FC2ブログ

◎「生きるか死ぬか」とは 4月度のトヨタ労使拡大懇談会

  トヨタ自動車労組の4月度の労使拡大懇談会が4月24日、開かれました。職場に配布された組合の「評議会ニュース」が、その内容を伝えています。

 会社からは、菅原郁郎社外取締役(元経済産業事務次官)と桑田正規総務・人事本部副本部長が出席しました。

 今月は、3月の春闘の労使協議会で、豊田章男社長が「今回ほど、ものすごく距離感を感じたことはない。こんなに噛み合ってないのか」とのべ、「組合、会社とも、生きるか死ぬかの状況がわかっていないのではないか」と“一喝”した、といわれることから、これが焦点になりました。

 懇談会では、中国・清華大学などでの豊田社長の動画を視聴し、社長が曽祖父の豊田佐吉が「障子をあけてみよ、外は広いぞ」とのべたことを紹介しています。「ひとり1人が自分自身の障子を開き、不可能なことに挑戦してほしい」--これが社長の想いだといいます。

菅原社外取締役は、「生きるか死ぬかとは?(本当?誰が死ぬのか??)」との問いに、「生きるか死ぬかは、皆さんとご家族 これは抽象論ではなく皆さん自身の問題」と指摘しました。

 同取締役は、アップルのiTuneの出現(2001年)でCDが売れなくなり、CD関連の製造業の人がいらなくなったこと。一方、ダウンロードが急激に増えて楽曲の消費量は格段に上がった例を示しました。

iTunes.png
(トヨタ労組の「評議会ニュース」、No1323から)

 これは、世界の自動車産業がIT業界を巻き込んだ「100年に1度の大変革の時代」(豊田社長)に、何をもたらすかを示す例としてあげたのでしょう。

 組合は、「是非職場で『ここを変えたい』『これはやめてもよいのでは(そうすれば もっと○○ができる)』などの声をどんどん出してほしい!!」――と呼びかけています。

 社長の“一喝”で、「トヨタがおかれている状況の認識の甘さを深く反省」(3月の「評議会ニュース」緊急特集号)した組合。トヨタの職場は、「生きるか死ぬか」という激しい言葉が飛び交っています。
スポンサーサイト
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/05/20 16:50

◎「終身雇用は難しい」 豊田章男社長

 日本自動車工業会の会長でもあるトヨタ自動車の豊田章男社長は5月13日、同工業会の記者会見で、「雇用を維持し、税金を払っている企業にとってもう少しインセンティブが出てこないとなかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきたのではないか」(NHKニュース)とのべました。

 一方で、「最近は派遣社員や途中入社、転職など以前よりは会社を選ぶ側に選択の幅が広がった」と述べ、多様な働き方ができるという考えもあわせて示したといいます。

 このブログ「トヨタで生きる」では、日本経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)が4月22日に、「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っている」などとのべたことをアップ(4月23日)したように、大企業トップが相次いで、終身雇用を否定する発言をしています。

 豊田社長はこれまで、国内での雇用の維持のためには300万台が必要とのべ、「300万台死守」をくり返しのべてきました。国内生産台数は、18年度が321万台、19年度が330万台の見通しです。

 そうした「300万台体制」の前提を抜きに、「終身雇用は難しい」とのべたのは、世界の自動車産業の「100年に1度の大変革の時代」(豊田社長)に突入したことで、もう雇用は守れないと宣言したにも等しいものです。

60 終身雇用 豊田章男
(テレビ朝日から=5月13日)

 トヨタとグループ会社では、トヨタ広瀬工場で生産している電子部品を、デンソーへ2019年末をめどに移管、トヨタの子会社のトヨタ自働車東日本(宮城県大衡村)は、静岡県裾野市の東富士工場を2020年に閉鎖し、生産していた車は他の工場へ移管する――など車種・製品の移管が相次いでいます。

 一方で、「CASE」と呼ばれる電動化や自動運転化などのもとで、自動車メーカーだけではなくグーグルなど米IT企業との熾烈な競争、その反対にモビリティ社会をめざして通信会社のソフトバンクなど異業種との提携などが続いています。

 こうしたなかでの豊田社長の「終身雇用は難しい」との発言は、日産自動車のように大規模な工場閉鎖やリストラをしてこなかったトヨタが、いよいよ雇用に手を付けることを意味するのでしょうか。

 1962年に結ばれた「労使宣言」では、「雇用の安定と労働条件の維持改善をはかり…」とうたっています。その上でトヨタ労組は、「労使関係は相互信頼と相互責任を基盤とする」と主張しています。組合の対応が問われます。
職場は今 | コメント(10) | トラックバック(0) | 2019/05/14 17:21

◎トヨタ技術部は、「白い巨塔」か?

 10連休も今日で終わります。さて、トヨタで働くみなさんは、どんな連休でしたか? このブログ「トヨタで生きる」では、19春闘以来、ネットで公開されている「トヨタイズム」を紹介してきました。

 今回は、見逃していたうちの「トヨタ技術部は、『白い巨塔』か?」を連休中に見ました。豊田章男社長をはじめ、5人の副社長、社外取締役の7人がざっくばらんにトヨタについて語っており、大変、おもしろいものでした。

 約1500人の社員を前にした豊田社長の年頭あいさつ(今年1月8日)の「続き」というものです。社員の「率直な質問」に首脳陣が全て答えるという、トヨタにしては珍しい社内ミーティングを公開したものといいます。

 ちなみに「白い巨塔」とは、作家の故・山崎豊子の小説のタイトルで、大学病院の権力闘争と腐敗を描いたもので、何度も映像化されています。

 さっそく技術部社員が、「豊田社長は最近ラジオなどでも情報発信をしていて、普通の人の感覚でものを言ってくださったり、共感できることもすごく、まあ、ありました」とのべると、豊田社長は、「僕のこと、普通の人じゃないと思ってるわけ?(笑)」と笑いを誘います。

 トヨタ自動車の3代目の御曹司ともなれば、確かに質問者が語るように、「ものすごい殿上人のような、違うところにいる人のような感覚で」しよう。豊田社長は、「オープンに話ができるのがいいね」と切り返し、「技術部は『会話が通じない』とは思っています」とトヨタの技術部の問題点に直球を投げます。

 ある時、豊田社長が色見本を見せられた際、「なんでトヨタの車の色って、いつもこんなにくすんだ色ばかりなの?」と質問しました。すると、「若者がみんな、これを支持しています」との回答。社長は、「だからおじさんは黙ってろ、みたいなね。そこで会話が終わっちゃう」と手厳しく指摘します。

 また、スポーツカー「86」の初号車に試乗したときに、「片思いの男性みたいな気持ちだ」と感想をのべたことを振り返ります。「私が感性で物事を言っているのに対して、技術部は普段、理屈で詰めて仕事をしているんだと思います。でも、本当にいい車を作りたいんだったら、理屈を超えてほしいし、私はユーザー目線で意見を言っているわけだから」と注文します。

 技術部門トップの寺師茂樹副社長は、「技術部は、『私たちはプロです』というスタンスなんです。だから説明しても一方通行で、理解を強いようとする。しかし本来、プロというのは、わかりやすく説明する、ちゃんと一般の人と同じ目線で説明をすることができないといけない。それが技術部に欠けているというのは、反省しています」と“反省”の弁をのべます。

トヨタイズム 白い巨塔
(「トヨタイズム」から)

 こうした話が続き、豊田社長は言います。

 「トヨタの規模の会社になると、一人のリーダーが、全て決めていくというのは不可能です。トヨタの良さは、より現場に近いところ、より商品に近いところ、より物事が起こっているところで決断をしたほうが、もっといいクルマ作り、もっといい会社作りにつながる」とトヨタ生産方式の“現地現物”について語ります。

 確かに、こうした内部の率直なやり取りを公開するのは、大企業では極めて稀でしょう。しかし、“殿上人”のような社長が語ることがすべてであり、異論を唱えることをはばかる雰囲気が、この社内ミーティングからも感じられる気がしてなりませんでした。

 あなたは、どう思いますか?
職場は今 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2019/05/06 11:35

◎「生き抜くことができるのか、それとも終焉をむかえるのか」 豊田社長の新入社員へのあいさつ

 トヨタ自動車が社内の情報をアップしまくっています。なぜ、積極的に情報を公開するようになったのか?

