◎トヨタ 筆頭株主は公的マネー

 トヨタ自動車の筆頭株主は、公的マネーであることが「しんぶん赤旗」が報道(7月19日付)しています。なぜそうなるのか? 「赤旗」によると――。

……
 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が保有する株式は銘柄別の株数が公表されています。

 日銀は、株価に連動して運用される株価指数連動型上場投資信託(ETF)を年間6兆円購入することによって、株式市場に資金を投入しています。日銀が保有するETFの銘柄別内訳は公表されていませんが、日銀の購入方針などから、間接的に保有する個別銘柄の株数を推計できます。
……

筆頭株主はGPIF


 それによって、トヨタのGPIFマネーが1兆3562億円、日銀が5936億円、合わせて1兆9497億円と推計しています。表のようにトヨタは、大企業でトップで、2位のソフトバンクの2倍近くになります。

 「赤旗」は、東京証券取引所一部上場企業2064社のうち少なくとも710社で公的マネーが「筆頭株主」になっていること。3社に1社で公的マネーが筆頭株主となる異常事態になっていると指摘します。

 そして、「安倍晋三政権は日銀に大量のETFを買わせ、GPIFの積立金の株式による運用比率を2倍に拡大しました。株式市場に巨額の公的マネーを投入することによって株価をつり上げています」と分析しています。

 日本総合研究所の寺島実郎会長は、「GPIFという禁じ手」を使うもので、「年金で株を支えるという危うい構造のリスクと陥穽」があることを指摘しています(「寺島実郎の時代認識」、資料集2018年夏号)。

 その上で、経済とは「経世済民」=世を経(おさ)め、民を済(すく)う=であるとして、この立場から5年半のアベノミクスを総括しています。

 ・勤労者世帯可処分所得(2人以上の世帯)では、月43万円(2010年平均)から月43・4万円(17年平均)と横ばい
 ・家計消費支出(全国・2人以上の世帯)では、月29・1万円(2010年平均)から月28・3万円(17年平均)へと減少

 以上のデータを見ると、実体経済は動いておらず、「国民に恩恵なし」と結論づけています。
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決算・経営計画 | コメント(5) | トラックバック(0) | 2018/07/19 11:29

◎ギルプラット・フェローが出席したって

【トヨタ職場談義】

 A 組合の評議会ニュースを読んだ?
 B 6月度の「労使拡大懇談会」の特集だろう。

 A 拡大労使懇は2回目だけれど、あのギルプラット・フェローが出席しているのに驚いたよ。
 B マサチューセッツ工科大学から米国防省へ移ったAI(人工知能)の第1人者といわれた学者だろう。トヨタが自動運転のためにヘッドハンティングした学者だ。

 A TRI(Toyota Research Institute)の最高経営責任者が、わざわざ労使懇に出席するなんてびっくりだ。TRIは米カリフォルニア州に本社を置き、従業員の多くは、元Google, Appleなどにいたというね。
 B 評議会ニュースによると、「人工知能や自動運転、ロボット開発を進めることで、人々の生活や移動の質を向上させる。事故を起こさないクルマを開発する」と語っている。

 A AIは労働者の仕事を奪うと盛んに言われているが。
 B だからわざわざギルプラット・フェローは、「AIは皆さんの仕事を置き換えるものではなく、増幅してすごいことが出来るようにするもので、これまで通り皆さんの能力は不可欠」だと語っているけれどね…。

 A 労使拡大懇では、自動運転やAI、ビックデータを担当する鯉渕健常務理事がパワーポイントを使ってトヨタの自動運転技術開発の目的、戦略などについて説明している。
 B ITジャイアントのグーグルやアップル、アマゾン、配車大手・ウーバーなどのロゴマークを示し、開発競争は「生きるか死ぬか」だと語っている。

 A 最近、トヨタでは「生きるか死ぬか」の言葉が多用されているけれど、なんか煽られている感じだね。グーグルは自動運転で、はるかに先を行っている。そんなITジャイアントにトヨタは勝てるのか?
 B 確かにね。パワーポイントには、「トヨタの生かした勝ち方」というのがある。TPSによるトヨタの「モノづくり力」と自動車メーカーとしての「データの量と質」をプラスすることだと明らかにしている。

40 ◆トヨタ本社地区5 グーグルアース
(トヨタ本社=グーグルアースから)

 A 労使拡大懇には、総務・人事本部長の上田達郎専務役員が、「豊田章男社長動画」(役員の会議で豊田社長の想いを伝える動画)について説明している。「生きるか死ぬか」の「死ぬ」の意味について、トヨタが、「世の中・各社から頼りにされなくなること」などと説明している。
 B 上田専務は、18春闘の労使協議会で、トヨタの賃金は「極めて優位性のある水準」と強調し、一時金の「要求水準は極めて高く、そのまま応えることは困難」とのべた役員だよ。そうした役員が労使懇で会社の経営戦略を説明するなんて違和感があるね。

 A 評議会ニュースでは、1回目の労使拡大懇に出席したトヨタコンパクトカーカンパニーの宮内一公プレジデントとの追加懇談会も掲載されていた。
 B 参加した組合職場役員らからは、「直接、危機感(収益等)のお話を聞くことができ、刺激を受けた」「経営は上に任せる、ではなく経営への貢献を全員が考える。まさに、“全員経営者”」などの感想を語っていた。これが組合活動の一環なのかなぁ。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/07/06 17:11

◎トヨタ、副社長の報酬10億円超 組合員の賃上げ総額と同じ

 トヨタ自動車は6月25日、2018年3月期の有価証券報告書を公表しました。同報告書を見ていて、びっくりしたのが役員報酬です。

 豊田章男社長は3億8000万円で、昨年の3億2200万円より2割近く増えました。目をむいたのが、ディディエ・ルロワ副社長(ルノーのルマン工場副工場長などを歴任)の10億2600万円で、昨年の6億8300万円の1・5倍にもなっています。

 1人で10億円超えです。同副社長は、トヨタの18春闘の第1回労使協議会(2月21日)に初めて出席し、次のように語りました。

 組合に対し、「(世界の自動車メーカーの)『生きるか死ぬかの戦い』を生き抜くために、『体力(収益)』と、市場が前年割れ見込みの中、トヨタは『勢い(プレゼンス)』を確保し、(18年の世界販売計画)対前年2桁増の950万台へチャレンジ」しようと呼びかけました。

 その労使協議会で、豊田社長が回答した賃上げは、組合の3000円要求に対し、「昨年を上回る」という日本語回答でした。昨年は1300円でした。日本の春闘のリード役のトヨタの日本語回答に、労働界からも批判がでるほどでした。

 日本語回答ですから実数は不明ですが、昨年並みの1300円と仮定すると、1300円×6万8000人(トヨタ労組の組合員数)×12カ月=は、10億6080万円です。

 なんと、ルロワ副社長の報酬の10億2600万円とほぼ同じではありませんか! ルロワ副社長の報酬がいかにばく大なものかがわかります。組合員には3000円の賃上げ要求に満額回答せずに、副社長には昨年より1・5倍も報酬を増やす――なにか間違っていませんか?

修 トヨタ 報酬1億円以上 18年3月期
(トヨタの2018年3月期の有価証券報告書から)

 ■報酬額が1億円以上のトヨタ役員(朝日新聞、6月28日付から)
内山田竹志会長       1億8100万円(1億8300万円)
早川茂副会長        1億800万円(―)
豊田章男社長        3億8000万円(3億2200万円)
ディディエ・ルロワ副社長 10億2600万円(6億8300万円)
寺師茂樹副社長       1億2400万円(1億1000万円)
 (2018年3月期の報酬額。連結子会社分を含む。カッコ内は前年。―は比較できず)
決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2018/06/27 21:05

◎トヨタ株主総会 「100年に1度の大変革の時代」に

 トヨタ自動車の株主総会が6月14日、豊田市のトヨタ本社で開かれた。本社周辺は、いつも自動車で大変混むので、午前10時開会だが、早めに出かけた。午前9過ぎに着いたが、すでに第1会場と第2会場はいっぱいだった。次から次へとバスが入って来る。

 結局、本社2階の大会議室に設けられた第5会場に入ることになった。会場のモニターで会議に参加した。参加者数は5250人だったことを、帰ってからテレビで知った。

 豊田章男社長が常に口にする、EV化や自動運転化など世界の自動車産業の「100年に1度の大変革の時代」といわれる中で、多くの株主の関心を集めたのだろうか。

 受付では、いつも記念品が渡されるのだが、今回は帰りに渡すと言われた。途中で帰る株主がかなりいるので、その対策かなと思った。ちなみに、今回は「トヨタジャパンタクシー」のミニカーだった。

