◎トヨタ労組大会 独自の裁量労働「FTL(I)」を承認

 トヨタ自動車労働組合(西野勝義委員長、約6万8000人)は10月14日、愛知県豊田市の組合事務所、カバハウスで定期大会を開きました。会社側が提案していた事務・技術職へのトヨタ独自の裁量労働「FTL(I)」を承認しました。

 「FTL(I)」とは、「Free Time & Location for Innovation」の略。時間と場所にとらわれない革新的な働きかたという意味です。会社は、「賃金は掛けた時間の対価であるという考え方を払しょく」するものとしています。

 トヨタでは、現行法の裁量労働制で、企画裁量型で370人、専門業務型で1403人、合わせて1773人(17年3月時点)が働いています。これとは別に、現行法のわくのなかで、トヨタ独自の“裁量労働的”働き方を導入するものです。

 電気自動車化、自動運転化など自動車産業の大激動と連動した、トヨタの事務・技術職約7800人の新たな働き方として注目され、朝日や日経、産経、中日の各紙などがいっせいに取り上げています。

 執行部は、「組合員の懸念点もしっかり共有したうえで、制度導入のねらいや適用基準などの制度内容を整理・確認できた…本制度は導入可能と判断」したとしています。

 大会の発言では、「目標を達成したら、仕事が増えるのではないかという懸念の声が職場であがっている」などの意見が出されました。組合が承認したことで、今年12月から実施される見通しです。

トヨタ本社地区
(駐車場=右側=から歩道橋を渡って出勤するトヨタの技術労働者ら=豊田市のトヨタ本社地区)

                        ◇

 「FTL(I)」制度について、トヨタ労組は「評議会ニュース」(No1258号)で概要を明らかにしています。それによると――

 ▽適用されるのは、主任職で、本人の発意、所属長との面談、部長や人事の承認、▽1週間に1回、2時間以上の出社が必要、▽手当は17万円。超過勤務手当の金額が17万円を上回る分は翌月に支給、▽残業はフレックスタイム制と同じで、“36協定”通りの月45時間、年360時間まで。絶対限度時間(36協定の特別条項)は月80時間、年720時間まで、▽年間20日間の年休取得は必須。平日に5日間、連続して休暇取得必須――などです。

 組合が主任職667人と制度対象候補の指導職495人アンケートを取ったところ、「裁量があるものになるか」との問いに対し、6割が肯定的、3割が「変化なし」でした。

 また組合は、長時間労働のおそれについて、「職場では、結局『FTL(I)」適用者は45時間働ける。むしろなぜ働かないのか』という空気になるのではないか」という声は根強く、現状のままでは実際に、そうなる可能性がかなり強いと懸念している」などの声があがっていることを紹介しています。
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職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/10/15 15:49

◎使いにくい企画業務型裁量労働?

 労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の分科会(8月30日開会)で、厚労省は企画業務型裁量労働制に、「営業」(課題解決型提案営業)と「裁量的にPDCAを回す業務」の2つの業務を加えようとしています。

 裁量労働とは、働いた時間にかかわりなく、あらかじめ労使で決めた時間を働いたとみなす働き方です。労働基準法の1日8時間、週40時間の労働時間規制をはずすものです。「企画業務型」と「専門業務型」の2つがあります。

 「企画業務型」は、「企業の企画部門で経営環境を調査分析し、経営計画を策定する労働者」(厚労省)としています。厚労省の調査では、適用労働者の割合は0・3%、導入企業の割合は0・9%にとどまっています。

 「専門業務型」は、新商品や新技術の研究開発、情報処理システムの分析・設計、新聞記者、弁護士など19業務に限定されています。

ランニング
(健康のために、昼休みにランニングする技術労働者ら)

 日本経団連は、一部の業務に限られていることや、労働基準監督署に書面で6カ月ごとに報告が義務付けられていることなどから、「使いにくい」といって規制緩和を求めてきました。

 厚労省は、こうした企業の要求を受け入れ、「企画業務型」にあらたに2業務を増やすとともに、「使用者の労働基準監督署への報告義務は、制度導入後6カ月目のみとするよう簡素化する」としています。

 トヨタでは、企画裁量型で370人、専門業務型で1403人、合わせて1773人が働いています(17年3月時点)。

 このブログ「トヨタで生きる」で明らかにしたように、トヨタは事務・技術職の約7800人に、“裁量労働的”働き方である「新しい時間管理制度 FTL(I)」の導入をめざし、トヨタ労組と話し合いをしています(上、下の2回)。
http://toyotaroudousya.blog135.fc2.com/blog-entry-2615.html

 自動車産業は今、ガソリン車から電気自動車へのシフト、AI(人工知能)技術を不可欠にした自動運転など自動車産業が激変の時代を迎えています。しかもグーグルやIBM、アマゾンなど異業種のIT企業との競争が激化しています。

 トヨタは、裁量労働制の規制緩和や「残業代ゼロ」法案(高度プロフェッショナル制度)などの成立を待ってはおれない“お家の事情”があるのでしよう。現行法の枠のなかで、“裁量労働的”働き方を実現しようというのです。

 「FTL(I)」とは、「Free Time & Location for Innovation」の略です。時間と場所から自由になる革新的な働きかたという意味ですが、労働時間の規制をはずしたいのでしょうか。

               ◇

 この記事は、9月5日にアップする予定でしたが、都合により前日にアップしました。
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/09/04 16:47

◎これが南武線のトヨタのポスター

 トヨタは、このブログ「トヨタで生きる」で紹介したように、電機大手の事業所が集中するJR南武線(東京の南部と神奈川県北部を走る)沿線の駅で、トヨタ自動車がIT技術者を引き抜く広告を貼っていることをアップしました(8月11日)。

 この記事を読んだ南武沿線に住む人から、写真を送っていただきました。南武線と小田急線の乗換駅、登戸駅に貼ってあったといいます。モノクロのポスターです。

30 南武線1


 「シリコンバレーより、南武線エリアのエンジニアが欲しい。」
 「エンジニアのみなさま、お疲れさまでした。本日帰宅されましたら。自宅でじっくりと下記の内容をご検討ください。」

 こうのべて、自動運転・コネクティッド技術のエンジニアを募集しているトヨタ自動車のネット広告へアクセスして欲しいというものです。

 ネット求人広告では、トヨタの常務理事がIT技術者に、トヨタへの転職を次のように求めています。

「AIやコンピュータービジョン、ビックデータを扱うためのコンピューターサイエンス、センサ技術などの分野に明るい方であれば、何人でも欲しいというのが実情です」
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/08/23 18:08

◎トヨタが新たな“裁量労働的”働き方 「FTL(I)」 (下)

 トヨタの新たな「FTL(I)」の働き方は、あくまで現行法のわくのなかでの働き方です。

 現行法では、裁量労働という働き方があります。トヨタでは、企画裁量型で370人、専門業務型で1403人、合わせて1773人が働いています(17年3月時点)。

 トヨタで導入している裁量労働制は、1日9時間働いたとみなし、基準賃金の25%の「裁量労働手当」を支給しています。

 裁量労働制は、業種が限られることや6カ月ごとに労基署に報告――など適用要件が厳しく、手続きも煩雑なために、日本経団連など財界や大企業からは対象を営業職などにも広げるなど規制緩和の声が上がっています。

 安倍政権は、これに応えて秋の臨時国会で営業職に広げるために労働基準法の改定案を提出しようとしています。

 厚労省が「高度プロフェッショナル制度」と呼ぶ「残業代ゼロ」法案(労働基準法の改定案)も審議しようとしています。これは、労働界や野党の強い反対で2年以上たなざらしなってきたものです。

夜 テクニカル
(技術労働者が働くトヨタのテクニカルセンター)

 こうした法案の成立を待ってはおられないトヨタの事情があります。前回も指摘したように、ガソリン車から電気自動車へのシフト、AI(人工知能)技術を不可欠にした自動運転など自動車産業が激変の時代を迎えているからです。

 トヨタは、このブログ「トヨタで生きる」で紹介したように、電機大手の事業所が集中するJR南武線(東京の南部と神奈川県北部を走る)沿線の駅で、トヨタ自動車がIT技術者を引き抜く広告を貼っていることをアップしました(8月11日)。

 トヨタの常務理事が、「AIやコンピュータービジョン、ビックデータを扱うためのコンピューターサイエンス、センサ技術などの分野に明るい方であれば、何人でも欲しいというのが実情です」とトヨタへの転職を求めているように、IT技術者の絶対数が不足しています。

 トヨタの競争相手は、自動車メーカーではなく、グーグルやアップル、アマゾンなどアメリカのシリコンバレーのIT企業になっているからです。これまでのように、じっくり技術者を育ててはおれない事情があるのです。

 IT技術者に魅力的な働き方――それは、子育てや介護などに必要な在宅勤務であり、時間や働く場所にとらわれない働き方であると考えるのでしょう。

三河豊田 出勤
(出勤するトヨタの技術労働者ら=三河豊田駅前で)

 実際、トヨタは、「『FTL(I)』のねらいの1つに、会社の生き残りに向け『裁量をもった働き方』を通じた創造性の発揮が不可欠」とのべているように、「生き残りに向け」た、人材確保が大きな理由にまちがいないでしょう。

 それは、労働時間や働く場所にとらわれず、成果を究極的に追及しようというものです。残業は年間360時間以内を前提とし、月80時間、原則540時間の範囲のなかでとしていますが、「月80時間」の残業とは厚生労働省が過労死ラインにしているものです。

