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◎トヨタ 「ごっこ」のムダなどなくそう

 トヨタ自動車は、労働組合との「労使拡大懇談会」を今年5月から開いていますが、7月度は吉田守孝副社長と朝倉正司常務役員が出席しました。組合の「評議会ニュース」が伝えています。

 このなかで朝倉常務は、トヨタの原点回帰ともいうべき「トヨタ生産方式(TPS)に関する今後の取り組み」を報告。従来の工場での「7つのムダ」に加え、新たに設定した事務技術系の「7つのムダ」について突っ込んで意見をのべています。

 事務技術系の「7つのムダ」とは、①会議のムダ②根回しのムダ③資料のムダ④調整のムダ⑤上司のプライドのムダ⑥マンネリのムダ⑦「ごっこ」のムダ――です。

12 キョウチクトウ
(夏の花、キョウチクトウ)

 聞き慣れないのが、⑦の「ごっこ」のムダです。これは、「シャンシャン会議?決めようとせず、その周辺ばかりをつつくことで、議論した気になってる?」と説明します。

 要するに、会議ばかりして何も決めないことを指しています。会議すること自体が目的になっているというものです。今やグローバル企業になったトヨタ。世界に人材は多様です。

 日本的な、“決められない”“決まらない”会議は、海外の人材から見ると、「ごっこ」であり、ムダそのものに見えるのでしょう。豊田章男社長がくり返して語る、電動化、自動運転化など世界の自動車産業の「100年に1度の大変革」の時代に、そんな「ごっこ」をしている暇はない、というものでしようか。

 吉田副社長は、「社長はゴッコなしで、全てをさらけだし、現場の本音を引き出すコミュニケーションを行っている」と指摘します。朝倉常務は、「その仕事を止めたら、誰が、どう困るか? 一度ゼロベースで考えてほしい」と強調します。
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職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/08/06 21:01

◎企画型裁量労働制 全国で7万4000人余

 厚生労働省は7月25日、2016年の「企画業務型裁量労働制」の業種別の届け出件数と対象労働者数を初めて公表しました。日本共産党の小池晃書記局長(参院議員)が3月の国会質問で、実態の公表を求めており、これに答えたものです。

 それによると、表のように届け出数は3090件で、対象労働者数は7万4299人です。業種別では、金融・広告業が1484件、2万8793人でトップ。2位は製造業で、790件、2万4548人です。

 長時間労働者への「健康確保措置」の実施状況も公表しました。産業医の面談68・3%、健康診断40・7%となっており、長時間労働の広がりを示しています。

全国企画型裁量労働制数

トヨタ本社 グーグルアース
(企画型裁量労働制で働く労働者が多いトヨタ本社=グーグルアースから)

 トヨタ自動車は、16年10月~17年3月の半年間の企画型裁量労働制の実態をトヨタ労組の「評議会ニュース」で明らかにしています。それによると、17年3月時点での企画型裁量労働制の対象労働者は370人です。

 半年間の平均超過勤務時間は月28・3時間で、月45時間を超えた労働者は、のべ255人にのぼりました。

 トヨタは、裁量労働の適用除外になるルールを設けていますが、超過勤務時間が月80時間を超えて適用除外になったのは3人、同じように半年で270時間を超えて適用除外になったのは8人でした。

 超過勤務時間の最大は、過労死の労災認定時間(100時間)に近い95・4時間でした。

 裁量労働の適用を除外になった労働者、超過勤務時間が月45時間を超えたために「健康調査票」を提出した労働者、健康診断を受診した労働者を合わせると実に309人にのぼりました。重複があるものの企画業務型裁量労働者の8割を超えています。
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/07/27 17:52

◎労政審分科会始まる 残業の上限規制、高プロの省令・指針など議論

 安倍政権と自民党、公明党などが強行採決して成立した「働き方改革」一括法。来年4月の施行に向けて省令や指針などを議論する労働政策審議会労働条件分科会が7月10日、始まりました。

 分科会委員の名簿を見て驚いたのが、使用者代表に日本経団連の輪島忍労働法制本部長らとともにトヨタ自動車の齋藤貴久人事部労政室企画グループ長が入っていたことです。

 一括法では、「残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度=高プロ)」の対象業務、年収要件など重要な内容は省令で決定することになっています。また、参院厚生労働委員会で47項目の付帯決議が行われており、省令・指針などにどこまで反映されるかも焦点になっています。

 しかも、残業の上限規制から「研究開発職」が適用除外になり、「残業代ゼロ制度」の対象業務に「研究開発職」が想定されています。トヨタでは、「研究開発職」で多数の労働者が働いています。

労政審労働条件委員会名簿
(労働政策審議会労働条件分科会の労働者代表、使用者代表の名簿)

 経団連やトヨタなど財界・大企業寄りの省令・指針などにならないように、労働者代表の連合の村上陽子総合労働局長や自動車総連の中川義明副事務局長(全本田労連出身)の奮闘が求められています。

 この日の分科会では、今後の議論の進め方について、残業時間の上限規制や年次有給休暇の義務付けなどを議論し、省令・指針を公布した後、「残業代ゼロ制度」についての省令・指針を議論し、公布するという2段階で進めることが確認されました。

分科会では、法案の審議段階で、労働時間のデータねつ造により裁量労働制の営業への対象拡大が削除されたために、経団連の輪島労働法制本部長が早くも、「法案の早期、再提出が整うようにしたい」と主張しました。

 連合の村上総合労働局長は、「対象拡大はそもそも必要ない」と否定しました。分科会では、財界・大企業の意向にそった答申にならないようにすることも重要です。
職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/07/12 11:22

◎「FTL(I)」導入半年 トヨタ労組がアンケート

 トヨタ自動車が事務・技術職に、「FTL(I)」(「Free Time & Location for Innovation」の略)を導入(2017年12月)して半年がたち、トヨタ労組がアンケートを取りました。

 組合の「評議会ニュース」(7月3日発行)で報じています。それによると、 「FTL(I)」適用者は、458人(17年12月)から2037人(18年4月)へと4倍になっています。

 一方で、裁量労働制の「FTL(D)」は、1770人(同)から1100人(同)と大きく減っています。フレックスタイムの「FTL(F)」は、843人(同)から901人(同)へと微増です。

 アンケートは、4月下旬から5月下旬にかけて行い、「FTL(I)」と「FTL(D)」、「FTL(F)」の適用者、非適用者合わせて3767人から回答が寄せられました。

 「FTLを適用したことで、問題を感じる業務付与や長時間労働に繋がるような働きかけはありましたか」との問いには、「FTL(I)」適用者では、「あった」が7%、「ない」が82%、「わからない」が11%でした。

 組合は、導入前には、「『FTL(I)』を利用すると、長時間労働(540時間まで)をさせられるのでは」といった不安があったがものの、「制度導入の前後で若干変化。長時間労働の強要は導入前の声ほどは多くない」と指摘しています。

 導入直後とあって、会社側もそうした不安に配慮して慎重になっているのでしょう。

出勤 三河豊田駅
(三河豊田駅からトヨタへ出勤する労働者ら)

 「FTLについて、現在適用中の制度以外に、使ってみたい制度はありますか」との問いには、「FTL(D)」適用者では「特にない」が52%で、「FTL(I)」をあげたのが46%と半数近くになりました。

 「FTL(F)」適用者では、「特にない」が50%、「FTL(I)」あげたのが43%とほぼ拮抗しました。「FTL」非適用者(主任)では、「特にない」が38%で、「FTL(I)」が51%でした。

 「FTL(I)」への関心が強いことをあらわしています。

 また、在宅勤務者の適用者は、FTL全体では2017年10月時点の2902人より433人増えています。
職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/07/07 10:36

◎「社長と一緒に闘いましょう」? トヨタ労使拡大懇談会

 「次回評議会開催日に会社役員来たる!」と告知のあった5月31日のトヨタ労組評議会。同じ日に、初めての「労使拡大懇談会」が開かれました。組合の「評議会ニュース」(No1287号)は、「5月度 労使拡大懇談会特集号」です。

 組合は、「労使拡大懇談会」を、「労使でコミュニケーションする場」と位置付けています。

 特集号によると、白柳正義専務役員・経理本部長が18年3月期決算について、宮内一公プレジデント(専務役員)が「生き残りをかけたTC(トヨタ コンパクト)カンパニーの取り組み」について、南部裕事業企画部長がトヨタのアライアンス(スズキとの共同プロジェクトについて)を説明しています。

 説明では、世界の自動車産業は、電動化、自動運転化など「100年に1度の変革期」であり、トヨタは1兆800億円の研究開発費を投じるが、新たなライバルのグーグルは1兆5290億円、アップルは1兆1000億円を投じようとしていること。トヨタは「生きるか死ぬかの瀬戸際」であり、「『稼ぐ力』の強化に向け共に推進していきましょう」と組合に呼びかけています。