12 トヨタ株主総会2018


 午前10時、豊田社長が議長になって総会が始まった。映像による事業報告、第1号、2号、3号議案、人事案件の説明が行われた。質疑応答では、多数の挙手が上がった。

 東京オリンピック・パラリンピックへの対応は? 車の税金を何とかして、社長と記念写真を撮りたい、EV化に伴う電力増加をどうするのか? 役員の選定基準は? 中国やヨーロッパのEVシフトにどう対応するのか?…等々の質問が出た。

 全体として、会社の方針を周知徹底させる場になった。トヨタの将来は万全だという印象を株主に与える総会になった。その下で、現場で働く社員のあり方がどう変わっていくのかは、ほとんど触れられなかった。

 なかでも5月の大型連休明けの18年3月期決算発表で、豊田社長が「トヨタの真骨頂は『トヨタ生産方式、TPS』と『原価低減』です」とのべたことが強調された。特に、今後は生産現場以外の事務・技術部門にも広げるという。

 会社は株主だけのものではない。トヨタがCSR《corporate social responsibility》で指摘するように、企業は「顧客、従業員、取引先、地域社会・グローバル社会」のすべてのステークホルダーのものであり、世界1の自動車メーカーの地位を争うトヨタには、大企業の大きな社会的責任がある。

 事務・技術職に導入された「FTL(I)」が、どのように展開されていくのか。EV化で部品が大幅に減るといわれるが、下請けはどうなるのか…。「100年に1度の大変革の時代」に、株主だけではなく、働く者や下請け、地域住民など全体がより良くなってほしいと強く願った。
決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2018/06/15 16:25

◎賃上げは下がる 配当金は上がる

 トヨタ自動車の2018年3月期決算発表(5月9日)では、配当金は1株当たり前期より10円上げて220円にするとしています。総額も151億円増やして6426億円とするとしています。

 配当金は、この5年間で165円から220円へと1・3倍も上がっています。トヨタの株主は、金融機関や国内法人、外国法人が80%近くを占め、「個人・その他」は21・37%にすぎません。

 労働者が汗水して働いてつくった車の利益の大部分が金融機関や外国の企業へ吸い取られていく構図です。

 一方、労働組合員の賃上げは、この5年間、2700円(14年)から4000円(15年)に上がったものの、その後は1500円(16年)、1300円(17年)、「前年(17年)を上回る」(18年)と下がっています。

25 賃上げは下がる 配当金は上がる


 賃上げは下がっているのに対し、配当金は上がっているのです。トヨタは、株主や下請けなどとともに従業員をステークホルダーと位置付けていますが、あまりにも株主優先ではないでしょうか。

 利益至上主義、規制緩和などを柱としたアメリカ発の新自由主義が日本に輸入された21世紀初頭ころから、株主最優先の考え方が大企業にまん延してきました。

 賃上げして労働者のふところを温かくし、購買力を高めて経済を好循環させる――安倍首相さえも日本経団連に3%の賃上げを要請したほどです。しかし、18春闘では賃上げ(ベースアップ)と定期昇給を合わせても3%に届いていません。

 トヨタの18春闘は、「前年を上回る」という日本語回答でした。▽上級スキルドパートナーの拡大、▽常2直手当の導入、▽期間従業員への家族手当の導入、▽事務技術職の自己研さん費用補助の導入――など様々な手当などをふくめて3・3%としています。

 トヨタなど大企業は、株主配当最優先を改め、賃上げや下請け単価の切り上げなどへ舵を切るべきではないでしょうか。
決算・経営計画 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2018/05/12 18:08

◎豊田社長は決算発表で何を語ったのか

 トヨタ自働車は5月9日、2018年3月期決算発表をしましたが、第2部で豊田章男社長があいさつをしました。このなかで豊田社長は、電動化、自動運転化、コネクテッド化など「自動車産業が100年に一度の大変革の時代」に、「トヨタらしさを取り戻す」として語った2つの言葉があります。

 それは、「トヨタの真骨頂は『トヨタ生産方式、TPS』と『原価低減』です」とのべたように、トヨタ生産方式と原価低減の2つの言葉でした。この言葉をくり返し語っています。なぜ、いま、トヨタで当たり前と言われている2つの言葉なのか?

 記者会見では、「何かがないと会社は変わらないと思うが、2つだけでいいのか」などと、とまどいの質問が相次ぎました。これに対し豊田社長は、「2つはトヨタのDNAであり、これを知らなかったらトヨタマンと言ってはならない」と断定しました。

 また、事務・技術職では、「生産現場のものだというのがはびこっている」と指摘し、この2つは、「トヨタらしさを取り戻す闘い」とまで言い切りました。

80 決算 社長挨拶
(豊田章男社長のあいさつのプレゼンから)

 あいさつのなかでも、「開発の現場にも、標準作業や原単位、すなわち1つのアウトプットを出すために必要な時間、コストというTPSの概念を持ち込み、開発のリードタイムを短縮してまいります」と語りました。

 3月期決算で、「原価改善の努力」で稼いだ利益は1650億円でした。かつては原価改善で5200億円(2010年度)~3000億円(03年度)も稼いだ時があり、これと比べると物足りないからでしょう。

 豊田社長は、「『原価低減』の力に磨きをかけて、『稼ぐ力』を強化し、新技術や新分野への投資を拡大してまいります」と力説しました。

 しかも電動化、自動運転化、コネクテッド化などは、豊田社長がのべているように、自動車会社だけではなく、グーグルやアップルなど「テクノロジーカンパニー」であり、そうした会社との「『生死を賭けた闘い』が始まっているのです」(豊田社長)。

 その闘いは事務・技術職が担っており、昨年12月からは“裁量的働き方”というFTL(I)を導入しています。Time=時間とLocation=場所から自由になるというもので、いわば労働時間にも職場にもとらわれずに働くというものです。

 しかも、「賃金は掛けた時間の対価であるという考え方を払拭」するものだと説明しています。労働基準法の1日8時間労働を崩す考え方です。豊田社長が決算発表で語った2つの言葉は、特に事務・技術職場への強い働きかけではないでしょうか。

 豊田社長のあいさつと記者との質疑応答の映像は、次のアドレスで見ることができます(106分)。
https://newsroom.toyota.co.jp/jp/corporate/22185932.html

決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/05/10 16:41

◎トヨタの新研究開発拠点 愛知県が造成地を引き渡す

 トヨタ自動車は、豊田市と岡崎市にまたがる山岳地帯に、テストコースなどの新研究開発拠点をつくりますが2月19日、土地を造成していた愛知県の大村秀章知事からトヨタの寺師茂樹副社長が引き渡しを受けました。

 山岳地帯とはいっても、トヨタ本社から東南へ15kmほどのところです。新東名高速道路や東海環状自動車道が近くを通る交通の要所です。徳川家康の先祖、松平氏が住んだといわれる豊田市松平とは目と鼻の先です。

 愛知県はここに、「豊田・岡崎地区研究開発施設用地造成事業」をすすめてきました。開発面積は、650・8㌶(東京ドーム約141個分、皇居約6個分)という広大なもので、愛知万博や中部国際空港島を上回るといいます。

 東工区、中工区、西工区の3つがあり、この日トヨタは、中工区(177㌶)の引き渡しを受けたものです。約3000億円をかけてテストコースや研究開発施設を建設する予定です。

トヨタテストコース 愛知県作成地図
(トヨタの新研究開発拠点の地図=愛知県のホームページから)

70 トヨタテストコース グーグルアース
(トヨタの新研究開発拠点の航空写真=グーグルアースから、2017年2月27日撮影)

 トヨタは、19年から稼働を始め、23年までに稼働を完了させる予定です。ここへの通勤は最終的に3850人にのぼる予定で、車3700台が通うとしています。

 11種類のテストコースが造成される予定。全長5・3kmの山岳コースは高低差が15mあり、多数のカーブとともに、自動車の耐久性や安全性などをテストします。

 トヨタは昨年12月、2030年にはEVとFCV(燃料電車)を合わせて世界で100万台以上の販売をめざす。EVは、2020年以降、中国を皮切りに導入し、加速させる。20年代前半には、日本、インド、米、欧州に順次導入し、世界で10車種以上販売する計画――を発表しました。

 新研究開発拠点は、こうした電動化の研究・開発を担うもので、静岡県の東富士研究所、北海道の士別試験場、愛知県豊田市の本社テクニカルセンターに次ぐ4つ目の拠点になります。

 大規模開発について、環境破壊の恐れが指摘されてきました。日本共産党の大村よしのり豊田市議が昨年12月の市議会で、市当局に環境アセスメントの評価書にもとづき、事業区域内の森林・谷津田(やつだ)の保全対策や周辺道路の渋滞対策などを求めました。

 市側は、▽維持管理する水田は8.8㌶、▽谷津田の維持管理については、土地引き渡し後にもトヨタがとりくんでいく、▽動植物に配慮しながら、水田内の水管理や畦の草刈りを適切に行っていく――などと答弁しています。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/02/22 10:16

