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◎トヨタの競争相手はトヨタのボデーメーカー?

 昨年(2018年)の5月31日にスタートした「労使拡大懇談会」。それから1年以上が過ぎ、6月度の労使拡大懇が開かれました(6月28日)。トヨタ労組の「評議会ニュース」が報告しています。

 今回は、TNGA推進部の北原一秀室長が内製工場の競争力強化についてのべ、河合満副社長が想いについて語りました。

 北原室長は、トヨタの国内生産約300万台のうち、元町や堤、高岡、田原の内製工場で106万台、トヨタ車体などのボデーメーカーでは208万台を生産していること。内製工場は、販売が低迷するセダンを生産しているのに対し、ボデーメーカーは売れ筋のSUVやミニバンを生産していると指摘しました。

 そして、次世代車へシフトするなかで、トヨタの大黒柱のハイブリッドに代わってEVが主役になってきた場合やEVの生産は中国が主役になってきた場合、生産力に影響するとして、内製工場の競争力が仕事を獲るカギになるとのべました。

高岡工場
(高岡工場門前に展示されている同工場で生産した車)

 ボデーメーカーでは、故障したロボットも治具も自ら直すなど、ハングリーに仕事を確保していることなどをあげ、ボデーメーカーが競争相手になりうるとして、内製工場がチャレンジャーとして「仕事を獲りに行こう」と強調しました。

 河合副社長は、昔は「勝つか負けるか」で「もう一度頑張れる時代」だったが、今は電動化などで異業種が参入するなか、トヨタは「生きるか死ぬか」の時代になったと強調。「自分の目の前の仕事を少しでも良くしていこう」とのべました。

 19春闘の労使協議会で豊田章男社長は、「組合、会社とも、生きるか死ぬかの状況がわかっていないのではないか」と“一喝”しました。6月度の労使拡大懇も、オールトヨタのなかでのいっそうの競争力強化を組合側に求めるものになりました。
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決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/07/06 11:14

◎「トヨタテクニカルセンター下山」 一部がオープン

 トヨタ自動車が豊田市と岡崎市にまたがる山岳地帯に、テストコースなどの新研究開発拠点をつくっていましたが、その一部がオープンしました。「トヨタイムズ」で6月27日、モリゾウ(豊田章男社長)が書いています。

 「トヨタテクニカルセンター下山」というもので、トヨタ本社から東南へ15kmほどのところです。新東名高速道路や東海環状自動車道が近くを通る交通の要所です。ここで働く人は最終的に3850人にのぼる予定です。

一部オープンしたのは「第3周回路」というテストコースといいます。別名で「カントリー路」と呼ぶといいます。

豊田 テクニカルセンター下山
(「トヨタイムズ」から)

グーグルアース トヨタ下山
( 造成中の「トヨタテクニカルセンター下山」=グーグルアースから)

 「登り坂、下り坂、右コーナー、左コーナーなどが組み合わさった道のことで、まさに田舎の山道のような道」(モリゾウ)といいます。6月からテストドライバーの職場が移り「“走っては直す、走っては直す”を繰り返すクルマづくりが始まっていきます」(同)というわけです。

 テストコースは、新車の開発ですからこれまでは秘密の場所でしたが、これからはオープンにしていくとしています。激しいアップダウン、先が見えないコーナーの連続というドイツのニュルブルクリンクの4分の1のコースといいます。

 モリゾウも走ったという、このテストコース。レーシングドライバーがスープラで走る様子がユーチューブの動画でアップされています。

https://toyotatimes.jp/morizo/015.html?padid=from_t-times_top_main_morizo015_190101
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/06/28 15:35

◎社外取締役って? トヨタ、年1億円の報酬

 トヨタ自動車の株主総会(6月13日)で、9人の取締役が承認された。このうち3人が社外取締役である。三井住友銀行の工藤禎子常務執行役員(54)、菅原郁郎元経済産業事務次官(61)、フィリップ・クレーブン元国際パラリンピック委員会会長(68)である。