 また、豊田章男社長が決算発表で、「トヨタの真骨頂は『トヨタ生産方式、TPS』と『原価低減』です」とのべたことから、トヨタ生産方式と原価低減の徹底を強調しています。

 具体例として、会議のムダなど「事務系職場の7つのムダ」をあげています。組合側からは、「どれくらい頑張ればいいのか」などと質問。会社側は、「ここ5年で台数は増えていないが固定費は大幅に増加」していることなどをあげ、「今日明日からでも実践してほしい」とのべています。

修 カバハウス
(トヨタ労組が入るカバハウス。右端はトヨタ本社工場)

 また、原価改善目標を5カ月前倒しして達成した例をあげたり、「このままでは生き残れない」との危機感から高いコスト競争力などを持ったダイハツに学ぶこと――などを例に、「社長と一緒に闘いましょう」と呼びかけています。

 「労使拡大懇談会」での原価低減や「稼ぐ力」の強化などは、トヨタと関連・下請けで働く人々の労働条件や生活向上などに反映されなければ、会社の利益拡大のために頑張れ、と一方的にハッパを掛けられているように聞こえてしまうでしょう。
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/06/07 18:25

◎ねらわれるトヨタの「研究開発職」

 安倍政権と自民党、公明党は維新などとともに、衆院厚生労働委員会で5月25日、「働き方改革」一括法案を強行可決しました。今国会(6月20日まで)に何がなんでも成立させようというものです。

 「過労死を増やすもの」との全国過労死を考える家族の会などの強い反対を押し切りました。東京家族の会の中原のり子さんは、小児科医師だった夫が夜もなく休日もない働き方で過労自殺しました。「法案を廃案に」と訴えています。

 一括法案には、過労死ライン(月80時間)を上回る「月100時間未満」までの残業の上限規制や「残業代ゼロ制度」(高度プロフェッショナル制度=高プロ)などが盛り込まれているからです。

働き方 強行採決
(衆院厚生労働委員会で強行可決された「働き方改革」一括法案=5月25日)

 一括法案のなかで「研究開発職」は、今回の残業の上限規制から適用除外されており、いくらでも働かされる恐れがあります。また、高プロの対象業務には、年収1075万円以上の金融ディーラーやコンサルタントなどとともに、「研究開発職」が想定されています。

 トヨタ自働車は今、自動運転化、電動化、コネクテッド化など自動車産業の「100年に1度の大激動期」といって、エンジニア(「研究開発職」)のヘッドハンティングをすすめています。

 実際、このブログで紹介したように、昨年夏には「シリコンバレーより、南武線エリアのエンジニアが欲しい。」というポスターを、電機大手の研究所が集中する南部線(神奈川県~東京都)沿線に張り出しました。

テクニカルセンターの夜
(トヨタの技術者らが働く夜のテクニカルセンター=豊田市)

 トヨタの18春闘の労使協議会(2~3月)では、トヨタの寺師茂樹副社長が、「生き残りをかけた技術開発」と題して主張。1兆円を超える研究開発費を投じること、大幅な開発効率とスピードアップが必要であること、組合員へのお願いとして、「『革新』無くして『創造』無し」などと訴えました。

 「研究開発職」の仕事ぶりが、これからのトヨタを左右するというものです。そうした「研究開発職」が、残業の上限規制から適用除外になり、高プロの対象にされるならば、家族の会が訴えるように過労死を増やすものになるでしょう。

 トヨタでは、これまでわかっているだけでチーフエンジニアら5人が過労死認定を受けています。トヨタ労組は、「過労死ゼロ宣言」をしています。「働き方改革」一括法案は、参院で必ず廃案に追い込みましょう。

職場は今 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/05/26 10:23

◎「働き方改革」法案 世論調査は69%が必要ない

 日立製作所の中西宏明会長は、5月31日に開かれる日本経団連の総会で経団連会長に選出されます。中西会長は、月刊「文芸春秋」(6月号)で、就任直前インタビューに応じ、「私は経団連をこう変えたい」と語っています。

 このなかで中西会長は、安倍政権が今国会で成立をねらう「働き方改革」法案の「高度プロフェッショナル制度」(高プロ制度)について、「この制度の導入は急務だと思います」とのべ、成立を主張しています。

 その理由として、自身がエンジニアだったとして、「何かを設計するときに、仕事とプライベートの線引きなどなく四六時中そのことを考えていました」とのべています。

 中西会長のインタビューを読みながら、2006年の正月に45歳で過労死したトヨタ自動車のカムリのチーフエンジニアのことを思い出しました。本社の前にあるテクニカルセンターで働き、「車を作り上げる喜びや、やりがいを感じ、仕事が止まらなくなるんです」と亡き夫について語っていた妻(東京新聞記者・中沢誠記者著『ルポ過労社会』=ちくま新書=)。

12 文芸春秋 中西宏明
(『文芸春秋』2018年6月号、中西宏明日立会長インタビュー)

 「今日もアドレナリンが出っぱなしだった」といって笑っていた夫は、帰らぬ人となってしまったのです。「職場は常に興奮状態で、自ら追い込んでいく。麻痺しているから、どこまで働いたら限界なのか自分でも分からない。だからこそ会社がストップをかけないと」と妻はトヨタの責任を指摘します。

 06年1月9日から始まるアメリカのデトロイトのモーターショーに、新型カムリとカムリハイブリッドを出品するため、翌日からアメリカ出張をひかえていました。

 05年1年間でアメリカに6回、のべ49日間出張。死亡1カ月前の残業時間は月79時間、2カ月前は106時間、6カ月前は114時間でした。

 高プロ制度は、1日8時間労働制の規制を全面的に適用除外するもので、週休2日にあたる年間104日させ休めば、24時間労働を48日間連続させても違法にならないのです。過労死を促進し、合法化するものです。第2のカムリのチーフエンジニアをつくりかねない制度です。

 NHKの5月の世論調査では、安倍政権の法案に賛成か反対か聞いたところ、賛成が16%、反対が28%、どちらともいえないが46%でした。共同通信社の世論調査では、「今の国会で成立させる必要はない」との回答が69・1%で、「成立させるべきだ」は17・1%でした。

 国民・労働者の多数は、反対です。安倍政権に、「働かせ方」大改悪をやめさせようではありませんか。
職場は今 | コメント(8) | トラックバック(0) | 2018/05/16 21:13

◎トヨタ社員に原価低減の大号令

 トヨタ自動車は、豊田章男社長の決算発表でのあいさつを受け、職場で原価低減の大号令をかけています。「すべての費用のゼロベースの見直しにより固定費削減を実現する」というものです。

 具体的には、品質・性能基準の適正化、イベント・コンサル・調査費等の適正化、会議半減、資料削減などです。そのためのアイデアを募集するとしています。

 会議半減、資料削減については、すでに18春闘の第3回労使協議会(3月7日)で会社側は、「会議、資料、チェックリストなどを大幅に減らす。モノと図面に向き合う時間を捻出するため、既存の会議、資料等を全て棚卸しし、先ずは止めてみる前提で部長が決断」するなどとしていました。

 豊田社長は、2018年3月期決算発表(5月9日)で、「トヨタの真骨頂は『トヨタ生産方式、TPS』と『原価低減』です」とのべ、電動化、自動運転化、コネクテッド化など「自動車産業が100年に一度の大変革の時代」に、「トヨタらしさを取り戻す」と語りました。

 「固定費削減」は、これを受けたもので、「TPSと原価低減に、改めて本格的に取組む」としています。

20 トヨタの原価改善額 2009~2018年


 トヨタのこの10年間の原価低減は、表のようです。世界的大不況とリストラの嵐が吹き荒れたリーマン・ショック(2008年)後の09年3月期決算の原価低減額はゼロでした。

 翌年の10年3月期は、この10年で最高の5200億円にも達しています。その後は、4500~1500億円の間でしたが、18年3月期は1650億円にとどまっています。このため、トヨタの利益の大きな部分を占める原価低減に、「改めて本格的に取組む」というものです。
職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2018/05/13 18:54

◎裁量労働 自由記述に不満多数

 労働政策研究・研修機構(JILPT)は4月16日、「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査」の自由記述項目2次集計結果を公表しました。

 企画業務型の裁量労働制が適用される労働者を対象にしたアンケートで、裁量労働制に「満足」「やや満足」が76・4%を占めましたが、自由記述には、不満が多数寄せられていました。たとえば――。

 ・「裁量は名ばかり。朝9時出勤が固定され、夜も20時、21時まで勤務は常」
 ・「目標、ノルマ、会社からの期待値もあり、オーバーワークになっていることは否定できない」
 ・「残業が多い人には向かない」
 ・「対象者を広げるのは単なる労働強化だけで、個人が守れない」

