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◎トヨタとJAXAの「有人与圧ローバー」 19年3月期決算から⑤

 トヨタ自動車とJAXA(宇宙航空研究開発機構)などが共同開発している「有人与圧ローバー」。そのイメージ動画がユーチューブにあります。
https://www.youtube.com/watch?v=k2UY2wsWOIM

 月面に運び込まれる有人与圧ローバー。トヨタ自動車とJAXAの名前が書きこまれています。太陽パネル、6本のタイヤ。宇宙服を着た運転手が月面を走る準備をし(宇宙服を車の中で脱いだ後)、運転します。車輪の跡が刻み込まれた月面。その向こうに、青い、青い地球が登ってきます。

写真 有人与圧ローバー


 この有人与圧ローバーが、トヨタの2019年3月期決算のプレゼンテーション資料のトップの写真を飾っています。いつもはトヨタ車ですが、トヨタが宇宙にも乗り出したことを示すものでしょう。

 有人与圧ローバーについて、「トヨタイムズ」でトヨタの寺師茂樹副社長と宇宙飛行士でJAXAの若田光一理事が対談しています。
https://toyotatimes.jp/insidetoyota/014.html

 「トヨタイムズ」では、「ローバー」とは月面走行車のことであり、「有人与圧」とは車両内部を人に適した気圧に保つことで、飛行士が宇宙服を着る必要を無くすというものであること。このプロジェクトは2030年代前半での本格的な月面探査を目指している――と解説しています。

 ローバーにトヨタが乗り出すのは、動力源に燃料電池を予定しているからです。トヨタは2014年12月、水素を動力源とした燃料電池車(FCV)の「ミライ」を世界のメーカーに先駆けて販売しました。しかし、世界の次世代車は電気自動車(EV)へと大きくシフトしています。

 寺師副社長は、有人与圧ローバーのプロジェクトについて、「我々トヨタにとっては、水素社会をつくるひな形になるのではないかなと」と期待感を持って語っています。

 トヨタにとって、有人与圧ローバーは、FCV普及への大きな手がかりとしたいところです。それにしてもユーチューブ動画で、月面から見た青い地球の何といとおしかったことでしょう。
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決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/05/16 10:56

◎「TPS・原価低減の具体例」 19年3月期決算から④

 トヨタ自動車の19年3月期決算(5月8日発表)では、プレゼンテーション資料に「TPS・原価低減の具体例」を掲載しています。決算発表で、こうした具体例を示すのは異例です。

 豊田章男社長は、決算発表のあいさつで、世界の自動車産業の「100年に一度の大変革の時代」に、トヨタの「ブレない軸こそが『TPS』と『原価を作り込む力』だと思う」などとのべていますが、こうしたことを具体的に示したものです。

 プレゼン資料の具体例では、その1例として「試作費の低減活動」を紹介しています。TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)による開発プロセス改革や試作車両原価の造り込みなどを行ったことをあげています。

 4代目プリウスをスタートに、モデルチェンジした車はTNGAで次々とつくられています。それによって車両試作費は、15年3月期から低減を続け、19年3月期には「約65%低減」したとしています。

60 試作費の低減活動


 プラットホームの共通化で、先発車に続く派生車の試作台数は、半分以上減少したとのイメージ図を掲載。また、実車試験を繰り返すのではなく、シミュレーション技術を取り入れながら、その技術の精度を向上させ、実車試験に頼らない開発へシフトしていくとしています。

 さらに、▽仕入先との原価のつくりこみ――現地現物、知恵出しで課題を出して短期に改善を実施する――ことなど、▽顧客目線で車をよりスリムにする――たとえば電線の保護材の使用量を低減する――など生産技術水準に沿って対応を適正化していく例をあげています。

 ここには、トヨタの得意の原価低減をいっそう徹底し、利益に貢献しようというねらいをこめています。19年3月期では、「原価改善」で利益を800億円押し上げていますが、2000年3月期には1100億円の「原価改善」をめざしています。
決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2019/05/13 17:30

◎株主ファースト トヨタの株式配当、自己株式取得 19年3月期決算から③

 トヨタ自動車の2019年3月期決算を見てみると、株主優先を貫いていることが、よくわかります。株主や従業員、取引先、顧客などのステークホルダーのなかで株主ファーストです。

 決算プレゼンテーションには、参考資料として、この4年間の業績推移の表があります。その1つが株主への「総還元額」です。株式配当は、15年3月期からの4年間、1株当たり200円、210円、210円、220円、そして220円(19年3月期)と右肩上がりです。

 総額も6000億円を超えるばく大な額です。トヨタの株主は、「個人その他」は22・4%(18年3月期決算)にすぎません。金融機関(32・2%)、「その他の法人」(20・91%)、「外国法人」(22・35%)と圧倒的に金融機関と大企業、海外企業が占めています。ばく大な配当は、こうした企業へ流れているのです。

 また、「自己株式取得」が配当総額とほぼ同程度を行っていることが特徴です。自己株式取得とは、企業が発行した株式を市場から買い戻すことを指しています。これによって、株主側は流通している株式が減少することから株価の上昇につながるといわれています。

 また会社にとっても、自社株の取得により株価は上昇することで、M&A(合併と買収)対策にもつながるといわれています。株主ファーストを貫いているのです。

トヨタ 総還元額


 一方、昨年の18春闘では、トヨタは賃上げ(ベア)額を公表しませんでした。今年の19春闘では、組合側が会社の対応に沿って、要求額のうちのベア額を公表しませんでした。

 日本最大の企業がベア額を公表しないことで、トヨタの賃金がどうなっているかわからず、強い批判が寄せられました。

 トヨタは、「CSR方針」の前文で『持続可能な発展のために、全てのステークホルダーを重視した経営を行う』こと、『オープンで公正なコミュニケーションを通じて、ステークホルダーとの健全な関係の維持・発展に努める』ことを宣言しています。

 「CSR方針」から見ても、あまりにも株主優先になっているのではないでしょうか。
決算・経営計画 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2019/05/12 16:38

◎トヨタの総資金量は潤沢 何と8兆円! 19年3月期決算から②

 トヨタ自動車の連結総資金量が7兆9366億円もの巨額にのぼっていることが5月8日に発表した19年3月期決算で明らかになりました。実質的な手元資金といわれる総資金量はばく大なものです。

 総資金量とは、金融事業を除いた現金および現金同等物、定期預金、市場性ある負債証券および信託ファンドへの投資です。短期間に現金化できるもので、“トヨタ銀行”といわれるほどの潤沢さです。

 連結総資金量は、16年3月期からの4年間の推移はトヨタが決算プレゼンテーションで明らかにしている表のようです。有利子負債を除いても8兆円前後というばく大な金額で推移しています。

トヨタ 総資金量 201903


 こうした総資金量は、営業利益で日本の大企業でダントツの約2兆5000億円も稼いでいることにあります。内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は21兆円にものぼっています。

 世界の自動車産業は、米巨大IT企業も巻き込んで「100年に1度の大変革期」(豊田章男社長)といわれ、電気自動車、自動運転など「CASE」と呼ばれる激烈な競争に入っています。

トヨタ 研究開発費


 トヨタが「CASE」で先頭集団を走り、毎年1兆円を超える研究開発費を投じているのも、こうした潤沢な総資金量に裏打ちされています。これほどの手元資金があるのなら、労働組合員への賃上げや下請け単価の引き上げ、期間従業員など非正規労働者への正社員化などにもっと使って欲しいところです。
決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2019/05/11 21:20

◎豊田社長は決算発表で何を語ったのか 19年3月決算から①

 世界の自動車産業の「100年に1度の大変革の時代」(豊田章男社長)といわれる中で、トヨタ自動車はどこへ向かって走ろうとしているのでしようか? 2019年3月期決算発表(5月8日)で、豊田社長のあいさつと、この4年間の業績推移から見てみました。

 決算発表のプレゼンテーションから、この4年間の連結の販売台数、売上高などを見てみると、ほぼ横ばいか、微増にとどまっています。リーマン・ショック(08年)前の急成長・急拡大が要因で、大幅赤字、利益減になったことから、一旦立ち止まる、「意思ある踊り場」(豊田社長)にして、量を追うのではなく、持続的成長をめざしたからでした。

トヨタのこの4年間


 しかし、営業利益は2兆円ほどから2兆5000億円ほどもコンスタントに稼ぎ出し、内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、日本の大企業で比べる企業がいないほどの21兆円をため込んでいます。