◎トヨタ 研究開発減税841億円 16年度


 トヨタ自動車の2016年度の研究開発減税が841億円にのぼることが、「しんぶん赤旗」の試算でわかりました。日本の大企業でトップです。この4年間で何と4066億円もの巨額にのぼっています。

 研究開発減税の仕組みは、図のようです。安倍政権が国会に提出した報告書(租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書)は、企業名は非公表ですが、上位10社については個々の企業への減税額を公表していることなどから推定できるものです。

研究開発減税の仕組み


 報告書によると、16年度の研究開発減税は総額5926億円でした。うち89・5%に当たる5301億円が大企業(資本金10億円以上の企業および連結納税グループ企業)に適用されています。

 2位は日産自動車、3位はSUBARUとみられ、自動車大手が上位を独占する結果となりました。

研究開発減税 上位


 トヨタのこれまでの研究開発減税額は、13年度1201億円、14年度1084億円、15年度940億円です。減税額が減っているのは、度重なる法人税の引き下げなどで納める法人税額そのものが減少しているためとみられます。

 トヨタは、16年度に研究開発減税のほか賃上げ減税で116億円、投資減税で6億円の減税を受けています。安倍政権のもとで、大企業にはいたれりつくせりの減税です。

 一方、18年度の中小業者対策予算は約1700億円にすぎません。
決算・経営計画 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2018/02/19 15:08

◎トヨタのモノづくり集団 決算発表で副社長が異例の説明

 トヨタ自動車の2018年3月期第3四半期決算発表(2月6日)では、河合満副社長(71)が「トヨタの競争力を支えるモノづくり」と題して約10分間、決算発表としては異例のプレゼンテーションを行いました。

 河合氏は、トヨタ技能養成所を卒業し、本社工場鍛造部などで働いた後、“現場のたたきあげ”として初めて役員になったと話題になった人です。昨年4月から副社長に就任しています。

 河合氏のプレゼンテーション資料によると、現在は「電動化、コネクテッド、自動運転など自動車産業は、100年に一度の大変革の時代」と強調。トヨタには、トヨタウエイ、トヨタ生産方式(ジャスト・イン・タイム=かんばん方式)の強みと、「課題や変化に挑戦しやりきるモノづくり集団」があると指摘しています。

 具体的な事例として、ロボット書道を取り上げ、美しい字を書かせるには人(匠)の技が必要としています。書道経験者がロボットに教えなくては、美しい字は書けないと説明しています。

12 ロボット習字
(河合満副社長のプレゼンテーション資料から)

 トヨタは車をつくる前に人をつくる、という“人間かんばん方式”の要諦を示したものでしよう。記者などへの決算発表の場で、なぜ、こんなプレゼンテーションを行ったのでしょうか?

 永田氏が語ったように自動車産業は、自動運転など100年に一度の大変革の時代です。自動運転技術を左右するのがAI(artificial intelligence=人工知能)です。

 週刊経済誌「ダイヤモンド」(2月10日号)は、「AI格差」の特集を組んでいます。このなかでビックリするのが「AIリストラ企業ランキング」です。同誌は、「AI革命は人が要らなくなる革命であり…その進展によっては『仕事が奪われる』という可能性を覚悟しなければならない」と指摘します。

 AIへの取り組み、社長在任期間、従業員数など5つの指標を偏差値化して合算、「AI化スコア」を算出しています。何とランキングのトップがトヨタ自動車です。

 こうした「AI化スコア」は、正しいのか? しかし、事務仕事をAI化し3万2000人の大リストラを発表しているのが3メガバンクです。

 みずほFGは26年度末までに1万9000人を削減、三菱UFJFGは23年度末までに9500人分の業務量を削減、三井住友FGは19年度末までに4000人分の業務量を削減…。

 AIリストラは現実のものになろうとしています。それにどう立ち向かうのか。AIなんて関係ない、わからないと言っておれなくなったのです。AI技術の“光と影”を見据えることが、もうそこまでやってきているのです。
決算・経営計画 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/02/08 10:57

◎トヨタ純利益、過去最高の2兆4000億円 3月期見通し

 トヨタ自動車は2月6日、2018年3月期(連結決算)の純利益の見通しを過去最高の2兆4000億円としました。これまで日本の大企業でも最高だった16年3月期の2兆3126億円を2期ぶりに更新します。

 同日開いた第3四半期決算発表で明らかにしたものです。

 純利益とは、営業利益に受取利息などの営業外収益を加えた後に、本業とは関係のない特別利益などを加え、法人税など税金を差し引いた後の企業の最終的な儲けのことをいいます。

14 18年3月期 見通し
(トヨタの18年3月期決算見通し=決算プレゼンテーション資料から)

 営業利益の見通しも2兆2000億円(前期は1兆9943億円)なのに、それを2000億円も上回るものです。トランプ米政権の大企業優遇の法人税減税で、「将来の税負担に備えた『繰り延べ税金負債』が減る」(日経、7日付)もので、3000億円近い増益要因になるといいます。

 グループの販売台数は、前期の1025万台から5万台を上積みし1030万台としました。国内では1万台減としたものの、北米では2万台増としました。

 トヨタのお家芸といわれる原価改善では、期首の見通しの900億円から1200億円に引き上げました。

              ◇

 気になるのは、これほどの好決算の見通しなのに、トヨタ労組が18春闘で提案した賃金引上げ額は、3年連続となる3000円です。賃金制度維持分を加えると1万300円ですが、満額獲得しても引き上げ率は2・8%にすぎません。

 18春闘では、安倍政権が3%の引き上げを求めたこともあって、引き上げ率が問題になっています。明日8日の評議会で要求額を決めますが、果たして3000円でいいのか、真剣な議論が求められるでしょう。
決算・経営計画 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2018/02/07 09:47

◎トヨタ 世界販売、3位に後退

 2017年の世界の自動車販売で、1位がドイツのフォルクスワーゲン(VW)、2位がフランスのルノー・日本の日産自動車・三菱自動車の連合、3位がトヨタ自動車であったことが1月30日、明かになりました。

 トヨタが世界販売で世界1になったのは、リーマン・ショック時の08年(897万台)です。米GMの落ち込みが激しかったためです。以降10年までの3年間、世界1になりました。

 11年は、東日本大震災で部品の調達が滞り、3位に後退。12年から15年までの4年間は、ふたたび世界1位に。しかし、16年は独フォルクスワーゲン(VW)が1位で、2位に後退していました。

 17年で2年連続1位になったVWの世界販売台数は、前年比4・3%増の1074万1500台で過去最高でした。世界最大の市場の中国で5・1%伸びました。

 2位のルノー・日産・三菱自連合は、前年比6・4%増の1060万8366台と初の1000万台超えになりました。中国で12・2%増えました。内訳は、日産が581万台、ルノーが376万台、三菱自が103万台でした。日産が16年に34%を出資し、グループ化した三菱自の販売台数が加わったことでトヨタを追い越したものです。

20 トヨタの連結世界販売台数 (2)


 3位のトヨタグループは、前年比2・1%増の1038万6000台でした。内訳は、トヨタが938万台、ダイハツが81万台、日野が18万台でした。世界で1023万台を販売した14年以来、3年ぶりに過去最高を更新しましたが、この5年間、1000万台超で横ばいが続いています。

 トヨタは、2000年代前半に、アメリカなど海外に相次いで工場を建設して世界販売を急増させました。しかし、リーマン・ショックで4610億円の赤字を出して以来、工場建設を凍結。量を追うことに慎重になってきました。

 世界の自動車メーカーは、EV化、自動運転化など次世代車をめぐって、どのメーカーが主導権を取るのかの覇権争いになっており、量よりも質での競争が激化してきています。

決算・経営計画 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2018/01/31 09:56

◎トヨタのテストコース 日本共産党の大村市議が豊田市議会で質問

 日本共産党の大村よしのり市議は、12月市議会の一般質問(12月6日)で、トヨタ自動車のテストコースを軸とした豊田・岡崎地区研究開発施設用造成工事について取り上げました。

 大村議員は、「県が行う土地の造成工事がすすみ、工事そのものと、トヨタ自動車に土地が引き渡された後もふくめて、該当区域の自然環境の保全が求められます」として次のように質問しました。日本共産党豊田市委員会の機関紙「豊田民報」(12月17日付)から転載させてもらいました。

……
 工事の進捗についての大村市議の質問に対して、答弁では、◆東工区…本年10月末で68%の進捗率 ◆中工区…本年8月に工事完了、今年度中にトヨタに引き渡す。◆西工区…本年9月に着工し3%の進捗率。◆全ての工区が2020年度に完了予定。◆トヨタの本体工事は2025年度までに整備予定。
と答えました。

70 テストコース位置 愛知県HP
(トヨタのテストコースがつくられる場所=愛知県のホームページから)

 大村市議は、テストコースへの多数の通勤車による周辺道路の渋滞対策を求めました。
 答弁では、◆通勤者数3850人、車3700台を想定しているとしながらも、◆道路整備で渋滞対策はとれているという認識を示しました。