 いずれも再任された。工藤氏は、トヨタで初めての女性取締役として話題になった。菅原氏は、経産省からの天下りだ。3人への現金報酬枠は、「年額3億円以内」という議案も総会で承認された。

 1人当たり約1億円にもなる高額報酬である。総会の議案によると、3人は18年度での取締役会(全13回)に、いずれもすべて出席し、「適宜発言」を行っているという。

40 ◆トヨタ本社地区5 グーグルアース
(トヨタ自動車本社=愛知県豊田市、グーグルアースから)

 大企業が社外取締役を増やしている。背景には、日産自動車や東芝、自動車各社の品質不正など企業不祥事が頻発し、第3者の視点で経営をチェックするというのが社外取締役の役割である。日経新聞(14日付)は、「社外取締役 知らぬが仏? 相次ぐ不祥事、第3者目線働かず」の記事を掲載している。

 スルガ銀行の不正融資などをめぐって、第3者のチェック機能が働かなかったと指摘する。問題の事実を、社外取締役が「知り、また知りえた証拠もなかった」として、善管注意義務などの法的責任は認められなかったという。

 「善管注意義務」と聞きなれない言葉だが、「受任者(取締役のこと)は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」(民法644条)ことを求められる。

 日経は、社外取締役といっても「お飾り」だったという。スルガ銀行の第三者委員会で委員長を務めた中村直人弁護士は、「重要な会議への参加や議事録を閲覧できる権利、監督官庁や業界団体などへの苦情情報などを社外取締役が直接見られるようにする仕組みづくりなどを助言している」という。

 また、ある企業の社外取締役は、「経営陣などを入れずに50代の部長クラスと飲み会を開き、生の声を聞く」という例もあげている。果たして企業不祥事は、こうしたことだけで無くなるのか?

 労働組合や労働者の内部通報も大きな役割を果たすことが求められている。しかし、大企業のほとんどは連合加盟の労組だが、そうした役割を果たしたという声はほとんど聞かない。

 トヨタの菅原社外取締役は、トヨタ自動車労組の4月度の労使拡大懇談会に出席した。「生きるか死ぬかとは?(本当?誰が死ぬのか??)」との問いに、「生きるか死ぬかは、皆さんとご家族 これは抽象論ではなく皆さん自身の問題」と指摘した。

 その上で、アップルのiTuneの出現(2001年)でCDが売れなくなり、CD関連の製造業の人がいらなくなったこと。一方、ダウンロードが急激に増えて楽曲の消費量は格段に上がった例を示すなどした。

 これでは、会社の方針を伝えるだけである。企業不祥事が起きないように、第3者の目で労働組合にアドバイスすることなどがあってもいいのではないのか? “お飾り”にならないように。日経の記事を読みながら考えた。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/06/15 20:52

◎高齢者事故への対応は? 第115回トヨタ株主総会

 トヨタ自動車の第115回株主総会が6月13日(木)午前10時からトヨタ本社本館ホールで開かれた。朝から夏を思わせるような日差しだった。いつものように早めに出かけた。9時過ぎに会場に着いたが、すでに第一会場はいっぱいだった。

 なんと過去最高の5546人が参加した。玄関前の広場に新型のセンチュリー、スープラなど3台が展示されていた。多くの人が写真を撮っていた。


12 トヨタ株主総会 カンバン


スープラ
(展示されていたスープラ)

 大型バスが次々と入ってくる。すごい数だ。受付には長い行列ができ、並んでから受付が終わるまで20分ぐらいかかった。ディズニーランドのアトラクションに並んでいる気分だった。本社2階の第5会場の会議室に入ったが、ここも満員だ。

 10時から豊田章男社長の議長で総会が始まった。映像による事業報告から始まり、第1号議案から4号議案までの提案があった。

 4号議案には驚いた。取締役9人の現金報酬枠を「年額30億円以内」(うち、社外取締役は年額3億円以内)とした上で、新たに株式報酬枠を設け「年間40億円以内」とする議案だった。合わせて「年額70億円以内」(うち、社外取締役は年額3億円以内)という報酬を2倍以上にする議案だったが可決された。