 販売台数、売上という量ではなく利益を確実に上げてきたのです。それは、「トヨタの真骨頂である『TPS(トヨタ生産方式)』と『原価の作り込み』の再強化」(豊田社長)というように徹底した「ムダ、ムリ、ムラ」(同)の排除でした。
 
 その上で豊田社長は、これからのトヨタの道を示します。トヨタが培ってきた競争力――クルマの「リアルの世界」では、「TPSに基づくモノづくりの力」のほかに、世界中に張り巡らした約1万6000拠点の「ネットワークの力」と全世界で保有しているトヨタ車の1億台以上の「保有の力」があると指摘しています。

 そうした力の上に、大変革のキーワードである「CASE」を実現するためには、単独開発にこだわらず、特許を囲い込むのではなく、「仲間を増やす」こと――つまり、トヨタを核にしたさらに大きなグループを作ることだといい切ります。

 また、クルマ単体だけではなく、町全体、社会全体を視野にした「コネクティッド・シティ」という発想が必要なこと――モノからサービスまでを手がける「モビリティサービス・プラットフォーマー」をめざすとしています。

クルマを軸にクルマ周辺のサービスを含めた大きな“基盤”を作り上げることで、これまで以上の利益を上げていく道筋を示したものです。

レクサス


こうした道が、トヨタで働く者にとってどうなるのかが大いに気になるところです。3月の19春闘では「組合、会社とも、生きるか死ぬかの状況がわかっていないのではないか」と一喝した豊田社長。職場では、「生きるか死ぬか」と煽られているからです。
決算・経営計画 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2019/05/10 21:56

◎トヨタ、ダントツ決算 売上30兆、利益2・5兆、内部留保21兆

 トヨタ自動車は5月8日、2019年3月期決算を発表しました。売上高は、前年同期比2・9%増の30兆2256億円で、国内企業として初めて30兆円台に乗せました。

 本業の利益を示す営業利益は、同2・8%増の2兆4675億円、内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、前期より2兆5140億円増やし21兆9875億円でした。どの数字も、日本の大企業でダントツの1位です。

 営業利益の過去最高は、16年3月期の2兆8539億円で、これには及びませんでした。

 トヨタ単体の世界販売台数は、前期より1万3000台増の897万7000台でした。国内販売は、前期より2万9000台減の222万6000台でした。

 ダイハツ工業と日野自動車を含むグループの世界販売台数は前期より16万2000台多い1060万3000台となり、過去最高を更新しました。

修 トヨタ 連結決算要約
(トヨタの決算プレゼンテーションから)

 また、原価改善で800憶円の利益要因を作っています。

 株主配当は、前期並みの1株220円としています。

 20年3月期の販売見通しでは、トヨタ単体では2万3000台増の900万台と予想しています。国内では2万6000台減の220万台で、その一方で欧州やアジアが伸びると予想しています。

 グループでの販売見通しは、13万7000台増の1074万台と過去最高を予想しています。

 同じく売上高の見通しでは、2256憶円減の30兆円、営業利益は825億円増の2兆5500億円と予想しています。

 豊田章男社長はあいさつで、 「100年に一度」と言われる大変革の時代に、 「ブレない軸、変えてはいけないことを明確にしておくことが必要。ブレない軸こそが、『TPS』と『原価を作り込む力』だと思う」とのべました。

 その上で、10年間社長を続けてきたことを振り返りながら、「トヨタを『モビリティカンパニー』にフルモデルチェンジすることこそが、私の使命であるとの想いに至りました」と強調しました。

決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2019/05/09 17:57

◎レクサス 世界で累計1000万台販売

 トヨタ自動車は2月25日、高級車「レクサス」ブランドが世界で累計販売1000万台に達したと発表しました。

 1989年に北米に最上位機種の「LS」を販売してから30年になります。日本では2005年から販売。今やレクサスが普通に走るほどになっています。18年の世界販売台数は69万8330台で過去最高を更新しました。

レクサス ES
(レクサス ES)

修 レクサス 2018年地域別販売台数
(レクサスの地域別販売台数=2018年)

 地域別では、北米が半分近くの32万3482台。2位が中国で16万1862台。3位が日本で5万5098台でした。19年は、前年比約9%増の76万台を販売する計画です。

 国内には、LS、IS、GX、RCを生産する田原工場(愛知県田原市)、GS、LCを生産する元町工場(愛知県豊田市)、ES、HS、CT、RX、NXを生産するトヨタ九州(福岡県宮若市)の3拠点があります(生産時点は2008年2月)。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/02/28 18:24

◎MaaSとは何? トヨタの友山副社長のプレゼン

 トヨタ自動車の決算発表では、業績の内容だけではなく、トヨタの経営戦略--競争力を役員がプレゼンするようになりました。2019年3月期第3四半期(18年10~12月)決算発表(2月6日)では、友山茂樹副社長が「トヨタのコネクティッド&MaaS戦略」と題して発表しました。

 まず、最近使われるようになった「MaaS」とは、何でしょうか? 電動化、自動運転化、コネクテッド化など世界の自動車産業の「100年に1度の大変革の時期」(豊田章男社長)のなかで、さかんに使われるようになりました。

「Mobility as a Service」の略です。自動車やタクシー、電車、飛行機、船などの交通手段をばらばらにとらえるのではなく、総合してとらえ、そのサービスを一括して提供しよう――などというものです。

 豊田社長も、「トヨタを『自動車をつくる会社』から、『モビリティカンパニー』にモデルチェンジすることを決断しました。すなわち、世界中の人々の『移動』に関わるあらゆるサービスを提供する会社になるということです」(2018年の社長メッセージ)と語っています。

15 友山副社長
(友山副社長のプレゼン資料=トヨタホームページから)

 友山副社長はプレゼンで、①「全てのクルマをコネクティッド化し、『モビリティサービスプラットフォーム』(MSPF)を構築」、②「ビッグデータの活用を推進し、お客様や社会に貢献すると同時に、『トヨタ自身のビジネス変革』を推進」、③「様々な企業と提携し、『新たなモビリティサービスを創出』--の「3つの矢」を示しています。

 その上で、トヨタのDNAのコネクティッド「改善」やTPS(トヨタ生産方式)を取り入れ、「車載ソフトウェアを常に最新に維持、かつ、更新コストを低減」--する具体例などを示しています。

 また、「ソフトバンクグループのIT資産と、トヨタグループのモノ造りの力を融合し、新たなモビリティサービスを創出」するなど「MaaSにおけるグローバル提携」を明らかにしています。

 このなかには、自動運転の普及に向けた統合制御ソフトウェア開発の合弁会社(昨年12月28日に設立)にかかわったアイシンやアドヴィックス、ジェイテクト、デンソーのトヨタ関連会社もふくまれています。

 友山副社長のプレゼン資料をトヨタのホームページから見てみませんか。
https://www.toyota.co.jp/pages/contents/jpn/investors/financial_results/2019/q3/competitiveness.pdf
決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2019/02/18 10:21

◎営業利益は増、純利益は減 トヨタ第3四半期決算

 トヨタ自動車は2月6日、2019年3月期第3四半期(18年10~12月)の連結決算を発表しました。

 このなかで、3月期の見通しは、本業のもうけを示す営業利益は前期並みの2兆4000億円としましたが、純利益はこれまでの2兆3000億円から1兆8700億円(25・0%減)に引き下げました。

 新車の販売は順調としていますが、株式相場の下落で保有株の評価損が純利益を引き下げると予想しています。

 ダイハツ工業、日野自動車を含むグループの世界販売台数の見通しは、これまでより5万台多い1055万台(1・0%増)に引き上げました。

20 トヨタ 2919年3月期見通し
( トヨタの2019年3月期見通し=トヨタの決算プレゼンテーションから)

 18年4~12月の営業利益は、前期比9・5%増の1兆9379億円、純利益は29・3%減の1兆4233億円で、2年ぶりの減益となりました。

 国内(4万4000台減)や北米(4万1000台減)で販売台数は減ったものの、中国をふくむアジア(12万7000台増)で増やしました。

 内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、2兆581億円増やし、21兆5316億円になりました。断トツの日本1です。

 スマホと投資の2本立てのソフトバンクグループもこの日、第3四半期の決算を発表しました。18年4~12月の営業利益は1兆8590億円でトヨタを下回ったものの、純利益は1兆5383億円でトヨタを上回りました。