 大村市議は、環境アセスメントの評価書にもとづき、事業区域内の森林・谷津田(やつだ)の保全対策を求めました。

 答弁では、◆維持管理する水田は8.8㌶。◆谷津田(やつだ)の維持管理については、土地引き渡し後にもトヨタがとりくんでいく。作業者は検討中。◆動植物に配慮しながら、水田内の水管理や畦の草刈りを適切に行っていく。
 と答弁しました。

テストコース2 愛知県HP
(トヨタのテストコース=愛知県のホームページから)

 大村市議は、事業区域内にある花山湿地周辺に愛知県のレッドリストに掲載されている絶滅危惧種が存在すると指摘。花山湿地の保全を提起しました。答弁では、◆レッドリストのキキョウ、マツムシソウが存在する。◆移管後、森林・谷津田里山の整備維持管理計画書にもとづきトヨタにより事業の管理がなされると答え、トヨタにより保全されるという認識を示しました。

 大規模に森を伐採した造成工事により、イノシシ・シカの農産物への獣害被害が増大していると大村市議は指摘。愛知県農業総合試験場などが開発した捕獲用の囲い罠「おりべえ」等による対策を提案しました。答弁では、◆下山地区の被害額がこの3年間で2300万円余になる。◆これからも、獣害対策への支援を行ってゆく。「おりべえ」の効果については検証している。と答えました。
……
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/12/27 18:47

◎法人税 何と安倍減税で12%程度に

 安倍政権が閣議決定(12月22日)した総額97兆円余の2018年度政府予算案と「税制改正」大綱。トヨタなど平均年収850万円を超える社員は増税になりますが、トヨタなど大企業の法人税は、大幅な減税になります。

 トヨタの社員が増税になることは、このブログ「トヨタで生きる」(12月16日アップ)で明らかにしました。増税は、年収900万円で年1・5万円、950万円で3万円、1000万円で4・5万円になるといいます。
http://toyotaroudousya.blog135.fc2.com/blog-entry-2736.html

 一方、トヨタなど大企業は、いたれり、尽くせりの法人税の大減税です。法人税は、何と12%程度になるといいます。「しんぶん赤旗」(12月23日付)は、次のように指摘します。

……
 18年度予算案と「税制改正」大綱は「生産性革命」を看板にしています。その実態は大企業への優遇策です。

 予算案では人工知能(AI)技術とロボットを融合させた次世代技術の研究開発や、トラックの自動走行システムの実証実験などが盛り込まれました。

 公共事業では生産性革命として、物流ネットワークを強化するといいます。その中身は「迅速かつ円滑な物流の実現のため、三大都市圏環状道路や空港・港湾などへのアクセス道路の整備を推進する」というもの。「低金利」を活用して、高速道路への財政投融資も行うことも盛り込みました。結局、看板を変えて不要不急の大型プロジェクトを推進するのです。

大企業は大幅減税 2017122303_01_1d[1]
(しんぶん「赤旗」、12月23日付から)

 「税制改正」では生産性革命の目玉として「賃上げ減税」が盛り込まれました。これは一定の賃上げや投資を行った企業に対し、法人税額の20%まで税額控除ができるという制度です。

 賃上げした企業がさらに、IoT(モノのインターネット)など情報連携利活用設備などに投資した場合にも投資額に応じて、法人税額の20%まで税額控除ができます。

 賃上げ減税の恩恵を受けられるのは法人税を納めている企業だけです。加えてIoT投資ができるのは大企業に限られます。経営の苦しい中小企業が工夫して賃上げをしても1円も減税されません。

 大企業優遇税制の代表格である研究開発減税は法人税額の40%まで控除が可能です。大企業が研究開発減税と賃上げ減税を最大限活用すれば、法人税は8割引きとなり、地方税と合わせても企業の税負担は12%程度まで下がります。

 生産性革命は税制の面からも予算の面からも大企業優遇の新しい看板にすぎません。
……

 ブログ「トヨタで生きる」では、これまでも安倍政権のトヨタへの減税措置について明らかにしてきました。トヨタ1社だけで5500億円の減税(16年5月30日アップ)措置があるのです。

(1) この間の税率引き下げの効果=2200億円
(2) 研究開発減税などの租税特別措置=1200億円
(3) 受取配当益金不算入の効果=2100億円
 くわしくは、次のアドレスを見てください。
http://toyotaroudousya.blog135.fc2.com/blog-entry-2159.html

toyota 本社地区
(トヨタ本社地区。正面のビルが本社)

 今回のさらなる安倍法人税減税で、実効税率は12%程度になるというのです。米議会は12月20日、トランプ大統領の法人税の大減税を受け入れ、連邦法人税率を18年から35%から21%に大幅に引き下げる法案を可決しました。そのトランプ大統領も真っ青になるほどの日本の大企業減税です。

決算・経営計画 | コメント(7) | トラックバック(0) | 2017/12/24 10:32

◎トヨタ 18年の世界販売計画は1049万台

 トヨタ自動車は12月20日、18年(1月~12月)の世界販売台数の計画(ダイハツ、日野自動車をふくむグループ)を、過去最高の1049万台(前年比101%)と発表しました。

 内訳は、トヨタが950万台(同102%)、ダイハツが80万台(同98%)、日野自動車が19万5000台(同108%)です。

 17年の世界販売台数は、1035万台(同102%)と見込んでいます。1000万台を超すのは14年から5年連続の見込みですが、横ばい状態が続いています。

30 toyota 世界販売台数


 トヨタが世界販売で世界1になったのは、リーマンショック時の08年(897万台)です。米GMの落ち込みが激しかったためです。以降10年までの3年間、世界1になりました。

 11年は、東日本大震災で部品の調達が滞り、3位に後退しました。12年から15年までの4年間は、ふたたび世界1位に返り咲きました。しかし、16年は独フォルクスワーゲン(VW)が1位になり、2位になりました。

 17年前半(1~6月)は、三菱自動車を傘下にした日産・ルノーグループが1位になり、トヨタはVWに次いで3位になっています。

 世界の自動車メーカーは、“1000万台クラブ”といわれるトヨタ、VW、GM、日産・ルノーグループの激しい覇権争いになっています。
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/12/21 16:03

◎EV、FCVは30年に100万台以上を トヨタ

 なかなか電気自動車(EV)の商品化の見通しを明らかにしなかったトヨタ自動車が12月18日、2030年にはEVとFCV(燃料電車)を合わせて世界で100万台以上の販売をめざすことを発表しました。

 EVは、2020年以降、中国を皮切りに導入し、加速させるとしています。20年代前半には、日本、インド、米、欧州に順次導入し、世界で10車種以上販売する計画です。

 EV化技術の決め手になるのが電池です。現在のリチウムイオン電池に代わって大容量化が可能ではないか、といわれる全固体電池を、2020年代前半の実用化をめざし開発をすすめる計画です。

(コンセプトカーの「愛i」)
(トヨタが10月の東京モーターショーで展示したコンセプトカーの「愛i」)

 世界の先陣を切って2014年に量産化したFCV(ミライ)は、20年代に乗用車、商用車のラインアップを拡充するとしています。

 トヨタが1997年にプリウスで世界に先駆けたハイブリッド車(HV)とPHV(プラグインハイブリッド車)、EV、FCVを含めた電動車では、30年に550万台以上の販売をめざします。

 また、25年ころまでには、電動車、電動グレード設定車へと拡大することにより、エンジン車のみの車種はゼロとなる見通しです。

 得意のHVについては、システムを高性能化し、ハイパワー型、簡易型など多様なシステムを開発し、商品ラインアップを拡充するとしています。PHVは、20年代に商品ラインアップを拡充するとしています。

 今回、EVへのシフトを明らかにしながらも、一挙にEV化はすすまないとして、利益の源泉のHVにこだわる計画になっています。

 世界1の販売を競い合っている独VW(フォルクスワーゲン)は、25年までに50車種のEVを投入し、年300万台以上販売する、米GMは23年までにEV・ECVで20車種以上を発売する計画です。

 日本国内では、リーフでEV化の先頭に立った日産自動車と三菱自動車・仏ルノー連合は、22年までに12車種のEVを投入し、世界販売の3割を電動車にする計画です。

 世界各国の政府が厳しい環境規制を強めるなかで、EV化の急速な流れとなった2017年。世界の自動車メーカーと自動運転化で先陣を切ってきた米グーグルなどのIT企業は、20年代を見据え、激しい覇権争いに突入しようとしています。
決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2017/12/19 19:06

◎経済誌 経団連は「安倍政権に盲従」

 週刊経済誌『ダイヤモンド』(11月18日号)が、「右派×左派」の特集を組んでいます。このなかで日本経団連について、「今の経団連は安倍政権に盲従し、二者の距離はかつてないほどに縮まっているように見える」と批判しています。