 トヨタ自動車の企画業務型裁量労働制でも、同じような不満が寄せられています。企画業務型には、2016年10月から17年3月までの間で370人が適用になっていました。平均月間超過勤務時間は、企画業務型で28・3時間でしたが、最大は過労死ライン(月80時間)を上回る月95・4時間にもなっていました。

出勤時間 TOYOTA本社
(トヨタ本社=右の青いビル=には、企画業務型裁量労働制で働いている労働者がいます)

 裁量労働の適用除外(11人)、「健康調査票を出した」(のべ255人)、「健診を受けた」(のべ43人)にのぼりました。労組はヒアリングをし、労使委員会で会社側に次のように主張しました。

……
 「短納期の突発対応を全て請け負わされる」「年度頭からわかっていた、転出者の業務を急に振られる」等、次から次へと業務を付与されており、まとまった業務付与となってないために裁量を発揮しづらくなっているケースもあった。

 納期がきわめて短く、自ら工夫する等の創造性を発揮する状況ではなく、決められたやり方で業務を進めるしかない等、本来の制度の目指すべき姿に沿わないような業務付与をされていると受け止める声もあった。
……

 裁量労働制は問題だらけです。安倍政権は、裁量労働制のデータをねつ造したことが発覚したために、今国会での対象業務の拡大を断念しましたが、きっぱりやめるべきです。
職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/04/18 22:20

◎こんな法案は「働き方」改悪だ 一括法案を閣議決定 (下)

 安倍政権が4月6日に閣議決定し、国会に提出した「働き方改革」一括法案のもう1つの大きな問題点は、残業の上限規制です。青天井だった日本の残業時間を初めて法的に規制するとしていますが、過労死ラインまで認めていることは重大です。

 上限規制では、「月45時間、年360時間」を法律で定めるとしています。この数字は、厚生労働大臣告示を法律化したもので、労働組合や全国過労死を考える家族の会などが長年にわたって主張してきたことです。

 ところが特例を設け、過労死ラインである1カ月で100時間未満、2~6カ月平均で80時間まで認めています。「100時間未満」というのは、日本経団連の榊原定征会長と連合の神津里季生会長との直接交渉、安倍晋三首相の裁定で決まったものです。特例として認めれば、月100時間までの残業が合法化されてしまいます。

 100時間というのは、労働者が死亡する1カ月前にしていた残業として労災認定される数字です。名古屋高裁は2017年2月、トヨタ系のテー・エス・シーの愛知工場(東海市)で働いていた三輪敏博さん(死亡当時37歳)を労災と認めました。

 妻の香織さん(41)は、「高裁は、月85時間余の残業でも、うつ病を発症していたなどとして過労死と認めました。厚生労働省は最高裁に上告せず、判決は確定しました。100時間未満でも過労死するのです」と語ります。

テクニカルセンターの夜景
(トヨタの技術者が働くテクニカルセンター=豊田市=の夜景)

 さらに上限規制で見逃せないのは、研究開発業務を適用除外としていることです。トヨタ自動車で、残業時間が「年360時間」を超えた労働者は、2003年度で1万人を超えました。

 リーマン・ショック後に、690人(09年度)にまで減りましたが、その後は増え続け、4813人(16年度)にもなっています。

 16年度の内訳は、工場などで働く技能職が762人(15・8%)で、事務・技術職が4051人(84・2%)です。圧倒的に事務・技術職です。トヨタの研究開発業務に携わる労働者は、上限規制からはずされることになります。

 大臣告示の「月45時間、年360時間」を上限とし、特例や適用除外を設けない――これしか過労死をなくする道はないはずです。

               ◇

 この記事は、4月9日にアップする予定でしたが、都合により前日にアップしました。
職場は今 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/04/08 22:06

◎こんな法案は「働き方」改悪だ 一括法案を閣議決定 (上)

 安倍政権は4月6日、「働き方改革」一括法案を閣議決定し、国会に提出しました。大企業・財界が長年、要望してきた「残業代ゼロ」制度(高度プロフェッショナル制度)や残業の上限規制を柱としたものです。

 安倍政権が裁量労働制に関する労働時間データをねつ造したことが発覚し、裁量労働制の営業職への拡大は見送らざるを得なくなりました。一括法案は、日本の長時間労働や世界でも異常な過労死などをなくすどころか、反対に増やすものです。トヨタ自動車の実態からみて見てみました。

 「残業代ゼロ」制度は、金融商品開発やディーリング、コンサルタントなど年収1075万円以上の仕事をする労働者の労働時間、休憩、割増賃金などの規定をすべてとっぱらうというものです。

 「高度プロフェッショナル制度」などと称していますが、実態はどれだけ働いても残業代がなくなる制度です。1日24時間、48日間連続で働かされることも可能になります。過労死を増やす以外の何物でもありません。

 第1次安倍政権でも提出しましたが、労働界や野党の反対で廃案になったものです。対象になる労働者にコンサルタントなどの特殊な仕事だけではなく、幅広い労働者がたずさわる「研究開発」業務が想定されていることに注視しなければならないでしょう。

本社地区 ランニング
(トヨタ自動車のテクニカルセンター前を昼休みにランニングする技術労働者ら=2018年3月28日)

 トヨタ自動車は今、EV化や自動運転化など自動車産業の「100年に1度の大転換期」として、神奈川県のJR南武線沿線や東京・六本木ヒルズなどでIT技術者を引き抜く広告を出すなどしてきました。

 トヨタには、豊田市のテクニカルセンターや静岡県裾野市の東富士研究所などで研究開発にたずさわる労働者が万単位でいます。さらに増える一方です。新車開発を束ねる花形の仕事がチーフエンジニアと呼ばれています。

 カムリのチーフエンジニアだったAさんは、06年1月2日、自宅で就寝中、虚血性心疾患で亡くなりました。45歳でした。同月9日から始まるアメリカのデトロイトのモーターショーに、新型カムリとカムリハイブリッドを出品するため、翌日からアメリカ出張をひかえていました。

 Aさんは、05年1年間でアメリカに6回、のべ49日間出張。死亡1カ月前の残業時間は月79時間、2カ月前は106時間、6カ月前は114時間でした。Aさんは今から10年前の08年7月、過労死の労災認定を受けました。

 電通やNHKなどでの過労死が社会問題になる以前のことでした。働かせられ放題の「残業代ゼロ」制度が導入されたなら、Aさんのような悲劇が起きる可能性があります。

 実際、トヨタの専門業務型の裁量労働制で、2016年10月から17年3月までの半年間で100・5時間もの超過勤務時間をした技術者がいました。厚労省は月80時間以上の残業を過労死ラインとしています。

 トヨタ労組が加入している労働組合の全国組織・連合の相原康伸事務局長(トヨタ労組特別執行委員)は4月6日、「高度プロフェッショナル制度は実施すべきではない」などとする談話を発表しました。

 連合は、「残業代ゼロより過労死ゼロ」のスローガンをかかげてきました。連合やもう1つの全国組織の全労連も強く反対し、野党も廃案を求めています。安倍政権の「残業代ゼロ」制度に、トヨタの労働者はこぞって反対しましょう。
職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2018/04/08 17:03

◎トヨタ本社の枝垂れ桜は何を見てきたか?

 豊田市のトヨタ自動車本社地区の桜は、例年より早い3月下旬に満開を迎えた。桜の下で昼休みに、多くの社員が弁当を広げ、ランナーが走り抜けていく…いつものおだやかな風景に心が安らぐ。

 そのなかで、旧本社前の枝垂れ桜は、老いたせいか勢いを失い、まばらに咲いているだけで寂しい。10年前の2008年に撮影した写真は、枝が見えないほどいっぱいに咲き誇っていた。その見事さに感嘆した。

2018年 トヨタ本社枝垂れ桜
(トヨタ自動車の旧本社前の枝垂れ桜=2018年)

20 2008年 トヨタ本社枝垂れ桜
(トヨタ自動車の旧本社前の枝垂れ桜=2008年)

 2008年といえば、トヨタが世界販売で初めてGMを抜いて世界1(897万台)になった年である。同時に、秋以降のリーマン・ショックで4610億円の赤字をだした年でもある。

 トヨタ自動車で6000人以上の期間従業員が雇い止めされ、関連会社をふくめると派遣労働者ら1万人以上が解雇された。資本主義に不可避の大恐慌にトヨタは飲み込まれた。

 それから10年。旧本社前の枝垂れ桜は、豊田章男氏の社長就任、世界的なリコール問題、東日本大震災での工場生産停止、燃料電池車・ミライの販売…さらにEV化、自動運転化など自動車産業の100年に一度の大転換…など激動のトヨタとそこで働く人たちを見続けてきた。

 枝垂れ桜よ! もう一度、元気を取り戻し、あの華やかな姿を見せてくれ!
職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2018/04/07 18:47