 現行法のなかでも、トヨタではわかっているだけでも5人の過労死認定があります。今年2月には、トヨタの関連会社で、うつ病を発症していた労働者が月85時間の残業で過労死した事件で、名古屋高裁が労災と認めました。厚労省が上告しなかったために判決が確定しています。

 「FTL(I)」の導入にあたっては、健康で過労死しない働き方か、十分論議する必要があるでしょう。

                ◇

 この記事は、8月22日にアップする予定でしたが、都合により20日にアップしました。
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/08/20 10:06

◎トヨタが新たな“裁量労働的”働き方 「FTL(I)」 (上)

 トヨタ自動車が事務・技術職に、「新しい時間管理制度 FTL(I)」の導入をめざし、トヨタ労組と話し合いをしています。労組の「評議会ニュース」(No1253号 8月2日発行)で報告しています。

 日経新聞が8月2日付けで大々的に報道し、7800人もの大量の事務・技術職が対象になるということで、トヨタの新たな働き方に注目が集まっています。

 「FTL(I)」とは、「Free Time & Location for Innovation」の略です。時間と場所から自由になる革新的な働きかたという意味でしよう。

 「FTL(I)」のねらいについてトヨタは、「年間限度超え手続きの効率性と働き方の柔軟性を高めるための施策」「賃金は掛けた時間の対価であるという考え方を払しょく」などと位置付けています。

 また、「会社の生き残りに向け『裁量をもった働き方』を通じた創造性の発揮が不可欠」としています。ガソリン車から電気自動車へのシフト、AI(人工知能)技術を不可欠にした自動運転など自動車産業が激変の時代を迎えるなか、“裁量労働的”働き方が必要だということでしょう。

日経の表 トヨタ 裁量労働 実質拡大
(日経新聞 8月2日付から)

 労働基準法は、労働時間を1日8時間、週40時間と定めており、現行法のわくのなかでの新たな制度です。

 その骨子を具体的にみると――。

①残業は年間360時間以内を前提とし、月80時間、原則540時間の範囲のなかで、健康面に十分配慮して働けるものとする。

②この新たな制度に適用されるのは、▽主任職で、▽本人の意思、▽所属長との面談、▽部長や人事の承認――の4条件が必要。

さるすべり


③手当は、月17万円を支給する。これは、一般的な主任職の裁量労働手当の1・5倍になる。月45時間の残業代を上回る。17万円を超えて働いた分は、翌月に支給する。

④“休み方”については、年間20日間の年休を取得すること、平日に5日間、連続して休暇を取ることが必須。

 今回の新制度では、1週間に1回、2時間以上出社すればいいことになります。この間、在宅勤務について労使で議論が続き、昨年秋に導入しているように、在宅勤務に大きくシフトしているのが特徴です。

 次回の(下)では、こうした新たな働き方のねらい、背景などについて考えます。

               ◇

 この記事は、8月21日にアップする予定でしたが、都合により前日にアップしました。
職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2017/08/20 10:00

◎トヨタの「キャリア リクルーティング サイト」

 このブログ「トヨタで生きる」では先日、電機大手の事業所が集中するJR南武線(東京の南部と神奈川県北部を走る)沿線の駅で、トヨタ自動車がIT技術者を引き抜く広告を貼っていることをアップしました(8月11日)。

 それだけでなく、ネットに「TOYOTA RECRUITING SITE」を開設し、全国から広くIT技術者を募集しています。いかに技術者が不足しているかを示しています。

 グールグで、「トヨタ キャリア リクルート」と入れて検索すると、「シリコンバレーよりトヨタでしょ」が表示されます。

http://www.toyota-careers.com/automated_driving/?adid=ag454_lis_google_src._.txt_engineer_creative3.pc.0188.toyotacareers.170720.GG01..&padid=ag454_lis_google_src._.txt_engineer_creative3.pc.0188.toyotacareers.170720.GG01..

 このサイトでは、常務理事で先端技術開発カンパニーの鯉渕健氏(自動運転、AI/ビックデータ担当)が、こう呼びかけています。

 「AIやコンピュータービジョン、ビックデータを扱うためのコンピューターサイエンス、センサ技術などの分野に明るい方であれば、何人でも欲しいというのが実情です」

 「トヨタからのメッセージ」では、「私たち自動車メーカーは、従来の『走る、曲がる、止まる』から『つながる』ことへと、開発の領域を広げてきました」と自動車を取り向く環境が激変していることを強調しています。

40 トヨタ キャリアリクルート
(「TOYOTA RECRUITING SITE」から)

 その上で、「具体的には、広義のIT、AI(人工知能)、画像認識、信号処理、機械学習、地図自動生成……など、今までのTOYOTAになかった知見を持つ専門家の力が必要なのです。自動運転カーの実用化まで、あと一歩。あなたの優れた経験と技術を、ぜひTOYOTAで発揮してください」と呼びかけています。

 大手電機メーカーの研究職やレンズメーカーでデジタルカメラの機械設計に携わってきた技術職から、トヨタに転職してきた労働者のインタビューを掲載。そのプロフィールやトヨタでの現在の仕事を紹介し、サイトからトヨタにエントリーできるようにしています。

 グーグルやアップル、アマゾンなど自動車とは異業種のシリコンバレーの雄と熾烈な競争に入ったトヨタなど自動車メーカー。自動車産業は、かつてない激動の時代に突入しています。
職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2017/08/15 10:19

◎トヨタが電機のIT労働者を引き抜くわけ

 メディアが伝える、JR南武線駅でのトヨタの広告が話題になっています。南武線は、神奈川県の川崎駅から東京都の立川駅まで、神奈川県北部と東京の南部を走る鉄道。沿線には、富士通やNEC、日立など電機大手の事業所が立ち並んでいます。

 「えっ!? あの先端メーカーにお勤めなんですか! それならぜひ弊社に」――こんな広告が駅に貼られているのです。しかも南武線限定です。NHKが8月9日に放送したのをはじめメディアがこぞって取り上げています。

 「シリコンバレーより、南武線エリアのエンジニアが欲しい」――アップルやグーグルなどの本社がある米シリコンバレーを意識し、日本の電機エンジニアのこころをくすぐるようなキャッチコピーです。

 NHK記者は、「あまりにストレートな表現に『これが本当にトヨタの広告なのか』と目を疑いました」と報告しました。「ネットやスマホの会社のエンジニアと、もっといいクルマをつくりたい」という広告もありました。

 「もっといいクルマをつくりたい」とは、トヨタの豊田章男社長が常に口にしている言葉です。トヨタは、愛知県に本社、工場が集中し、エンジニアの多くは愛知県に住んでいます。東京へ、しかも電機IT技術者へが集中する南武線沿線へ乗り込んでの技術者の引き抜きです。

70 NHK 南武線
(NHKの放送から)

 なぜ、トヨタがこんな引き抜きを? 自動車産業は今、ガソリン自動車以来の100年の大激動期といわれています。長年の夢だった人工知能(AI)が急速に実用化になり、自動運転が目の前にやってきました。

 また、ガソリンから電気自動車(EV)への転換が現実味を帯びてきました。英仏が2040年にガソリン車を禁止すると打ち出したことで、一挙に雪崩を打って移行しようとしています。ハイブリッド(HV)車で成功したトヨタも大転換を迫られています。

 自動運転では、グーグルがプリウスをベースにすでに走行実験をくり返しています。グーグル、アップル、アマゾン、マイクロソフトなどはAI技術で、日本をはるかにリードしています。あらゆるものがインターネットでつながるIoT技術をめぐって企業は熾烈な競争をしています。

 AIやEVなどに必要なのがIT技術者です。しかも即戦力が必要です。そこでトヨタが南武線沿線のIT技術者の引き抜きを考えたのでしょう。日本最大の会社のトヨタが、なりふりかまわぬ広告を出したものですから、メディアがこぞって取り上げているのです。

12 南武線
(南武線は、夜の11時を過ぎても混んでいます)

 この広告と軌を一にするようにトヨタが打ち出してきたのが事務・技術職への“裁量的働き方”です。8月2日付の日経新聞が1面で大きく取り上げたことで注目されました。

 トヨタがこの間、くり返し語っている「FTL」(Free Time & Location=時間と場所から自由になる)という働き方です。トヨタ労組の「評議会ニュース」にくわしく掲載されています。

 主任級約7800人を対象に、月17万円の手当(残業45時間分)、45時間を超えると残業代を支払う、在宅勤務を広げ、週2時間出社すればいい――などと、一見するといいことずくめです。

 南武線の駅近くに知人がいます。時折訪ねますが、夜10時過ぎ、11時過ぎても電車は混んでいます。スマホやタブレットを開いている労働者。電機のIT技術者のように見えます。

 電機IT技術者に、「FTL」の労働条件を示せば、引き抜きは可能――と考えるのは考えすぎでしょうか?