 さらに、「『金集めの代理業』に励む」などと経済誌としては辛口の見出しを立てています。これは、1970年代に経団連会長だった故・土光敏夫氏が、「経団連政治献金の金集めの代理業はやらない」と自民党に異論をのべたことがあったことと比較し、現在の経団連へ痛烈な皮肉を飛ばしているものです。

 土光氏は、「保守党が正道を歩んでもらいたいために、正論を吐いたつもり」と語っていたといいます。経団連はその後、国民の批判を受けて自民党への献金のあっせんを中止したり、再開したりしてきました。

 現在の経団連会長は、東レ相談役の榊原定征氏。自民党への政治献金のあっせんを続けています。「ダイヤモンド」は、このなかで2015年の企業・団体別の献金額ランキングを掲載しています。

20 ダイヤモンド 政治献金
(『ダイヤモンド』、11月18日号から)

 トップは、トヨタ自動車の6440万円。日本の大企業で、ダントツの2兆円利益を稼いでいるトヨタは、15年に限らず、ずっとトップです。2位は、東レの5000万円、3位はキヤノンの4000万円、4位は住友化学の3600万円、5位は新日鉄住金の3500万円です。

 いずれも経団連会長を出した大企業です。新日鉄住金は、最多の3人が会長を務めたことがあります。これに次ぐのがトヨタで、豊田章一郎、奥田碩の両氏が会長を務めました。

 営利企業の大企業が、多額の政治献金を自民党にしているのは、見返りがあるからです。政権党の自民党に献金することで、経団連の要求を実現させようというものです。

 たとえば法人税の減税や研究開発減税などです。「ダイヤモンド」は、「経団連の露骨な政権擦り寄り」と揶揄するほどです。同誌は、政治献金について日本共産党が「腐敗政治の温床」と主張していることを紹介しています。“正論を吐いている”のが日本共産党です。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2017/11/17 09:40

◎トヨタの「自動運転白書」 中間決算プレゼンから ④

 このブログ「トヨタで生きる」では、トヨタ自動車の2018年3月期の中間決算(17年4~9月)のプレゼン資料を紹介していますが、今回は自動運転/AI(人工知能)に関連したトヨタの「自動運転白書」です。

 トヨタが、「トヨタにおける自動運転への取り組み―ビジョン、戦略、開発」と題した「自動運転白書」を明らかにしたのは、今年の9月27日です。

 「白書」は、24ページにわたる詳細なものです。トヨタの“安全哲学”が随所に散りばめられています。しかし、英語があふれ、理解するには骨が折れ、簡単にはわかったとはいいがたいでしょう。

 読みながら、人間が運転する時の瞬時の分析力、判断力、実行力などにあらためて感嘆せざるを得ず、これを人工知能を活用するとはいえ、人間の命がかかった運転でさまざまな機械やソフトにゆだねることの難しさを痛感しました。

 「130万人以上」――「白書」に出てくるこの数字は、世界で毎年、交通起きている事故死の数です。たまげるような数字です。日本では、1970年ころは1万5000人以上の交通事故死がありましたが、現在は3904人(16年)にまで減少しています。

 自動運転技術で、交通事故死・負傷者がゼロになれば、社会発展に大きな役割になるのは間違いないでしょう。

 「白書」で、伊勢清貴専務役員は、「将来のある時点で、クルマは、ドライバーに代わって運転してくれる能力を備えることになるかとは思いますが、当社は、クルマとドライバーがパートナーとして協力し合うことで、より安全性を高めることがで きると考えています」と語っています。

 「この考え方をMobility Teammate Concept(MTC)と呼んでいます」と同専務がのべています。ここにトヨタの自動運転の哲学が込められています。すべてを自動運転にまかせるのではなく、運転したいときには運転するという楽しみを織り込んだものがトヨタの自動運転哲学としています。

 今でもモリゾーの名でハンドルを握る豊田章男社長の考え方が色濃く反映しています。

12 自動運転実験車改良版 3
(TRIの自動運転実験車改良版)

 自動運転の技術基盤としてあげているのは――。

 高精度のマップを作成するなどのローカライゼーションとマッピング、認識技術のパーセプション(カメラ、LIDAR=光を使った検出・測距技術=、レーダー、GPS=全地球 測位システム=、慣性航法ユニットなどを含む車両センサーのデータなど)、プレディクション(予測機能)、プランニング、コントロール、コーディネーション、外部ヒューマンマシンインターフェース…。

 いかに高度の技術が必要になることがわかります。これをクリアーできなければ自動運転車は走ることができないのです。その上で、「白書」では2020年に実用化できるのは、高速道路での合流、レーンチェンジ、車線・車間距離、合流としています。

 さらに2020年代前半には、一般道路で、人、自転車などを検知し、地図データや交差点、信号などの視覚データを利用して、交通規則に従って走ることが実用化できるとしています。

 「白書」は、次のアドレスで読むことができます。
http://newsroom.toyota.co.jp/jp/automated/
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/11/16 11:34

◎トヨタの自動運転/AI(人工知能) 中間決算プレゼンから ③

 このブログ「トヨタで生きる」では、トヨタ自動車の2018年3月期の中間決算(17年4~9月)のプレゼン資料を紹介していますが、今回は自動運転/AI(人工知能)です。

 11月14日の日経新聞は、世界の自動運転のニュースを伝えています。1つは、フォルクスワーゲンが2025年に、ドライバ―が運転に関与しない「レベル4」の自動運転のEV車を発売するというのです。300万円台で主力の「ゴルフ」並みの価格で、600kmを走ることができるといいます。

 2つは、パナソニックが自社開発した自動運転システムのデモを福井県内で公開したというのです。2人乗りのEV車で、20年までには何らかのサービスを始めたいとしています。

12 TRI自動運転実験車改良版 1
(TRI自動運転実験車改良版)

 世界で相次ぐ自動運転の動き。トヨタの中間決算のプレゼン資料では次のようにのべています。

……
・TRI*を中心に、人工知能を使って、自動運転、ロボット、新たな電池材料などの研究に取組み
・データは新時代の「資源」「富」と考え、データ規模の強みを活かし、AIの性能を向上
*Toyota Research Institute
……

 TRI=トヨタ・リサーチ・インスティテュートは、人工知能技術に関する先端研究、商品企画を目的として、2016年1月にトヨタがIT技術の集積地の米シリコンバレーに設立した研究所。最高経営責任者(CEO)は、米AI研究の第一人者といわれるギル・プラット氏。

 TRIは、今年9月27日、自動運転技術などの進捗状況とトヨタの自動運転の考え方を明らかにした「白書」を発表しました。

 進捗状況では、今年3月に自動運転実験車を公開し、ガーディアン(高度安全運転支援)とショーファー(自動運転)の両モードの試験を行ってきたとしています。

 ガーディアンは、人がクルマを運転することが前提で、具体例として、「ドライバーの注意が運転からそれている場合や、居眠りの可能性がある場合をシステムが検知し、警告を表示した後、カーブを安全に曲がれるようにブレーキやハンドル操作を行う」などとしています。

 ショーファーは、人が運転をしないことが前提で、レベル4、5の自動運転に相当しています。「管理されたコースでクルマが障害物を避けながら自律的に走行したり、隣の車線に同じ速度で走行するクルマがいる場合でも、前方の障害物を避けるためにクルマ自身が安全に車線変更したりする」としています。

 また人工知能の具体的な活用例では、「ドライバーが飲み物を手に不快そうな表情を浮かべたことを検知した際に、ドライバーが暑いと感じていると仮説を立て空調を調節したり、ドライバーが眠気を感じていると検知した際に、コーヒーを飲むよう提案する、もしくはコーヒーショップまで誘導したりする」としています。

12 TRI 改良版 2
(TRI自動運転実験車改良版)

 プレゼン資料では、次のような具体化を示しています。

……
 ・試験走行、シミュレーションを組み合わせ高い環境認識と予測能力を持った人工知能の開発に取り組み
・自動運転、ロボット等における新技術発掘をめざし、「Toyota AI Ventures」(注)からベンチャー企業に投資
……

 フォルクスワーゲンが自動運転車の具体的な計画を明らかにするなかで、トヨタは自動運転についてどのように考えているのでしょうか。次回では、「白書」を見てみたいと思います。

(注)TRIは今年7月11日、人工知能ベンチャーなどへの投資を目的に総額1億ドルの投資ファンドを設立すると発表しました。
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/11/14 18:02

◎トヨタのコネクテッド――中間決算プレゼンから ②

 このブログ「トヨタで生きる」では、トヨタ自動車の2018年3月期の中間決算(17年4~9月)のプレゼン資料を紹介していますが、今回はコネクテッドです。

 資料では、「クルマからの収集データを元に、新たなサービスを構築し、イノベーションを起こす」とあります。

 具体的には、マイクロソフト社と共同で設立した「Toyota Connected」で、ビックデータを活用したサービスの研究、開発を実施するとしています。

 「Toyota Connected」(旧社名、トヨタメディアサービス)は今年7月に設立(710人)されました。名古屋市中区錦1丁目に本社があります。友山茂樹社長(トヨタ専務役員)は、「トヨタの顧客向けインターネット事業を行っている会社」といいます。