◎満開の桜が迎えてくれる

 3月から4月は、期末から期首へ変わる時であり、出会いと別れの季節でもある。

 この季節には、森山直太朗の「さくら」が心に響く。

 ♪ 刹那に散りゆく運命と知って
   さらば友よ 旅立ちの刻

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 トヨタマンが通勤で歩くトヨタ自動車の本社地区や枝下緑道は今、満開の桜が迎えてくれる。朝、夕、見上げて通う。今期、どんな出会いと別れがあるのだろうか。

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職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/03/30 18:43

◎トヨタ本社地区 桜が満開

 今年も、豊田市のトヨタ自動車本社地区の桜が満開になった。1、2月の冷え込みは例年にないほど強かったが、急に暖かくなった。その反動か、いつもよりも満開が早くなった。

本社桜4 2018


 4月に入ると、間新しいスーツを着た新入社員が見られるが、まだ3月だから見ることはできない。

 午後0時を過ぎると技術者が働くテクニカルセンターから、たくさんの昼休みランナーが出てきた。すごい人数だ。200人ほどはいるだろう。桜の下を気持ちよく走っている。

本社桜1 2018


 あちこちの桜の下では、シートを広げた職場のグループなどが弁当を広げている。この時期、毎日のように見られるトヨタの職場光景だ。

本社桜3 2018


 若い女性グループの中には、ベビーカーがあった。幼児といっしょに昼食をとっていた。企業内保育所が充実してきたということの反映だろう。

本社桜2 2018
(トヨタテクニカルセンター)

 本社地区の桜を見ると、新入社員として希望にあふれた気持ちで最初にトヨタに来た時のことを思い出させる。あの時の気持ちを思い起こし、4月からの1年、頑張ろうと思った。

本社桜5 2018
(トヨタ本社)
職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/03/29 17:30

◎トヨタの裁量労働制を取り上げる 予算委で小池晃参院議員

 参院予算委員会の基本的質疑が3月1、2の両日に開かれ、日本共産党の小池晃書記局長・参院議員が2日、安倍晋三首相ら閣僚と論戦を交わしました。

 小池議員は、安倍政権が提出しようとしている裁量労働制の対象の拡大などをふくむ「働き方改革」一括法案や、この日、朝日新聞が報道した森友学園問題で、財務省が文書を書き換えたのではないかという疑惑、憲法9条にかかわってヘリ空母「いずも」をF35Bなども搭載できる攻撃型空母に改修しようとしている――などについて安倍政権を追及しました。

 森友学園問題では、捜査中を口実にまったく答弁しようとしない麻生太郎財務相や財務省側の対応をめぐって審議がしばしば中断。小池議員の質問は2時間近くにおよび、安倍政権の暴走を厳しく問いただす圧巻の論戦となりました。

 このうち、「働き方改革」一括法案は、裁量労働制のデータねつ造が発覚し、安倍首相が今国会で同制度の拡大の部分を一括法案から削除することに追い込まれています。

 小池議員は、残業代をまったく支払わない「高度プロフェッショナル」制度や過労死基準(月80時間)を上回る、「月100時間未満」まで働かせる残業の上限規制など「働き方改革」一括法案は、過労死を増やすものであり、絶対に認められないとして提出の断念を求めました。

小池質問 NHK
(参院予算委員会で安倍首相を追及する日本共産党の小池晃書記局長=3月2日、NHKテレビから)

 このなかで小池議員は、具体的な職場の実態として、トヨタ自動車の例を取り上げました。

……
 裁量労働性を導入しているトヨタ自動車の実態はどうか。

 トヨタ労組が組合員に示した資料では、2016年10月から17年3月までの半年間で、企画業務型裁量労働で、みなし労働時間1日9時間の対象者370名のうち、限度を超えた長時間労働のために適用除外になった11名を始め、健康調査票を出した方、健診を受けた方などが309名、実に8割の方が健康状態に懸念があると報告されている。

 半年間で、超過勤務時間が最大の方は、企画業務型で月95・4時間。専門業務型で月100・5時間。まさに過労死水準だ。労働組合が労働者の声を紹介している。

 「短納期の突発対応をすべて請け負わされるなど、次から次へ業務を付与され、まとまった業務付与となっていないため、裁量が発揮できる状態ではない」「本来の目指すべき姿に沿わないような業務付与をさせられている」――という。

 業務量について労働者に裁量権がないから、日常的にみなし時間との大きな乖離が起こり、健康被害が生まれている。総理、これが総理のいう「自律的」な働き方の実態だ。
……

 日本最大の企業のトヨタでの生々しい実態に、安倍首相らは神妙に聞き入っていました。小池議員はさらに、「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表世話人が、「人の命が奪われるのが明らかな法案を黙って見過ごすわけにはいかない」と語っていることを紹介。「働き方改革」一括法案の提出を断念するよう迫りました。

 しかし安倍首相は、「高度プロフェッショナル」制度などは、労働者がみずから選択できるものであるなどとのべ、あくまで今国会に提出する姿勢を示しました。
職場は今 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/03/03 06:32

◎裁量労働制 トヨタの職場では今

 裁量労働制の労働時間データのねつ造で、安倍首相が答弁を撤回し、謝罪するなど国会で安倍政権は追い詰められています。1773人が裁量労働制で働くトヨタ自動車の職場では、どうなっているのでしょうか。

 裁量労働制とは、仕事の進め方を労働者にゆだねるというもので、あらかじめ労使が協定した時間を働いた時間とみなします。協定が「9時間」であれば、実際は10時間働いても9時間とみなされて、1時間分の残業代が出ません。

 専門業務型(1988年導入)と、企画業務型(2000年導入)の2つがあります。専門業務型は、新商品研究開発、情報システムの分析・設計、デザイナー、弁護士など19業務。企画業務型は「企画、立案、調査及び分析」をする労働者が対象です。

 企画業務型は、企業内に労使委員会をつくり決議が必要などきびしい要件があります。裁量労働制で働いている労働者の割合は、企業規模1000人以上の場合で、専門業務型が1・2%、企画業務型が0・5%です。

 安倍政権は、「働き方改革」国会と位置付けた今国会に、営業職などへの拡大をねらっています。「使いにくい、もっと規制緩和を」と主張する財界・大企業の要望に応えたものです。

裁量労働制 テクニカルセンター
(裁量労働制で働く労働者が多いトヨタのテクニカルセンター)

 トヨタでは、9時間がみなし労働時間です。企画裁量型で370人、専門業務型で1403人、合わせて1773人が働いています(17年3月時点)。在宅勤務者は、フレックスタイムで働く労働者をふくめて339人です(同)。

 1カ月の平均超過勤務時間(16年10月~17年3月)は、企画業務型で28・3時間、専門業務型で30・5時間です。最小では、両型とも0時間ですが、最大では企画業務型で95・4時間、専門業務型で100・5時間にもなっています。

 健康診断の受診者(単月超過勤務時間が80時間超、2カ月連続で超過勤務時間が45時間超、10~3月で超過勤務時間が270時間超)は、企画業務型で延べ63名、専門業務型で延べ181名になっています。

 健康診断の受診者は、長時間残業で健康を害する恐れがないかを医師に診断してもらうものですが、いわば“過労死予備軍”ともいわれるものです。裁量労働制が長時間労働の温床になっていることを浮き彫りにしています。

 トヨタでは、昨年12月から、会社が“裁量的働き方”というFTL(I)導入しています。Time=時間とLocation=場所から自由になるというもので、いわば労働時間にも職場にもとらわれずに働くというものです。

 しかも、トヨタは「賃金は掛けた時間の対価であるという考え方を払拭」するものだと説明しています。労働基準法の1日8時間労働をくずす考えです。裁量労働制がいますぐ拡大できないなか、現行法のわくのなかで“裁量的働き方”を広げようというものです。

 データのねつ造で、裁量労働制の長時間労働があらためて明らかになるなか、裁量労働制を拡大する法案の撤回を求める声は野党、労働界からあがっています。トヨタの職場からも声をあげましょう。

                ◇

裁量労働制 出勤
(出勤するトヨタの技術労働者ら)

 労働組合の全国組織、連合の相原康伸事務局長(トヨタ労組出身)は2月22日、「働き方改革関連法案をめぐる問題についての談話」を発表しました。

 談話では、「連合はこれまで、時間外労働の上限規制や同一労働同一賃金の法整備などは早期に実現すべきであるが、高度プロフェッショナル制度の創設および企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大は実施すべきではないとの考え方を一貫して主張してきた。この2点に働く者が強く反対している声を国会は受け止めるべきである」とのべています。

 その上で、「(労働政策審議会で)労働側委員は、みなし労働時間制では長時間労働に対する抑止力が作用せず、長時間労働となる労働者の範囲が拡大するなどの懸念を主張してきたが、取り入れられなかった」と指摘。