職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2017/08/11 10:21

◎トヨタ 残業年360時間超 16年度で4813人

 トヨタ自動車の年間残業時間のうち、360時間を超えた人数が16年度で4813人を数えました。前年度が5446人でしたから633人減りました。

 表のように2003年度は1万人を超えていました。それから急激に減り、リーマン・ショック時は690人までになりました。以後はじわじわと増え続けていましたが、この3年間の増加傾向にやっと歯止めがかかりました。

 16年度の内訳は、工場などで働く技能職が762人(15・8%)、事務・技術職が4051人(84・2%)で、圧倒的に事務・技術職が多くなっています。

25 トヨタの残業 年間360時間超 16年度まで


 日本では、残業の上限を法律で規制していません。労働基準法36条に基づいて、労使協定で残業の上限を決めています。特別協定を結べば事実上、青天井になります。

 日本経団連会長会社の東レは、年間1600時間、1カ月160時間の労使協定を結んでいます。厚労省は、月80時間以上を“過労死ライン”としていますから、東レは過労死ラインをはるかに上回る残業を労働者に強いていることになります。

 さすがに厚生労働大臣の告示で、年間360時間、1日45時間までにするよう求めていますが、法的規制でないために、東レのような驚くべき長時間残業がまかり通っています。

 トヨタ自動車は、年間360時間、特別協定(絶対限度時間)で600~720時間を結んでいます。1カ月は45時間、特別協定では過労死ラインの80時間(年間6回まで)まで可能です。

 日本共産党の志位和夫委員長は、2015年2月の衆院予算委員会で、トヨタの2つの過労死事件を詳細に示して、残業は厚労大臣告示の「月45時間」を法律化すべきだと安倍晋三首相に求めました。

 安倍首相は、「慎重に検討すべき課題」とのべるだけで、法律化に難色を示しました。その安倍首相が議長となってとりまとめた「働き方改革実行計画」(3月28日)では、残業の上限について、原則「月45時間、年360時間」としました。志位委員長の主張を認めざるを得ませんでした。

 ところが、「臨時的な特別の事情」があれば、「年720時間(月平均60時間)」まで認めるとしました。これには休日労働が含まれず、含むと最大年960時間(毎月80時間)まで認めるというとんでもないものです。

 しかも繁忙期には、「月100時間未満」の残業を認めています。電通の新入社員の過労自殺事件が明るみになった後に、こんな過労死ラインの残業を認めたのです。

 トヨタの年間総労働時間は、1900時間台が続いています。フォルクスワーゲンの本社などがあるドイツの1300時間台と比べると600時間ほども長く働いていることになります。

 トヨタでは、わかっているだけでも、これまでに5人、関連会社を含めると6人が過労死認定を受けています。安倍政権は、残業規制だといいながら過労死ラインまで法律化しようとしています。断固、反対しようではありませんか。

職場は今 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2017/06/02 18:19

◎本社地区に虹が出た!

 週末の金曜日(5月26日)夕方、トヨタの本社地区に虹が出た! しかも、うっすらと外側にも半月が。一週間の仕事を終えてほっとしたみんなに“がんばったね”と励ましてくれるような七色。

 この日、朝から降っていた雨が夕方のいっときだけあがる。

30 虹1


 ふと目を外に向けると、トヨタ本社ビル群から大きな虹が空に向かう。
赤い列車が走り抜ける。
わずかにふる雨をさけて傘をさして人が田んぼ道を歩む。

 止まない雨はない

 虹に向かって語りたくなった。

 「いやなことばかりじゃない。この先の虹色の未来へがんばっていこう」

30 虹2
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/05/27 10:44

◎「トヨタの焦燥」 『東洋経済』特集

 週刊経済誌『東洋経済』が「トヨタの焦燥」という特集(4月29日・5月6日号)を組んでいる。トランプ米大統領、次世代カー、ケイレツ(系列)のトヨタを取り巻く“3つの難題”について44ページも使う力の入れ方だ。

 世界の自動車産業は、①ガソリン車に次ぐ次世代車は何になるのか、②グーグルなどネット関連企業を巻き込んだ、AI(人工知能)を基にした自動運転技術の開発、③車は持つものではなく、必要な時に借りるものという車シェア時代の到来――などをめぐって熾烈な競争をくり広げている。

 昨年、世界販売量ではフォルクスワーゲン(VW)に抜かれて、2位に後退したものの、トヨタは1000万台超を販売している。そのトヨタが熾烈な競争のなかで“焦燥”しているのではないか、というのが特集の命題だ。

 なかでも興味深かったのが「トヨタは読み違えたのか」という見出しの次世代カーの開発の物語である。現在のトヨタは、世界初のハイブリッドの量産車「プリウス」を1997年に販売してから20年になる。

 プリウスは4代目になり、プリウス以外にも30種以上にHVを広げ、世界販売累計は1000万台を超えた。日本ではホンダがトヨタと同じようにHVを販売しているが、世界で見るとHVは少数派にとどまっている。

 ガソリンと電気の“いいとこどり”をしたHVだが、本格的なエコカーへの中間技術という弱点があった。『東洋経済』の「特集」では、「トヨタはプリウスの成功体験から抜けられないでいる」というアナリストのコメントを紹介している。

12 トヨタの焦燥 東洋経済


 では、次世代のエコカーの本命は何か? トヨタは燃料電池車(FCV)の「ミライ」を世界に先駆けて2014年に発売したが、水素スタンドのインフラ整備というネックと価格が高いという2つの壁があって本命にはまだなっていない。

 「特集」では、今年2月にトヨタが発売を始めた2代目プリウスPHV(プラグ・イン・ハイブリッド)について触れている。内山田竹志会長は、発表会で「PHVがエコカーの主流になる」と断言した。

 その一方で、トヨタはHV優先で出遅れた電気自動車(EV)へ急速に開発をシフトしている。16年12月に豊田章男社長直轄の「EV事業企画室」を立ち上げ、グループ3企業から人を集めていると指摘する。

 背景には、アメリカの最大市場のカリフォルニア州で、2018年モデルから「排ガスゼロ車(ZEV)規制」が強化されるが、プリウスはエコカーの扱いからはずされることになった。

 トヨタにとってはショックな出来事であり、HV優先路線の修正を余儀なくされている。しかも、EVは電池の開発が急テンポですすみ、コスト低減と航続距離が長くなってきたこともEVに力を入れてきた日産自動車などを勢いづかせている。

 世界最大市場、中国は大気汚染が深刻で、エコカーに本腰を入れ始めている。エコカーの普及は、地球温暖化という人類共通の問題解決につながるものだ。しかし、EVなどからはエンジンがなくなり、下請けの仕事や労働者の雇用にも大きな影響をもたらすものになる。

 「特集」は、トヨタ1社だけの「焦燥」だけにとどまらない、自動車産業全体の根本的な問題を突き付けているようにも思った。ひよっとしたら、「トヨタにおれば一生安泰」という時代ではなくなるのか…。
職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2017/04/28 11:49

◎桜の下でランチ会やランニング トヨタ本社地区

 トヨタ自動車の本社地区(豊田市)の桜は満開だ。ここのところ、雨や曇りの日が続いている。この日も、前日の雨がやんだもののテクニカルセンター前の時計塔の温度計は14度を表示している。花冷えの日になった。

 つぼみがちらほらあり、満開のちょっと手前くらいだろうか? 旧本社前の枝垂れ桜も最近は勢いがない。老木のせいだろうか。トヨタに入社したころの枝垂れ桜の美しさは強烈な印象だった。

本社地区1

本社地区2


 入社時と桜は重なり、桜を見ると入社した時のういういしい感情がよみがえってくる。時の流れだろうか。あの時とはずいぶん変わったような気がする。

 入社教育を受けたのは養成工の実習棟のあったところで、現在は本社ビルが建っている。その向かい側にあった本社体育館も取り壊されて更地になっている。本社地区の風景も様変わりした。1つの時代が去ったということだろうか。

本社地区3

本社地区4


 それでも4月になると新入社員が入り、新しいトヨタが始まる。昼休みになると、テクニカルセンターをはじめ各職場からランナーが桜の下を走りだす。200人ぐらいはいるだろうか?

 昨年秋、トヨタの事務・技術職にFTL(Free Time & Location)が導入された。裁量労働制やフレックスタイム制に在宅勤務がプラスされたものだ。時間、場所から自由になるという働き方だという。

 安倍政権は、「働き方改革実現会議」で、1カ月に「100時間未満」まで残業ができることを導入しようとしている。“過労死ライン”までの残業を認めるものだ。

本社地区5


 桜の下では、それぞれの職場ごとや友人同士でランチ会が行われている。定年まで、安全で健康で働ける人生であってほしい。それが、“トヨタで生きる”第1条件のはずだと思う。
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/04/11 17:55

◎トヨタ本社地区 夜桜を見て思った

 トヨタ自動車に今年も4月3日(月)、新入社員が入ってきた。事務職174人、技術職629人、業務職50人、技能職1780人、合わせて2633人(昨年は2581人)だ。

 おめでとうございます。この日から新年度が始まる。豊田市の本社事務本館ホールで入社式が行われた。豊田章男社長をはじめ役員40人、労働組合と各職制会などから16人、各部代表者など合計約200人が参加したという。

 テレビがトヨタの入社式を流していた。豊田社長をはじめ全員、作業服姿で出席。社長は、「激動の時代、こんなときだからこそ変えてはいけないぶれない軸、未来のために今を変える覚悟を持つべきではないか」とあいさつしていた。

 注目されたのが広告大手の電通。入社1年目で、1カ月に130時間56分の残業をして過労自殺した女性社員がいた。山本敏博社長が145人の新入社員を前に、謝罪した上で、「電通の最大の財産は『人材』です。電通を舞台に、皆さん自身の可能性を大いに広げてください」とのべたという。

桜1 (1)

桜 222


 トヨタの本社地区は、新入社員を祝うように桜が咲き始めている。今年は、寒さのために満開は遅れている。帰り、夜桜を楽しもうと枝下緑道を歩いた。普段、見慣れた風景も、あらためて夜桜の美しさを見ると、素敵な風景だと思った。

桜1 (3)

桜1 (4)