決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/02/07 11:48

◎トヨタ3位 18年世界販売台数

 2018年の世界の自動車販売で、1位がドイツのフォルクスワーゲン(VW)、2位が日産自動車・仏ルノー・三菱自動車の3社連合、3位がトヨタ自動車であったことが1月30日、明かになりました。

 トヨタが世界販売で世界1になったのは、リーマン・ショック時の08年(897万台)。米GMの落ち込みが激しかったためです。以降10年までの3年間、世界1でした。

 11年は、東日本大震災で部品の調達が滞り、3位に後退。12年から15年までの4年間は、ふたたび世界1位に。しかし、16年はVWが1位で、2位に後退していました。

 17年は、VWが連続1位、2位は、日産・ルノーが34%を出資(16年)し、グループ化した三菱自の販売台数が加わったことでトヨタを追い越したために、トヨタは3位でした。

表 トヨタグループのの世界販売台数 18年まで


 18年もこの順位になりました。独VWは、17年比0・9%増の1083万4000台で過去最高を更新しました。ドル箱の中国で、0・5%増の420万台を販売しました。

 日産・ルノー・三菱自グループは、前年比1・4%増の1075万6000台でした。このうち日産は、2・8%減の565万台、ルノーは3・2%増の388万台でした。三菱自は18・3%増の121万台でした。

 トヨタグループは、2%増の1059万4000台でした。2年連続で過去最高を更新しました。しかし、14年から5年連続で1000万台を超えたものの、横ばい状態です。

 このうちトヨタは、1・7%増の954万2000台、ダイハツは3・8%増の84万8000台、日野自動車は10・1%増の20万4000台でした。トヨタの国内の乗用車販売は4・8%減の139万台に留まっています。

 トヨタと日産の単体比較では、トヨタは日産の1・6倍を販売しており、いぜん大きな開きがあります。日産・ルノー・三菱自グループは、会長を務めたカルロス・ゴーン容疑者が、特別背任罪などで昨年11月に逮捕された影響がどのように出るかは不透明です。

 世界の自動車産業は、EV化や自動運転化など「100年に1度の大変革期」と言われる大激動の時期に突入。次世代車の覇権をめぐって、販売量よりも技術や他の産業との合従連衡を追求しています。

決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/01/31 11:33

◎トヨタグループ 自民党への企業献金1億円余

 トヨタ自動車グループの自民党への政治献金が、2016年で1億781万2000円だったことがわかりました。

 名古屋市内で11月23日に開かれた第34回トヨタシンポジウムで、政治経済研究所の佐々木憲昭主任研究員(元日本共産党衆院議員)が報告したもの。

 佐々木氏がトヨタ自動車をはじめ、トヨタグループの自民党(国民政治協会)への政治献金を、2011~16年までの6年間を調べたものです。

 それによると、2016年のトヨタ自動車の自民党への政治献金は6440万円。ダイハツ工業が1790万円、トヨタ車体が100万円、東京トヨペットが80万円、東京トヨタ自動車が60万円、トヨタ自動車東日本が50万円…と続き、合わせると1億781万2000円にものぼります。

60 財界の自民党への政治献金


 この6年間の推移を見て見ると、2011年はトヨタ自動車が5140万円で、グループ全体では8184万7000円でした。この6年間で2596万5000円増やし、1億円を突破しています。

 トヨタ自動車は、2013年から6440万円で推移していますが、この額は日本の大企業で1番です。毎年、2~3兆円近い、日本の大企業でダントツの営業利益を稼いでいることから、献金額もそれに応じた額になっています。

 たとえば、2014年の企業献金のランキングを見てみましょう。

 (1)日本自動車工業会    8040
 (2)石油連盟         8000
 (3)日本電機工業会     7700
 <4>トヨタ自動車      6440
 (5)日本鉄鋼連盟      6000
 <6>東レ          4000
 <6>キヤノン        4000
 (6)不動産協会       4000
 <9>住友化学       3600
(10)日産自動車       3500
<10>新日鉄住金      3500
(12)三菱重工業       3300
(13)野村ホールディングス  3200
(14)大和証券グループ本社 3000
<15>東芝          2850
(15)日立製作所       2850
(15)パナソニック      2850
(18)三菱商事        2600
(18)三井物産        2600
(20)ホンダ         2500
※2014年、単位は万円、<>数字は経団連会長を出した企業

 日本経団連や大企業が求めてきた法人税減税は、こうした自民党へのカネの力で実現したものです。長年の自民党政治のもとで、リクルート事件をはじめ、「政治とカネ」の問題がくり返し起きています。

 日本共産党国会議員団は2015年7月1日、カネの力で政治を買う企業・団体献金を全面的に禁止する法案(政治資金規正法改正案)を、衆議院に提出しました。

 しかし、審議されず棚ざらしにされました。企業・団体献金の禁止の声をもっと上げることが必要です。

               ◇

 この記事は、12月1日にアップする予定でしたが、前日にアップしました。
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/11/30 20:34

◎トヨタ この5年間の業績データ

 トヨタ自動車は、19年3月期の中間決算(18年3~9月)発表(11月6日)のパワーポイントで、5年間の「業績推移」表を掲載しています。15年3月期~19年3月期(見通し)の5年間です。

 連結販売台数、売上高、営業利益、当期純利益、連結総資金量、総還元額、研究開発費、設備投資の8つの指標です。決算発表のパワポで、こうした業績推移を掲載するのは異例です。

 これらの数値から何が読み解けるのでしょうか? 連結販売台数は、この5年間、16年3月期を除いて890万台で推移しています。横ばい状態です。「持続的成長をめざす」という経営戦略でしょうか。

30 トヨタの5年間のデータ


 営業利益は、17年3月期を除いて2兆円台で推移しています。日本の大企業で突出した利益を続けています。16年3月期は2兆8539億円で、3兆円に迫る利益でした。

 研究開発費は、電動化、自動運転化、コネクテッド化、シェア化の自動車産業の「100年に1度の大変革の時期」(豊田章男社長)を受けて、毎年、1兆円を超えています。

 株主への配当の総額は、1株200円、210円、220円へと引き上げ、毎年6000億円の巨額にのぼっています。

20 トヨタの利益剰余金


 この8つの指標にないのが内部留保の大きな部分を占める利益剰余金です。表をつくってみました(単位は億円)。15兆円から21兆円へと、毎年1兆円ずつ積み上げています。もちろん、これも日本の大企業で突出しています。

 このばく大な利益剰余金、私たち社員に還元されているのでしょうか? 15春闘(賃上げは4000円)、16春闘(1500円)、17春闘(1300円)、18春闘(「昨年を上回る」との日本語回答)の結果です。
決算・経営計画 | コメント(5) | トラックバック(0) | 2018/11/10 10:37

◎トヨタ 決算発表時 経営戦略を積極的に説明

 トヨタ自動車は、今年2月からメディアの記者らが取材する決算発表時に、役員がトヨタの「競争力強化に向けた取り組み」を説明しています。トヨタの経営戦略を積極的に明らかにしようという広報戦略です。

 これまでの2回は、「トヨタの競争力を支えるモノづくり」(河合満副社長/2月)と「トヨタのもっといいクルマづくり」(吉田守孝副社長/8月)でした。

 これに続いて11月6日の19年3月期中間決算(18年4月~9月)発表時には、「競争力強化・持続的成長に向けた販売の取り組み」をディディエ・ルロワ副社長とジム・レンツ専務が行いました。

 ルロワ副社長のパワーポイントは、トヨタのホームページに掲載されています。それによると、販売力強化に向けた基本方針は、「体力(収益)」「勢い(台数)」の確保と、新技術の普及であること。2018年のトヨタの販売目標は、前年比12万台増の950万台としています。

 その上で、日本と東京、中国での活動事例を示しています。東京では、4つの直営店を融合し、「トヨタモビリティ東京」へと、販売ネットワークの変革を開始すること。「町いちばん」「現地現物」と豊田章男社長が常に語っている言葉を使って、「世界中でトヨタウェイを共有」としています。

15 ライフスタイルカスタマーズ
(トヨタの「ライフタイムカスタマーづくり」=ルロワ副社長のパワーポイントから)

 また、顧客に対しては、①ライフタイムコスト(納車~代替)を減らす、②高い付加価値(バリューチェーンの強化・改善等)から成る「ライフタイムカスタマーづくり」を明らかにしています。