 豊田社長は、「自動車産業は100年に1度の大変革期を迎えている。モビリティ―社会を株主と築いていきたい」などとのべた。質疑応答では13人が発言した。経営問題、EV化、株価問題、豊田章男社長に関する質問などが出た。

 今年は3人がプリウスについて質問したのが印象に残った。東京・池袋で87歳の高齢者が運転するプリウスによって、12人が死傷(4月19日)するなど、高齢者の運転事故が次々と起き、社会問題になっている。

 質問では、プリウスの安全に関する技術開発はどうなっているのかとたずねる株主がいた。別の株主はブレーキとアクセルの踏み間違いを防ぐために、メーターパネルにブレーキ表示を付けたらどうか、技術的にもすぐにできるはずだ、などと提案があった。

 株主としても、トヨタに早急に対策を求めたのだろう。それに対する会社の回答は、「後付けの踏み間違い加速制御システムを拡大していく」などに留まった。自動運転の車を市場に出す前に、自動車メーカーとしてもっと具体的な手立てを打つ必要があるのではないか?

 自動運転車の頭脳にあたるAI(人工知能)の専門家としてトヨタがヘッドハンティングしたギル・プラット氏が通訳をまじえながら発言した。同氏は、トヨタが米シリコンバレーに設立した「TRI」(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)の最高経営責任者(CEO)だ。

 同氏は、トヨタに入った理由として、自分が子供の頃、目の前で友達が自動車事故で死んだこと。その事故を起こしたドライバーが歩道で泣いていたことなどをあげ、安全な車をつくりたいと思い、努力しているという話だった。高齢者の事故が問題として出されただけに、技術的に踏み込んだ、具体的な話を聞きたかった。

株主総会 記念品 (1)
(総会の記念品)

 豊田社長は、質問が終わるたびに自分の考えや会社の方針をアピールしていた。全体として、「大変革期」といってもトヨタは大丈夫だという印象を持った株主が多かったのではないかと思う。

 総会の雰囲気と、「生きるか死ぬか」と激しい言葉が飛び交う職場の雰囲気とは大きなギャップがあると思った。外部の人には、なかなかわからないと思う。研究・開発に携わる技術労働者は、どう思っているのかが気になった。
決算・経営計画 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2019/06/14 15:10

◎トヨタ 役員報酬 1人当たり3億円?

 トヨタ自動車は、今日6月13日(木)、株主総会を本社本館ホールで開きます。その招集通知には、19年度の取締役と監査役の報酬などが提案されています。

 このうち役員報酬は、13名で6憶8800万円。社外取締役を除くと、7名で5億9100万円です。役員賞与は6名で12憶5700万円です。

 両方で、何と18億4800万円にもなります。役員報酬と役員賞与の人数は違っていますが、6名とすると1名当たり3億800万円になります。

40 役員報酬
(トヨタ自動車の株主総会招集通知に提案されている19年度の取締役と監査役の報酬)

 最新の2018年3月期決算報告書によると、17年度の役員報酬と賞与は、社外取締役を除いた9名で、合計18億3600万円でした。1名当たり2億400万円です。19年度の役員の人数は減っていますが、1名当たり1億円も増えることになります。

 日産のゴーン・元会長が逮捕(18年12月)されたことで、高額の役員報酬が、改めて問題になりました。ゴーン被告の起訴理由の1つは、役員報酬を2011年3月期からの8年間で約91億円過少記載していたことでした。実際の報酬は、その約2倍でした。

 有価証券報告書には、1億円以上の報酬がある役員は記載する義務があります。トヨタの17年度の1億円以上の役員は5名いました。豊田章男社長は3億8000万円でしたが、Didier Leroy取締役は10憶2600万円と10億円を突破しています。

60 トヨタ 役員報酬 1億円以上 2017年度
(トヨタ自動車の有価証券報告書に記載された17年度の報酬が1億円以上あった役員)