 また、「出退勤の時刻を指定されるなど業務の進め方に裁量がない事例や長時間労働によるメンタルヘルスの問題も生じている」などとして、「対象業務を拡大すべきではない」と主張しています。
職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2018/02/25 15:09

◎トヨタ労組大会 独自の裁量労働「FTL(I)」を承認

 トヨタ自動車労働組合(西野勝義委員長、約6万8000人)は10月14日、愛知県豊田市の組合事務所、カバハウスで定期大会を開きました。会社側が提案していた事務・技術職へのトヨタ独自の裁量労働「FTL(I)」を承認しました。

 「FTL(I)」とは、「Free Time & Location for Innovation」の略。時間と場所にとらわれない革新的な働きかたという意味です。会社は、「賃金は掛けた時間の対価であるという考え方を払しょく」するものとしています。

 トヨタでは、現行法の裁量労働制で、企画裁量型で370人、専門業務型で1403人、合わせて1773人(17年3月時点)が働いています。これとは別に、現行法のわくのなかで、トヨタ独自の“裁量労働的”働き方を導入するものです。

 電気自動車化、自動運転化など自動車産業の大激動と連動した、トヨタの事務・技術職約7800人の新たな働き方として注目され、朝日や日経、産経、中日の各紙などがいっせいに取り上げています。

 執行部は、「組合員の懸念点もしっかり共有したうえで、制度導入のねらいや適用基準などの制度内容を整理・確認できた…本制度は導入可能と判断」したとしています。

 大会の発言では、「目標を達成したら、仕事が増えるのではないかという懸念の声が職場であがっている」などの意見が出されました。組合が承認したことで、今年12月から実施される見通しです。

トヨタ本社地区
(駐車場=右側=から歩道橋を渡って出勤するトヨタの技術労働者ら=豊田市のトヨタ本社地区)

                        ◇

 「FTL(I)」制度について、トヨタ労組は「評議会ニュース」(No1258号)で概要を明らかにしています。それによると――

 ▽適用されるのは、主任職で、本人の発意、所属長との面談、部長や人事の承認、▽1週間に1回、2時間以上の出社が必要、▽手当は17万円。超過勤務手当の金額が17万円を上回る分は翌月に支給、▽残業はフレックスタイム制と同じで、“36協定”通りの月45時間、年360時間まで。絶対限度時間(36協定の特別条項)は月80時間、年720時間まで、▽年間20日間の年休取得は必須。平日に5日間、連続して休暇取得必須――などです。

 組合が主任職667人と制度対象候補の指導職495人アンケートを取ったところ、「裁量があるものになるか」との問いに対し、6割が肯定的、3割が「変化なし」でした。

 また組合は、長時間労働のおそれについて、「職場では、結局『FTL(I)」適用者は45時間働ける。むしろなぜ働かないのか』という空気になるのではないか」という声は根強く、現状のままでは実際に、そうなる可能性がかなり強いと懸念している」などの声があがっていることを紹介しています。
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/10/15 15:49

◎使いにくい企画業務型裁量労働?

 労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の分科会(8月30日開会)で、厚労省は企画業務型裁量労働制に、「営業」(課題解決型提案営業)と「裁量的にPDCAを回す業務」の2つの業務を加えようとしています。

 裁量労働とは、働いた時間にかかわりなく、あらかじめ労使で決めた時間を働いたとみなす働き方です。労働基準法の1日8時間、週40時間の労働時間規制をはずすものです。「企画業務型」と「専門業務型」の2つがあります。

 「企画業務型」は、「企業の企画部門で経営環境を調査分析し、経営計画を策定する労働者」(厚労省)としています。厚労省の調査では、適用労働者の割合は0・3%、導入企業の割合は0・9%にとどまっています。

 「専門業務型」は、新商品や新技術の研究開発、情報処理システムの分析・設計、新聞記者、弁護士など19業務に限定されています。

ランニング
(健康のために、昼休みにランニングする技術労働者ら)

 日本経団連は、一部の業務に限られていることや、労働基準監督署に書面で6カ月ごとに報告が義務付けられていることなどから、「使いにくい」といって規制緩和を求めてきました。

 厚労省は、こうした企業の要求を受け入れ、「企画業務型」にあらたに2業務を増やすとともに、「使用者の労働基準監督署への報告義務は、制度導入後6カ月目のみとするよう簡素化する」としています。

 トヨタでは、企画裁量型で370人、専門業務型で1403人、合わせて1773人が働いています(17年3月時点)。

 このブログ「トヨタで生きる」で明らかにしたように、トヨタは事務・技術職の約7800人に、“裁量労働的”働き方である「新しい時間管理制度 FTL(I)」の導入をめざし、トヨタ労組と話し合いをしています(上、下の2回)。
http://toyotaroudousya.blog135.fc2.com/blog-entry-2615.html

 自動車産業は今、ガソリン車から電気自動車へのシフト、AI(人工知能)技術を不可欠にした自動運転など自動車産業が激変の時代を迎えています。しかもグーグルやIBM、アマゾンなど異業種のIT企業との競争が激化しています。

 トヨタは、裁量労働制の規制緩和や「残業代ゼロ」法案(高度プロフェッショナル制度)などの成立を待ってはおれない“お家の事情”があるのでしよう。現行法の枠のなかで、“裁量労働的”働き方を実現しようというのです。

 「FTL(I)」とは、「Free Time & Location for Innovation」の略です。時間と場所から自由になる革新的な働きかたという意味ですが、労働時間の規制をはずしたいのでしょうか。

               ◇

 この記事は、9月5日にアップする予定でしたが、都合により前日にアップしました。
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/09/04 16:47

◎これが南武線のトヨタのポスター

 トヨタは、このブログ「トヨタで生きる」で紹介したように、電機大手の事業所が集中するJR南武線(東京の南部と神奈川県北部を走る)沿線の駅で、トヨタ自動車がIT技術者を引き抜く広告を貼っていることをアップしました(8月11日)。

 この記事を読んだ南武沿線に住む人から、写真を送っていただきました。南武線と小田急線の乗換駅、登戸駅に貼ってあったといいます。モノクロのポスターです。

30 南武線1


 「シリコンバレーより、南武線エリアのエンジニアが欲しい。」
 「エンジニアのみなさま、お疲れさまでした。本日帰宅されましたら。自宅でじっくりと下記の内容をご検討ください。」

 こうのべて、自動運転・コネクティッド技術のエンジニアを募集しているトヨタ自動車のネット広告へアクセスして欲しいというものです。

 ネット求人広告では、トヨタの常務理事がIT技術者に、トヨタへの転職を次のように求めています。

「AIやコンピュータービジョン、ビックデータを扱うためのコンピューターサイエンス、センサ技術などの分野に明るい方であれば、何人でも欲しいというのが実情です」
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/08/23 18:08

◎トヨタが新たな“裁量労働的”働き方 「FTL(I)」 (下)

 トヨタの新たな「FTL(I)」の働き方は、あくまで現行法のわくのなかでの働き方です。

 現行法では、裁量労働という働き方があります。トヨタでは、企画裁量型で370人、専門業務型で1403人、合わせて1773人が働いています(17年3月時点)。

 トヨタで導入している裁量労働制は、1日9時間働いたとみなし、基準賃金の25%の「裁量労働手当」を支給しています。

 裁量労働制は、業種が限られることや6カ月ごとに労基署に報告――など適用要件が厳しく、手続きも煩雑なために、日本経団連など財界や大企業からは対象を営業職などにも広げるなど規制緩和の声が上がっています。

 安倍政権は、これに応えて秋の臨時国会で営業職に広げるために労働基準法の改定案を提出しようとしています。

 厚労省が「高度プロフェッショナル制度」と呼ぶ「残業代ゼロ」法案(労働基準法の改定案)も審議しようとしています。これは、労働界や野党の強い反対で2年以上たなざらしなってきたものです。

夜 テクニカル
(技術労働者が働くトヨタのテクニカルセンター)

 こうした法案の成立を待ってはおられないトヨタの事情があります。前回も指摘したように、ガソリン車から電気自動車へのシフト、AI(人工知能)技術を不可欠にした自動運転など自動車産業が激変の時代を迎えているからです。

 トヨタは、このブログ「トヨタで生きる」で紹介したように、電機大手の事業所が集中するJR南武線(東京の南部と神奈川県北部を走る)沿線の駅で、トヨタ自動車がIT技術者を引き抜く広告を貼っていることをアップしました(8月11日)。

 トヨタの常務理事が、「AIやコンピュータービジョン、ビックデータを扱うためのコンピューターサイエンス、センサ技術などの分野に明るい方であれば、何人でも欲しいというのが実情です」とトヨタへの転職を求めているように、IT技術者の絶対数が不足しています。

 トヨタの競争相手は、自動車メーカーではなく、グーグルやアップル、アマゾンなどアメリカのシリコンバレーのIT企業になっているからです。これまでのように、じっくり技術者を育ててはおれない事情があるのです。