 職場では、今日から年間残業数がリセットされた。先週までは、残業オーバーで早帰りしていた人たちが、あたかも残業数を競うように、こぞって残業を始めた。

 夜桜の美しさを楽しみながら思った。「立ち止まって、少しゆっくり考えよう」、と。

桜1 (5)
職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2017/04/04 11:56

◎「戦争のためにつくっているんじゃない」――「LEADERSⅡ」を見て考えた

 トヨタ自動車の創業者、豊田喜一郎をモデルにしたテレビドラマ「LEADERSⅡ」がTBS系で3月26日、放送された。最初放送されたのは2014年3月。3年ぶりの続編になった。

 主人公・喜一郎のモデルは、佐藤浩市が演じるアイチ自動車の愛知佐一郎である。今回のハイライトは、国産乗用車をめざし、折れないシャフトづくりへの佐一郎と技術者、工員たちの挑戦と苦闘、その国産乗用車を売る販売店づくりへの人間の葛藤の2つである。

 ドラマで佐一郎は語る。GMなどの外車が主流だった戦前、「人々の暮らしを豊かにする夢がある」と国産乗用車づくりに熱中する。織機で稼いだ金を自動車につぎ込む「大バカ者」と陰口をたたかれながらも。

 折れないシャフトづくりのシーンは最大の見どころだ。何度も、何度もつくったシャフトに圧力をかけるが、そのたびにパーンと折れて見守る佐一郎らの足元に転がる。苦悩にゆがむ顔、顔…。

写真 リーダーズ2
(シャフトづくりに苦闘する愛知佐一郎役の佐藤浩市=中央=ら。「LEADERSⅡ」から)

 現在、トヨタのプリウス3代目に乗っている。新車から6年目になるが1度も故障したことはない。自動車ばかりかパソコン、スマホの故障も激減している。先人たちの新製品への苦闘は、感動的だ。

 もう1つの販売店づくりは、今日ではあまり知られていない。輸入自動車販売店からアイチ自動車の販売店第一号となった「日の出モータース」支配人・山口昇のモデルの山崎亘を内野聖陽が演じる。

 奈良日産からトヨタ系へ移籍する菊池武三郎のモデルの菊間武二郎を大泉洋が演じる。東大寺の大仏の前で語り合うシーンもある。2人は、佐一郎の夢と情熱に引き込まれ、アイチ自動車系の販売店へと転身する。役達者な内野、大泉が、地味な佐藤を補い、引っ張っている印象だ。

 ドラマでは、アイチ自動車が倒産の危機に陥ったという1950年(昭和25年)で、労働組合が「首切り反対」の横断幕を掲げてデモ行進するシーンが描かれている。

リーダーズ 首切り反対
(「首切り反対」のデモ行進=「LEADERSⅡ」から)

 「社員は家族だ」と佐一郎は人員削減に反対したといわれるが、1600人が解雇された。その直後、朝鮮戦争が勃発。トラックの注文が殺到し、小型乗用車も売れてアイチ自動車は復活、大儲けする。

 ドラマは、国産乗用車づくりとその販売に向けた先人たちの苦闘、苦悩の人間像を描いたアイチ自動車のサクセス・ストーリーである。今日の日本は、世界1の自動車立国として知られている。

 そこにまでにいたったのは、ドラマでも登場する名もなき労働者、下請け業者、営業マンらである。佐一郎は語る。

 「アイチの車は戦争のためにつくっているんじゃない」「二度と資源を取り合って戦争になることはないようにと、そう願いを込めて低燃費の自動車を開発しているんです」

 創業者のこの思いが、今日のトヨタ自動車から強く発信されることを願う。なぜなら、豊田喜一郎は、国産乗用車をつくる夢をいだきながら、戦前は政府の命令で軍用トラックしかつくれない時期があった。

 終戦1日前の1945年8月14日、拳母工場――現在のトヨタ本社工場と周辺には長崎に落とされた原爆と同型の核模擬爆弾が米軍によって投下された。戦争が長引いていたなら、今日のトヨタはなかったといわれるからである。

 「平和であってこそ、乗用車は生産、販売できる!」

職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2017/04/03 11:29

◎「月100時間未満」の働き方ではどうなる?

 安倍政権の「働き方改革実現会議」は3月28日、「月100時間未満」までの残業を認めるなどとする「実行計画」をまとめました。「月100時間」までの残業とは、どんな1日なのでしょうか?

 1カ月の出勤日数は、土日休みで月21日前後です。月20日とすると、「月100時間」は、1日5時間の残業をすることになります。

 1日の労働時間は8時間です。最近は、連続2交代や裁量労働、フレックスタイム、在宅勤務などが増え、労働者の出退勤時間はバラバラです。一般的に多い午前9時出勤、午後6時退勤(昼に1時間の休憩)のケースを考えます。

 通勤時間は、電車や自動車などで1時間とすると往復2時間です。労働時間、休憩時間、出退勤時間で1日24時間のうちの11時間がとられます。残る13時間のうちに5時間の残業をすると――。

 午後6時の終業時間以降、休憩なしで働くと午後11時になります。これから家へ帰ると午前0時。残る8時間を、食事、入浴、睡眠などに使わねばなりません。結局、睡眠時間を削る以外にないでしょう。

修 東京 0時前
(ギュウギュウ詰めの東京の駅の風景=午前0時前)

 こんな生活では、食べることと眠る以外のゆとりはまったくなくなります。広告大手の電通(本社・東京都港区汐留)で、入社1年目で過労自殺(15年12月25日)した高橋まつりさんは、15年10月~11月の1カ月で130時間56分の残業をしていました。

 「眠りたい以外の感情を失った」「もう(午前)4時だ。体が震えるよ…しぬ もう無理そう。つかれた」「生きているために働いているのか、働くために生きているのか分からなくなってからが人生」「働きたくない 1日の睡眠時間2時間はレベル高すぎる」――これは、まつりさんの悲痛なSNSの一部です。

 トヨタ系の職場で働いていた三輪敏博さんは、今年2月23日、名古屋高裁で過労死と認められました。亡くなる1カ月前の残業は85時間余でしたが、名古屋高裁はサービス残業があったことやうつ病だったことなどをあげ、「100時間を超える時間外労働をしたのに匹敵する過重な労働負荷を受けたもの」と認めました。

 「月100時間」とは、厚労省が“過労死ライン”としているものですが、それに至らなくても過労死と認めたのです。

 全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表は、「月100時間未満」までの残業を認める安倍政権に対し、「過労死ラインの残業を合法化するもの」と厳しく批判しています。

 残業は、月45時間、年360時間までとし、忙しい時などといって「月100時間未満」までなどの「特例」をつくらない法規制こそ必要です。

職場は今 | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/03/31 14:17

◎トヨタ 年600時間の引き下げに応じず

 安倍政権が設けた「働き方改革実現会議」(議長・安倍晋三首相)は、2月14日の会議で、残業の上限規制案を示しましたが、「特例」として年720時間(月平均60時間)まで認めようとしています。

 720時間とは、現在、トヨタ自動車の労使協定(労働基準法の36条に基づく36協定)の「特別条項」で、事務・技術部門などで認めている時間です。生産部門での上限は年600時間ですが、トヨタ労組はこれを引き下げるよう求めたことがあります。

 この問題は、このブログ「トヨタで生きるでアップした(14年3月20日)ことがありますが、改めて今の時点で見ておきたいと思います。

 これは14年2月に、2回にわたって行われたトヨタ自動車とトヨタ労組との36協定についての話し合いで、労組は月600時間の特別条項(トヨタでは「絶対限度時間」と呼称)を引き下げるよう求めました。

 労組の「評議会ニュース」(2月24日発行)が報告しているものです。豊田章男社長の掲げる“もっといいクルマづくり”に基づく「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー=車種ごとの開発を改め、ユニットごとに開発して共通化するなどして原価低減をめざす=)などの新たな取り組みや、ラインの再構築などで業務量は増えていると指摘しました。

 しかし、ここ数年は、工場の技能職で年間(残業時間)540時間(1カ月の特別条項の45時間を12カ月続けると540時間になる)は超えていないこと。事務・技術職でも540時間をほとんど超えていないことをあげ、月600時間の「絶対限度時間」を引き下げるよう求めたものです。

 これに対し会社側は、緊急突発時であったという東日本大震災後のばん回生産をあげ、1カ月の「限度時間」の45時間を超えた者がのべ約2000人であったと強調。年600時間を「しっかりと担保しなければならない」として、引き下げに難色を示しました。

 組合側は、緊急突発的な状況でも、540時間以内での業務遂行に取り組むことが必要との会社の考えを確認できたこと、絶対限度時間を引き下げるべきだという考えに何ら変わりはないとのべた上で、現行の絶対限度時間について了解するとしました。

トヨタ本社と労働者
(トヨタ本社と出勤する労働者)

 翌15年2月の36協定の話し合いでも、会社側は「来年度(15年度)においても緊急突発時のセーフティーネットである絶対限度時間を引き下げる状況にはないと判断している」などとして、応じませんでした。

 このようにトヨタは、生産第1主義の立場から、年600時間という絶対限度時間(特別協定)を引き下げることに強く反対しています。安倍政権が年720時間まで認めようとしているのは、こうした大企業に配慮していることがあります。

 労働者の健康を守り、過労死をなくするには、「特例」を認めず、残業は厚労大臣告示にあるように、月45時間、年360時間までと法律に明記することが必要です。
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/02/19 15:08

◎トヨタの残業 年360時間超え 増え続ける

 トヨタ自動車の年間残業時間のうち、360時間を超えた人数が増え続けています。直近の15年度は、5446人でした。前年度が4484人でしたから1000人以上増えています。