 金融庁が年金以外に「30年で約2000万円の資産が必要」などの報告書をまとめたことが問題になっています。国民は、老後のために30年間で2000万円もためることができるのでしょうか? その一方で大企業の役員はたった1年で数億円の報酬を受け取っています。

 役員報酬を見ると、資本主義のもとでの格差と貧困が、ますます激しくなっていることがわかります。

決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/06/13 09:30

◎トヨタ ため込んだ利益剰余金21兆円

 トヨタ自動車は、6月13日(木)に株主総会を本社本館ホールで開きます。その招集通知にある2019年3月期連結決算貸借対照表を見て改めて驚きました。

 内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、前期の19兆3481億円から、2兆5140億円増やし、21兆9875億円にもなったことです。3月期決算でメディアの話題になったのが、日本の大企業でトヨタが初めて売上高が30兆円を超えたということでした。

 しかし、利益剰余金が日本の大企業で初めて20兆円を超えたことを報道するメディアはありませんでした。もちろん、ダントツの日本1です。利益剰余金が22兆円近くにもなったことは、どんなにすごいことか?

修 トヨタ 利益剰余金 21兆円
(上から3段目がトヨタの利益剰余金。左が19年3月期。右が18年3月期。単位は100万円=トヨタの株主総会「招集ご通知」から)

 たとえば日本経団連会長会社で、電機のトップの日立製作所の19年3月期連結決算を見てみました。利益剰余金は、前期の2兆1053億円から1821億円増やして2兆2875億円です。

 トヨタの10分の1にすぎません。トヨタは、わずか1年間で日立の利益剰余金に匹敵する額を増やしているのです。大企業は、利益をため込み続け、天井知らずに増やす――トヨタはその典型例でしょう。

toyota 本社
(トヨタ本社)

 財務省が2018年9月3日に発表した2017年度の法人企業統計で、利益剰余金(金融業、保険業を除く)は、前年度より40兆2496億円(9・9%)増えて446兆4844億円でした。

 トヨタは、わずか1社でその5%程度を占めています。ため込んだ内部留保を、労働者の賃上げや非正規労働者の正社員化、下請け代金の引き上げなどに使い、日本経済を好循環させることが必要です。
決算・経営計画 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2019/06/11 17:49

◎自動運転と膨大なソフト TRI-ADのCEOインタビュー④

 俳優の杉良太郎さん(74)が6月7日、東京・東大井の鮫洲運転免許試験場を訪れて、運転免許証を返納したニュースが大きな話題になった。75歳以上の返納率は、免許保有者のわずか5%というから杉さんの返納は驚きだった。

 いま日本では、東京・池袋で4月19日、87歳の高齢者が運転するプリウスによってはねられ、12人が死傷するなど高齢者の運転事故が次々と起きている。

 高齢者の運転免許証返納率が少ないのは、車がなければ日常の買い物もできないからだろう。特に地方や過疎地では、公共交通機関がなくなり、車は必需品になってしまったという日本社会のゆがんだ構造がある。

 トヨタ自動車の社内報「トヨタイムズ」(4月号)と公開されているネットでのTRI-ADのCEOのジェームス・カフナー氏へのインタビュー4回目(最終回)は、「トヨタ『自動運転』開発秘話」と題して、カフナー氏に代わって取締役でCTO(最高技術責任者)の鯉渕健氏が語っている。

10 LSをベースにした自動運転の実験車
(トヨタが米シリコンバレーに設立したTOYOTA RESEARCH INSTITUTE, INC.(TRI)は、新型レクサス LSベースした自動運転システム実験車を、米国ラスベガスで開催されるCES 2019で公開)

 鯉渕氏は、自動運転の開発に携わるなかで豊田章男社長に相談に行ったところ、こう言われたと語る。

 「例えば、ハンディキャップを持った人や高齢者であっても、普通の車に乗れる。つまり、それで楽しんでもらう。人によって『愛車』の定義は変わるはずで、全ての人に愛車を提供するための技術なら、大いにやれ」