 IT技術者に魅力的な働き方――それは、子育てや介護などに必要な在宅勤務であり、時間や働く場所にとらわれない働き方であると考えるのでしょう。

三河豊田 出勤
(出勤するトヨタの技術労働者ら=三河豊田駅前で)

 実際、トヨタは、「『FTL(I)』のねらいの1つに、会社の生き残りに向け『裁量をもった働き方』を通じた創造性の発揮が不可欠」とのべているように、「生き残りに向け」た、人材確保が大きな理由にまちがいないでしょう。

 それは、労働時間や働く場所にとらわれず、成果を究極的に追及しようというものです。残業は年間360時間以内を前提とし、月80時間、原則540時間の範囲のなかでとしていますが、「月80時間」の残業とは厚生労働省が過労死ラインにしているものです。

 現行法のなかでも、トヨタではわかっているだけでも5人の過労死認定があります。今年2月には、トヨタの関連会社で、うつ病を発症していた労働者が月85時間の残業で過労死した事件で、名古屋高裁が労災と認めました。厚労省が上告しなかったために判決が確定しています。

 「FTL(I)」の導入にあたっては、健康で過労死しない働き方か、十分論議する必要があるでしょう。

                ◇

 この記事は、8月22日にアップする予定でしたが、都合により20日にアップしました。
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/08/20 10:06

◎トヨタが新たな“裁量労働的”働き方 「FTL(I)」 (上)

 トヨタ自動車が事務・技術職に、「新しい時間管理制度 FTL(I)」の導入をめざし、トヨタ労組と話し合いをしています。労組の「評議会ニュース」(No1253号 8月2日発行)で報告しています。

 日経新聞が8月2日付けで大々的に報道し、7800人もの大量の事務・技術職が対象になるということで、トヨタの新たな働き方に注目が集まっています。

 「FTL(I)」とは、「Free Time & Location for Innovation」の略です。時間と場所から自由になる革新的な働きかたという意味でしよう。

 「FTL(I)」のねらいについてトヨタは、「年間限度超え手続きの効率性と働き方の柔軟性を高めるための施策」「賃金は掛けた時間の対価であるという考え方を払しょく」などと位置付けています。

 また、「会社の生き残りに向け『裁量をもった働き方』を通じた創造性の発揮が不可欠」としています。ガソリン車から電気自動車へのシフト、AI(人工知能)技術を不可欠にした自動運転など自動車産業が激変の時代を迎えるなか、“裁量労働的”働き方が必要だということでしょう。

日経の表 トヨタ 裁量労働 実質拡大
(日経新聞 8月2日付から)

 労働基準法は、労働時間を1日8時間、週40時間と定めており、現行法のわくのなかでの新たな制度です。

 その骨子を具体的にみると――。

①残業は年間360時間以内を前提とし、月80時間、原則540時間の範囲のなかで、健康面に十分配慮して働けるものとする。

②この新たな制度に適用されるのは、▽主任職で、▽本人の意思、▽所属長との面談、▽部長や人事の承認――の4条件が必要。

さるすべり


③手当は、月17万円を支給する。これは、一般的な主任職の裁量労働手当の1・5倍になる。月45時間の残業代を上回る。17万円を超えて働いた分は、翌月に支給する。

④“休み方”については、年間20日間の年休を取得すること、平日に5日間、連続して休暇を取ることが必須。

 今回の新制度では、1週間に1回、2時間以上出社すればいいことになります。この間、在宅勤務について労使で議論が続き、昨年秋に導入しているように、在宅勤務に大きくシフトしているのが特徴です。

 次回の(下)では、こうした新たな働き方のねらい、背景などについて考えます。

               ◇

 この記事は、8月21日にアップする予定でしたが、都合により前日にアップしました。
職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2017/08/20 10:00

◎トヨタの「キャリア リクルーティング サイト」

 このブログ「トヨタで生きる」では先日、電機大手の事業所が集中するJR南武線(東京の南部と神奈川県北部を走る)沿線の駅で、トヨタ自動車がIT技術者を引き抜く広告を貼っていることをアップしました(8月11日)。

 それだけでなく、ネットに「TOYOTA RECRUITING SITE」を開設し、全国から広くIT技術者を募集しています。いかに技術者が不足しているかを示しています。

 グールグで、「トヨタ キャリア リクルート」と入れて検索すると、「シリコンバレーよりトヨタでしょ」が表示されます。

http://www.toyota-careers.com/automated_driving/?adid=ag454_lis_google_src._.txt_engineer_creative3.pc.0188.toyotacareers.170720.GG01..&padid=ag454_lis_google_src._.txt_engineer_creative3.pc.0188.toyotacareers.170720.GG01..

 このサイトでは、常務理事で先端技術開発カンパニーの鯉渕健氏(自動運転、AI/ビックデータ担当)が、こう呼びかけています。

 「AIやコンピュータービジョン、ビックデータを扱うためのコンピューターサイエンス、センサ技術などの分野に明るい方であれば、何人でも欲しいというのが実情です」

 「トヨタからのメッセージ」では、「私たち自動車メーカーは、従来の『走る、曲がる、止まる』から『つながる』ことへと、開発の領域を広げてきました」と自動車を取り向く環境が激変していることを強調しています。

40 トヨタ キャリアリクルート
(「TOYOTA RECRUITING SITE」から)

 その上で、「具体的には、広義のIT、AI(人工知能)、画像認識、信号処理、機械学習、地図自動生成……など、今までのTOYOTAになかった知見を持つ専門家の力が必要なのです。自動運転カーの実用化まで、あと一歩。あなたの優れた経験と技術を、ぜひTOYOTAで発揮してください」と呼びかけています。

 大手電機メーカーの研究職やレンズメーカーでデジタルカメラの機械設計に携わってきた技術職から、トヨタに転職してきた労働者のインタビューを掲載。そのプロフィールやトヨタでの現在の仕事を紹介し、サイトからトヨタにエントリーできるようにしています。

 グーグルやアップル、アマゾンなど自動車とは異業種のシリコンバレーの雄と熾烈な競争に入ったトヨタなど自動車メーカー。自動車産業は、かつてない激動の時代に突入しています。
職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2017/08/15 10:19

◎トヨタが電機のIT労働者を引き抜くわけ

 メディアが伝える、JR南武線駅でのトヨタの広告が話題になっています。南武線は、神奈川県の川崎駅から東京都の立川駅まで、神奈川県北部と東京の南部を走る鉄道。沿線には、富士通やNEC、日立など電機大手の事業所が立ち並んでいます。

 「えっ!? あの先端メーカーにお勤めなんですか! それならぜひ弊社に」――こんな広告が駅に貼られているのです。しかも南武線限定です。NHKが8月9日に放送したのをはじめメディアがこぞって取り上げています。

 「シリコンバレーより、南武線エリアのエンジニアが欲しい」――アップルやグーグルなどの本社がある米シリコンバレーを意識し、日本の電機エンジニアのこころをくすぐるようなキャッチコピーです。

 NHK記者は、「あまりにストレートな表現に『これが本当にトヨタの広告なのか』と目を疑いました」と報告しました。「ネットやスマホの会社のエンジニアと、もっといいクルマをつくりたい」という広告もありました。

 「もっといいクルマをつくりたい」とは、トヨタの豊田章男社長が常に口にしている言葉です。トヨタは、愛知県に本社、工場が集中し、エンジニアの多くは愛知県に住んでいます。東京へ、しかも電機IT技術者へが集中する南武線沿線へ乗り込んでの技術者の引き抜きです。

70 NHK 南武線
(NHKの放送から)

 なぜ、トヨタがこんな引き抜きを? 自動車産業は今、ガソリン自動車以来の100年の大激動期といわれています。長年の夢だった人工知能(AI)が急速に実用化になり、自動運転が目の前にやってきました。

 また、ガソリンから電気自動車(EV)への転換が現実味を帯びてきました。英仏が2040年にガソリン車を禁止すると打ち出したことで、一挙に雪崩を打って移行しようとしています。ハイブリッド(HV)車で成功したトヨタも大転換を迫られています。

 自動運転では、グーグルがプリウスをベースにすでに走行実験をくり返しています。グーグル、アップル、アマゾン、マイクロソフトなどはAI技術で、日本をはるかにリードしています。あらゆるものがインターネットでつながるIoT技術をめぐって企業は熾烈な競争をしています。

 AIやEVなどに必要なのがIT技術者です。しかも即戦力が必要です。そこでトヨタが南武線沿線のIT技術者の引き抜きを考えたのでしょう。日本最大の会社のトヨタが、なりふりかまわぬ広告を出したものですから、メディアがこぞって取り上げているのです。

12 南武線
(南武線は、夜の11時を過ぎても混んでいます)

 この広告と軌を一にするようにトヨタが打ち出してきたのが事務・技術職への“裁量的働き方”です。8月2日付の日経新聞が1面で大きく取り上げたことで注目されました。

 トヨタがこの間、くり返し語っている「FTL」(Free Time & Location=時間と場所から自由になる)という働き方です。トヨタ労組の「評議会ニュース」にくわしく掲載されています。

 主任級約7800人を対象に、月17万円の手当(残業45時間分)、45時間を超えると残業代を支払う、在宅勤務を広げ、週2時間出社すればいい――などと、一見するといいことずくめです。

 南武線の駅近くに知人がいます。時折訪ねますが、夜10時過ぎ、11時過ぎても電車は混んでいます。スマホやタブレットを開いている労働者。電機のIT技術者のように見えます。

 電機IT技術者に、「FTL」の労働条件を示せば、引き抜きは可能――と考えるのは考えすぎでしょうか?