 これまで春闘の労使協議会は、組合を通じて要旨だけしか明らかにしていませんでしたが、19春闘では、ネットの「トヨタイズム」を通じて、初めて動画で豊田章男社長らの肉声を伝えました。

 4月1日の新入社員の入社式も「トヨタイズム」を通じて公開しています。それによると、豊田市の本社ホールで、約1500人の新入社員を前に豊田社長が語ったあいさつを紹介しています。

 壇上には赤いスープラが置いてあり、豊田社長に促されて友山茂樹副社長がエンジンをかけ、アクセルを吹かすというセレモニーも演出しています。

 社長も新入社員も作業衣姿で臨んだ入社式。豊田社長は、トヨタが「自動車会社」から、あらゆる人の移動にかかわる「モビリティカンパニー」に生まれ変わろうとしているとのべています。

 そして、自動車産業が米IT企業なども巻き込んだ「CASE」(コネクティビティ、オートノマス、シェアード、エレクトリック)と呼ばれる「100年に一度の大変革の時代、トヨタが新しい時代に適合し、生き抜くことができるのか、それとも終焉をむかえるのかという、瀬戸際の時代に入社をされた」と強調しました。

トヨタ 2019年度入社式
(4月1日の入社式であいさつする豊田章男社長。壇上には赤いスープラが=「トヨタイズム」から)

 その上で、4つの“ジンザイ”(「人材」「人財」「人在」「人罪」)に触れながら、会社の「たから」になってくださいと呼びかけました。先日、大リーガーの選手を引退したイチローにも触れ、「新入社員も、ベテランも、みんなで楽しんで、がむしゃらにいい仕事をしてまいりましょう!」などと語りました。

 トヨタが「瀬戸際の時代」に入社したと危機感を一杯に語った豊田社長。こうしたあいさつを社会に向けて発信する意義、意味をどこに据えているのでしょうか。

職場は今 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2019/04/08 10:23

◎「生きるか死ぬか」の言葉が飛び交う

 トヨタ自動車の職場では、トヨタは「生きるか死ぬか」との激しい言葉が飛び交っています。19春闘の第3回労使協(3月6日)で、豊田章男社長が「組合、会社とも、生きるか死ぬかの状況がわかっていないのではないか」と一喝したことが発端です。

 豊田社長は、「全員が、自らの仕事のやり方を変えていかなければ、トヨタは終焉を迎える」(組合の「評議会ニュース」、4月1日発行)と、トヨタの“終焉”の言葉まで出しました。

 豊田社長はその上で、「みんなで物事の本質を追求していかなければ、この変革の時代を生き抜くことはできない」とのべました。世界の自動車産業は、米のGAFAなども巻き込んだ電動化、自動運転化など「100年に1度の大変革の時代」(同)に突入しており、トヨタは終焉すら迎えるという危機感です。

 この「生きるか死ぬか」の言葉は、昨年の18春闘の第1回労使協(2月21日)でも、ディディエ・ルロワ副社長が使いました。同副社長は、「『生きるか死ぬかの戦い』を生き抜くために、『体力(収益)』と、市場が前年割れ見込みの中、トヨタは『勢い(プレゼンス)』を確保し、(18年の世界販売計画)対前年2桁増の950万台へチャレンジ」しようと、いっそうの競争力強化の激を飛ばしたのです。

 白柳正義専務役員・経理本部長も、トヨタは「生きるか死ぬかの瀬戸際」(18年5月31日)と語り、鯉渕健常務理事は、開発競争は「生きるか死ぬか」(18年6月度の拡大労使懇談会)などと会社幹部はくり返し語りました。

 19春闘第1回労使協(2月)では、寺師茂樹副社長が組合側に向けて怒りを爆発させました。「100年に一度の大変革期の中、『生きるか死ぬか』の緊迫感が腹落ちしておらず、危機感が自覚出来ていない」、と。

豊田社長 第3回労使協
(「トヨタイズム」にアップされたトヨタの労使協の動画。意見をのべる豊田章男社長)


 その極めつけが、豊田社長が19春闘の第3回労使協で、「組合、会社とも、生きるか死ぬかの状況がわかっていないのではないか」と、組合側だけではなく、後ろに控えた会社幹部をも一喝したことです。

 こんなに「生きるか死ぬか」と言われ、組合員はどうしたらいいのか? 豊田社長ら幹部は、「プロ」になれと、繰り返し語ります。専門性(一芸)を持ち、それを進化・拡大すること、ミリ単位からミクロン単位の部品をつくる、最速でスキルアップを…

 組合は先の「評議会ニュース」で、「『生きるか死ぬかの状況とは』 1人ひとりが考え行動につなげましょう」と呼びかけますが――。

職場は今 | コメント(7) | トラックバック(0) | 2019/04/07 16:01

◎トヨタ本社の桜は満開だが

 トヨタ自動車の本社工場やテストコースの裏側にある枝下緑道(豊田市)の桜は、満開です。このところの花冷えで2月の寒さに戻ったようで、身も心も震えゆっくり楽しめません。
 
 工場の壁面には、「みなさまのおかげで80年。創業の地 本社工場」の文字が桜越しに見えます。本社工場は、戦前の1038年(昭和13年)に拳母工場として生産を開始しました。

50 緑道1


 豊田喜一郎の国産乗用車生産の思いは抑えられ、軍用トラックの生産を強いられました。終戦の前日には、長崎に落された原爆と同型の核模擬爆弾が投下されました。

 トヨエース、クラウン、コロナの生産など…本社工場は、数々の歴史を刻みました。三河の片田舎に誕生したトヨタは、今や世界1を争う企業になりました。

40 緑道2


 半月ほど前に終わった春闘で、豊田章男社長は、自動車産業が「100年に1度の大変革期」なのに、組合も会社も「生きるか死ぬか」の時であることが“わかっていない”と語りました。

 社長の“一喝”ともいえる発言にみんな驚き、組合も「認識の甘さを深く反省した」。これまでのように満開の桜を、ゆっくりとながめる心の余裕は、あるのでしょうか…。

職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2019/04/03 20:45

◎トヨタ 「36協定」の絶対限度時間の引き下げに応じず

 明日4月1日から「働き方」法が実施されます。同法では、時間外労働(残業)に、初めて「罰則付き(6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金)の上限」を設けるとしています。

 原則は、「月45時間、年360時間(限度時間)」としていますが、「臨時的な特別の事情」があれば延長できます。しかも、「年720時間」まで可能です。

 トヨタ自動車では、2019年度の「36協定」の話し合いが労使によって開かれました(2月8日)。組合の「評議会ニュース」によると、トヨタ労組は次のように主張しました。

 「会社のいう緊急時のセーフティーネットとしても絶対限度時間720時間・P部門区分Aの600時間は、高い水準であり、絶対限度時間を引き下げるべきであると考えている」

 その上で、「実態としても、技能系・事技系職場ともに、540時間をほとんど超えない状況が継続している。会社のいうセーフティーネットとしても、絶対限度時間の水準は、高すぎるのではないかと考えている」とのべ、絶対限度時間の引き下げを求めました。

 しかし、会社側は、「540時間を超える者はほとんど出ない状況であるが、職場実態を踏まえると、負荷の顕在化、適正化を強力に推進している上でも、所定外労働時間が500時間を超える者は相当数に上っており、2019年度も同様の状況が見込まれる」とのべ、絶対限度時間の引き下げに難色を示しました。

 「働き方」法で、原則「月45時間、年360時間(限度時間)」となりましたが、トヨタでは実態的には、500時間を超える者は相当数に上っているのです。

 しかも会社側は、電動化、自動運転化など世界の自動車産業は、米IT企業などとの「100年に一度の大変革期」(豊田章男社長)にあることをあげ、「緊急時のセーフティーネットである絶対限度時間を引き下げる状況にはないと判断している」として引き下げに応じませんでした。

トヨタの36協定
(トヨタの36協定)

 「働き方」法について安倍政権は、初めての「罰則付き」と宣伝していますが、実際には「年720時間」、休日労働をふくめると「年960時間」まで可能です。

 「働き方」法が不十分だとしても、トヨタ労組が絶対限度時間の引き下げを求めたように、原則「月45時間、年360時間(限度時間)」にすることを企業に求めることが必要です。

 厚労省は、「働き方」法の指針で、「1週間当たり40時間を超える労働時間が月45時間を超えて長くなるほど、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が徐々に強まるとされていること」をあげ、「限度時間にできる限り近づけるように努めなければなりません」としています。

 月45時間を超えると過労死の危険が強まるのです。トヨタとその関連会社では、これまでわかっているだけでも6件の過労死認定があります。トヨタ労組が粘り強く絶対限度時間の引き下げを求めることが期待されています。

職場は今 | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/03/31 21:38

◎「働き方」法施行 残業に上限規制を設けるというが

 4月1日から「働き方」法が施行されます。長時間労働を助長し過労死を増やす「働き方改革」一括法案を、自民、公明の与党は2018年6月29日の参院本会議で強行しましたが、その施行が4月1日です。

 「働き方」法では、時間外労働(残業)に、初めて「罰則付き(6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金)の上限」を設けるとしていますが、トヨタ自動車の場合、どれだけの実効性があるのでしょうか?