 「高齢者であっても普通の車に乗れる」――そう、自動運転車を市販する前に高齢者が事故を起こさないような車を先行して市販して欲しい。アクセルとブレーキの踏み間違いなどを軽減する装置は次々と開発されているが、まだ完全ではない。もっとスピードをあげて開発できないかと思う。

 鯉渕氏へのインタビューに話を戻すと、「僕らTRI-ADの最大のミッションは目下、2020年ごろに自動運転システムを搭載した乗用車を『製品化』すること。それには、一にも二にも『ソフトウェア』がカギになる。

 自動運転の場合、クルマ全体に占めるソフトウェアの比率がすごく大きくなってくる。極めて膨大かつ複雑なソフトウェアを作らなければならない」と語る。

 現在の車も、もはや鉄の塊ではなくソフトの塊と言われて久しいが、自動運転車は比較にならないというのだ。そのためにソフト技術者を大量に雇用しようとしたが、豊田市の本社地区に即戦力の募集をしても難しいことがわかったという。

シリコンバレーより、の広告
(トヨタがJR南武線沿線の駅に貼った広告=2017年夏)

 「東京のほうが人は採りやすい」と語る。TRI-ADの本社を、東京・日本橋に置いたこともその1つの理由だろう。2017年夏にトヨタが、富士通など電機大手の研究所が立ち並ぶJR南武線(東京の南部と神奈川県北部を走る)沿線の駅で、IT技術者を引き抜く広告を貼ったことは記憶に新しい。

 鯉渕氏は、CEOのジェームス・カフナー氏が、「車に載っかるソフトウェアは、僕らが開発しなければならないソフトウェアのうちの、わずか10%に過ぎない」ということを、繰り返し語っているという。

 そして、「ソフトウェア開発は、ツールが9割だ」とのべていること――カフナー氏がグーグルで経験した話について触れる。自動運転車がいかに膨大なソフトから成り立つものか――など4回連載からは、自動運転にかかわる多くの事を知ることができた。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/06/10 14:27

◎トヨタ EV巻き返しへ 5年前倒し

 先日、叔父が日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ」に乗ってやってきた。我が家の前に駐車するとリーフは、かなり大きい車だと実感する。しばし雑談の後、エンジン音もなく、静かに去っていった。

 トヨタ自動車は6月7日、寺師茂樹副社長が「EVの普及を目指して」を発表。これまで、EVやハイブリッド、プラグインハイブリッド、燃料電池車を含む「電動車」の世界販売台数を550万台以上としていた達成時期を、2030年から5年ほど前倒しすると発表した。

50 トヨタのEV普及ペース
(トヨタのプレゼンテーション資料から)

 現時点で、トヨタが走るEVはなく、日産などに比べ出遅れているといわれてきた。今回の発表は巻き返しか? まず来年2020年には、国内で2人乗りの超小型EVを発売する予定だ。

10 超小型EV
(2人乗り超小型EV)

 中国・米国・欧州など需要の高い主要市場では、2020年以降グローバルで10車種以上を用意するという。今年4月に上海モーターショーで、C-HRをベースにしたEVと姉妹車のIZOAを展示したが、20年に中国で販売を始める。環境問題を起こし、国策でEV化をすすめる世界1の市場の中国をターゲットにしたEVだ。

 グローバル市場に用意するEVは、他社と共同で企画、開発する。スバルとは中型のSUV、スズキ、ダイハツとは小型車など合わせて6車種を用意する。

 国内では、超小型EVの他に、立ち乗り型のEVを発売するがリーフに匹敵するほどのEVの発売時期は明らかでない。物足りなさは否めないだろう。

 トヨタのEV戦略は、「幅広くオープンに仲間を募り、 一緒に取り組みを加速させていきたい」というように、トヨタ単独の企画・開発ではなく他社と協業していく点だろう。

 クルマだけではなく、電池の調達でもパナソニックやGSユアサ、東芝など幅広く協業するという。「自動車会社からモビリティカンパニーへ」(豊田章男社長)の経営戦略がEV化のなかで示されている。

40 世界のEV市場
(トヨタのプレゼンテーション資料から)
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/06/08 17:18