職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2017/08/11 10:21

◎トヨタ 残業年360時間超 16年度で4813人

 トヨタ自動車の年間残業時間のうち、360時間を超えた人数が16年度で4813人を数えました。前年度が5446人でしたから633人減りました。

 表のように2003年度は1万人を超えていました。それから急激に減り、リーマン・ショック時は690人までになりました。以後はじわじわと増え続けていましたが、この3年間の増加傾向にやっと歯止めがかかりました。

 16年度の内訳は、工場などで働く技能職が762人(15・8%)、事務・技術職が4051人(84・2%)で、圧倒的に事務・技術職が多くなっています。

25 トヨタの残業 年間360時間超 16年度まで


 日本では、残業の上限を法律で規制していません。労働基準法36条に基づいて、労使協定で残業の上限を決めています。特別協定を結べば事実上、青天井になります。

 日本経団連会長会社の東レは、年間1600時間、1カ月160時間の労使協定を結んでいます。厚労省は、月80時間以上を“過労死ライン”としていますから、東レは過労死ラインをはるかに上回る残業を労働者に強いていることになります。

 さすがに厚生労働大臣の告示で、年間360時間、1日45時間までにするよう求めていますが、法的規制でないために、東レのような驚くべき長時間残業がまかり通っています。

 トヨタ自動車は、年間360時間、特別協定(絶対限度時間)で600~720時間を結んでいます。1カ月は45時間、特別協定では過労死ラインの80時間(年間6回まで)まで可能です。

 日本共産党の志位和夫委員長は、2015年2月の衆院予算委員会で、トヨタの2つの過労死事件を詳細に示して、残業は厚労大臣告示の「月45時間」を法律化すべきだと安倍晋三首相に求めました。

 安倍首相は、「慎重に検討すべき課題」とのべるだけで、法律化に難色を示しました。その安倍首相が議長となってとりまとめた「働き方改革実行計画」(3月28日)では、残業の上限について、原則「月45時間、年360時間」としました。志位委員長の主張を認めざるを得ませんでした。

 ところが、「臨時的な特別の事情」があれば、「年720時間(月平均60時間)」まで認めるとしました。これには休日労働が含まれず、含むと最大年960時間(毎月80時間)まで認めるというとんでもないものです。

 しかも繁忙期には、「月100時間未満」の残業を認めています。電通の新入社員の過労自殺事件が明るみになった後に、こんな過労死ラインの残業を認めたのです。

 トヨタの年間総労働時間は、1900時間台が続いています。フォルクスワーゲンの本社などがあるドイツの1300時間台と比べると600時間ほども長く働いていることになります。

 トヨタでは、わかっているだけでも、これまでに5人、関連会社を含めると6人が過労死認定を受けています。安倍政権は、残業規制だといいながら過労死ラインまで法律化しようとしています。断固、反対しようではありませんか。

職場は今 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2017/06/02 18:19

◎本社地区に虹が出た!

 週末の金曜日(5月26日)夕方、トヨタの本社地区に虹が出た! しかも、うっすらと外側にも半月が。一週間の仕事を終えてほっとしたみんなに“がんばったね”と励ましてくれるような七色。

 この日、朝から降っていた雨が夕方のいっときだけあがる。

30 虹1


 ふと目を外に向けると、トヨタ本社ビル群から大きな虹が空に向かう。
赤い列車が走り抜ける。
わずかにふる雨をさけて傘をさして人が田んぼ道を歩む。

 止まない雨はない

 虹に向かって語りたくなった。

 「いやなことばかりじゃない。この先の虹色の未来へがんばっていこう」

30 虹2
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/05/27 10:44

◎「トヨタの焦燥」 『東洋経済』特集

 週刊経済誌『東洋経済』が「トヨタの焦燥」という特集(4月29日・5月6日号)を組んでいる。トランプ米大統領、次世代カー、ケイレツ(系列)のトヨタを取り巻く“3つの難題”について44ページも使う力の入れ方だ。

 世界の自動車産業は、①ガソリン車に次ぐ次世代車は何になるのか、②グーグルなどネット関連企業を巻き込んだ、AI(人工知能)を基にした自動運転技術の開発、③車は持つものではなく、必要な時に借りるものという車シェア時代の到来――などをめぐって熾烈な競争をくり広げている。

 昨年、世界販売量ではフォルクスワーゲン(VW)に抜かれて、2位に後退したものの、トヨタは1000万台超を販売している。そのトヨタが熾烈な競争のなかで“焦燥”しているのではないか、というのが特集の命題だ。

 なかでも興味深かったのが「トヨタは読み違えたのか」という見出しの次世代カーの開発の物語である。現在のトヨタは、世界初のハイブリッドの量産車「プリウス」を1997年に販売してから20年になる。

 プリウスは4代目になり、プリウス以外にも30種以上にHVを広げ、世界販売累計は1000万台を超えた。日本ではホンダがトヨタと同じようにHVを販売しているが、世界で見るとHVは少数派にとどまっている。

 ガソリンと電気の“いいとこどり”をしたHVだが、本格的なエコカーへの中間技術という弱点があった。『東洋経済』の「特集」では、「トヨタはプリウスの成功体験から抜けられないでいる」というアナリストのコメントを紹介している。

12 トヨタの焦燥 東洋経済


 では、次世代のエコカーの本命は何か? トヨタは燃料電池車(FCV)の「ミライ」を世界に先駆けて2014年に発売したが、水素スタンドのインフラ整備というネックと価格が高いという2つの壁があって本命にはまだなっていない。

 「特集」では、今年2月にトヨタが発売を始めた2代目プリウスPHV(プラグ・イン・ハイブリッド)について触れている。内山田竹志会長は、発表会で「PHVがエコカーの主流になる」と断言した。

 その一方で、トヨタはHV優先で出遅れた電気自動車(EV)へ急速に開発をシフトしている。16年12月に豊田章男社長直轄の「EV事業企画室」を立ち上げ、グループ3企業から人を集めていると指摘する。

 背景には、アメリカの最大市場のカリフォルニア州で、2018年モデルから「排ガスゼロ車(ZEV)規制」が強化されるが、プリウスはエコカーの扱いからはずされることになった。

 トヨタにとってはショックな出来事であり、HV優先路線の修正を余儀なくされている。しかも、EVは電池の開発が急テンポですすみ、コスト低減と航続距離が長くなってきたこともEVに力を入れてきた日産自動車などを勢いづかせている。

 世界最大市場、中国は大気汚染が深刻で、エコカーに本腰を入れ始めている。エコカーの普及は、地球温暖化という人類共通の問題解決につながるものだ。しかし、EVなどからはエンジンがなくなり、下請けの仕事や労働者の雇用にも大きな影響をもたらすものになる。

 「特集」は、トヨタ1社だけの「焦燥」だけにとどまらない、自動車産業全体の根本的な問題を突き付けているようにも思った。ひよっとしたら、「トヨタにおれば一生安泰」という時代ではなくなるのか…。
職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2017/04/28 11:49

◎桜の下でランチ会やランニング トヨタ本社地区

 トヨタ自動車の本社地区(豊田市)の桜は満開だ。ここのところ、雨や曇りの日が続いている。この日も、前日の雨がやんだもののテクニカルセンター前の時計塔の温度計は14度を表示している。花冷えの日になった。

 つぼみがちらほらあり、満開のちょっと手前くらいだろうか? 旧本社前の枝垂れ桜も最近は勢いがない。老木のせいだろうか。トヨタに入社したころの枝垂れ桜の美しさは強烈な印象だった。

本社地区1

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 入社時と桜は重なり、桜を見ると入社した時のういういしい感情がよみがえってくる。時の流れだろうか。あの時とはずいぶん変わったような気がする。

 入社教育を受けたのは養成工の実習棟のあったところで、現在は本社ビルが建っている。その向かい側にあった本社体育館も取り壊されて更地になっている。本社地区の風景も様変わりした。1つの時代が去ったということだろうか。

本社地区3

本社地区4


 それでも4月になると新入社員が入り、新しいトヨタが始まる。昼休みになると、テクニカルセンターをはじめ各職場からランナーが桜の下を走りだす。200人ぐらいはいるだろうか?