修 厚労省 残業上限規制
(厚労省の「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」から)

 原則は、「月45時間、年360時間(限度時間)」としていますが、「臨時的な特別の事情」があれば延長できるからです。しかも、「年720時間」まで可能です。

 1カ月では、「100時間未満」(休日労働を含む)、2~6カ月平均で「80時間以内」(同)です。これは、厚労省が「過労死ライン」としているもので、労働者の健康を守るにはきわめて不十分なものです。

 トヨタの年間360時間超人数は、表のようです。2003年度は1万人を超えていましたが、その後は急速に減り、リーマン・ショック後の09年度は690人になりました。

 しかし、それからは増え続け、15年度は5000人を突破しました。17年度は4673人にのぼっています。残業は、景気が悪くなれば減り、良くなれば増える――景気の調整弁になっていることがわかります。

80 トヨタの360時間超人数


 トヨタとトヨタ労組の労使は、19年度の36協定の話し合い(今年2月8日)に行いました。組合の「評議会ニュース」によると、次のようなやり取りになっています。

 組合 2018年度事後協議の中で「2019年度に期初360時間超え計画をゼロにすることは現時点では困難」とコメントした部署は全体の2割程度(約50部署)あり、全社での達成は困難と考えている。会社としての現状認識を教えていただきたい。

 会社 会社として生き残りをかけて特に注力している分野(中国市場、コネクティッド等)については、一部、高負荷が予想され、2019年度も360時間を超える残業が発生する可能性が高く、全社一律での「2019年度期初360時間超え計画ゼロ」の達成は困難と考えている。

 組合 4月以降の事後協議の場で、各部の負荷適正化策を部長に提示していただき、労使でその状況を確認し、2020年度の本話し合いにおいて全社での進捗や運用の確認を行うこととしたい。

□労使とも、360時間超ゼロは難しいとの話し合いで終わりました。「罰則付き」の残業の上限規制といいますが、「年720時間」には休日労働がふくまれておらず、月80時間の残業を12カ月続けることができて、「年960時間」まで可能となっています。

 しかも、新技術・新商品などの研究開発業務は、上限規制の適用が除外されています。「抜け穴」だらけという批判がある通りです。

 一方で、野党や労働組合のたたかいで厚労省の「指針」となった点もあり、これを活用することが重要です。厚労省の「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」では、8つのポイントで解説しています。
https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf

 「時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめてください」「使用者は、36協定の範囲内であっても労働者に対する安全配慮義務を負います。また、労働時間が長くなるほど過労死との関連性が強まることに留意する必要があります」「時間外労働・休日労働を行う業務の区分を細分化し、業務の範囲を明確にしてください」――などです。
職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/03/28 17:10

◎トヨタ 「勤務間インターバル」導入せず

 4月1日から「働き方」法が施行されます。長時間労働を助長し過労死を増やす「働き方改革」一括法案(「月100時間未満」まで認める残業の上限規制や「残業代ゼロ制度」(高度プロフェッショナル制度=高プロ=などを盛り込んだ法案)を、自民、公明の与党は2018年6月29日の参院本会議で強行しましたが、その施行が4月1日です。

 一括法の1つが「勤務間インターバル」です。過労死や過重労働をなくすために、終業時刻と始業時刻の間に休憩時間を設ける仕組みです。欧州連合(EU)は、11時間の休息を義務付けています。

 「働きかた改革」一括法案の審議では、野党や労働組合が11時間以上を求めてきましたが、安倍政権は企業に対し努力義務を課しているにすぎません。日本で導入している企業はわずか2%です。

 EU傘下のフォルクスワーゲンやBMWなどドイツの自動車メーカーは、導入しているのに、日本のトップ企業のトヨタ自動車は、まだ導入していません。

テクニカルセンターの夜
(トヨタのテクニカルセンター)

 トヨタの労使は、2019年度の36協定の話し合い(2月8日)で、「勤務間インターバル」について議論しました。組合の「評議会ニュース」によると――。

……
 組合 働き方関連法案の中で勤務間インターバル制度の導入が努力義務化されたことについて会社の見解を確認したい。

会社 現時点では、総労働時間管理や年休取得の推進及びその他健康管理施策の実施等により、極度の負荷集中は回避できていると認識しているため、勤務間インターバル制度の導入は予定していない。

 組合 全社的には総労働時間管理や年休取得の推進、及びその他健康管理施策の実施等により極度の負荷集中が回避できていることは同じ認識。

 しかし、一部職場において、振替出勤や休日勤務が重なり勤務が連続した場合等、健康の面から不安の声があることを研修や職場ヒアリング等に通じて組合としても確認している。このような声に対しては、本話し合いにて必要に応じ議論させていただきたい。また、当該職場での職場懇談会等で実態を確認した上で対策を講じるなど、労使で協力し健康管理を進めてまいりたい。

 会社 会社としても、振替出勤や連続勤務のみならず、職場からの不安の声に対しては、本話し合いにて必要に応じ議論していきたい。また上述の通り、会社としては現在も健康管理施策は実施しているが、労使で職場状況や勤務実態を確認した上で、必要に応じ施策の見直しを検討してまいりたい。
……

 このように、会社側は「導入は予定していない」としています。しかし、組合員から「健康の面から不安の声がある」ことは明らかであり、「働き方」法がいくら企業の努力義務であっても、大企業トップのトヨタが率先して導入に踏み切るべきでしょう。
職場は今 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2019/03/27 20:41

◎「創意くふう活動」が業務扱いになる!

 今日は大みそかですが、1日早いお年玉です。

 トヨタ自動車の「創意くふう活動」の提案が1月から業務扱いとなる!

 内野労災裁判(注)以降、「カードリーダー(タイムカード)」や「QCサークル活動」の業務扱いが増えるなど改善されていった。

 ところが、「創意くふう活動」の提案は、「自宅に帰って簡潔に書きましょう」と相変わらず「自主活動」となっていた(高額賞金の優秀提案は別)。しかし、「QC」も「創意くふう」も中身は仕事です。

 毎月、提出締め切り前になると、「〇〇さん、まだ出てないヨ」と組長やチームリーダーからせかされていた。あわてて仕事前や昼休みに書く人もいた。

 「自主活動であり、強制じゃないけど、全員参加だ」と変な理屈です。

 「QCには参加しない」「創意くふうも出さん」という人も中にはいるけど、ごくごくまれです。「まぁ、出せばセコネタでも500円もらえるんだから…」

 「期間工は創意くふうとかの自主活動でアピールしなくちゃ」とルーキー賞(36件/年)をねらう人もいる。改善能力や意欲を見せる。

 こんなこともあったよ。
 まだ息子が小学生の頃、自宅で「創意くふう」提案を書いていると、「エー、お父さん、会社に行っても宿題があるの?」てね。

 高校生のときには―
 「仕事は会社でするものだよ。サービス残業や持ち帰り残業と同じじゃん」…言葉が出なかったね。

 「自主活動」って名の「仕事」。もうブラックはなしにしよう。時間はかかったけど、一歩前進だね。

創意くふう提案用紙


 (注)このブログ「トヨタで生きる」では、2012年5月8日に次のような記事をアップしています。

……
 トヨタ生産方式(かんばん方式)の核心部分は、カイゼン(改善)活動です。小集団で取り組むQC活動と個人が提出する創意くふう活動があります。QC活動が始まったのは1962年。今年で50年になります。国内・海外工場で約10万人が参加しています。

 創意くふう活動は、QC活動より早く、1951年から行っています。この2つについて、会社は、業務と認めているものと「自主活動」だとして業務と認めていないものがあります。

 2008年6月、これが大きく見直されました。堤工場で働いていた故・内野健一さんの妻、博子さんが夫は過労死(2002年2月死亡、当時30歳)だと訴えていた裁判で、名古屋地裁は訴えを認めました(07年12月)。厚労省は、控訴できなかったために判決が確定しました。この判決がきっかけでした。

 健一さんが過労死したのは、QC活動、創意くふう活動をサービス残業でしていたことが大きな原因でした。名古屋地裁が業務だと認めたトヨタの「自主活動」は、QC活動と創意くふう活動、交通安全活動、EX(班長会)でした。

 さらに日本共産党の小池晃参院議員の追及(2008年3月27日の参院厚生労働委員会)で、桝添厚生労働大臣は次のように答弁しました。

 「上司の管理下にあって業務命令と考えられるものは、労働時間と算定するよう名古屋地裁判決の趣旨にそって労働行政を行っていきたい」

 名古屋地裁判決、桝添答弁で、トヨタは業務とする部分を拡大しました。それまでQC活動は、月2時間までしか「業務」と認めませんでした。それが、月2時間を超えても、「上司の許可」を得て、「業務扱い」にすると変更したのです。