 表のように2003年度は1万人を超えていました。それから急激に減り、リーマン・ショック時は690人にまでなりましたが、以後はじわじわと増え続けています。

 16年度も、4月~12月までの9カ月間で270時間超え(年間360時間超えペース)が9465人にのぼっています。

 15年度の内訳は、工場などで働く技能職が918人(16・9%)、事務・技術職が4528人(83・1%)で、圧倒的に事務・技術職が多くなっています。

20 トヨタの残業 年間360時間超え人数


 日本では、残業の上限を法律で規制していません。労働基準法36条に基づいて、労使協定で残業の上限を決めています。特別協定を結べば事実上、青天井になります。日本経団連会長会社の東レは、年間1600時間、1カ月160時間の労使協定を結んでいます。

 厚労省は、月80時間以上を“過労死ライン”としていますから、東レは過労死ラインを上回る残業を労働者に強いていることになります。

 さすがに厚生労働大臣の告示で、年間360時間、1日45時間までにするよう求めていますが、法的規制でないために、東レのような驚くべき長時間残業がまかり通っています。

 トヨタ自動車は、年間360時間、特別協定(絶対限度時間)で600~720時間を結んでいます。1カ月は45時間、特別協定では過労死ラインの80時間(年間6回まで)まで可能です。

 安倍政権が設けた「働き方改革会議」は、法律で定める残業の上限を、年間720時間、月平均60時間で調整しようとしています。繁忙期は月100時間まで可能とするものです。

 トヨタ労組が加わる労働組合の全国組織・連合は、大臣告示を法律に格上げするとともに、特別条項の上限規制を法律で決めるとしています。特別条項は残すというものです。これで長時間残業を規制できるか、と疑問の声があがっています。

 日本の正規労働者の年間総労働時間は、1900時間台で、ドイツの1300時間台と比べると600時間ほども長く働いていることになります。トヨタでは、わかっているだけでも、これまでに5人が過労死認定を受けています。

 電通での悲惨な過労自殺事件など過労死を根絶するとともに、長時間労働をなくするには、法律で残業の上限を年間360時間、月45時間までにすることが必要です。
職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2017/02/11 09:14

◎「ワークルールは守って当たり前!」 トヨタ労組

 トヨタ自動車労組が、漫画で「ワークルールは守って当たり前!」などとのキャンペーンを行っています。組合の月刊誌「はあい」の1月号で7ページにわたって特集しています。

 このブログ「トヨタで生きる」でもアップしたように、電通や三菱電機、関西電力が厚労省から違法残業などで書類送検されています。

 管理職が過労自殺で労災認定された関電にいたっては、岩根茂樹社長が福井県敦賀労基署に呼び出され、労働時間を適切に把握するよう求める「指導票」を直接交付されました。

 企業の社会的信用が下がり、「はあい」で指摘しているように、「あそこの会社って、もしかしたらブラック企業!?」といわれかねないような大問題です。

 共同通信は、あるメーカーの幹部が「うちで問題が見つからないかも限らない」と心配そうに話している記事を配信しています。

40 ワークルール


 「はあい」では、労基法32条で、会社は1日8時間、週40時間を超えて働かせてはならないとしていることを紹介。同36条によるトヨタの労使協定で、残業は月45時間、年360時間が限度時間であることを改めて紹介しています。

 また、「こんな場合はOK? NG?」などと、具体例を示してワークルールに違反するかどうかを明らかにしています。「半日年休の人の残業?」「月あたりの休日出勤日数?」など、などです。

 ある組合員は言います。
 「“1時間ルール”の問題などで、ワークルールから見てNGのことがあるのは事実。やばいですよ。今のご時世、見つかっちゃたら大変だから。仕事が多すぎるし、人が足りない。ここにこそメスを入れてほしいです」
職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2017/01/20 05:43

◎三菱電機を書類送検 社員に違法残業

 重電大手の三菱電機が、研究部門で働く社員に労使協定(労基法36条に基づく協定)を超える違法な長時間労働をさせていたとして、神奈川県藤沢労働基準監督署は1月11日、労働基準法違反容疑で、法人としての同社と、社員の労務管理をしていた当時の上司の男性1人を横浜地検に書類送検しました。

 最近の労基法違反容疑での書類送検は、大企業では電通(16年12月)に次ぐものです。容疑は、三菱電機情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)の研究職の男性(32)に、14年1~2月に月60時間の労使協定の上限を超える78時間9分の残業させていたというものです。

 男性は、大学院博士課程を卒業後の2013年に三菱電機に入社。音響・映像機器の部品の開発などを担当していました。14年1月から仕事量が増加。同4月にうつ病と診断され、16年6月に解雇されました。

 藤沢労基署は16年11月、男性が月100時間を超える残業させられ、精神障害を発症したとして労災認定し、労基法違反容疑で捜査を進めていました。

 厚労省が16年に発表した「過労死白書」によると、精神障害による労災申請は年々増え、15年度は1515件にのぼり、うち支給が認められたのは472件です。

 このうち技術・事務部門が207件で、約44%を占め、80時間以上の残業をしていたのは192件で約41%を占めました。

60 精神障害による支給決定件数
(精神障害による労災の支給決定件数の推移=厚労省の「過労死白書」から)

 トヨタ自動車では、1万人以上が研究・開発部門で働いています。自動車の激烈な国際競争で、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車、さらに人工知能(AI)を利用した自動運転などの研究・開発に追われています。

 「1分1秒たりとも決してムダにしない」「有限の時間で極限の成果を追求(個人の生産性)」するなどといって成果と賃金を連動させる動きが出ています。徹底したコスト削減と生産性向上を要求されています。

 厚労省は2001年に、労働時間管理を企業の責任とし、タイムカードやICカードによる客観的記録を原則とする通達(4月6日に出されたので「ヨンロク通達」と呼ばれています)を出しました。

 トヨタは2003年にカードリーダーを導入し、出退勤の労働時間管理を行っています。しかし、仕事があまりにも多く、しかも成果を求められるために「1時間ルール」を使ってみずから残業をしている実態が、このブログ「トヨタで生きる」に寄せられています。
http://toyotaroudousya.blog135.fc2.com/blog-entry-2375.html

 三菱電機広報部は、「すべての事業所で労働時間を客観的に把握するシステムを導入しており、従業員の自己申告時間と照合して管理している。改めて適切な労働時間管理を徹底していく」(日経、11日付)としています。

 電通や三菱電機での違法残業の実態が明るみに出た現在、カードリーダーなどによる労働時間管理のあり方を抜本的に見直すとともに、残業時間の上限を労使で決めるのではなく、「月45時間」などと法律で定めることが不可欠になってきました。

職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/01/13 11:16

◎トヨタ カードリーダーの使い方に変化

 トヨタ自動車の本社や事務・技術部門、工場の入口などにあるカードリーダー。出退勤時に従業員証をかざして、出退時刻をコンピューターに記録するシステムです。

 社員や期間従業員らのセキュリティ・チェクとともに、残業の過小申告――サービス残業を防止する仕組みです。従業員証を忘れると、紙に部署や名前を記入して入り口で守衛にハンコを押してもらい、その紙を上司に渡し、チェックを受けていました。退勤時は、その紙を守衛に渡します。

 ところが最近、守衛がパソコンに出退勤の時刻を入力するようになりました。なぜか? 労働者が語ります。

 「こなしきれないほど仕事がある。これまでは、パソコンに出退勤の時刻の記録が残らないのを利用して、従業員証を忘れたふりをして仕事をしていた。残業の上限規制があるなかで、やむなくこの方法を使っていた社員もいる」

 残業の上限規制とは、“36協定”のことです。労働基準法36条に基づいて労使で残業の上限を協定するものです。トヨタでは、1年の場合は360時間(上限は600時間か720時間)、1カ月の場合は45時間(上限は80時間)です。

 土曜日、日曜日の休日に出勤し、平日を振替休日する時も、この手を使って働くことも珍しくないといいます。

カードリーダー
(トヨタのカードリーダー)

 トヨタにカードリーダーが導入されたのは2003年。それまでトヨタをはじめ大企業では、サービス残業が横行していました。残業は、労働者の自己申告だったからです。

 “サービス残業をなくせ”との労働者や労組の運動、日本共産党の国会での追及などで、厚生労働省は2001年に労働時間管理を企業の責任とし、タイムカードやICカードによる客観的記録を原則とする通達(4月6日に出されたので「ヨンロク通達」と呼ばれています)を出しました。

トヨタのカードリーダー導入 日曜版
(トヨタのカードリーダー導入を報道する「しんぶん赤旗」)

 トヨタのカードリーダーは、トヨタが労基署から立ち入り調査を受けたり、「ヨンロク通達」が出されるなかで導入されたものです。トヨタのカードリーダーと同じようなフラッパーゲートが導入されているのが広告大手の電通です。

 電通では、新入社員の高橋まつりさんが1年前の12月に過労自殺しました。まつりさんは、亡くなる1カ月前の残業時間は、36協定(月70時間)を超える105時間も働かされました。労災と認定されました。

 厚労省東京労働局は12月28日、法人としての電通とまつりさんの上司を36協定の上限を超える違法な長時間労働をさせていたとして書類送検しました。石井直社長は責任をとって1月に辞任することを明らかにしました。

 電通でもトヨタと同じような「1時間ルール」があることは、このブログ「トヨタで生きる」で、すでに明らかにしてきました。
http://toyotaroudousya.blog135.fc2.com/blog-entry-2313.html

 実際には残業をしているのに、仕事以外のことをしていたと上司に申告し、残業時間を減らす方法です。カードリーダーやフラッパーゲートで残る記録の“ぬけ道”です。

 電通の異常な働かせ方が社会問題になり、企業のトップの責任が問われるなかで、電通もトヨタも人員を増やすこととともに、フラッパーゲートやカードリーダーのあり方を見直さざるを得なくなるでしょう。