 レンツ専務のパワーポイントは、「北米における販売活動と収益改善の取り組み」のタイトルで、北米市場の「追い風と向かい風」を明らかにしています。具体的には、2020年までに、米国のラインナップの15%以上をハイブリッド・PHV・燃料電池車の電動化にしていくとしています。

 中日新聞(8日付)は、「米中戦略テコ入れ」の見出しで紹介しています。

決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/11/09 18:09

◎トヨタ 今期は売上高29兆5000億円の予想

 トヨタ自動車は11月6日、19年3月期の中間決算(18年4~9月)を発表しました。このなかで3月期の売上高見通しを、当初の29兆円から29兆5000億円(前期は29兆3795億円)へと上方修正しました。30兆円の大台へ乗せる勢いです。

 営業利益も、当初の2兆3000億円から、2兆4000億円へと上方修正しました(前期は2兆3998億円)。横ばいですが、日本の大企業でダントツの利益を稼ぐことになります。

 一方、グループの世界販売台数の見通しは、当初の1050万台のまま据え置きました。営業利益が増えるのは、想定為替レートをこれまでの1ドル=106円から110円に円安に見直したことや営業面の努力によるものとしています。

19年3月期 見通し
(トヨタの19年3月期見通し=中間決算プレゼンテーションから)

 豊田章男社長は、世界の自動車産業は、電動化や自動運転化など「100年に1度の大変革の時期」と語り、トヨタは「生きるか、死ぬか」だと危機感を煽っていますが、確実に利益を上げています。

 この日の中間決算では、内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、前期の18年3月期(19兆4735億円)から、わずか半年で1兆9833億円増やし、21兆4567億円になりました。日本の大企業で、突出した内部留保です。

 記者会見で小林耕士副社長は、「社員全員が原価意識を持つことで、体質をもっと強化したい」などとのべました。

 原価改善による営業利益の押し上げ額は、半年間で300億円にとどまり、年間数千億円(2010年3月期では、年間で5200億円)に達していたことに比べて落ちていること、販売台数が1000万台を超えた2014年以来、1000万台超の横ばいで推移しているもとで、原価低減でもっと利益をあげることをねらったものです。

 豊田社長は5月の18年3月期決算発表の席上で、「トヨタの真骨頂は『トヨタ生産方式、TPS』と『原価低減』です」とのべていましたが、原価低減活動をさらに徹底しようというものでしよう。

決算・経営計画 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2018/11/08 18:07

◎車は持つものではなく、借りる時代?

 旅行などでレンタカーを使うことは、しばしばありますが、車は持つものではなく、借りるものというシェア化が、いよいよ現実のものになろうとしています。

 トヨタ自動車は10月1日、「税金や保険の支払い、車両のメンテナンス等の手続きをパッケージ化した月額定額サービス(サブスクリプション)を気軽に申し込むことができ、好きなクルマ・乗りたいクルマを自由に選び、好きなだけ楽しんでいただく」などという、名付けて「KINTO」(筋斗雲をイメージ)というサービスを開始すると発表しました。

 豊田章男社長が自動車産業の「100年に1度の大変革の時期」と呼ぶ、電動化、自動運転化、コネクテッド化、シェア化などのうちの車のシェア化の具体化です。

 同社長は、トヨタは車をつくる会社から「モビリティ・カンパニー」へ変革するとして他の企業との連携を次々に打ち出しています。車づくりトヨタのイメージを大きく変えようというものです。

10 LC500h
(レクサスも借りる時代に?)

 トヨタはまた、同日、豊田社長も出席して全国トヨタ販売店代表者会議を開き、全国約5000販売店の変革をすすめていくことを明らかにしました。

 これまでのように販売店ごとに販売する車種が違うことを改め、2022~25年をめどに、原則、「全販売店全車種併売化」を実施するというものです。東京では、19年4月から直営販売店4社が新会社「トヨタモビリティ東京」を立ち上げ、先行実施するといいます。

 同時に、「KINTO」を、19年初めをめどにトライアル導入するとしています。人材育成のために「TPS改善推進部」を設立し、働き方変革をめざすといいます。

 豊田社長は、トヨタの販売ネットワークの強みは、経営者が「地場資本」であると強調。「これからは『地域』、『故郷』という概念が重要になる」とのべました。

 車のシェア化がすすめば、車の生産、販売は減ることはないのでしょうか? 販売店の変革の具体化のなかで、これまで通りに「150万台販売を維持していく」としていますが…。

 豊田社長は、国内の雇用を守るために「国内生産300万台を死守する」と語ってきました。半分の150万台は国内販売に、半分の150万台は輸出にという計算です。

 ある労働者は語ります。「全社的に現場の間接部門は廃止の動きです。ソフトバンクとの提携などと、いろいろと動き出しているトヨタ。定年まで、この会社が存続しているかどうかわからないです」

決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/11/02 11:29

◎トヨタの労使拡大懇 友山副社長が語ったこと

 今年4月から毎月開かれているトヨタの「労使拡大懇」。9月度の出席役員は、友山茂樹副社長と籠橋寛典常務理事。トヨタ労組の機関紙「評議会ニュース」が伝えています。

 友山福社長は、“コネクティッドカンパニー”プレジデントで、今年8月、配車サービス最大手の米ウーバー・テクノロジーズとの協業のために、ウーバーに5億ドル(約560億円)を出資することをまとめました。

 籠橋常務理事は労使拡大懇で、トヨタとマツダが2021年から米アラバマ州で合弁会社を立ち上げるMazda Toyota Manufacturing, U.S.A(MTM)について語りました。

15 米アラバマ州 トヨタとマツダ
(米アラバマ州に建設するトヨタとマツダの合弁会社の工場建設予定地)

 友山副社長はトヨタ労組の執行委員、評議員ら幹部を前に、次のようなメッセージを発しました。

……
 豊田章男以外、誰にも背負いきれない重い使命がある。 それは、喜一郎から引き継がれてきたものであり、社長は、日々葛藤しつつ、そこから逃げ出さず、戦い続けている。

 豊田社長とこれまで取り組んできた仕事を振り返ると、全てが、「トヨタが造ったトヨタの壁をぶち破る」という挑戦だった。我々は、社長の重い使命を代わりに背負うことはできないが、同じ、高い志を持って、ともに戦うことはできるはず。
……

 トヨタの豊田章男社長は、祖父で創業者の豊田喜一郎から引き継いだ、トヨタの他の誰もが背負いきれない「重い使命」があると同時に、「トヨタの壁をぶち破る」という挑戦と戦い続けていると語ったというのです。

 友山副社長はその上で、「この100年に一度の大変革期こそ、豊田社長のもとに、若きリーダーたちが一丸となって、未来にたすきをつなぐとき」などと語ったといいます。

 豊田社長が常に語る、世界の自動車産業の電動化、自動運転化、コネクテッド化、シェア化など「100年に一度の大変革期」に、一丸となって頑張ろうというメッセージを組合に直接伝えたかったのでしょう。

 「社長と一緒に闘いましょう」は、5月からの労使拡大懇での一貫したメッセージです。労働組合は、会社に対し、賃上げや労働条件の向上を要求して闘う全員加入の組織です。労使拡大懇とは、経営方針の伝達場所なのでしょうか……。
決算・経営計画 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/10/27 18:01

◎経産省 「自動車新時代戦略会議」の「中間整理」

 経済産業省が音頭をとって、大学教授らの有識者やトヨタ自動車の豊田章男社長ら企業関係者でつくる「自動車新時代戦略会議」が発表した「中間整理」(8月31日付。全28頁)を読みました。

 世界市場に占める日本の自動車メーカーの販売シェアは29%と2位のアメリカの17%を上回ってトップ。電動化、自動運転化、コネクテッド化、シェア化など世界の自動車産業の大激動期に、日本が引き続き先頭を走るための「世界に掲げる長期ゴール」を明らかにしようというものです。

 そのために産学官連携を随所でうたっています。約3カ月間議論したなかで最大の目標が、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」(2015年12月)の達成です。自動車1台、1kmあたり、温室効果ガス排出量を2010年比で8割程度削減する目標を設定(乗用車は9割程度)しています。

 その上で、「究極のゴールとしての“Well-to-Wheel Zero Emission”チャレンジに貢献していく」と車単体での温室効果ガス排出量ゼロではなく、発電なども含めたゼロとしています。

 すでに2010年に、30年の次世代自動車の普及目標が国内乗用車で5~7割と示されています。しかし、電動化といってもハイブリッド車や燃料電池車に力点を入れるトヨタ、電気自動車の市販車でトップを行く日産自動車などメーカーの戦略、思惑があるなかで、企業が協調してどのようにして目標を達成していくかの具体化はこれからです。

eパレット
(トヨタのモビリティサービス専用次世代電気自動車(EV)「e-Palette(イーパレット)」。イメージは移動するレストラン)

 電動化でキーとなるのが電池です。そのコア技術といわれるのが「全固体電池」です。材料、設計、製造プロセスなどで自動車メーカー、電池メーカー、材料メーカー、研究機関、大学などが協調し、研究をすすめていくことの重要性と2022年度までの到達数字をあげています。

 「中間整理」では、最後に政府が「クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」や「電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の充電インフラ整備事業費補助金」などの「補助金」を付けてきたことを参考資料として掲載しています。

 これからも政府は、飴を与えるというものでしょうか。この「中間整理」に向けて議論がされた時期と、日産自動車やSUBARU(スバル)などでの無資格者による検査に続いて燃料、ブレーキなどの検査不正が明らかになった時期とはほぼ重なっています。足下での不正の根絶なくして、日本の自動車新時代は迎えられないでしょう。
決算・経営計画 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/10/11 12:19

◎世界の自動車市場半減 雇用問題に?