 しかし、トヨタはQC活動のすべてを「業務扱い」にしているわけではありません。
……
職場は今 | コメント(5) | トラックバック(0) | 2018/12/31 12:53

◎トヨタの「研究開発」業務がねらわれている 「残業代ゼロ」制度の省令・指針

 トヨタ自動車には、電動化、自動運転化などのなかで、「研究開発」業務に携わる労働者が多数います。その労働者が「残業代ゼロ制度」(高度プロフェショナル制度=高プロ)の対象になる可能性が12月26日、正式に決まりました。

 厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会が同日、厚労省の省令案と指針案を了承したためです。「残業代ゼロ制度」は、安倍政権が今年6月29日に参院で強行可決。長時間労働を助長し過労死を増やす「働き方改革」一括法のなかの1つです。労働時間の規制を一切はずすもので、いくら働いても残業代はゼロです。2019年4月から施行されます。

 厚労省は、高プロなどと称して、あたかも一部の労働者が対象であるかのようにいいますが、「100年に1度の大変革の時代」といわれる自動車産業では、「研究・開発」業務に従事する労働者は、急速に増えているだけに、警戒が必要です。

 この日決まった対象労働者の年収要件は、1075万円以上。トヨタの平均年間給与は832万円(2018年3月期決算時点)ですが、「研究開発」業務に携わる労働者は、これを大きく上回ります。

 導入にあたっては、労使委員会で決議しなければならず、本人同意が必要です。トヨタ労組が加わる労働組合の全国組織、連合は12月20日に開いた中央執行委員会で、「経営者側から申し入れなされたとしても、反対の姿勢で臨む」との方針をかかげました。

 連合は、法案に反対してきたからです。組合がこうした姿勢を堅持すれば、トヨタでは簡単に導入できないでしょう。トヨタでは、新車の開発にあたって「研究開発」業務の労働者などを取りまとめるチーフエンジニア制度があります。

カムリ 17年7月
(2017年7月にモデルチェンジされたカムリ)

 トヨタがアメリカでもっとも販売しているのが“カムリ”です。そのチーフエンジニアだったAさんは、06年1月2日、自宅で就寝中、虚血性心疾患で亡くなりました。45歳でした。

 死亡1カ月前の残業時間は月79時間、2カ月前は106時間、6カ月前は114時間でした。Aさんは08年7月、過労死の労災認定を受けました。労働時間規制がなくなれば、Aさんのような悲劇が起きる可能性があります。

 「残業代ゼロ制度」のトヨタの職場への導入を許さないようにしなければならないでしょう。連合方針に沿って、トヨタ労組の奮闘と職場からの支えを期待したいと考えます。

 この日決まった省令と指針では、たとえば「本人同意」について次のように定めています。

……
 本人同意を得るに当たって、使用者は、労働者本人にあらかじめ次に掲げる 事項を書面で明示することが適当である。

⑴高度プロフェッショナル制度の概要
⑵当該事業場における決議の内容
⑶本人同意をした場合に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度
⑷本人同意をしなかった場合の配置及び処遇並びに本人同意をしなかったことに対する不利益取扱いは行ってはならないものであること。
⑸本人同意の撤回ができること及び本人同意の撤回に対する不利益取扱いは行ってはならないものであること。

 省令と指針の詳細は、厚生労働省の次のアドレスで読むことができます。
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000464770.pdf

職場は今 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/12/27 20:45

◎導入直前「残業代ゼロ」制度 研究開発業務の対象とは?

 安倍政権が今年6月29日に参院で強行可決した「残業代ゼロ制度」(高度プロフェッショナル制度=高プロ=)。長時間労働を助長し過労死を増やす「働き方改革」一括法のなかの1つです。

 トヨタ労組の上部団体の連合や全労連など労働組合、日本共産党や立憲民主党などの野党が強く反対するなかでの強行でした。安倍政権は来年4月の導入をめざしており、厚労相の諮問機関、労働政策審議会の労働条件分科会で、労働者、使用者、公益委員の3者代表で具体的要件を盛り込んだ省令・指針などを議論しています。

 12月14日の分科会では、厚労省が取りまとめ案を示しました。対象業務は、金融商品の開発など5業務を示していますが、トヨタ自動車の研究部門、技術部門の労働者に関係するのは、「研究開発業務」で、次のように定義しています。

……
 「新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務」とは、新たな技術の研究開発、新たな技術を導入して行う管理方法の構築、新素材や新型モデル・サービスの研究開発等の業務をいい、専門的、科学的な知識、技術を有する者によって、新たな知見を得ること又は技術的改善を通じて新たな価値を生み出すことを目的として行われるものをいう。
……

20 高プロ制度 20181214
(厚労省の資料から)

 その上で、「対象になり得る業務の例」「対象業務となり得ない業務の例」を示しています。自分たちの業務とどのようにかかわるのかを考えてみましょう。

 【新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務】
① 対象業務となり得る業務の例
・メーカーにおいて行う要素技術の研究の業務
・製薬企業において行う新薬の上市に向けた承認申請のための候補物質の探索や合成、絞り込みの業務
・既存の技術等を組み合わせて応用することによって新たな価値を生み出す研究開発の業務
・特許等の取得につながり得る研究開発の業務

② 対象業務となり得ない業務の例
・作業工程、作業手順等の日々のスケジュールが使用者からの指示により定められ、そのスケジュールに従わなければならない業務
・既存の商品やサービスにとどまり、技術的改善を伴わない業務
・既存の技術等の単なる組合せにとどまり、新たな価値を生み出すものではない業務

・他社のシステムの単なる導入にとどまり、導入に当たり自らの研究開発による技術的改善を伴わない業務
・専門的、科学的な知識、技術がなくても行い得る既存の生産工程の維持・改善の業務

・完成品の検査や品質管理を行う業務
・研究開発に関する権利取得に係る事務のみを行う業務
・生産工程に従事する者に対する既知の技術の指導の業務
・上席の研究員の指示に基づく実験材料の調達や実験準備の業務

 厚労省は、次回の労働条件分科会で決定しようとしています。労働者代表には、自動車総連から中川義明副事務局長(全本田労連出身)が入っており、私たちの意見を託しましょう。

 ちなみに使用者代表には、日本経団連の輪島忍労働法制本部長らとともにトヨタ自動車の齋藤貴久人事部労政室企画グループ長が入っています。
職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/12/18 20:52

◎トヨタ 「FTL(I)」適用者は2237人

 トヨタ自動車は事務・技術職に、「FTL(I)」(「Free Time & Location for Innovation」の略)を導入(17年12月)しました。

 トヨタ自動車労組の「評議会ニュース」は、今年11月27日に開催されたFTL(裁量労働制を含む)に関する労使委員会の報告を掲載しています。

 それによると、裁量労働制(「FTL(D)」は、18年9月時点で企画業務型が255名、専門業務型が847名、合計1102名となっています。「FTL(I)」の導入前の17年3月時点では、企画裁量型が370名、専門業務型が1403名、合わせて1773名でした。それより大幅に減っています。「FTL(I)」へ移行したのでしょうか。

 裁量労働制からの適用除外者(18年4~9月の半年で超過勤務時間が270時間超)は、企画業務型で4名、専門業務型で2人となっています。健康診断受診者(単月80時間超、2ヵ月連続超過勤務時間45時間超、半年=18年4月―9月=超過勤務時間270時間超)は、企画業務型で77名(延べ)、専門業務型で68名(延べ)となっています。

12 テクニカルセンター 201811
(「FTL(I)」の適用者が多く働くトヨタテクニカルセンター)

 「FTL(I)」の適用者は、18年9月時点で、主任職全体の約30%の2237名となっています。組合側は、適用者は伸びていないとしています。

 また、課題として「制度運用と制度自体への意見があるが、特に制度運用に関する声が多い」とか、「職場全体として前向きに導入していこうという風土が感じられない」と指摘しています。

 在宅勤務で、在宅CADを利用したトライを実施したところ、60名全員が肯定的な意見であったことから、「技術系職場においても在宅勤務が活用できる」ことを実証できたとしています。

 組合側も、「様々な職場で在宅勤務が活用できるように進めていただきたい」とのべています。
職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2018/12/09 11:26

◎消費税10%でトヨタカレンダーは?