職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2016/12/29 17:47

◎さぁ年末 「トヨタ式片づけ術」といきますか

 年末が近づき、大掃除の季節がやってきた。片づけが苦手な人間は憂鬱だ。書店で、日経の「TRENDY」(17年1月号)が、「トヨタ式&コクヨ式 片づけ革命」の特集をしていたのを見つけて買った。

 「先進企業の現場に学ぶ」というのがウリだ。どれどれ、と読んでみる。トヨタの「ジャスト・イン・タイム」をあげ、「在庫のムダ」など「7つのムダ」が表にしてある。

 その上で、「トヨタ式片づけ」とは、▽(モノの)“住所”を明らかにする、▽補充は「かんばん方式」でリマインドする、▽いつまで使うモノなのかを明記して保管する――など、トヨタの現場で行われている例を使って明らかにしている。

 そして、「3日間での実践」として、「トヨタ式自宅片づけプロジェクト」を提案している。1日目は、「持ち物を全部出し、仕分ける」などと手を取り、足を取って具体的に教えてくれる。

日経 トヨタ式片づけ術
(「TRENDY」(17年1月号)の特集、「トヨタ式&コクヨ式 片づけ革命」から)

 なるほど、なるほど。たとえば、モノの補充にかんばん方式を使うのは、無くなってあわてて買いに走るムダがはぶける。たとえば、これはすでに自分が実践している例だ。家庭で使うシャンプー。3個買ってきたとしよう。

 1個目は使い、2個目にはマジックインクで、シャンプーの表面に1個目の使用年月日を書き込んでおく。2個目を使い始めたなら、3個目に2個目の使用年月日を書き込んでおく。3個目を使い始めたなら、新しく3個を買い求める。

 こうすれば、シャンプーが無くなって買いに走ることもないし、1個をどれくらいで使用しているかがわかる。大量に買い求めて在庫にしておくムダもはぶける。家庭で応用できる例である。

 しかし、すべてのムダをはぶこうといって追求しすぎると余裕がなくなり、生活がギスギスする。“ハンドルに遊びがあるように、遊びも必要”ということを言っていた人がいたが、それも真実だ。

 トヨタの社員は、仕事で7つのムダをはぶくとか、5Sといわれる「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」を会社で実践している。家庭もさぞかし片づけて、整理、整頓されているだろう…と思うと、あにはからんや、である。

 Aさんの家庭は実に整然と整理されており、掃除も行き届いている。Bさん、Cさんは、一般の家庭程度、Dさんとなると家庭に入れてくれないほど散らかっているという。

 通勤で使うクルマを見ても、整理・整頓されているかどうかは同じ傾向だ。トヨタマンといえども、トヨタ式片づけ術を実践するのは、難しいということか? さて、年末はどんどん迫ってくるが…。
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2016/12/08 11:44

◎トヨタマンは寝室2つ

 職場の後輩が中古住宅を買いたいから、いっしょに見てくれという。豊田市の中心部にあり立地はいい。土地は約132m2で、築3年で3430万円だ。屋根にソーラーパネルが付いているのが目に入った。

 これまでの住人はトヨタマンで、20代中ごろで幼い子どもが2人いるとのこと。結婚前までは、独身寮に住んでいたという。結婚すると決めて、すぐ家を購入した。

 でも、「やっぱりトヨタホームがいい」ということになって売却したいというのだ。トヨタマンらしく、夜勤(2直)もあるので、寝室が2つあった。夜勤は別の部屋で寝るのだ。

モデルハウス 豊田市内
(トヨタ市内にあるモデルハウス)

 1直(午前6時25分~午後3時15分)、2直(午後4時10分~午前1時)の勤務が1週間ごとにある。2直で家に帰ると、定時でも午前2時ごろになる。家族は熟睡中だから起こさないように、そーっと、抜き足、差し足、忍び足で部屋に入る。

 ちょっと腹に何かを入れようと思うと、レンジはチーンと鳴る直前で止める。寝室が2つあれば、家族に気兼ねなしに寝ることができる。トヨタマンは辛いのだ。

 ネットで中古住宅を探す。▽豊田市西郷町で、土地157m2、2SLDK、築2年で3050万円、▽志賀町で、土地326m2、4SLDK、築10年で2850万円…。いろいろあるが、築20~30年の古いのが多い。
職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2016/12/02 08:15

◎プリウス 生産ダウン

 プリウスを生産しているトヨタ自動車の主力組立工場、堤工場(豊田市)では、組立ラインのタクトが11月からダウンしています。

 堤工場には2本の組立ラインがあります。11月からはー。
 1ラインのタクト 99秒 残業は0・5時間
 2ラインのタクト 90秒 残業は0・5時間

 10月までのラインタクトは―。
 1ラインのタクト 57秒 残業なしの定時
 2ラインのタクト 90秒 1直は残業0・25時間
              2直は残業なしの定時
 (2ラインは、8月から57秒が90秒になっている)

priusu.jpg


 特にプリウスを生産している1ラインは、57秒から99秒へと大幅ダウンです。タクトが遅くなると、労働者の数が減らされ、労働者の工程は増えます。

 減らされた労働者は、日野自動車や豊田自動織機などトヨタグループや他工場に応援に出されます。また同じ部門の生産準備グループや改善グループなどに出されます。こうしたグループでは常昼のために、2交代による手当てがなくなります。

 11月8日に発表した9月期決算では、トヨタ・レクサスブランドの17年3月期販売見通しは、期首見通しの890万台から5万台減って885万台だといいます。アジアで増えるが、日本で4万台、北米で6万台減る見通しです。

 ドル箱のアメリカでは、原油安で大型のピックアップトラックやSUVが増え、ハイブリッド車などの売れ行きは伸びていないといいます。国内も賃上げが伸びず、個人消費は冷えるばかりです。この先、どうなるのか?
職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2016/11/22 20:14

◎トヨタやソニーの実態 小池書記局長・裁量労働制の拡大やめよ

 日本共産党の小池晃書記局長・参院議員は10月6日、参院予算委員会で、年金、介護、医療、雇用分野での安倍内閣の国民・労働者犠牲の暴走を告発し、政治の転換を迫りました。

 このうち、安倍政権が「働き方改革」と称して国会に提出している「残業代ゼロ」法案のなかに盛り込まれている裁量労働制の拡大について追及。トヨタやソニーでの具体的実態にふれて、“過労死予備軍”を増やすものであり、拡大は許されないと主張しました。

小池 裁量労働
(裁量労働制の拡大をやめよと迫る日本共産党の小池晃参院議員=10月6日)

 トヨタでは、裁量制労働制の適用者1740人(3月時点)中、「超過在社時間」が80時間を超えるなど健康診断の対象となった社員が347人に上ることを示し、「5人に1人が“過労死予備軍”となっている。重大だ」と迫りました。

 塩崎恭久厚労相は「(裁量労働を拡大する際は)過大な業務が課されないよう、新たな指針を設ける」と答えました。

 小池議員は、「『指針』で解決しない」と批判。ソニーでは、トヨタを上回る5245人が裁量労働となっており、これは管理職を除く2人に1人にあたるもので、ありえないことだと告発しました。

 これには、大臣席から「ほお、2人に1人か」と、驚きの声が上がったほどです。

夜のテクニカルセンター
(裁量労働制で働く技術労働者が多いトヨタのテクニカルセンター)

 小池議員は、最長で月94時間も働き、支払い義務がある深夜手当も支払われていなかったとして労基署が指導に入っていると指摘しました。そのうえで、「裁量労働制は労働時間を正確に把握できない。ソニーのように適用者が広がれば、長時間労働がさらに広がる」と強調しました。

 そして、「制度の実態を詳細に調べ、“みなし労働時間”を超えた場合の厳格な是正指導をするべきだ。対象の拡大などもってのほかだ」とのべ、法案の撤回を求めました。

 【裁量労働制】 実際に働いた時間とは関係なく、労使があらかじめ協定した時間を働いた時間と「みなす」制度。新商品研究開発などの専門業務型は1988年に、企画、立案、調査、分析をする企画業務型は2000年に導入されました。

 安倍政権は、営業職などに広げることや手続きの緩和をねらっています。
職場は今 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2016/10/07 11:35

◎トヨタ 夜勤のみの勤務導入へトライ

 トヨタ自動車の労使が、工場で働く労働者で、夜勤のみの勤務とする――「常2直勤務」制度の導入に向けて議論し、8月末から10月までトライを実施しています。

 7月25日に行われた労使の「第2回仕事と育児の両立支援策推進に向けた専門委員会」の報告を、トヨタ労組の評議会ニュース(8月2日号)が伝えているものです。

 トヨタでは、工場の技能員は、1直(原則、午前6時25分~午後3時15分までの昼勤)、2直(原則、午後4時10分~午前1時までの夜勤)を1週間おきにくり返す2交代制です。

 トヨタは、子育てのためには夜勤が難しいとして、2013年に昼勤のみの制度を導入しました。今後、仕事と育児の両立させることが社会的に当たり前となり、女性技能員が増加することが予想されます。昼勤のみの労働者が増えることで、足りなくなる夜勤の労働者をどうするかが問題になります。

toyota 堤工場
(出勤するトヨタ労働者=豊田市の堤工場で)

 この日の労使の専門委員会では、子どもが小学校に入学後、1直時の登校までの対応や、2直時の夕食への対応ができず、退職をせざるをえないなどの状況が報告されました。

 会社からは、長い期間をかけて育成した女性技能員が、仕事と育児の両立の困難さを理由に退職するのをゼロにしたいなどとして、「常2直勤務」の制度化を検討したいと提案がありました。

 導入にあたって、問題点を洗い出すために8月29日から10月29日までの2カ月間(9週分)、高岡工場や田原工場などの塗装課や組立課などでトライを実施するとしています。

 トライの対象者は、初級技能職以上の正社員で、常1直勤務者と同一部内に在籍し、常2直勤務を希望する者としています。

 「常2直勤務」は、手当てが増える一方で、午後4時10分から深夜の午前1時までの勤務で、健康にたいする不安や家族とのふれあいをどうするかなど多くの問題が出そうです。
職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2016/09/25 16:01

◎4代目プリウスの販売は?