 すべてのモノがインターネットにつながるIOT時代に突入し、クルマもネットサービスを行うとともに、コネクティッドカーからビッグデータを収集し、新たなサービスをつくろうというものです。

 すでに、「T-Connect」や「レクサスG-Link」のサービスが始まっています。ナビをネットにつなげることで、観光地やレストランなど行きたいところを探そうというのです。オペレータによる案内もあります。

 クルマが鉄の塊からソフトウエアの塊といわれて久しくなりましたが、さらにIT技術を取り込み、ネットでつながるクルマに変身しつつあります。クルマの変貌は日進月歩です。

プレゼン コネクテッド
(トヨタの中間決算プレゼンテーション資料から)

 この「トヨタで生きる」でも紹介しましたが、トヨタは今年8月、電機メーカーのIT研究所が集中するJR南武線(神奈川県・東京都)で、びっくり広告を貼りだしました。

 「エンジニアのみなさま、お疲れさまでした。本日帰宅されましたら。自宅でじっくりと下記の内容をご検討ください。」「えっ!? あの先端メーカーにお勤めなんですか! それならぜひ弊社に」

 「自動運転・コネクテッド技術のエンジニア募集」といって、富士通やNECなどの技術者を引き抜こうとしたからです。世界のトヨタのなりふりかまわないエンジニア争奪戦です。

 トヨタは、マイクロソフトと共同でコネクテッド会社を設立しました。トヨタの競争相手は自動車会社だけではなく、グーグルやアップル、アマゾンなど米IT企業です。共同しながら競争する――自動車やIT産業の垣根を越えた激しい国際競争に突入しています。
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/11/12 13:59

◎トヨタの電動化――中間決算プレゼンから ①

 昨日のこのブログ「トヨタで生きる」では、トヨタ自動車の2018年3月期の中間決算(17年4~9月)のプレゼン資料で、「競争力強化に向けた取り組み」が掲載されていることを紹介しました。

 プレゼン資料では、さらに電動化やコネクテッド、自動運転・人工知能などについても掲載されています。このうち電動化――「次世代パワートレイン(電動化)」では、3つのことをあげています。

 1つ目は、マツダ、デンソーとEVの共同開発の新会社を設立したことです。スカイアクティブで知られるように、エンジンにこだわりを続け、磨きあげてきたマツダとのEV共同開発。どんなEVをつくりあげるのでしょうか?

 2つ目は、EV市場の動向を支配するといわれる電池です。現在のEVは、「リチウムイオン電池」が使われています。日産が9月のモデルチェンジした2代目リーフは、1回の充電で400km(カタログ値)走るといいます。

 韓国のサムスンは、リチウムイオン電池の2倍の「リチウム空気電池」を開発中といいます(日経新聞、11月8日付)。トヨタは、プレゼン資料で、「全固体電池の実用化に取組み」としています。

 全固体電池は、リチウムに続く次世代の電池といわれています。トヨタグループの創業者、豊田佐吉が開発の夢を見たといわれています。トヨタは、すでに技術者200人をそろえる態勢をつくったといいます。

 EVの難点は、電池の航続距離が、まだガソリン車と比べ半分程度と短いことや充電に時間がかかりすぎることです。新型リーフでも、自宅で16時間、急速充電器で容量の80%まで約40分もかかります。

 この難点を克服できるのが全固体電池といわれています。プレゼン資料で、「競争力に直結する」と指摘するように、トヨタは実用化に総力をあげるとみられます。

 しかも、サムスンやLGの韓国勢、独ボッシュ、米アップルなども開発をすすめている(日経)といわれています。自動車、電機、IT産業が、垣根を越えて激しい競争に入っています。

プレゼン パワートレイン
(トヨタの中間決算プレゼン資料から)

 3つ目は、FC(FCV・燃料電池車=Fuel Cell Vehicle)の商用利用をかかげています。トヨタは、他の自動車メーカーに先駆けてFCVミライを2014年12月に発売しましたが、他のメーカーが追随できず、FCV市場が広がらないことで苦戦しています。

 トヨタとセブン―イレブン・ジャパンは今年8月、コンビニ物流にFCVを活用することで合意しました。こうしたプロジェクトを広げようというものでしょう。

 EV車の発売では、日産や米テスラなどが先行してきました。独フォルクスワーゲンは、2025年までにEVを50種以上発売することを明らかにしています。日産・ルノー・三菱自動車グループは、2022年までに12車種のEVを発売するとしています。

 現在、EV車種のないトヨタは、いつごろに発売するのでしょうか? プレゼン資料には、まだ具体的なことはふれていません。
決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2017/11/10 18:42

◎4~9月決算で競争力強化を発表 「働き方改革」も

 トヨタ自動車は11月7日、2018年3月期の第2四半期決算(17年4月~9月)を発表しました。このなかで3月期決算の営業利益は、前期より0・3%多い2兆円になるとの見通しを発表しました。

 これまでは、7・2%減の1兆8500億円でしたが、円安などを背景に、営業増益に見直します。営業増益になるのは2年ぶりで、営業利益が実際に2兆円台になれば、過去最高の2兆8539億円だった16年3月期以来の利益になります。

 ダイハツ工業、日野自動車をふくめたグループの世界販売見通しは1025万台で、前期の1025万1000台と横ばいになるとしています。日本や北米、アジアは減るものの、欧州やその他は増えるとしています。

 今回のプレゼンには、「競争力強化に向けた取り組み」などが記載されています。これまでのプレゼンとは異例のもので、電動化、自動運転化など脱ガソリン車の世界的な動きを受けて、トヨタの向かうべき姿を明らかにしています。

 このなかには、「働き方改革」もあり、事務・技術職に12月から導入する「新時間制度」の「FTL(I)」が盛り込まれています。「Free Time & Location for Innovation」の略で、時間と場所にとらわれない革新的な働きかたという意味です。

 「FTL(I)」が国際競争力強化と一体になったものであることを示しています。

15 トヨタ決算 競争力強化
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2017/11/09 10:24

◎経済誌がいっせいにEV特集

 10月16日発売の週刊経済誌が、いっせいにガソリン車から電気自動車(EV)化への特集を組んでいます。「ダイヤモンド」が「パナソニック・トヨタが挑むEV覇権」、「東洋経済」が「日本経済の試練 EVショック」です。

 「日経ビジネス」は、「トヨタは変わったか? 実像を知る100人の証言」のタイトルでEV化、自動運転化でトヨタは乗り切れるかを特集しています。申し合わせたようにEV化にいっせいに取り組んでいます。

 ちなみに16日のNHKの「クローズアップ現代」も、世界のEVシフトがテーマでした。それだけ、世界でのEV化への加速度的な動きが今、大きな焦点になっています。

ダイヤモンド EV

東洋経済 EV

日経ビジネス EV


 このうち、「ダイヤモンド」は、「トヨタの誤算」の見出しで、「具体的なEV戦略を明らかにしない企業がある。トヨタ自動車だ。わずかな誤算が生んだ遅れを、トヨタは挽回することができるのか」と指摘します。

 昨年12月に発足した「EV事業企画室」に、デンソーやアイシン精機、豊田自動織機などからの出向者をふくめ30人以上になっているものの、社内外からは「組織としての動きは遅い」との評価を紹介しています。

 一方、開発にかかわるエンジニアからは、「EVを造れと言われれば明日にでもできる」などとトヨタマンたちの本音を伝えています。豊田章男社長が、「EVだけとか、決めつけていくことをわれわれは今は考えていません」との語った言葉にふれています。

 豊田社長は、成功したハイブリッド(HV)車、真っ先に量産化した燃料電池車(FCV)、それにガソリン車、EV車など全方位で対応する考えなのでしょうか。

 7年前にEVリーフを発売し、日本のEV化の先頭を切った日産自動車。この9月にリーフ2代目を発売しました。日産・ルノー・三菱自動車をたばねるカルロス・ゴーンCEOは、9月に2022年までの中期経営計画を発表しました。

 「ダイヤモンド」誌は、その中期経営計画について、EV、PHV(プラグインハイブリッド)などをふくむ電動化比率を全体の30%にする、1回の充電による航続距離の600kmを達成する――などとしているが、“大風呂敷”と指摘します。

 現状は、EVの販売比率は1%未満であり、15分間の急速充電で90kmをしか走れないなどをあげ、今後5年間で可能かと疑問を投げかけています。

 しかし、日産グループはリーフを発売し、青写真を示しているのに、トヨタは、「ダイヤモンド」誌に言わせれば、「具体的なEV戦略を明らかにしない企業」なのでしよう。

 現場では、「明日にでもできる」という声があるのなら、日産グループのようにEV戦略をふくめた経営計画を明らかにするべきではないでしょうか。雇用問題、関連・下請けの部品減少問題などEV化は大きな問題をはらんでいるからです。
決算・経営計画 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2017/10/19 11:08