 安倍政権は、2019年10月から消費税を現行の8%から10%へと増税しようとしています。増税した場合、起きるのが駆け込み需要と、増税後の反動減です。

 トヨタ自動車では、会社とトヨタ労組が19年度の「トヨタカレンダー」をどうするかの第1回の話し合いを10月22日に行いました。11月23日に第2回目が開かれる予定です。

 組合の「評議会ニュース」によると、第1回の話し合いでは、「豊田・工場(交替制・常昼A)」については、会社から4月~5月に計4直の6日稼働週設定したいとの要請がありました。

 具体的には、4月13日、20日と5月11日と18日を月曜日から土曜日までの6日稼働週としたいということです。10月からの消費税増税を前にして、駆け込み需要があることから増産したいというものです。

 一方で、増税で反動減になる10月に4連休を設定したいとしています。

10 プリウス 東大寺
(4代目プリウス=東大寺二月堂前で)

 これに対し組合は、「6日稼働週の設定に関しては、会社と組合で考えが異なる。トヨタだけではなく、関係各社の職場で働く多くの仲間が納得できるカレンダー設定を目指す」として、第2回目の話し合いに臨むとしています。

 組合は、「要員確保の厳しさは認識し、会社の考えは理解できる」としながらも、「仕入先様も含めたグループ全体の視点で判断すべきであり、現時点では、日当たり生産は±10%以内であり、6日稼働週設定の必要性は全く感じられない」としています。

 その上で、「4月~7月の高需要期については、6日稼働週設定ではなく、月度で必要なラインへの休出対応としたい」としています。

 組合の主張のように、「トヨタカレンダー」の設定は、関連・下請けなどに大きな影響を与えるものであり、「6日稼働週」の設定には多くの労働者の意見を聞いて慎重に判断すべきでしょう。

80 新車販売の増減率
(2014年4月の消費税8%への増税で新車販売は大きく落ち込みました=時事通信の資料から)

 車は、今や国民の足として生活になくてはならないものになっています。高額な商品であり、逆進性の強い消費税を10%に引き上げれば、多くの中間層や低所得者に買い控えを起こすでしょう。

 消費税が5%から8%に増税になったのは2014年4月。その時、このブログ「トヨタで生きる」(4月11日アップ)は、次のように伝えました。

……
 4月、消費税が5%から8%へと増税になった。駆け込み需要の生産が終わった。トヨタ自動車のラインタクトは、プリウスなどを生産している堤工場の第1ラインが68秒から83秒へ、第2ラインが65秒から105秒になった。クラウンなどを生産している元町工場が130秒から170秒になった。

 堤工場のラインは、1ライン、2ラインとも国内車種が激減、輸出車種が大幅に増えた。「増税後の落ち込みを輸出でカバー。いつまで続くのか…」という声が出る。
……

 8%への増税で、日本の新車販売は、大きく落ち込みました。それから4年半。日本経済の6割を占める家計消費も落ち込んだままです。「消費税10%は中止せよ」の声をあげましょう。
職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2018/11/18 11:59

◎トヨタ工場 生産再開

【職場あれこれ】

 ●…北海道厚真町で震度7の地震に襲われた(9月6日)ことから、近くにあったトヨタ自動車の子会社・トヨタ北海道(苫小牧市、自動変速機や鍛造部品などを生産)が6日から生産を中止していましたが10日(月)、再開しました。

 トヨタ自働車元町工場(豊田市)など全国のトヨタとグループの9割にあたる16工場も10日(月)の生産を中止していました。トヨタ北海道の生産再開を受け、各工場は11日(火)から順次、生産を再開します。

●…労働者の会話
 A 中日新聞を読んだ? 11日からトヨタ元町工場全ラインと堤・高岡・田原の各工場の一部ラインで生産を再開し、グループの豊田織機やトヨタ車体も再開する。13日午前には、高岡、田原、堤の各工場の残りのラインとトヨタ九州、トヨタ東日本も稼働する。部品工場は11日から再開する――と書いていたよ。

 B 読んでない。中日でいつも会社情報を知る…。従業員は会社からなにも聞かされない…。

 ●…今回の地震では、生産の中止は最小限でしたが、東日本大震災(2011年3月11日)の際には、長期にわたって生産がストップしました。「トヨタ自働車75年史」によると、「14日から国内のトヨタおよび車体メーカーの全工場の操業停止」をしました。

 トヨタ自働車堤工場とトヨタ九州は、2週間後の3月28日に生産を再開しましたが、「7月に入るとまず国内工場が正常レベルに復帰し、9月中には海外を含む全生産拠点がほぼ完全正常化と判断してよい生産に戻った」(同)――というほどの長期にわたりました。

高岡工場
(トヨタ自働車高岡工場=豊田市)

 ●…トヨタ労組の9月の「評議会ニュース」では、労使の生産懇談会について報告しています。

 それによると、18年の生産台数が892万台だったのに対し、19年は918万台になる見通しであること。そのため、カローラなどを生産する高岡工場の1ラインとRAV4などを生産する2ラインでは、1、2直合わせて1日当たり1・5時間の残業と月2回の休日出勤、ないしは年間総残業時間360時間に迫る稼働を計画――しているといいます。

 会社側は、「柔軟な稼働対応への組合員のご理解・ご協力をお願いする」とのべています。
職場は今 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/09/11 08:45

◎トヨタ 職場へ広がる労使懇

 トヨタ自動車の労使懇談会が、これまでの豊田章男社長とトヨタ労組委員長をトップとした幹部開催から、副社長やカンパニープレジデントらと組合の職場代表である評議員らとの「拡大懇談会」や「支部懇談会」「カンパニー懇談会」へと広がっています。

 組合は、9月に発行した「評議会ニュース」で、「支部・カンパニー懇談会の変革特集号」を組んでいます。

 電動化、自動運転化、コネクテッド化など「自動車産業が100年に1度の大変革の時代」(豊田章男社長)に、トヨタは「生きるか、死ぬか」(同)だとして、職場末端までにトヨタの経営方針を浸透させようというものでしよう。

 特集号では、技能系職場の車両工場、ユニット工場の各懇談会、技術系職場の車両技術(車両カンパニー)、先進技術・パワトレ・東富士・車両生技の各懇談会、事務系職場の東京支部の懇談会、調達本部や情報システム領域などの本部・領域懇談会――についてふれています。

カバハウス (2)
(トヨタ労組が入るカバハウス=豊田市)

 それぞれの懇談会には、6人いる副社長のうち、小林耕士、寺師茂樹、河合満、吉田守孝の各福社長が出席しました。

 副社長らは、「全員が、しっかりとしたプロになって欲しい」(小林氏)、「他社と比べて、競争力のある働き方が出来ているか?」(寺師氏)、「社長副社長は今、トヨタが生き残るためどうするか日々考えている」(河合氏)、「トヨタが生き残るには、技術と個々人の能力がNO1じゃないといけない」(吉田氏)――と競争力アップを組合員に求めることなどを語っています。
職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/09/09 10:45

◎トヨタ 週明け10(月)の稼働休止 北海道地震

 震度7を記録した北海道地震による停電の影響で、トヨタ自働車は苫小牧にある子会社の「トヨタ自働車北海道」(約3000人)の工場が停止しました。同工場では、自動変速機や鍛造部品などを生産しています。

 工場の生産が停止したことで、東北地方から東海、九州に広がる全国のトヨタやグループ会社の18の車両生産工場のうちの16工場で、週明けの10日(月)は生産を休止します。

 豊田市のある工場では、労働者に「アルミホイールが入ってこないので生産を止める」との連絡が入りました。11日以降については、10日の午前中に決まるといいます。

 また、トヨタの田原工場(愛知県田原市)などグループをふくむ4工場では、予定していた8日(土)の休日出勤も取りやめるとしています。

トヨタ北海道
(生産が止まったトヨタ北海道=苫小牧市、グーグルアースから)
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/09/08 15:24

◎トヨタ 「ごっこ」のムダなどなくそう

 トヨタ自動車は、労働組合との「労使拡大懇談会」を今年5月から開いていますが、7月度は吉田守孝副社長と朝倉正司常務役員が出席しました。組合の「評議会ニュース」が伝えています。

 このなかで朝倉常務は、トヨタの原点回帰ともいうべき「トヨタ生産方式(TPS)に関する今後の取り組み」を報告。従来の工場での「7つのムダ」に加え、新たに設定した事務技術系の「7つのムダ」について突っ込んで意見をのべています。

 事務技術系の「7つのムダ」とは、①会議のムダ②根回しのムダ③資料のムダ④調整のムダ⑤上司のプライドのムダ⑥マンネリのムダ⑦「ごっこ」のムダ――です。

12 キョウチクトウ
(夏の花、キョウチクトウ)