 昨年12月に発売になった4代目プリウスを買った知人がいる。3代目に続いて発売前から予約するほどのプリウスファンだ。先日、電話がかかってきた。「新型プリウスの乗り心地はどう?」

 明るい声で、「いいですよ。(3代目とは)まったく違うクルマになったという感じですよ。ベンツのように全体が、かちっとしている。安全性もいい。高速道路では、自動ブレーキで勝手に止まってくれる」などとべたほめだ。

 燃費もカタログ値では最高40・8kmだが、25kmは走るという。街かどで、車高が低く、後ろが少しとんがった、よりスポーティになった4代目プリウスを見かけるようになった。

 今年1月から7月までの国内販売では、トップだ。1~6月までの販売台数は14万2562台で、2位のアクアの8万9409台を大きく上回る(自販連発表データ)。

4代目プリウス
(4代目プリウス)

 しかし、プリウスを生産しているトヨタ堤工場(豊田市)では、このところラインタクトが落ちている。残業も8月は、15~30分あったが9月は残業なしの予定という。期間従業員の募集も止まっている。

 販売が、ひところの勢いを失っているのだろうか? 2009年5月に発売になった3代目は、エコカー補助金がありプリウスに乗り換えたユーザーも多かった。ハイブリッドの車種も少なかったが、トヨタはプリウスの成功で一挙にハイブリッドの車種を増やしたことから、プリウス以外の選択肢も広がった。

 3代目を乗り換える必要は、まだない…さまざまな条件が複合的に重なっているように見える。もう1つの大きな要因は、景気が回復していないことだ。8月30日に総務省が発表した7月の家計調査では、2人以上の1世帯当たり消費支出は27万8067円で、前年同月比0・5%減だった。

 ボーナス商戦の月なのに、消費はさえなかった。自動車のような高額商品は、より影響が大きいだろう。円安と株高を煽った「アベノミクス」の失敗は、もはや明らかだ。

 消費の拡大は、簡単なことだ。賃金の引き上げや4割にも迫った非正規労働者の正社員化である。このことはだれもが認めることだ。政治がそれを実行するかにかかっている。

職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2016/09/02 10:15

◎トヨタ在宅勤務 労使で議論、8月末実施へ

 トヨタ自動車は、在宅勤務の拡大に向けて労使で話し合っています。組合の評議会ニュース(6月30日号)によると、6月16日に「第1回生産性向上に向けた働き方と仕事の変革専門委員会」が開かれ、そのなかでの在宅勤務についての議論が報告されています。

 トヨタでは、工場の「技能職」の働き方について労使の検討委員会が設けられ、毎月評価し、毎月賃金が変わるという“究極の成果主義賃金”が今年4月から導入されました。

 続いて、「事務技術職」に対しても、「事技職の働き方変革労使検討委員会」が設けられました。その事技職の労使検討委員会が、今回から名称変更になったものです。

 第1回専門委員会では、会社側から、今年2~3月に約100人が在宅勤務のトライアルを実施したこと、その参加者にアンケート調査をした結果が報告されました。

 アンケートでは、参加者の7割が週1回、数時間在宅勤務を利用し、その8割が資料作成など個人ワークが中心だったこと。平均、週1・4時間削減できたこと。8割以上の参加者が生産性向上を実感したこと。4割が育児時間を増やすことができたこと――などが明らかになりました。

トヨタ技術者ら
(出勤するトヨタの技術者ら=三河豊田駅、2016年2月)

 組合側は、勤務ルールを守ることについて、個人の意識にゆだねることになることや職場では在宅勤務者に気を遣い、コミュニケーションを後回しにしがちであったとの声などを指摘しました。

 また、在宅勤務は、全ての職種に適用できる働き方ではなく、職場全体の生産性を考えた上で適用する必要があるとのべました。その上で、8月末に制度を導入することに、「異論はない」とのべました。労使とも、生産性向上抜きの実施はないとの立場です。

                ◇

 在宅勤務が広がりつつあります。背景には、様々な問題があります。東京一極集中で人口が激増する首都圏では、通勤が2時間というのも珍しくありません。育児・介護で離職する人が増え、政治問題になっています。

 また、ネットの普及と高速化・大容量化で、自宅と会社との間でデータが瞬時にやり取りできるようになりました。テレビ会議などでコミュニケーションが図れるようになり、会社に通勤しなくても仕事が可能になったことなどが在宅勤務を後押ししています。

 一方で、労働時間の把握がしにくいことや労働者の評価が難しいなど新たな問題が起きています。NHKは、「クローズアップ現代」で、「もう会社に通わない―在宅勤務“革命”」を放送しました(2015年8月3日)。
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3695/1.html

 番組では、自宅のパソコンに「着席へ」「退席中」をクリックし、会社からネットで労働時間を把握できるようにしている例や社員を公平に評価することが難しくなり、「給与テーブルやランク付け」を廃止した例などが紹介されています。

職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2016/07/14 09:24

◎志位氏が告発したトヨタの実態 「東京民報」号外

 「トヨタ月80時間」――こんな大見出しが踊ります。日本共産党東京都委員会が発行する「東京民報」の号外です。「あの有名企業も過労死時間越え!?」というサブ見出し。

 週刊誌のようなつくりに思わず、引き込まれます。「月80時間」とは、労働基準法36条(36協定)で、労使によって残業の上限時間が決められるものです。

 トヨタは、厚労省が“過労死ライン”と呼ぶ月80時間の残業を、36協定で認めています。日本共産党の志位和夫委員長は、2015年2月の衆院予算委員会基本的質疑で、日本の長時間労働問題などを取り上げました。

20 東京民報 志位氏 トヨタなど
(「東京民報」号外)

 このなかで、トヨタの36協定をはじめ具体的な労働実態を取り上げました。号外は、それを「志位氏が告発したトヨタの実態」として、そのポイントをわかりやすくあげています。

 ▶「過労死」認定はこれまでに5人
 ▶製造部門Aさんは、昼夜逆転の不規則勤務、月残業106時間、30歳で死亡
 ▶エンジニアBさんは、年6回の海外出張、月残業114時間、45歳で死亡
 ▶「今の労働行政では、若い人たちに十分に働いてもらうことができない。韓国のヒュンダイはトヨタより年間労働時間が1000時間も多い。若い人たちに時間を気にしないで働いてもらえる制度を入れてほしい(取締役専務の発言)

 この取締役専務とは、現在の伊地知隆彦副社長のことです。

 号外は、安倍政権のアベノミクスの第3の矢で、いくら残業しても残業代を払わない「残業代ゼロ法案」をねらっていると指摘。4コマ漫画で、日本共産党は、3年前の参院選で議席倍増になった力で、ブラック企業規制法を提案したと紹介しています。

 厚労省はこれを受けて5000社に立ち入り調査し、8割で違法が発覚。ワタミは、過労死した遺族に謝罪し、すき家は深夜のワンオペ(1人作業)を廃止するなどした――「声をあげれば変わるんだ!」と労働者は喜んでいます。

 号外は、次のアドレスで読めます。
http://www.jcp-tokyo.net/2016/0626/190220/

                 ◇

 この記事は、7月4日にアップの予定でしたが、都合により前日にアップしました。
職場は今 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2016/07/03 17:16

◎「私も悩んでいる」 トヨタの創意くふう提案活動

 このブログ、ホームページの「トヨタで生きる」のホームページの方に6月9日、創意くふう提案活動で悩んでいるとのコメントが寄せられました。

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アイデアがないのに高額創意工夫を必ず出せという。悩んでも、でて来ない。今日も寝不足になりそうだ。
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 これは、ホームページに2014日2月6日アップした「サービス残業でQCサークル活動 どうしたらいい?」を読み、コメントしてきたものです。2年以上も前の記事にコメントとは、よほど悩んでいるのでしょう。

 提案が採用されると、500円、2000円などと賞金が出ます。優秀提案は表彰され、1~5万円以上の賞金が出ます。

創意くふう用紙
(創意くふう提案用紙)

 これまでも、しばしば「トヨタで生きる」には、QCサークル活動、創意くふう提案活動についてのコメントが寄せられてきました。この2つの活動は、トヨタの労働者にずっとつきまとうものであり、多くの労働者の精神的な重しになっています。

 あるベテラン労働者は、「トヨタに入社以来、毎月創意くふう提案を出してきた。高額提案は、なかなか書けるものではない」とコメント者の悩みに同感します。

 その上で、創意くふう提案活動は、会社がいうように自主活動であり、強制しないとしていることがポイントだといいます。「高額提案なら、上司に時間内にやれるよう訴えたり、アイデアについても、いっしょに考えて欲しいと相談してみたら」とアドバイスします。