 昨年秋、トヨタの事務・技術職にFTL(Free Time & Location)が導入された。裁量労働制やフレックスタイム制に在宅勤務がプラスされたものだ。時間、場所から自由になるという働き方だという。

 安倍政権は、「働き方改革実現会議」で、1カ月に「100時間未満」まで残業ができることを導入しようとしている。“過労死ライン”までの残業を認めるものだ。

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 桜の下では、それぞれの職場ごとや友人同士でランチ会が行われている。定年まで、安全で健康で働ける人生であってほしい。それが、“トヨタで生きる”第1条件のはずだと思う。
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/04/11 17:55

◎トヨタ本社地区 夜桜を見て思った

 トヨタ自動車に今年も4月3日(月)、新入社員が入ってきた。事務職174人、技術職629人、業務職50人、技能職1780人、合わせて2633人(昨年は2581人)だ。

 おめでとうございます。この日から新年度が始まる。豊田市の本社事務本館ホールで入社式が行われた。豊田章男社長をはじめ役員40人、労働組合と各職制会などから16人、各部代表者など合計約200人が参加したという。

 テレビがトヨタの入社式を流していた。豊田社長をはじめ全員、作業服姿で出席。社長は、「激動の時代、こんなときだからこそ変えてはいけないぶれない軸、未来のために今を変える覚悟を持つべきではないか」とあいさつしていた。

 注目されたのが広告大手の電通。入社1年目で、1カ月に130時間56分の残業をして過労自殺した女性社員がいた。山本敏博社長が145人の新入社員を前に、謝罪した上で、「電通の最大の財産は『人材』です。電通を舞台に、皆さん自身の可能性を大いに広げてください」とのべたという。

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 トヨタの本社地区は、新入社員を祝うように桜が咲き始めている。今年は、寒さのために満開は遅れている。帰り、夜桜を楽しもうと枝下緑道を歩いた。普段、見慣れた風景も、あらためて夜桜の美しさを見ると、素敵な風景だと思った。

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 職場では、今日から年間残業数がリセットされた。先週までは、残業オーバーで早帰りしていた人たちが、あたかも残業数を競うように、こぞって残業を始めた。

 夜桜の美しさを楽しみながら思った。「立ち止まって、少しゆっくり考えよう」、と。

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職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2017/04/04 11:56

◎「戦争のためにつくっているんじゃない」――「LEADERSⅡ」を見て考えた

 トヨタ自動車の創業者、豊田喜一郎をモデルにしたテレビドラマ「LEADERSⅡ」がTBS系で3月26日、放送された。最初放送されたのは2014年3月。3年ぶりの続編になった。

 主人公・喜一郎のモデルは、佐藤浩市が演じるアイチ自動車の愛知佐一郎である。今回のハイライトは、国産乗用車をめざし、折れないシャフトづくりへの佐一郎と技術者、工員たちの挑戦と苦闘、その国産乗用車を売る販売店づくりへの人間の葛藤の2つである。

 ドラマで佐一郎は語る。GMなどの外車が主流だった戦前、「人々の暮らしを豊かにする夢がある」と国産乗用車づくりに熱中する。織機で稼いだ金を自動車につぎ込む「大バカ者」と陰口をたたかれながらも。

 折れないシャフトづくりのシーンは最大の見どころだ。何度も、何度もつくったシャフトに圧力をかけるが、そのたびにパーンと折れて見守る佐一郎らの足元に転がる。苦悩にゆがむ顔、顔…。

写真 リーダーズ2
(シャフトづくりに苦闘する愛知佐一郎役の佐藤浩市=中央=ら。「LEADERSⅡ」から)

 現在、トヨタのプリウス3代目に乗っている。新車から6年目になるが1度も故障したことはない。自動車ばかりかパソコン、スマホの故障も激減している。先人たちの新製品への苦闘は、感動的だ。

 もう1つの販売店づくりは、今日ではあまり知られていない。輸入自動車販売店からアイチ自動車の販売店第一号となった「日の出モータース」支配人・山口昇のモデルの山崎亘を内野聖陽が演じる。

 奈良日産からトヨタ系へ移籍する菊池武三郎のモデルの菊間武二郎を大泉洋が演じる。東大寺の大仏の前で語り合うシーンもある。2人は、佐一郎の夢と情熱に引き込まれ、アイチ自動車系の販売店へと転身する。役達者な内野、大泉が、地味な佐藤を補い、引っ張っている印象だ。

 ドラマでは、アイチ自動車が倒産の危機に陥ったという1950年(昭和25年)で、労働組合が「首切り反対」の横断幕を掲げてデモ行進するシーンが描かれている。

リーダーズ 首切り反対
(「首切り反対」のデモ行進=「LEADERSⅡ」から)

 「社員は家族だ」と佐一郎は人員削減に反対したといわれるが、1600人が解雇された。その直後、朝鮮戦争が勃発。トラックの注文が殺到し、小型乗用車も売れてアイチ自動車は復活、大儲けする。

 ドラマは、国産乗用車づくりとその販売に向けた先人たちの苦闘、苦悩の人間像を描いたアイチ自動車のサクセス・ストーリーである。今日の日本は、世界1の自動車立国として知られている。

 そこにまでにいたったのは、ドラマでも登場する名もなき労働者、下請け業者、営業マンらである。佐一郎は語る。

 「アイチの車は戦争のためにつくっているんじゃない」「二度と資源を取り合って戦争になることはないようにと、そう願いを込めて低燃費の自動車を開発しているんです」

 創業者のこの思いが、今日のトヨタ自動車から強く発信されることを願う。なぜなら、豊田喜一郎は、国産乗用車をつくる夢をいだきながら、戦前は政府の命令で軍用トラックしかつくれない時期があった。

 終戦1日前の1945年8月14日、拳母工場――現在のトヨタ本社工場と周辺には長崎に落とされた原爆と同型の核模擬爆弾が米軍によって投下された。戦争が長引いていたなら、今日のトヨタはなかったといわれるからである。

 「平和であってこそ、乗用車は生産、販売できる!」

職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2017/04/03 11:29

◎「月100時間未満」の働き方ではどうなる?

 安倍政権の「働き方改革実現会議」は3月28日、「月100時間未満」までの残業を認めるなどとする「実行計画」をまとめました。「月100時間」までの残業とは、どんな1日なのでしょうか?

 1カ月の出勤日数は、土日休みで月21日前後です。月20日とすると、「月100時間」は、1日5時間の残業をすることになります。

 1日の労働時間は8時間です。最近は、連続2交代や裁量労働、フレックスタイム、在宅勤務などが増え、労働者の出退勤時間はバラバラです。一般的に多い午前9時出勤、午後6時退勤(昼に1時間の休憩)のケースを考えます。

 通勤時間は、電車や自動車などで1時間とすると往復2時間です。労働時間、休憩時間、出退勤時間で1日24時間のうちの11時間がとられます。残る13時間のうちに5時間の残業をすると――。

 午後6時の終業時間以降、休憩なしで働くと午後11時になります。これから家へ帰ると午前0時。残る8時間を、食事、入浴、睡眠などに使わねばなりません。結局、睡眠時間を削る以外にないでしょう。

修 東京 0時前
(ギュウギュウ詰めの東京の駅の風景=午前0時前)

 こんな生活では、食べることと眠る以外のゆとりはまったくなくなります。広告大手の電通(本社・東京都港区汐留)で、入社1年目で過労自殺(15年12月25日)した高橋まつりさんは、15年10月~11月の1カ月で130時間56分の残業をしていました。

 「眠りたい以外の感情を失った」「もう(午前)4時だ。体が震えるよ…しぬ もう無理そう。つかれた」「生きているために働いているのか、働くために生きているのか分からなくなってからが人生」「働きたくない 1日の睡眠時間2時間はレベル高すぎる」――これは、まつりさんの悲痛なSNSの一部です。

 トヨタ系の職場で働いていた三輪敏博さんは、今年2月23日、名古屋高裁で過労死と認められました。亡くなる1カ月前の残業は85時間余でしたが、名古屋高裁はサービス残業があったことやうつ病だったことなどをあげ、「100時間を超える時間外労働をしたのに匹敵する過重な労働負荷を受けたもの」と認めました。

 「月100時間」とは、厚労省が“過労死ライン”としているものですが、それに至らなくても過労死と認めたのです。

 全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表は、「月100時間未満」までの残業を認める安倍政権に対し、「過労死ラインの残業を合法化するもの」と厳しく批判しています。

 残業は、月45時間、年360時間までとし、忙しい時などといって「月100時間未満」までなどの「特例」をつくらない法規制こそ必要です。

職場は今 | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/03/31 14:17
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