 聞き慣れないのが、⑦の「ごっこ」のムダです。これは、「シャンシャン会議?決めようとせず、その周辺ばかりをつつくことで、議論した気になってる?」と説明します。

 要するに、会議ばかりして何も決めないことを指しています。会議すること自体が目的になっているというものです。今やグローバル企業になったトヨタ。世界に人材は多様です。

 日本的な、“決められない”“決まらない”会議は、海外の人材から見ると、「ごっこ」であり、ムダそのものに見えるのでしょう。豊田章男社長がくり返して語る、電動化、自動運転化など世界の自動車産業の「100年に1度の大変革」の時代に、そんな「ごっこ」をしている暇はない、というものでしようか。

 吉田副社長は、「社長はゴッコなしで、全てをさらけだし、現場の本音を引き出すコミュニケーションを行っている」と指摘します。朝倉常務は、「その仕事を止めたら、誰が、どう困るか? 一度ゼロベースで考えてほしい」と強調します。
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/08/06 21:01

◎企画型裁量労働制 全国で7万4000人余

 厚生労働省は7月25日、2016年の「企画業務型裁量労働制」の業種別の届け出件数と対象労働者数を初めて公表しました。日本共産党の小池晃書記局長(参院議員)が3月の国会質問で、実態の公表を求めており、これに答えたものです。

 それによると、表のように届け出数は3090件で、対象労働者数は7万4299人です。業種別では、金融・広告業が1484件、2万8793人でトップ。2位は製造業で、790件、2万4548人です。

 長時間労働者への「健康確保措置」の実施状況も公表しました。産業医の面談68・3%、健康診断40・7%となっており、長時間労働の広がりを示しています。

全国企画型裁量労働制数

トヨタ本社 グーグルアース
(企画型裁量労働制で働く労働者が多いトヨタ本社=グーグルアースから)

 トヨタ自動車は、16年10月~17年3月の半年間の企画型裁量労働制の実態をトヨタ労組の「評議会ニュース」で明らかにしています。それによると、17年3月時点での企画型裁量労働制の対象労働者は370人です。

 半年間の平均超過勤務時間は月28・3時間で、月45時間を超えた労働者は、のべ255人にのぼりました。

 トヨタは、裁量労働の適用除外になるルールを設けていますが、超過勤務時間が月80時間を超えて適用除外になったのは3人、同じように半年で270時間を超えて適用除外になったのは8人でした。

 超過勤務時間の最大は、過労死の労災認定時間(100時間)に近い95・4時間でした。

 裁量労働の適用を除外になった労働者、超過勤務時間が月45時間を超えたために「健康調査票」を提出した労働者、健康診断を受診した労働者を合わせると実に309人にのぼりました。重複があるものの企画業務型裁量労働者の8割を超えています。
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/07/27 17:52

◎労政審分科会始まる 残業の上限規制、高プロの省令・指針など議論

 安倍政権と自民党、公明党などが強行採決して成立した「働き方改革」一括法。来年4月の施行に向けて省令や指針などを議論する労働政策審議会労働条件分科会が7月10日、始まりました。

 分科会委員の名簿を見て驚いたのが、使用者代表に日本経団連の輪島忍労働法制本部長らとともにトヨタ自動車の齋藤貴久人事部労政室企画グループ長が入っていたことです。

 一括法では、「残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度=高プロ)」の対象業務、年収要件など重要な内容は省令で決定することになっています。また、参院厚生労働委員会で47項目の付帯決議が行われており、省令・指針などにどこまで反映されるかも焦点になっています。

 しかも、残業の上限規制から「研究開発職」が適用除外になり、「残業代ゼロ制度」の対象業務に「研究開発職」が想定されています。トヨタでは、「研究開発職」で多数の労働者が働いています。

労政審労働条件委員会名簿
(労働政策審議会労働条件分科会の労働者代表、使用者代表の名簿)

 経団連やトヨタなど財界・大企業寄りの省令・指針などにならないように、労働者代表の連合の村上陽子総合労働局長や自動車総連の中川義明副事務局長(全本田労連出身)の奮闘が求められています。

 この日の分科会では、今後の議論の進め方について、残業時間の上限規制や年次有給休暇の義務付けなどを議論し、省令・指針を公布した後、「残業代ゼロ制度」についての省令・指針を議論し、公布するという2段階で進めることが確認されました。

分科会では、法案の審議段階で、労働時間のデータねつ造により裁量労働制の営業への対象拡大が削除されたために、経団連の輪島労働法制本部長が早くも、「法案の早期、再提出が整うようにしたい」と主張しました。

 連合の村上総合労働局長は、「対象拡大はそもそも必要ない」と否定しました。分科会では、財界・大企業の意向にそった答申にならないようにすることも重要です。
職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/07/12 11:22

◎「FTL(I)」導入半年 トヨタ労組がアンケート

 トヨタ自動車が事務・技術職に、「FTL(I)」(「Free Time & Location for Innovation」の略)を導入(2017年12月)して半年がたち、トヨタ労組がアンケートを取りました。

 組合の「評議会ニュース」(7月3日発行)で報じています。それによると、 「FTL(I)」適用者は、458人(17年12月)から2037人(18年4月)へと4倍になっています。

 一方で、裁量労働制の「FTL(D)」は、1770人(同)から1100人(同)と大きく減っています。フレックスタイムの「FTL(F)」は、843人(同)から901人(同)へと微増です。

 アンケートは、4月下旬から5月下旬にかけて行い、「FTL(I)」と「FTL(D)」、「FTL(F)」の適用者、非適用者合わせて3767人から回答が寄せられました。

 「FTLを適用したことで、問題を感じる業務付与や長時間労働に繋がるような働きかけはありましたか」との問いには、「FTL(I)」適用者では、「あった」が7%、「ない」が82%、「わからない」が11%でした。

 組合は、導入前には、「『FTL(I)』を利用すると、長時間労働(540時間まで)をさせられるのでは」といった不安があったがものの、「制度導入の前後で若干変化。長時間労働の強要は導入前の声ほどは多くない」と指摘しています。

 導入直後とあって、会社側もそうした不安に配慮して慎重になっているのでしょう。

出勤 三河豊田駅
(三河豊田駅からトヨタへ出勤する労働者ら)

 「FTLについて、現在適用中の制度以外に、使ってみたい制度はありますか」との問いには、「FTL(D)」適用者では「特にない」が52%で、「FTL(I)」をあげたのが46%と半数近くになりました。

 「FTL(F)」適用者では、「特にない」が50%、「FTL(I)」あげたのが43%とほぼ拮抗しました。「FTL」非適用者(主任)では、「特にない」が38%で、「FTL(I)」が51%でした。

 「FTL(I)」への関心が強いことをあらわしています。

 また、在宅勤務者の適用者は、FTL全体では2017年10月時点の2902人より433人増えています。
職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/07/07 10:36

◎「社長と一緒に闘いましょう」? トヨタ労使拡大懇談会

 「次回評議会開催日に会社役員来たる!」と告知のあった5月31日のトヨタ労組評議会。同じ日に、初めての「労使拡大懇談会」が開かれました。組合の「評議会ニュース」(No1287号)は、「5月度 労使拡大懇談会特集号」です。

 組合は、「労使拡大懇談会」を、「労使でコミュニケーションする場」と位置付けています。

 特集号によると、白柳正義専務役員・経理本部長が18年3月期決算について、宮内一公プレジデント(専務役員)が「生き残りをかけたTC(トヨタ コンパクト)カンパニーの取り組み」について、南部裕事業企画部長がトヨタのアライアンス(スズキとの共同プロジェクトについて)を説明しています。

 説明では、世界の自動車産業は、電動化、自動運転化など「100年に1度の変革期」であり、トヨタは1兆800億円の研究開発費を投じるが、新たなライバルのグーグルは1兆5290億円、アップルは1兆1000億円を投じようとしていること。トヨタは「生きるか死ぬかの瀬戸際」であり、「『稼ぐ力』の強化に向け共に推進していきましょう」と組合に呼びかけています。

 また、豊田章男社長が決算発表で、「トヨタの真骨頂は『トヨタ生産方式、TPS』と『原価低減』です」とのべたことから、トヨタ生産方式と原価低減の徹底を強調しています。

 具体例として、会議のムダなど「事務系職場の7つのムダ」をあげています。組合側からは、「どれくらい頑張ればいいのか」などと質問。会社側は、「ここ5年で台数は増えていないが固定費は大幅に増加」していることなどをあげ、「今日明日からでも実践してほしい」とのべています。

修 カバハウス
(トヨタ労組が入るカバハウス。右端はトヨタ本社工場)

 また、原価改善目標を5カ月前倒しして達成した例をあげたり、「このままでは生き残れない」との危機感から高いコスト競争力などを持ったダイハツに学ぶこと――などを例に、「社長と一緒に闘いましょう」と呼びかけています。

