表する」とのコメントを発表しました。菅内閣は、おまけに高額所得者を優遇する証券優遇税制を、13年度末まで2年延長することも決めました。

 僕がトヨタに入社したのは、1968年。退職するまでの40年余、口をそろえて会社と労組から聞かされてきたのが「企業の発展は、労働条件の向上につながる」という言葉。世界のトヨタになった今、どうなっているのか?

 ここ10数年の賃金は横ばい。リーマンショック後は、一時金が大幅に減額され、家のローン、教育費に頭をかかえながらの生活。国内外での生産ラインの「寄せ停め」による応援、配転、転籍の心配。成果主義の導入による人間関係のぎくしゃくからくる精神疾患の増大…生活苦、労働苦はつのるばかりだ。

 企業の発展が労働条件の向上に結び付かないことが明らかになっているのではないでしょうか。

 菅首相は、法人税減税の理由について、企業による設備投資や雇用の拡大効果をもたらし、日本経済を強くするという。雇用拡大について米倉会長は、「お約束するわけにはいかない」「資本主義ではない考え方を導入されては困る」と表明している。

 法人税を引き下げて、何にあてられるのか? 帝国データバンクの調査がある。「内部留保の積み増し」が25・6%、借入金返済が16・8%で、この2つで半分近くを占める。

 設備投資の増強は12・7%にすぎない。結局、法人税の減税は、内部留保の積み増しになってしまい、雇用の拡大や投資に結び付かない。結び付いても、むしろ海外進出を支援するものになってしまう。
内部留保 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2010/12/18 09:00
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