 日経新聞が「縮む新車市場」「雇用に打撃、生産奪い合い」との恐ろしい記事を掲載しています(10月7日付)。英調査会社IHSマークイットの調査を基にまとめているものです。

 同記事の表で見るように、世界の自動車の新車市場は、2011年~17年までの成長率が年3・7%だったのに対し、18年~25年は年2・0%に半減すると推測しています。

 世界1になった中国市場は、飽和状態になり、地方経済の停滞で成長率は8・0%から2・6%に急減すること。インド・パキスタンは伸びるものの、北米は0%に、日本は-1・5%になる――という見方です。

 なぜ、成長が止まるのか? 日経はグーグルなど米IT企業の自動運転技術の先に、車を所有するのではなく共有する――必要なクルマを、必要な時に、必要なだけ使うカーシェアの普及があると見ています。

図 縮む自動車市場
(日経新聞、10月7日付から)

 2017年の世界の四輪車の生産台数は9730万台です。年間1億台近い車が生産されています。トヨタ自働車だけで、その1割に当たる1000万台超を世界で生産しています。

 縮む新車市場では、自動車会社やIT企業などの生産奪い合いが起きて、雇用に打撃が出るというのが日経の見方です。

 どんなものでも、いずれは成長が鈍化するのは避けがたいでしょう。日本では、造船や鉄鋼が世界1の生産を争っていましたが、やがて成長は止まり、リストラの嵐が吹きました。

 テレビや半導体などで世界のトップを走っていた日本の電機も数十万人ともいわれるリストラを強行している最中です。ソニーなどが「追い出し部屋」までつくりました。日立は、「集中と選択」の経営方針で、“黒字リストラ”まで
行っています。

 自動車でも、日産自動車が“コストカッター”の異名を持つゴーン会長のもとで、工場閉鎖や下請けの選別などでドライなリストラをしたのは10数年前のことです。

 雇用を守るのは、労働組合の最大の役割です。世界の自動車産業は、電動化や自動運転化、コネクテッド化、シェア化など、「100年に1度の大変革の時代」(豊田章男トヨタ社長)に突入しています。労働組合は、労働者を犠牲にした大変革は、絶対にしないよう会社に求めていく時です。
決算・経営計画 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/10/09 14:35

◎トヨタとソフトバンクが提携 モビリティ社会の実現めざし

 トヨタ自働車(豊田章男社長)とソフトバンク(孫正義会長兼社長)がモビリティ社会の実現めざして提携するというニュースが10月4日、流れました。トヨタは、日本の大企業でダントツの利益No1企業ですが、ソフトバンクはそれに続くような利益を稼いでいます。

 そうした2社が提携するというビックニュースに、テレビ、新聞などメディアが大きく取り上げています。両社は、これまでソフトバンクがトヨタに提携を打診しましたがトヨタが断り、今回はトヨタがソフトバンクに持ちかけて実現にいたったといいます。

 トヨタの豊田社長は、この日のスピーチで、ソフトバンクの提携話を断った20年ほど前のことについて、「『若気のいたり』ということで、孫さんは、大目に見てくださったのではないかと感謝しております」と語っています。

 ソフトバンクの孫会長は、17年5月の決算発表(17年3月期)で、営業利益が1兆円を突破したことをあげ、日本で最初に1兆円になったトヨタは65年かかったが、ソフトバンクは36年で達成したと胸を張ったといいます。

 さらに同社を「世界トップ10」の会社にするなど野心的な目標を掲げています。現在は、スマホなどの通信会社だけではなく、昨年には「10兆円ファンド」を立ち上げるなど投資会社へと大きく舵を切っています。

10 eパレット
(トヨタのeパレットのイメージ)

 トヨタは、そうしたソフトバンクと今回の提携で何をめざしているのでしょうか? 両社が4日に発表したのは、新会社「MONET Technologies(モネテクノロジーズ)株式会社」(以下「MONET」)を設立し、2018年度内をめどに共同事業を開始するというものです。

 MONETは、ソフトバンクの「情報革命で人々を幸せに」とトヨタの「全ての人に移動の自由を」の二つのビジョンを融合し、安心・快適なモビリティ社会の実現をめざすとしています。

 トヨタの豊田社長は、電動化、自動運転化、コネクテッド化、シェア化など世界の自動車産業は「10年に1度の大変革の時代」に突入していると主張し、トヨタは「生きるか、死ぬか」と危機感を煽っています。

 これまでのように自動車を生産し、販売する会社から自動車を軸にした様々なサービスを提供するモビリティ会社への変革を急いでいます。ソフトバンクとの提携は、そうした流れのなかにあります。

40 MONET
(MONETの事業イメージ=トヨタのホームページから)

 MONETは、トヨタが構築したコネクティッドカーの情報基盤である「モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)」と、スマートフォンやセンサーデバイスなどからのデータを収集・分析して新しい価値を生み出すソフトバンクの「IoTプラットフォーム」を連携させるものと位置付けています。

 具体的には、▽利用者の需要に合わせてジャスト・イン・タイムに配車が行える「地域連携型オンデマンド交通」「企業向けシャトルサービス」などを展開する、▽2020年代半ばまでには、移動、物流、物販など多目的に活用できるトヨタのモビリティサービス専用次世代電気自動車(EV)「e-Palette(イーパレット)」による事業展開――をあげています。

 その例として、移動中に料理を作って宅配するサービスや、移動中に診察を行う病院送迎サービス、移動型オフィスなどのモビリティサービスを想定しています。
決算・経営計画 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2018/10/05 11:45

◎トヨタ 4販売網すべてで全車種販売 車種も30へと半減

 トヨタ自動車が、現在生産している約60種の車種を約半分にするとともに、トヨタ店やカローラ店など4つある販売網の約5000店舗で、すべての車種を販売する方針に2025年ごろをめどに切り替えるとのニュースが流れた。

 これまで車は、個人が所有するという時代から、必要な時にだけ借りるというシェア化(共有)へと変わろうとしている。若者の車離れが言われて久しい。

 トヨタは、世界の自動車産業の電動化、自動運転化、コネクテッド化とともに、シェア化などを「100年に1度の大変革の時代」(豊田章男社長)と位置付けている。

 自動車を生産・販売する会社から、サービスも手掛けるモビリティー会社への変革を唱えている。トヨタは、「大変革の時代」に突入したことで、「生きるか、死ぬか」と声高に叫んでいる。

 日本での自動車販売は、1990年の780万台をピークに、3分の2程度の約500万台へと減っている。トヨタも90年の250万台をピークに、3分の2の約150万台へと減った。一方、車種は約60種類へと増えた。

 トヨタは11月に開かれる全国の販売店の代表が集まる会議で、トヨタの方針を伝えるという。今後、販売店でのシェアリングも行うという。

トヨタ車
(トヨタは約60車種の車を生産・販売している)

 豊田社長は、事あるたびに、「国内300万台生産で雇用を守死する」と語ってきたが、車種の半減で雇用は守れるのか? 関連・下請けの営業は守れるのか?

 4販売網すべてで全車種を販売するとなれば、販売店の約9割が独立資本であることから販売店同士の競争が激化することは目に見えている。販売店の淘汰、人減らしが起きることはないのか?