 「労使拡大懇談会」での原価低減や「稼ぐ力」の強化などは、トヨタと関連・下請けで働く人々の労働条件や生活向上などに反映されなければ、会社の利益拡大のために頑張れ、と一方的にハッパを掛けられているように聞こえてしまうでしょう。
職場は今 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/06/07 18:25

◎ねらわれるトヨタの「研究開発職」

 安倍政権と自民党、公明党は維新などとともに、衆院厚生労働委員会で5月25日、「働き方改革」一括法案を強行可決しました。今国会(6月20日まで)に何がなんでも成立させようというものです。

 「過労死を増やすもの」との全国過労死を考える家族の会などの強い反対を押し切りました。東京家族の会の中原のり子さんは、小児科医師だった夫が夜もなく休日もない働き方で過労自殺しました。「法案を廃案に」と訴えています。

 一括法案には、過労死ライン(月80時間)を上回る「月100時間未満」までの残業の上限規制や「残業代ゼロ制度」(高度プロフェッショナル制度=高プロ)などが盛り込まれているからです。

働き方 強行採決
(衆院厚生労働委員会で強行可決された「働き方改革」一括法案=5月25日)

 一括法案のなかで「研究開発職」は、今回の残業の上限規制から適用除外されており、いくらでも働かされる恐れがあります。また、高プロの対象業務には、年収1075万円以上の金融ディーラーやコンサルタントなどとともに、「研究開発職」が想定されています。

 トヨタ自働車は今、自動運転化、電動化、コネクテッド化など自動車産業の「100年に1度の大激動期」といって、エンジニア(「研究開発職」)のヘッドハンティングをすすめています。

 実際、このブログで紹介したように、昨年夏には「シリコンバレーより、南武線エリアのエンジニアが欲しい。」というポスターを、電機大手の研究所が集中する南部線(神奈川県~東京都)沿線に張り出しました。

テクニカルセンターの夜
(トヨタの技術者らが働く夜のテクニカルセンター=豊田市)

 トヨタの18春闘の労使協議会(2~3月)では、トヨタの寺師茂樹副社長が、「生き残りをかけた技術開発」と題して主張。1兆円を超える研究開発費を投じること、大幅な開発効率とスピードアップが必要であること、組合員へのお願いとして、「『革新』無くして『創造』無し」などと訴えました。

 「研究開発職」の仕事ぶりが、これからのトヨタを左右するというものです。そうした「研究開発職」が、残業の上限規制から適用除外になり、高プロの対象にされるならば、家族の会が訴えるように過労死を増やすものになるでしょう。

 トヨタでは、これまでわかっているだけでチーフエンジニアら5人が過労死認定を受けています。トヨタ労組は、「過労死ゼロ宣言」をしています。「働き方改革」一括法案は、参院で必ず廃案に追い込みましょう。

職場は今 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/05/26 10:23

◎「働き方改革」法案 世論調査は69%が必要ない

 日立製作所の中西宏明会長は、5月31日に開かれる日本経団連の総会で経団連会長に選出されます。中西会長は、月刊「文芸春秋」(6月号)で、就任直前インタビューに応じ、「私は経団連をこう変えたい」と語っています。

 このなかで中西会長は、安倍政権が今国会で成立をねらう「働き方改革」法案の「高度プロフェッショナル制度」(高プロ制度)について、「この制度の導入は急務だと思います」とのべ、成立を主張しています。

 その理由として、自身がエンジニアだったとして、「何かを設計するときに、仕事とプライベートの線引きなどなく四六時中そのことを考えていました」とのべています。

 中西会長のインタビューを読みながら、2006年の正月に45歳で過労死したトヨタ自動車のカムリのチーフエンジニアのことを思い出しました。本社の前にあるテクニカルセンターで働き、「車を作り上げる喜びや、やりがいを感じ、仕事が止まらなくなるんです」と亡き夫について語っていた妻(東京新聞記者・中沢誠記者著『ルポ過労社会』=ちくま新書=)。

12 文芸春秋 中西宏明
(『文芸春秋』2018年6月号、中西宏明日立会長インタビュー)

 「今日もアドレナリンが出っぱなしだった」といって笑っていた夫は、帰らぬ人となってしまったのです。「職場は常に興奮状態で、自ら追い込んでいく。麻痺しているから、どこまで働いたら限界なのか自分でも分からない。だからこそ会社がストップをかけないと」と妻はトヨタの責任を指摘します。

 06年1月9日から始まるアメリカのデトロイトのモーターショーに、新型カムリとカムリハイブリッドを出品するため、翌日からアメリカ出張をひかえていました。

 05年1年間でアメリカに6回、のべ49日間出張。死亡1カ月前の残業時間は月79時間、2カ月前は106時間、6カ月前は114時間でした。

 高プロ制度は、1日8時間労働制の規制を全面的に適用除外するもので、週休2日にあたる年間104日させ休めば、24時間労働を48日間連続させても違法にならないのです。過労死を促進し、合法化するものです。第2のカムリのチーフエンジニアをつくりかねない制度です。

 NHKの5月の世論調査では、安倍政権の法案に賛成か反対か聞いたところ、賛成が16%、反対が28%、どちらともいえないが46%でした。共同通信社の世論調査では、「今の国会で成立させる必要はない」との回答が69・1%で、「成立させるべきだ」は17・1%でした。

 国民・労働者の多数は、反対です。安倍政権に、「働かせ方」大改悪をやめさせようではありませんか。
職場は今 | コメント(8) | トラックバック(0) | 2018/05/16 21:13

◎トヨタ社員に原価低減の大号令

 トヨタ自動車は、豊田章男社長の決算発表でのあいさつを受け、職場で原価低減の大号令をかけています。「すべての費用のゼロベースの見直しにより固定費削減を実現する」というものです。

 具体的には、品質・性能基準の適正化、イベント・コンサル・調査費等の適正化、会議半減、資料削減などです。そのためのアイデアを募集するとしています。

 会議半減、資料削減については、すでに18春闘の第3回労使協議会(3月7日)で会社側は、「会議、資料、チェックリストなどを大幅に減らす。モノと図面に向き合う時間を捻出するため、既存の会議、資料等を全て棚卸しし、先ずは止めてみる前提で部長が決断」するなどとしていました。

 豊田社長は、2018年3月期決算発表(5月9日)で、「トヨタの真骨頂は『トヨタ生産方式、TPS』と『原価低減』です」とのべ、電動化、自動運転化、コネクテッド化など「自動車産業が100年に一度の大変革の時代」に、「トヨタらしさを取り戻す」と語りました。

 「固定費削減」は、これを受けたもので、「TPSと原価低減に、改めて本格的に取組む」としています。

20 トヨタの原価改善額 2009~2018年


 トヨタのこの10年間の原価低減は、表のようです。世界的大不況とリストラの嵐が吹き荒れたリーマン・ショック(2008年)後の09年3月期決算の原価低減額はゼロでした。

 翌年の10年3月期は、この10年で最高の5200億円にも達しています。その後は、4500~1500億円の間でしたが、18年3月期は1650億円にとどまっています。このため、トヨタの利益の大きな部分を占める原価低減に、「改めて本格的に取組む」というものです。
職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2018/05/13 18:54

◎裁量労働 自由記述に不満多数

 労働政策研究・研修機構(JILPT)は4月16日、「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査」の自由記述項目2次集計結果を公表しました。

 企画業務型の裁量労働制が適用される労働者を対象にしたアンケートで、裁量労働制に「満足」「やや満足」が76・4%を占めましたが、自由記述には、不満が多数寄せられていました。たとえば――。

 ・「裁量は名ばかり。朝9時出勤が固定され、夜も20時、21時まで勤務は常」
 ・「目標、ノルマ、会社からの期待値もあり、オーバーワークになっていることは否定できない」
 ・「残業が多い人には向かない」
 ・「対象者を広げるのは単なる労働強化だけで、個人が守れない」

 トヨタ自動車の企画業務型裁量労働制でも、同じような不満が寄せられています。企画業務型には、2016年10月から17年3月までの間で370人が適用になっていました。平均月間超過勤務時間は、企画業務型で28・3時間でしたが、最大は過労死ライン(月80時間)を上回る月95・4時間にもなっていました。

出勤時間 TOYOTA本社
(トヨタ本社=右の青いビル=には、企画業務型裁量労働制で働いている労働者がいます)

 裁量労働の適用除外(11人)、「健康調査票を出した」(のべ255人)、「健診を受けた」(のべ43人)にのぼりました。労組はヒアリングをし、労使委員会で会社側に次のように主張しました。