◎ルノー・日産が2022年の販売は1400万台と発表

 2017年の上半期の世界販売で、フォルクスワーゲン、トヨタ自動車を上回りトップにたったルノー・日産自動車グループ(約526万台)は9月15日、新たな6か年計画「アライアンス2022」を発表しました。

 アライアンスは、提携、同盟の意味で、三菱自動車を傘下におさめ、半期で初めて世界販売トップになりました。2022年には、さらに1400万台を販売するという計画です。

 トヨタ自動車は、ルノー・日産グループのような中期経営計画は発表していません。カルロス・ゴー氏が、ルノー・日産アライアンスの最高経営責任者(CEO)です。

 日産自動車のホームページには、「アライアンス2022」が掲載されています。

 それによると、電気自動車(EV)では、これまで世界でもっとも販売した「リーフ」(2010年発売で、累計約28万台)を9月にモデルチェンジをしたばかりですが、その勢いでEVシフトをいっそう強めています。

日産 新型リーフ
(日産の新型リーフ)

 さらに、世界の自動車メーカーやグーグルなどIT産業が雪崩をうって開発を強めている自動運転やコネクテッド(ネットでつながる車)カーなどで、世界覇権を握ろうとする野心的な計画にあふれています。

 具体的には、3社で――。
・4つの共通プラットフォームにより、900万台以上をカバー
・共通パワートレインの比率を全販売台数の3分の1から4分の3に上昇
・電動(EV)化、自動運転、コネクテッド技術の共有により、さらなるシナジー(相乗効果)を創出

・EV用の共通プラットフォームおよび共用部品を活用し、100%EVを新たに12車種投入
・自動運転(AD)技術を40車種に搭載
・無人運転車両による配車サービス事業への参画


 経営危機に陥っていた日産自動車に1999年、ルノーから乗り込んだゴー氏。村山工場(東京都)などの閉鎖や部品の共通化、下請けの選別化などで、“コストカッター”と呼ばれるほどのリストラを強行したことで知られています。

 ハイブリッドカーでトヨタに出遅れたことから、EV化の流れをチェンスト見て、現在1000万台販売の3社を6年間で1400万台へと一気に引き上げようというものです。
決算・経営計画 | コメント(6) | トラックバック(0) | 2017/09/19 16:23

◎「EVにあらずんば、クルマにあらず」

 ドイツのフランクフルト・モーターショーが始まりました。ネットで車をウオッチしている「Response」は、平家物語の一節を借りて、「EV(電気自動車)にあらずんば、クルマにあらず」と同モーターショウの特徴を伝えています。

 フランス、イギリスが2040年以降はガソリン車の販売を禁止する政策を打ち出し、中国もそれに追随しようとしているなかで、確かにEVシフトは鮮明です。熱に浮かれたようにEV、EVです。

 地元の独BMWは、EVコンセプトカーの「iビジョン・ダイナミクス」を初公開しましたが、1回の充電で何と600kmも走ることができるといいます。日産が9月にモデルチェンジしたリーフは400kmです。その1・5倍も走れるというから驚きです。

レスポンス フランクフルト BMWのEV
(BMWのEVコンセプトカーの「iビジョン・ダイナミクス=「Response」から」

 日経(13日付)は、独VWの動きを、「25年までに独アウディなどグループ全体で50車種以上のEVを投入する。30年までの開発などにかかる投資は200億ユーロ(約2兆6千億円)で、これとは別に電池の調達に500億ユーロ規模を費やす」などと伝えています。

 日本のメーカーはどうか? ホンダが「アーバンEVコンセプト」を公開。八郷隆弘社長が、このモデルをベースにしたEVを19年に欧州で発売すると語ったといいます。

 トヨタは、というとテレビでブースが映りましたが、EV化の動きを伝えていません。トヨタのホームページもフランクフルト・モーターショーについて探しましたが見つかりませんでした。

日経 フランクフルト
(日経新聞、9月13日付から)

 日本では2年に1回の東京モーターショーが10月27日から始まります(11月5日まで)。自動車生産で世界のトップを走る日本が、フランクフルト・モーターショーのようにEVシフトを鮮明にするのでしょうか?

決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2017/09/14 11:40

◎米IT5大巨人 手元資金のすごさ

 日経新聞が、米IT5大巨人の手元資金(現預金や換金性の高い有価証券、貸付金などの合計)が、日本の税収(16年度で約55兆円)を上回っているという記事を掲載している(9月5日付)。

 IT5大巨人とは、アップル、フェイスブック、アルファベット(グーグルの持ち株会社)、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトのこと。

 日本で最大の手元資金を持つ大企業は、トヨタ自動車の16・6兆円。これに対し、IT5大巨人のアップルは28・8兆円で、トヨタの2倍近くになる。

 マイクロソフトは15・2兆円、アルファベットは11・1兆円、フェイスブックは3・9兆円、アマゾンは2・5兆円と続く。6月末で、5社で約62兆円にもなる。

IT5大巨人
(日経新聞、9月5日付から)

 この5社は、人工知能(AI)やあらゆるものがネットにつながるIOT(Internet of Things)という「第4次産業革命」のトップ企業群でもある。

 自動車産業は今、ガソリン車から電気自動車へ、AI技術を中核にした自動運転へと急速に変貌しようとしている。自動車メーカーの競争相手は、グーグルなどIT企業に取って代わっている。

 そうした5大IT企業の膨らむ潤沢な手元資金。日経の記事は、世界の自動車産業の覇権争いを、手元資金面から示しているように見える。
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/09/07 08:28

◎トヨタ ネット資金量7兆8000億円

 トヨタ自動車の総資金量が9兆3640億円の巨額にのぼっています。8月4日に発表した2018年3月期第1四半期(4~6月)で明らかにしています。

 総資金量は、現金および現金同等物や定期預金、有価証券、投資有価証券(株式を除く)などを合計したものです。金融事業を除いた自動車事業の手元資金をあらわすものです。

 このうち有利子負債残高を差し引いたネット資金量は7兆8728億円にのぼります。この4~6月のわずか3カ月間で、17年3月末より1097億円増やしています。

 トヨタが決算のプレゼンテーションで、こうした表を明らかにするのは、これまでなかったことです。

15 ネット資金量 201803 4~6


 トヨタは、第1四半期決算で18年3月期の営業利益見通しを、1兆8500億円と発表しました。2期連続の減益見通しとはいえ、2兆円に迫る巨額の利益です。もちろんダントツの日本1です。

 内部留保の大部分を占める利益剰余金は、17兆8837億円にもなっており、これも圧倒的に日本1です。
決算・経営計画 | コメント(7) | トラックバック(0) | 2017/08/08 08:59

◎トヨタ 今期の営業利益見通し1兆8500億円

 トヨタ自動車は8月4日、2018年3月期第1四半期(4~6月)の連結決算を発表しました。このなかで、18年3月期の営業利益見通しを、期首より2500億円増やし1兆8500億円と発表しました。

 2期連続の減益になるものの、前期並みの2兆円に近い営業利益を確保する見通しです。期首より5円の円安にふれていることやお家芸の原価低減で利益を押し上げるとしています。

 ダイハツと日野自動車を含めたグループの世界販売台数は、前期並みの1025万台で、期初の見通し通りとしました。

18年3月期見通し 第1四半期
(トヨタの決算プレゼンテーション資料から)

 17年1~6月の世界販売では、日産・三菱自動車・ルノー連合が独フォルクスワーゲンやトヨタを抜いて初めて世界1になりました。3グループの1000万台をめぐる激しい争いが続きそうです。

 販売台数は、日本や欧州で上方修正しました。北米は、ガソリン安でSUVなどが好調ですが、プリウスなどのセダンが苦戦のため引き下げました。

 決算発表では、「2期連続の減益を回避すべく、収益改善策の更なる積み上げに取組む」としています。

 また、プレゼンテーション資料では、異例ともいえる「競争力強化に向けた取り組み」と題した「攻め」「守り」「働き方改革」の具体例を示しています。

 「攻め」では、「重点分野(自動運転、AI、次世代環境車等)への研究開発 リソーセスシフト」などを、「守り」では、「カンパニー制を活かした即断即決による需給ギャップの早期解消」、「働き方改革」では、「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による定型業務の自動化(レポート作成、問合せ対応等)」などをあげています。

 この日発表した4~6月の連結決算では、営業利益が前年同期比11%減の5742億円になったものの、販売台数は前年同期比で6万台余り増え259万台になったといいます。

決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2017/08/06 07:43

◎トヨタの大株主 カストディアンとは?