 トヨタを世界トップクラスの自動車メーカーにしたのは、トヨタとそのグループ、販売店、関連・下請けなどで汗水して働いてきた数十万人の人々だ。「生きるか、死ぬか」と叫ぶだけではなく、その人々の雇用と営業、暮らしを守ることが第一だ。

 日本社会が人口減、高齢化と合わせて、じりじりと縮小している。様々な組織の解散、統合、縮小が聞こえてくる。そうしたなかでの日本の最大の企業のトヨタの動きは大きな影響をあたえるからだ。
決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2018/09/28 11:46

◎グーグル、トヨタを逆転 日経報道

 日本経済新聞が、「グーグル、トヨタを逆転」(9月13日付)という衝撃的な記事を1面トップに掲載していた。自動運転の特許競争力で、グーグルがトヨタを逆転したという。

 トヨタの豊田章男社長は、電動化などとともに自動運転化の動きを、「自動車産業が100年に1度の大変革の時代」と主張。社内では「生きるか、死ぬか」と叫び、危機感を煽っている。

 具体的な手立てとして、マサチューセッツ工科大学から米国防省へ移ったAI(人工知能)の第1人者・ギルプラット氏をヘッドハンティング。TRI(Toyota Research Institute)の最高経営責任者にするなど力を入れてきた。

 日経によると、2年前の調査では、トヨタが1位、GMが2位、3位が日産…などだったが、今年7月の時点ではグーグル系のウェイモが1位、2位がトヨタ、3位がGMの順位になったという。

 ウェイモは2年前の5位から急上昇した。その理由について、日経は次のように指摘する。

……
 ウェイモ躍進の原動力になったのがAI技術だ。地図や位置情報を使い、車や人の動き、交通状況を人に代わって識別・判断し、ハンドルやブレーキを自動制御する。こうした自動運転の中核技術で総合スコアの5割に当たる1385ポイントを獲得。同技術で204ポイントにとどまった2位のトヨタを大きく引き離した。
……



60 画像 グーグル、トヨタに逆転
(日経新聞、9月13日付から)

 日経は、トヨタなどは多くは自動プレーキや車間距離など運転支援技術にとどっているとのべる。2035年には、世界の新車販売の4分の1が運転者が原則不要な「レベル4」以上の自動運転車となる、というコンサルタント会社の予測を引用し、次のように指摘する。

 「膨大な地図情報から渋滞、実際の走行状況までを瞬時に解析する『データマシン』へと車が変わりつつあるが、それに日本車各社は対応できないでいる」

 「100年に1度の大変革の時代」に突入し、自動車メーカーの競争相手は、同業者だけではなく、グーグルなど米IT企業になってきたことを示したのが、今回の日経の自動運転特許競争力での比較だろう。
決算・経営計画 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/09/23 11:00

◎ライドシェア、ウーバーの光と影

 電動化や自動運転化、コネクテッド化とともにライドシェア(相乗り)は、世界の自動車メーカーとIT企業などが覇権争いをしている1つです。

 トヨタ自動車は8月28日、配車サービス最大手の米ウーバー・テクノロジーズとの協業のために、ウーバーに5億ドル(約560億円)を出資すると発表しました。

 トヨタは、副社長の次のような言葉を明らかにしています。

……
 トヨタの副社長であり、“コネクティッドカンパニー”プレジデントの友山茂樹は、「世界最大のライドシェア企業の一つであるUber社との提携は、トヨタがモビリティカンパニーへと変革する上で、重要なマイルストーン(大きな節目の意味)になるでしょう。

 トヨタとUber社、両社の技術とプラットフォームを連携させたライドシェアサービスは、安全で安心な自動運転モビリティサービスの実現へ向けた一つの道筋になると考えています」と述べました。
……

 トヨタとウーバーは、トヨタのミニバン「シエナ」をベースに、それぞれの自動運転技術を搭載した専用車の量産を2021年に行います。そのイメージ図は次のようです。

30 トヨタとウーバーの協業図


 労働組合や労働者の動きを取材している連合通信社は8月23日、ウーバーの動きを次のように伝えました。

……
 米ニューヨーク市のデブラシオ市長は8月14日、市議会が可決したライドシェア規制条例に署名した。これにより同市は全米で初めて、ライドシェア車の台数を制限し、運転手の実質的な最低賃金を設けることになる。

 市長は、3年前にも同様の規制をニューヨークタクシー労働者連盟(NYTWA)などとめざした。しかし、ライドシェア大手のウーバーやリフトは、数百万ドルを投じてロビイストを大動員し、その行く手を阻んだ。

 当時1万2600台だったライドシェア車は、現在8万台を超える。この供給過剰で運賃収入が激減するなど、生活苦を理由に昨年11月からたて続けに6人のハイタク運転手が自殺している。

 ライドシェア運転手も困窮しており、その85%は収入が、同市の最低賃金(今年時給15ドル)に届かないレベルだ。4割が空車走行しているため、交通渋滞が悪化している。

 条例では今後1年間は原則、ライドシェア車両の新規登録を認めない。その間、同市の規制機関であるタクシーリムジン委員会が、交通渋滞の実態調査を進め、ライドシェア運転手の最賃を策定。

ニューヨーク
(ニューヨーク=グーグルアースから)

 過当競争を防ぐため、ハイタク・ライドシェア全てのサービスに共通する最低運賃も導入される。台数制限は1年後も続くとする見方が強い。離職率が年間25%のウーバーやリフトは、運転手の処遇改善を迫られる。

 自殺したハイタク運転手ダグラス・シフターさんの追悼集会を2月6日に開いたNYTWAはそれ以降、ライドシェア規制を求め、精力的に集会や街頭行動を繰り返した。

 サービス労組(SEIU)32BJ支部の支援も受け、街ぐるみの運動をつくっていった。闘いは、タクシーとハイヤー、ライドシェア運転手の壁を取り払った。

「一番つらい立場の遺族たちが、その経験を公にした。休めば収入のない運転手たちが、家族を連れて集会にやってきた」とNYTWAのバイラビ・デサイ代表は振り返る。条例のほぼ全てが組合の要求に沿った内容だ。

 ウーバーやリフトは今回も反対キャンペーンを展開したが、条例案を修正できなかった。自殺者が相次ぐ事態を受け、3年前は両社に同調した市議会議員も、規制賛成に回った。
……

 ウーバーの配車サービスがタクシー労働者らの雇用を破壊し、交通渋滞を引き起こしていることなどをリアルに告発しています。

               ◇

 この記事は、9月2日にアップする予定でしたが、都合により前日にアップしました。

決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/09/01 11:12

◎トヨタ 利益剰余金20兆円突破 4~6月期決算

 トヨタ自動車は8月3日、2018年4~6月の期連結決算を発表しました。営業利益は前年同期比19%増の6826億円、純利益は前年同期比7%増の6573億円で過去最高を記録しました。

 売上高も4%増の7兆3627億円で、過去最高を更新しました。グループの世界販売台数は、2万6000台増(1%増)の261万台でした。レクサスの販売増などが目立ちました。

 営業利益に貢献したのが、トヨタの得意の原価低減で150億円、諸経費の低減で600億円、合わせて750億円にのぼりました。

 19年3月期の通期見通しは、アメリカの関税引き上げなどの影響が読み切れないとして、前年同期比で、売上高は1%減の29兆円、営業利益は4%減の2兆3000億円とするこれまでの見通しを据え置きました。

 グループの世界販売台数の見通しも、前年同期の1044万台より微増の1050万台のままとしました。

20 トヨタ 2019年3月期 見通し
(トヨタの決算プレゼンテーション資料から)

 内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、18年3月期からわずか3カ月間で、1兆4019億円増やし20兆8753億円になりました。20兆円を突破するのは初めてです。

 日本経団連会長会社の日立製作所の利益剰余金(6月30日現在)は、2兆1945億円で、トヨタの10分の1にすぎません。トヨタは、利益でも内部留保でも、他の大企業を寄せ付けないダントツの日本1の大企業であることを示しています。
決算・経営計画 | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/08/04 11:15

◎トヨタ 工場間で車種・製品の移管相次ぐ

 トヨタ自動車が、グループ企業をふくめて車種、製品の移管を相次いでいます。世界の自動車産業は、電動化、自動運転化、コネクテッド化など「100年に一度の大変革期」(豊田章男社長)に突入したり、トランプ米政権が輸入車への関税を現在の2・5%から25%へと大幅に引き上げることを検討しているなか、激しい動きを見せています。