……
 「短納期の突発対応を全て請け負わされる」「年度頭からわかっていた、転出者の業務を急に振られる」等、次から次へと業務を付与されており、まとまった業務付与となってないために裁量を発揮しづらくなっているケースもあった。

 納期がきわめて短く、自ら工夫する等の創造性を発揮する状況ではなく、決められたやり方で業務を進めるしかない等、本来の制度の目指すべき姿に沿わないような業務付与をされていると受け止める声もあった。
……

 裁量労働制は問題だらけです。安倍政権は、裁量労働制のデータをねつ造したことが発覚したために、今国会での対象業務の拡大を断念しましたが、きっぱりやめるべきです。
職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/04/18 22:20

◎こんな法案は「働き方」改悪だ 一括法案を閣議決定 (下)

 安倍政権が4月6日に閣議決定し、国会に提出した「働き方改革」一括法案のもう1つの大きな問題点は、残業の上限規制です。青天井だった日本の残業時間を初めて法的に規制するとしていますが、過労死ラインまで認めていることは重大です。

 上限規制では、「月45時間、年360時間」を法律で定めるとしています。この数字は、厚生労働大臣告示を法律化したもので、労働組合や全国過労死を考える家族の会などが長年にわたって主張してきたことです。

 ところが特例を設け、過労死ラインである1カ月で100時間未満、2~6カ月平均で80時間まで認めています。「100時間未満」というのは、日本経団連の榊原定征会長と連合の神津里季生会長との直接交渉、安倍晋三首相の裁定で決まったものです。特例として認めれば、月100時間までの残業が合法化されてしまいます。

 100時間というのは、労働者が死亡する1カ月前にしていた残業として労災認定される数字です。名古屋高裁は2017年2月、トヨタ系のテー・エス・シーの愛知工場(東海市)で働いていた三輪敏博さん(死亡当時37歳)を労災と認めました。

 妻の香織さん(41)は、「高裁は、月85時間余の残業でも、うつ病を発症していたなどとして過労死と認めました。厚生労働省は最高裁に上告せず、判決は確定しました。100時間未満でも過労死するのです」と語ります。

テクニカルセンターの夜景
(トヨタの技術者が働くテクニカルセンター=豊田市=の夜景)

 さらに上限規制で見逃せないのは、研究開発業務を適用除外としていることです。トヨタ自動車で、残業時間が「年360時間」を超えた労働者は、2003年度で1万人を超えました。

 リーマン・ショック後に、690人(09年度)にまで減りましたが、その後は増え続け、4813人(16年度)にもなっています。

 16年度の内訳は、工場などで働く技能職が762人(15・8%)で、事務・技術職が4051人(84・2%)です。圧倒的に事務・技術職です。トヨタの研究開発業務に携わる労働者は、上限規制からはずされることになります。

 大臣告示の「月45時間、年360時間」を上限とし、特例や適用除外を設けない――これしか過労死をなくする道はないはずです。

               ◇

 この記事は、4月9日にアップする予定でしたが、都合により前日にアップしました。
職場は今 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/04/08 22:06

◎こんな法案は「働き方」改悪だ 一括法案を閣議決定 (上)

 安倍政権は4月6日、「働き方改革」一括法案を閣議決定し、国会に提出しました。大企業・財界が長年、要望してきた「残業代ゼロ」制度(高度プロフェッショナル制度)や残業の上限規制を柱としたものです。

 安倍政権が裁量労働制に関する労働時間データをねつ造したことが発覚し、裁量労働制の営業職への拡大は見送らざるを得なくなりました。一括法案は、日本の長時間労働や世界でも異常な過労死などをなくすどころか、反対に増やすものです。トヨタ自動車の実態からみて見てみました。

 「残業代ゼロ」制度は、金融商品開発やディーリング、コンサルタントなど年収1075万円以上の仕事をする労働者の労働時間、休憩、割増賃金などの規定をすべてとっぱらうというものです。

 「高度プロフェッショナル制度」などと称していますが、実態はどれだけ働いても残業代がなくなる制度です。1日24時間、48日間連続で働かされることも可能になります。過労死を増やす以外の何物でもありません。

 第1次安倍政権でも提出しましたが、労働界や野党の反対で廃案になったものです。対象になる労働者にコンサルタントなどの特殊な仕事だけではなく、幅広い労働者がたずさわる「研究開発」業務が想定されていることに注視しなければならないでしょう。

本社地区 ランニング
(トヨタ自動車のテクニカルセンター前を昼休みにランニングする技術労働者ら=2018年3月28日)

 トヨタ自動車は今、EV化や自動運転化など自動車産業の「100年に1度の大転換期」として、神奈川県のJR南武線沿線や東京・六本木ヒルズなどでIT技術者を引き抜く広告を出すなどしてきました。

 トヨタには、豊田市のテクニカルセンターや静岡県裾野市の東富士研究所などで研究開発にたずさわる労働者が万単位でいます。さらに増える一方です。新車開発を束ねる花形の仕事がチーフエンジニアと呼ばれています。

 カムリのチーフエンジニアだったAさんは、06年1月2日、自宅で就寝中、虚血性心疾患で亡くなりました。45歳でした。同月9日から始まるアメリカのデトロイトのモーターショーに、新型カムリとカムリハイブリッドを出品するため、翌日からアメリカ出張をひかえていました。

 Aさんは、05年1年間でアメリカに6回、のべ49日間出張。死亡1カ月前の残業時間は月79時間、2カ月前は106時間、6カ月前は114時間でした。Aさんは今から10年前の08年7月、過労死の労災認定を受けました。

 電通やNHKなどでの過労死が社会問題になる以前のことでした。働かせられ放題の「残業代ゼロ」制度が導入されたなら、Aさんのような悲劇が起きる可能性があります。

 実際、トヨタの専門業務型の裁量労働制で、2016年10月から17年3月までの半年間で100・5時間もの超過勤務時間をした技術者がいました。厚労省は月80時間以上の残業を過労死ラインとしています。

 トヨタ労組が加入している労働組合の全国組織・連合の相原康伸事務局長(トヨタ労組特別執行委員)は4月6日、「高度プロフェッショナル制度は実施すべきではない」などとする談話を発表しました。

 連合は、「残業代ゼロより過労死ゼロ」のスローガンをかかげてきました。連合やもう1つの全国組織の全労連も強く反対し、野党も廃案を求めています。安倍政権の「残業代ゼロ」制度に、トヨタの労働者はこぞって反対しましょう。
職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2018/04/08 17:03

◎トヨタ本社の枝垂れ桜は何を見てきたか?

 豊田市のトヨタ自動車本社地区の桜は、例年より早い3月下旬に満開を迎えた。桜の下で昼休みに、多くの社員が弁当を広げ、ランナーが走り抜けていく…いつものおだやかな風景に心が安らぐ。

 そのなかで、旧本社前の枝垂れ桜は、老いたせいか勢いを失い、まばらに咲いているだけで寂しい。10年前の2008年に撮影した写真は、枝が見えないほどいっぱいに咲き誇っていた。その見事さに感嘆した。

2018年 トヨタ本社枝垂れ桜
(トヨタ自動車の旧本社前の枝垂れ桜=2018年)

20 2008年 トヨタ本社枝垂れ桜
(トヨタ自動車の旧本社前の枝垂れ桜=2008年)

 2008年といえば、トヨタが世界販売で初めてGMを抜いて世界1(897万台)になった年である。同時に、秋以降のリーマン・ショックで4610億円の赤字をだした年でもある。

 トヨタ自動車で6000人以上の期間従業員が雇い止めされ、関連会社をふくめると派遣労働者ら1万人以上が解雇された。資本主義に不可避の大恐慌にトヨタは飲み込まれた。

 それから10年。旧本社前の枝垂れ桜は、豊田章男氏の社長就任、世界的なリコール問題、東日本大震災での工場生産停止、燃料電池車・ミライの販売…さらにEV化、自動運転化など自動車産業の100年に一度の大転換…など激動のトヨタとそこで働く人たちを見続けてきた。

 枝垂れ桜よ! もう一度、元気を取り戻し、あの華やかな姿を見せてくれ!
職場は今 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2018/04/07 18:47

◎満開の桜が迎えてくれる

 3月から4月は、期末から期首へ変わる時であり、出会いと別れの季節でもある。

 この季節には、森山直太朗の「さくら」が心に響く。

 ♪ 刹那に散りゆく運命と知って
   さらば友よ 旅立ちの刻

30 k3

30 k1

30 k2


 トヨタマンが通勤で歩くトヨタ自動車の本社地区や枝下緑道は今、満開の桜が迎えてくれる。朝、夕、見上げて通う。今期、どんな出会いと別れがあるのだろうか。

25 k4

25 k5

30 k6

職場は今 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/03/30 18:43
 | HOME | Next »