 参考のために、ブログ、ホームページで、QCサークル活動、創意くふう提案活動についてアップした2014日2月6日の記事を再録します。

                ◇
 【再録】
 この「トヨタで生きる」に、Aさんからサービス残業でQCサークル活動をやらされている、という訴えが寄せられました。その要旨は次の通りです。

……
 私は工場の組立で働いています。堤工場の内野さんが過労死し、QCと創意工夫は強制では無いと言っていましたが、時が過ぎ今では当たり前でノルマさえ出されます。

 創意工夫は組で3件以上とか、QCについては、「次はあなたが書いて」とかいわれます。死ぬ気でやっています。残業もつかず、家で書かされています。月に10時間以上になります。こんな事、早く辞めさせてください。
……

 QCサークル活動、創意くふう活動は、これまでも「トヨタで生きる」でくり返し取り上げてきました。Aさんの訴えのようなことが、まだまだあるからです。あらためて2つの活動についてみてみました。

 【QCサークル活動】
 QCサークル活動については、会社は、業務と認めているものと「自主活動」だとして業務と認めていないものがあります。

 2008年6月、QCサークル活動が大きく見直されました。堤工場で働いていた故・内野健一さんの妻、博子さんが夫は過労死(2002年2月死亡、当時30歳)だと訴えていた裁判で、名古屋地裁は訴えを認めました(07年12月)。厚労省は、控訴しなかったために判決が確定しました。

 この判決がきっかけで、トヨタは2つの活動を見直したのです。健一さんが過労死したのは、2つの活動をサービス残業でしていたことが大きな原因でした。

 名古屋地裁が「業務」だと認めたトヨタの「自主活動」は、QCサークル活動や創意くふう活動にとどまらず、交通安全活動、EX会(「班長」会)などもふくまれていました。

 さらに日本共産党の小池晃参院議員の追及(2008年3月27日の参院厚生労働委員会)で、桝添要一厚生労働大臣(当時)は次のように答弁しました。

 「上司の管理下にあって業務命令と考えられるものは、労働時間と算定するよう名古屋地裁判決の趣旨にそって労働行政を行っていきたい」

 トヨタは、名古屋地裁判決、桝添答弁にもとづき、「業務扱い」とする部分を拡大しました。それまでQCサークル活動は、月2時間までの「会合」しか「業務扱い」と認めませんでした。それが、月2時間を超えても、「上司の許可」を得て、「業務扱い」にすると変更したのです。

 しかし、表のようにトヨタはQCサークル活動のすべてを「業務扱い」にしているわけではありません。判決と桝添答弁の趣旨のように、QCサークル活動は勤務時間内に行うべきであり、勤務時間内にできないならば残業時間とすべきです。

QCサークル活動


 【創意くふう活動】
 次に、創意くふう活動についてトヨタは、あくまでも「自主活動」であり、自由参加で、参加することを強制したり、参加しなかったことに対する不利益な扱いはしないといいます。創意くふう提案の目標や実績管理、上司の提案指示は行ってはならないとしています。

 さらに、職場外での活動であり、上司の支配下や監督下で行ってはならないとしています。要するに、就業時間外に、自宅で行えということです。

 たとえば、改善のネタを探すこと、問題を見つけ出す調査、改善案の検討、提案のための資料準備、提案書の記入なども自主活動としています。実際、「創意くふう提案用紙」には、「提案は各人の自由です。提案用紙は自宅で簡潔に書きましょう!」と注意書きがあります。

 その一方で、上司が指示・命令したりするなど場合などは、業務で実施するとしています。自主活動か? 業務か? その境界線はどこなのか? わかりにくく複雑です。

【Aさんの場合は?】

 Aさんの訴えを具体的にみてみましょう。Aさんは、上司からQCについては、「次はあなたが書いて」といわれています。上司が指示しているわけですから、「業務扱い」になります。自宅での作業も、当然、残業扱いです。そうでなければ会社の勤務時間内にさせるべきです。

 テーマリーダーやサークルリーダーは、準備したり、まとめる仕事があります。1会合ごとに1時間程度は必要です。上司に、「まとめたいから残業にするか、業務時間内にやらせてください」と申請してください。

 創意くふう活動は、自主活動です。会社のルールは、ノルマは与えてはならないとしています。上司が「月3件出して」というのはルール違反です。グラフや表で、個人別提案件数を表示するのもダメです。

職場は今 | コメント(7) | トラックバック(0) | 2016/06/14 15:27

◎トヨタ 生産性向上へ在宅勤務拡大

 トヨタ自動車が生産性向上に向けて在宅勤務の拡大や事務・技術職の評価制度の見直しに動いています。トヨタ労組の評議会ニュース(6月2日号)は、5月12日の労使の話し合いを伝えています。

 それによると労使協議会で、「仕事と育児の両立支援策推進に向けた専門委員会」を新設し、これまでの「事技職の働き方変革 労使検討委員会」を「生産性向上に向けた働き方と仕事の変革専門委員会」に名称変更するとしています。

 「仕事と育児」の両立では、在宅勤務や常1直勤務(工場で、夜勤のない昼間だけの勤務)の拡大などをすすめるとしています。事技職の「働き方と仕事」の変革では、「生産性高く働いた人」「バッターボックスに立った人」が評価される制度への見直しをすすめるとしています。

 「バッターボックスに立った人」を評価するとは、豊田章男社長が最近、語っていることです。

出勤するトヨタ労働者
(出勤する事技職のトヨタ社員ら=三河豊田駅前)

 「仕事と育児」の両立の具体化では、日経新聞(6月9日付)などが「総合職に在宅勤務」として大きく報道したものです。会社側は、生産性向上と女性活躍推進で効果が期待できるとして、今年2、3月のトライアルをふまえ、「8月末を目途に導入を調整したい」とのべています。

 日経は、人事や経理、営業、開発などの仕事をする総合職で、約7万2000人いるトヨタ社員の約3分の1にあたる2万5000人程度が対象になるとしています。朝日新聞は、約1万3000人が該当するとしています(10日付)。

 トヨタは、子育て中の社員を対象に、段階的に在宅勤務を拡大してきましたが、これをさらに拡大するものです。制度の詳細は、労使で議論するとしています。

 また、工場で交代制労働に入らない常1直勤務の技能職でも、「仕事と育児」の両立をはかるために同勤務を拡大するとしています。「育児は女性」という固定観念を払しょくし、夫婦で両立、職場のメンバー全員で支え合うことが必要としています。

 背景には、労働人口の減少やダイバーシティー(多様な人材)推進で、現場に女性が増えることが想定されるからです。労使の議論で、会社側は「常2直勤務」の可能性も指摘しています。
職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2016/06/10 10:11

◎トヨタ 今年3度目の生産停止だが

【トヨタ詰所談義】

 A また、トヨタの工場が生産停止になったよ。今年は、わずか半年で3回目だ。
 B 刈谷市にあるトヨタグループのアイシン精機の子会社、アドヴィックスの工場で爆発事故があった。ブレーキ部品をつくっているところだ。
 A 2月には東海市にある愛知製鋼で爆発事故があり、トヨタとグループのすべての工場で6日間、ラインが止まった。4月には熊本地震で、アイシンの子会社が被災し、トヨタとグループのラインの大部分にあたる26本のラインが止まった。
 B そう、事故や自然災害が原因とはいえ、1つの部品でも滞るとすべての工場に影響を与えるよ。それにしても生産停止が連続している。

 A 今回のアドヴィックスの爆発事故の影響は小さいというね。
 B トヨタ本体では、高岡、元町、田原の3工場で、それぞれ1日程度で、プリウスを生産している堤工場では止まらなかった。グループの合わせて6工場でも1日程度だった。
 A それはよかった。
 B 3月11日に起きた東日本大震災では、国内の工場が正常に戻ったのは7月、海外をふくめると9月までかかったからね。

15 高岡工場 生産停止
(トヨタ高岡工場=豊田市)

 A 自動車は3万点もの部品を組み立ててつくっているんだけど、これだけ生産が停止すると、在庫をほとんど持たないトヨタ生産方式に問題があるんじゃないか?
 B 確かに、地震列島・日本では大きな地震がたえず起きている。中越沖地震(2007年)、東日本大震災、熊本地震などが起き、東日本大震災クラスの南海トラフ地震もいつ起きてもおかしくないといわれている。
 A 自動車向けマイコンをはじめ1260の部品が滞った東日本大震災以来、トヨタは部品会社のデータベースをつくり、代替生産ができるようにしているというが…。
 B 大震災から5年たったが、地震、事故のリスクはなくならないよ。在庫を増やすことはコスト増になるといってトヨタ生産方式ではやらないだろうとは思うが、抜本的な見直しが必要ではないのか。

 A トヨタが生産停止をすれば、下請けもジャスト・イン・タイムでトヨタに部品を届けるトヨタ生産方式だから、トヨタに合わせて生産ができず、経営者から休業補償の声があがっている。
 B おれたちトヨタの労働者も、生産停止になると、「年次有給休暇の計画的付与」や「年休推奨日」になって、年休がどんどんなくなっていく。「年休の計画的付与」とは、労働基準法39条の第5項(労使協定で5日を超える部分は年休取得日を特定できる)にもとづくものだから違法ではないという。
 A おれの組では、毎年みんなが順番に取る“計画年休”の日を上司に申請したら、「今年は予定外に年休を消化したので取り消す」といわれたそうだ。いわれた彼は、「取りたくない時に取らされて、取りたいときには取り消される」とぶつぶつ言っていたよ。
 B 自由に取れるのが年休本来のあり方だろう。年休を会社の生産に合わせて取らせるなんておかしいよ。それこそカイゼンして欲しいよ。

職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2016/06/02 09:55
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