 トヨタの子会社のトヨタ自働車東日本(宮城県大衡村)は7月20日、静岡県裾野市の東富士工場2020年に閉鎖すると発表しました。同工場は、12年7月にトヨタグループの3社が合併するまで、関東自動車工業の工場でした。

 トヨタの最高級車・センチュリーやジャパンタクシーなどを生産しています。東日本の宮城大衡工場(宮城県大衡村)や岩手工場(岩手県金ケ崎町)に移管するとしています。

 豊田自動織機の長草工場(愛知県大府市)で生産していたヴィッツも、今年秋には東日本に移管します。またトヨタは今年6月1日、トヨタの広瀬工場で生産している電子部品を、デンソーへ2019年末をめどに移管する方向で協議する、と発表しました。

80 日経 トヨタ生産再編図
(日経新聞のトヨタの生産再編図=7月21日付から)

 トヨタの世界生産台数(トヨタ・レクサスブランド)は、2018年3月期決算時点で、892万3000台です。このうち国内生産は319万9000台(35・9%)で、海外生産は、572万4000台(64・1%)です。国内生産は3分の1程度です。

 販売は、国内が159万7000台(17・0%)で、海外が782万3000台(83・0%)です。輸出は188万2000台です。国内で生産したうちの半分程度しか国内で販売できず、輸出頼みになっています。

15 トヨタ生産・販売台数 20180⃣3
(トヨタの生産、販売の見通しと実績=2018年3月期決算のプレゼン資料から)

 豊田章男社長は、国内の雇用維持やマザー工場として技術を磨くために、「国内生産300万台を死守する」とのべてきました。現時点では、300万台は維持しています。

 しかし、トランプ米政権が輸入車への関税を大幅に引き上げることが現実のものになり、日本の少子化がいっそうすすむなどすれば、300万台維持は相当厳しいものとなりそうです。

50 坂本・空洞化論文から
(トヨタの2015年の工場別生産能力=坂本雅子著『空洞化と属国化』から)
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/07/23 10:42

◎トヨタ 筆頭株主は公的マネー

 トヨタ自動車の筆頭株主は、公的マネーであることが「しんぶん赤旗」が報道(7月19日付)しています。なぜそうなるのか? 「赤旗」によると――。

……
 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が保有する株式は銘柄別の株数が公表されています。

 日銀は、株価に連動して運用される株価指数連動型上場投資信託(ETF)を年間6兆円購入することによって、株式市場に資金を投入しています。日銀が保有するETFの銘柄別内訳は公表されていませんが、日銀の購入方針などから、間接的に保有する個別銘柄の株数を推計できます。
……

筆頭株主はGPIF


 それによって、トヨタのGPIFマネーが1兆3562億円、日銀が5936億円、合わせて1兆9497億円と推計しています。表のようにトヨタは、大企業でトップで、2位のソフトバンクの2倍近くになります。

 「赤旗」は、東京証券取引所一部上場企業2064社のうち少なくとも710社で公的マネーが「筆頭株主」になっていること。3社に1社で公的マネーが筆頭株主となる異常事態になっていると指摘します。

 そして、「安倍晋三政権は日銀に大量のETFを買わせ、GPIFの積立金の株式による運用比率を2倍に拡大しました。株式市場に巨額の公的マネーを投入することによって株価をつり上げています」と分析しています。

 日本総合研究所の寺島実郎会長は、「GPIFという禁じ手」を使うもので、「年金で株を支えるという危うい構造のリスクと陥穽」があることを指摘しています(「寺島実郎の時代認識」、資料集2018年夏号)。

 その上で、経済とは「経世済民」=世を経(おさ)め、民を済(すく)う=であるとして、この立場から5年半のアベノミクスを総括しています。

 ・勤労者世帯可処分所得(2人以上の世帯)では、月43万円(2010年平均)から月43・4万円(17年平均)と横ばい
 ・家計消費支出(全国・2人以上の世帯)では、月29・1万円(2010年平均)から月28・3万円(17年平均)へと減少

 以上のデータを見ると、実体経済は動いておらず、「国民に恩恵なし」と結論づけています。
決算・経営計画 | コメント(10) | トラックバック(0) | 2018/07/19 11:29

◎ギルプラット・フェローが出席したって

【トヨタ職場談義】

 A 組合の評議会ニュースを読んだ?
 B 6月度の「労使拡大懇談会」の特集だろう。

 A 拡大労使懇は2回目だけれど、あのギルプラット・フェローが出席しているのに驚いたよ。
 B マサチューセッツ工科大学から米国防省へ移ったAI(人工知能)の第1人者といわれた学者だろう。トヨタが自動運転のためにヘッドハンティングした学者だ。

 A TRI(Toyota Research Institute)の最高経営責任者が、わざわざ労使懇に出席するなんてびっくりだ。TRIは米カリフォルニア州に本社を置き、従業員の多くは、元Google, Appleなどにいたというね。
 B 評議会ニュースによると、「人工知能や自動運転、ロボット開発を進めることで、人々の生活や移動の質を向上させる。事故を起こさないクルマを開発する」と語っている。

 A AIは労働者の仕事を奪うと盛んに言われているが。
 B だからわざわざギルプラット・フェローは、「AIは皆さんの仕事を置き換えるものではなく、増幅してすごいことが出来るようにするもので、これまで通り皆さんの能力は不可欠」だと語っているけれどね…。

 A 労使拡大懇では、自動運転やAI、ビックデータを担当する鯉渕健常務理事がパワーポイントを使ってトヨタの自動運転技術開発の目的、戦略などについて説明している。
 B ITジャイアントのグーグルやアップル、アマゾン、配車大手・ウーバーなどのロゴマークを示し、開発競争は「生きるか死ぬか」だと語っている。

 A 最近、トヨタでは「生きるか死ぬか」の言葉が多用されているけれど、なんか煽られている感じだね。グーグルは自動運転で、はるかに先を行っている。そんなITジャイアントにトヨタは勝てるのか?
 B 確かにね。パワーポイントには、「トヨタの生かした勝ち方」というのがある。TPSによるトヨタの「モノづくり力」と自動車メーカーとしての「データの量と質」をプラスすることだと明らかにしている。

40 ◆トヨタ本社地区5 グーグルアース
(トヨタ本社=グーグルアースから)

 A 労使拡大懇には、総務・人事本部長の上田達郎専務役員が、「豊田章男社長動画」(役員の会議で豊田社長の想いを伝える動画)について説明している。「生きるか死ぬか」の「死ぬ」の意味について、トヨタが、「世の中・各社から頼りにされなくなること」などと説明している。
 B 上田専務は、18春闘の労使協議会で、トヨタの賃金は「極めて優位性のある水準」と強調し、一時金の「要求水準は極めて高く、そのまま応えることは困難」とのべた役員だよ。そうした役員が労使懇で会社の経営戦略を説明するなんて違和感があるね。

 A 評議会ニュースでは、1回目の労使拡大懇に出席したトヨタコンパクトカーカンパニーの宮内一公プレジデントとの追加懇談会も掲載されていた。
 B 参加した組合職場役員らからは、「直接、危機感(収益等)のお話を聞くことができ、刺激を受けた」「経営は上に任せる、ではなく経営への貢献を全員が考える。まさに、“全員経営者”」などの感想を語っていた。これが組合活動の一環なのかなぁ。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/07/06 17:11

◎トヨタ、副社長の報酬10億円超 組合員の賃上げ総額と同じ

 トヨタ自動車は6月25日、2018年3月期の有価証券報告書を公表しました。同報告書を見ていて、びっくりしたのが役員報酬です。

 豊田章男社長は3億8000万円で、昨年の3億2200万円より2割近く増えました。目をむいたのが、ディディエ・ルロワ副社長(ルノーのルマン工場副工場長などを歴任)の10億2600万円で、昨年の6億8300万円の1・5倍にもなっています。

 1人で10億円超えです。同副社長は、トヨタの18春闘の第1回労使協議会(2月21日)に初めて出席し、次のように語りました。

 組合に対し、「(世界の自動車メーカーの)『生きるか死ぬかの戦い』を生き抜くために、『体力(収益)』と、市場が前年割れ見込みの中、トヨタは『勢い(プレゼンス)』を確保し、(18年の世界販売計画)対前年2桁増の950万台へチャレンジ」しようと呼びかけました。

 その労使協議会で、豊田社長が回答した賃上げは、組合の3000円要求に対し、「昨年を上回る」という日本語回答でした。昨年は1300円でした。日本の春闘のリード役のトヨタの日本語回答に、労働界からも批判がでるほどでした。

 日本語回答ですから実数は不明ですが、昨年並みの1300円と仮定すると、1300円×6万8000人(トヨタ労組の組合員数)×12カ月=は、10億6080万円です。

 なんと、ルロワ副社長の報酬の10億2600万円とほぼ同じではありませんか! ルロワ副社長の報酬がいかにばく大なものかがわかります。組合員には3000円の賃上げ要求に満額回答せずに、副社長には昨年より1・5倍も報酬を増やす――なにか間違っていませんか?