 トヨタ自動車は、2017年3月期の有価証券報告書を6月23日、金融庁に提出しました。このなかに大株主として上位10位までを公表しています。

 1位は、「日本トラスティ・サービス信託銀行」で、全株式の11・01%を保有しています。2位は、トヨタ自動車の親会社の豊田自動織機で6・33%。3位が「日本マスタートラスト信託銀行」で4・7%です。

 豊田自動織機はわかりますが、「日本トラスティ・サービス信託銀行」とか、「日本マスタートラスト信託銀行」とは何でしょうか? この疑問に答えてくれるのが、『財界支配――日本経団連の実相』です。

直 トヨタ 大株主 2017年3月期


 日本共産党の佐々木憲昭・元衆院議員が16年1月に出版した本です。トヨタなど経団連の役員企業を1970年代から約50年にわたって、自民党政府とのつながりや売上、利益の海外依存度の変化、株主の変化、税・金融政策、軍事産業などにわたって詳細に分析した力作です。

 以下は、本書からの引用です。カタカナ名の2つの信託銀行は、カストディアンといわれる、投資家に代わって有価証券を管理・保管する業務に特化した信託銀行・資産管理信託会社のことです。

 カストディアンの背後にいるのが資産運用会社であり、そのウラには資金の直接の出し手である投資家がいること。投資家は、年金基金、保険会社などの機関投資家が中心ですが、ヘッジファンドの投機スジもあるといわれています。

 カストディアンは、投資家の代理人で、「常任代理人業務」(カストディ)が名称の由来です。

 「日本トラスティ・サービス信託銀行」は、三井住友トラスト・ホールディングス系が2000年に設立したものです。「日本マスタートラスト信託銀行」も同年に、三菱UFJ信託銀行系が設立したものです。

 トヨタの大株主の9位の「資産管理サービス信託銀行」もカストディアンで、みずほフィナンシャルグループ系です。トヨタの1・63%の株を保有しています。3つのカストディアンは、3大メガバンクの系列ごとに設立されたものです。

 また、アメリカを中心とするグローバル・カストディアンもあります。トヨタの大株主5位の「ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー」が、それにあたります。

10 財界支配 佐々木憲昭


 経団連役員企業では、1970~90年までは、大株主上位10位に占める日本と世界のカストディアンはゼロでしたが、2015年には6割を超えるまでに急速に増えました。役員企業は、カストディアンの圧倒的保有化に置かれているのです。

 カストディアンの最大の目的は、「保有資産の収益最大化を目指すこと」に置かれ、「運用収益を上げること」が「忠実義務」となっていることから、株主として企業に収益力向上と株主への利益還元を増進させるテコとなっています。

 実際、トヨタの株式配当は、リーマン・ショック時の巨額赤字を抜け出した後の12年3月期の1株50円から急激に上昇し、17年3月期は210円と4倍以上です。配当総額も1577億円から6275億円へと4倍になっています。

 17年3月期は営業利益が8595億円も減ったにもかかわらず、前期並みの1株210円を維持しました。株主ファースト、しかも日米のカストディアンに、トヨタの労働者が汗水して働いて上げた利益の大半が持っていかれるのです。

決算・経営計画 | コメント(15) | トラックバック(0) | 2017/07/07 08:30

◎豊田社長礼賛が相次ぐが トヨタ株主総会

 トヨタ自動車の株主総会が6月14日、豊田市のトヨタ本社で開かれた。従業員の持ち株主として持ち続けてきたので毎年、出席している。本社周辺が渋滞するので早めに家を出て8時30分過ぎに着いた。

 豊田章男社長の顔の見える第1会場に入ることができた。今年は第6会場まで設けられ、5227人と過去最高の株主が集まった。

 トヨタの17年3月期決算(連結)は、営業利益が円高などで前期より8595億円減って1兆9943億円になった。18年3月期も3943億円減って1兆6000億円の見通しである。

 2期連続で減益になる見通しのなかで、株主配当は1株当たり年210円と前期並みを維持した。一方で、社員への賃上げは前年の1500円から1300円へと減らしている。

株主総会 記念品 (2)


 株主ファーストのせいか、20人近くの質問があったが、豊田社長をほめたたえるものが多く、世界の自動車会社が激しい競争をくり広げるなかで、緊張感が感じられなかった。

 自動車産業は、ガソリン車に代わる次世代車は、ハイブリッド車か、電気自動車か、燃料電池車かと激しい争いをしている。AI(人工知能)を使った自動運転では、グーグルなど米IT企業と熾烈な競争の中にある。

 昨年の世界販売では、独VWに抜かれ2位に退いた。トヨタは、これからどうするのか? ある株主は、巨額の手元資金の使い道を質問した。豊田社長ら幹部は、他の企業との合併・買収をはじめ毎年1兆円規模の研究開発投資を続けることや自動運転技術など未来への投資について語った。

 豊田社長が好きだと言う男性は、社長を持ち上げる話を延々と続け、議長席の豊田社長から、「ところで質問はなんですか」とうながされ、会場から失笑がもれた。

 議案の採決は、「原案通り承認をうけたまわりますようにお願いします」というだけだ。トヨタ全株の8割は、メガバンクや証券、外資などの法人だ。事前に承認を取り付けているのだろう。

株主総会 記念品 (1)


 残り2割のほどの個人株主のなかの少数が総会に参加していても、株総数でいうと微々たるもの。最後に、豊田社長は、涙ぐみながら声を詰まらせて感謝の言葉をのべた。会場からは激励の声が出た。情緒的な雰囲気が全体に漂っていた。

 中日新聞は、この日の紙面で、豊田社長が株主総会を「1年で1番楽しい日」と語っていることを載せていたが、その通りの総会になった。

 株主への記念品としてWRC(国際自動車連盟が主催する世界ラリー選手権)2017で入賞を果たすなどしているヤリス(日本名ではヴィッツ)のミニチュアが配られた。「孫へのお土産になったよ」と語る年配の株主がいた。

               ◇

 この記事は、6月16日にアップする予定でしたが、都合により前日にアップしました。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2017/06/15 16:37

◎運転は楽しいですか? 伊勢専務が語るAIと水素

 月刊『文芸春秋』(2017年6月号)で、トヨタ自動車の技術責任者の伊勢清貴専務役員・先進技術開発カンパニープレジデントが同誌のインタビューに応じ、これからトヨタは「AIと水素で勝負する」と率直に語っています。

 100年に一度といわれる自動車業界の大変革の時期に必要なのは、AI(人工知能)とEV(電気自動車)ではなく水素で走るFCV(燃料電池自動車)の2つだと断定しており、これからのトヨタの技術の方向を示す興味深い内容です。

 AIは、車の自動運転に不可欠な技術で、世界の自動車メーカだけでなく、グーグルやアップル、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブック、IBMなど主にアメリカのIT大企業が激しく争っています。

 トヨタは、2016年1月にIT技術の集積地の米シリコンバレーに、トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)を設立しました。ギル・プラット氏が最高経営責任者に就任します。

 ギル氏は、アメリカのAI研究の第一人者で、伊勢専務は同氏とロボットコンテスト会場の片隅で仮契約のサインを交わした秘話を明かしています。ギル氏がトヨタにとって、それほど必要だったのでしょう。

文春 伊勢専務
(『文芸春秋』6月号で語る伊勢清貴専務役員)

 ここからが面白いところで、伊勢専務はトヨタがめざす自動運転の最終ゴールは、「『無人運転』ではありません」と語り、「自動車を愛のない『道具』にしたくない」といいます。

 うん? トヨタの自動運転の考えは、「ハンドルを握る楽しさ」だというのです。自動運転とは、運転できないとき、疲れたときのサポートをするのがトヨタのコンセプトだというのです。

 トヨタの豊田章男社長は、「モリゾー」の名で自動車レースに参加し、「もっといいクルマを」と社員に呼びかけるなど、常に「ハンドルを握る楽しさ」を語っており、その考え方が色濃く反映しているのでしょう。

 車を単なる移動の手段とするのではなく、運転する喜びを楽しみたいというのです。車はスポーツカーもあれば、高級車、大衆車、軽自動車などと広がっています。

みらい
(トヨタのFCV・ミライ)

 日本では、JRのローカル線廃止が相次ぎ、地方の移動手段は過疎化、高齢化と重なって深刻です。さらに高齢者ドライバーのブレーキとアクセルの踏み間違いなどの事故が社会問題になっています。

 高齢化による免許証の返納運動も強まっています。“買い物難民”という言葉さえ生まれています。喫緊の課題としては、自動ブレーキなどを車の標準装備にするなどして事故を未然に防ぐことが必要ではないでしょうか。

 伊勢専務のインタビューを読みながら、スポーツカーや高級車に乗って運転を楽しむとともに、トヨタが率先して車の事故ゼロをめざしAI技術を磨いて欲しいと思いました。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2017/06/01 15:19
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