修 トヨタ 報酬1億円以上 18年3月期
(トヨタの2018年3月期の有価証券報告書から)

 ■報酬額が1億円以上のトヨタ役員(朝日新聞、6月28日付から)
内山田竹志会長       1億8100万円(1億8300万円)
早川茂副会長        1億800万円(―)
豊田章男社長        3億8000万円(3億2200万円)
ディディエ・ルロワ副社長 10億2600万円(6億8300万円)
寺師茂樹副社長       1億2400万円(1億1000万円)
 (2018年3月期の報酬額。連結子会社分を含む。カッコ内は前年。―は比較できず)
決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2018/06/27 21:05

◎トヨタ株主総会 「100年に1度の大変革の時代」に

 トヨタ自動車の株主総会が6月14日、豊田市のトヨタ本社で開かれた。本社周辺は、いつも自動車で大変混むので、午前10時開会だが、早めに出かけた。午前9過ぎに着いたが、すでに第1会場と第2会場はいっぱいだった。次から次へとバスが入って来る。

 結局、本社2階の大会議室に設けられた第5会場に入ることになった。会場のモニターで会議に参加した。参加者数は5250人だったことを、帰ってからテレビで知った。

 豊田章男社長が常に口にする、EV化や自動運転化など世界の自動車産業の「100年に1度の大変革の時代」といわれる中で、多くの株主の関心を集めたのだろうか。

 受付では、いつも記念品が渡されるのだが、今回は帰りに渡すと言われた。途中で帰る株主がかなりいるので、その対策かなと思った。ちなみに、今回は「トヨタジャパンタクシー」のミニカーだった。

12 トヨタ株主総会2018


 午前10時、豊田社長が議長になって総会が始まった。映像による事業報告、第1号、2号、3号議案、人事案件の説明が行われた。質疑応答では、多数の挙手が上がった。

 東京オリンピック・パラリンピックへの対応は? 車の税金を何とかして、社長と記念写真を撮りたい、EV化に伴う電力増加をどうするのか? 役員の選定基準は? 中国やヨーロッパのEVシフトにどう対応するのか?…等々の質問が出た。

 全体として、会社の方針を周知徹底させる場になった。トヨタの将来は万全だという印象を株主に与える総会になった。その下で、現場で働く社員のあり方がどう変わっていくのかは、ほとんど触れられなかった。

 なかでも5月の大型連休明けの18年3月期決算発表で、豊田社長が「トヨタの真骨頂は『トヨタ生産方式、TPS』と『原価低減』です」とのべたことが強調された。特に、今後は生産現場以外の事務・技術部門にも広げるという。

 会社は株主だけのものではない。トヨタがCSR《corporate social responsibility》で指摘するように、企業は「顧客、従業員、取引先、地域社会・グローバル社会」のすべてのステークホルダーのものであり、世界1の自動車メーカーの地位を争うトヨタには、大企業の大きな社会的責任がある。

 事務・技術職に導入された「FTL(I)」が、どのように展開されていくのか。EV化で部品が大幅に減るといわれるが、下請けはどうなるのか…。「100年に1度の大変革の時代」に、株主だけではなく、働く者や下請け、地域住民など全体がより良くなってほしいと強く願った。
決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2018/06/15 16:25

◎賃上げは下がる 配当金は上がる

 トヨタ自動車の2018年3月期決算発表(5月9日)では、配当金は1株当たり前期より10円上げて220円にするとしています。総額も151億円増やして6426億円とするとしています。

 配当金は、この5年間で165円から220円へと1・3倍も上がっています。トヨタの株主は、金融機関や国内法人、外国法人が80%近くを占め、「個人・その他」は21・37%にすぎません。

 労働者が汗水して働いてつくった車の利益の大部分が金融機関や外国の企業へ吸い取られていく構図です。

 一方、労働組合員の賃上げは、この5年間、2700円(14年)から4000円(15年)に上がったものの、その後は1500円(16年)、1300円(17年)、「前年(17年)を上回る」(18年)と下がっています。

25 賃上げは下がる 配当金は上がる


 賃上げは下がっているのに対し、配当金は上がっているのです。トヨタは、株主や下請けなどとともに従業員をステークホルダーと位置付けていますが、あまりにも株主優先ではないでしょうか。

 利益至上主義、規制緩和などを柱としたアメリカ発の新自由主義が日本に輸入された21世紀初頭ころから、株主最優先の考え方が大企業にまん延してきました。

 賃上げして労働者のふところを温かくし、購買力を高めて経済を好循環させる――安倍首相さえも日本経団連に3%の賃上げを要請したほどです。しかし、18春闘では賃上げ(ベースアップ)と定期昇給を合わせても3%に届いていません。

 トヨタの18春闘は、「前年を上回る」という日本語回答でした。▽上級スキルドパートナーの拡大、▽常2直手当の導入、▽期間従業員への家族手当の導入、▽事務技術職の自己研さん費用補助の導入――など様々な手当などをふくめて3・3%としています。

 トヨタなど大企業は、株主配当最優先を改め、賃上げや下請け単価の切り上げなどへ舵を切るべきではないでしょうか。
決算・経営計画 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2018/05/12 18:08

◎豊田社長は決算発表で何を語ったのか

 トヨタ自働車は5月9日、2018年3月期決算発表をしましたが、第2部で豊田章男社長があいさつをしました。このなかで豊田社長は、電動化、自動運転化、コネクテッド化など「自動車産業が100年に一度の大変革の時代」に、「トヨタらしさを取り戻す」として語った2つの言葉があります。

 それは、「トヨタの真骨頂は『トヨタ生産方式、TPS』と『原価低減』です」とのべたように、トヨタ生産方式と原価低減の2つの言葉でした。この言葉をくり返し語っています。なぜ、いま、トヨタで当たり前と言われている2つの言葉なのか?

 記者会見では、「何かがないと会社は変わらないと思うが、2つだけでいいのか」などと、とまどいの質問が相次ぎました。これに対し豊田社長は、「2つはトヨタのDNAであり、これを知らなかったらトヨタマンと言ってはならない」と断定しました。

 また、事務・技術職では、「生産現場のものだというのがはびこっている」と指摘し、この2つは、「トヨタらしさを取り戻す闘い」とまで言い切りました。

80 決算 社長挨拶
(豊田章男社長のあいさつのプレゼンから)

 あいさつのなかでも、「開発の現場にも、標準作業や原単位、すなわち1つのアウトプットを出すために必要な時間、コストというTPSの概念を持ち込み、開発のリードタイムを短縮してまいります」と語りました。

 3月期決算で、「原価改善の努力」で稼いだ利益は1650億円でした。かつては原価改善で5200億円(2010年度)~3000億円(03年度)も稼いだ時があり、これと比べると物足りないからでしょう。

 豊田社長は、「『原価低減』の力に磨きをかけて、『稼ぐ力』を強化し、新技術や新分野への投資を拡大してまいります」と力説しました。

 しかも電動化、自動運転化、コネクテッド化などは、豊田社長がのべているように、自動車会社だけではなく、グーグルやアップルなど「テクノロジーカンパニー」であり、そうした会社との「『生死を賭けた闘い』が始まっているのです」(豊田社長)。

 その闘いは事務・技術職が担っており、昨年12月からは“裁量的働き方”というFTL(I)を導入しています。Time=時間とLocation=場所から自由になるというもので、いわば労働時間にも職場にもとらわれずに働くというものです。

 しかも、「賃金は掛けた時間の対価であるという考え方を払拭」するものだと説明しています。労働基準法の1日8時間労働を崩す考え方です。豊田社長が決算発表で語った2つの言葉は、特に事務・技術職場への強い働きかけではないでしょうか。

 豊田社長のあいさつと記者との質疑応答の映像は、次のアドレスで見ることができます(106分)。
https://newsroom.toyota.co.jp/jp/corporate/22185932.html

決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/05/10 16:41
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