◎囲碁・将棋界での激変 TRI-ADのCEOインタビュー③

 羽生九段、歴代単独1位の通算1434勝――将棋の羽生善治9段(48)が6月4日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第60期王位戦挑戦者決定リーグ白組プレーオフで、永瀬拓矢叡王(26)に勝利し、故大山康晴十五世名人の最多勝記録を更新した。

 不世出の天才といわれ、7冠を独占した羽生9段だが、今は無冠。最高位の名人戦で永世名人の称号を持つものの、佐藤天彦名人に2度破れ、その佐藤名人も5月17日の名人戦で、豊島将之二冠に4連敗して名人を奪われた。

 将棋に詳しい人は語る。
 「昔の棋士はレベルが低かった。棋譜のコンピューター解析によってそれは明らかです。大山の大記録は低いレベルの同僚たちの中でうちたてたもの。大山は中原にも羽生にも対抗できるものではありません。豊島にも藤井聡太にも」

toyota レクサス

 トヨタ自動車の社内報「トヨタイムズ」(4月号)と公開されているネットでのインタビューにTRI-ADのCEOのジェームス・カフナー氏は、「Google『アルファ碁』で起きたこと」について触れている。

 「アルファ・ゼロ」というプログラムは、世界トップレベルの碁を打つ能力を持っていること。これは、最適な1手を探す「検索アルゴリズム」を持っており、ひたすら自分で対戦を繰り返すことで、人間が到底経験しえないような、何百年分の対戦経験を積んでいる――と指摘する。

 これを自動運転に応用するとして次のように語る。

 「例えば、ある走行スキルを身につけるのに、1万時間の走行経験が必要だとします。1つのロボットを1万時間走らせることもできますが、クラウド・ロボティクスの概念を応用すれば、100台のロボットに100時間ずつ走らせればいい。そして、それぞれが得た経験を、クラウド上で共有し、それを他の全てのロボットにフィードバックしてゆくのです」

70 2つの開発手法
(カフナー氏のインタビューから)


 その上で、プロダクトの開発手法には、「ウォーターフォール型」と「アジャイル型」の2つがあること。ウォーターフォール型は、自動車のように事前に緻密な仕様書を書いて開発をしてゆく手法に対し、「アジャイルはベータ版を世の中にリリースして、ユーザーの声も反映しながら臨機応変に仕様や設計を変更していく。これこそが、多くのシリコンバレー企業がソフトウェアの製品開発を大規模に行う方法として、取り入れているスタイルです」と語る。

 カフナー氏は、「トヨタのハード製造の専門知識と、シリコンバレーのイノベーションやスピードを融合させてほしい」とのべ、TRIは「シリコンバレーと日本のクラフトマンシップ(職人技)の橋渡しを担う」と強調する。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/06/06 17:10

◎グーグルの極秘プロジェクト TRI-ADのCEOインタビュー②

 米グーグル系のウェイモが昨年12月、米アリゾナ州フェニックスで自動運転タクシーの「ウェイモワン」を開始――グーグルは、ここまで進んでいるのかと驚いた。

 自動運転レベル4の技術を搭載しているが、安全のために運転手が同乗しているという。スマホでタクシーを呼ぶという。FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)のミニバンを使用している。

ウエイモ 自動運転タクシー
(グーグル系のウェイモの自動運転タクシー=ウェイモ社のホームページから)


 IT大手のグーグルが、世界の自動車メーカーの先陣を切って自動運転技術を開発しているのは広く知られている。

 そのグーグルの極秘プロジェクトについて、昨日このブログで紹介したTRI―AD(トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント)の社長兼最高経営責任者(CEO)、ジェームス・カフナー氏がインタビューに答えている。

 トヨタ自動車の社内報「トヨタイムズ」(4月号)と公開されているネットでのインタビューだ。

 カフナー氏は、2009年に始まったグーグルのプロジェクトの12人の創設メンバーの1人だった。「最先端の研究を理解している研究者に、最高のツールを与える。これがグーグルのやり方なんです」と語る。

 大学時代、ロボットを研究していた同氏は、膨大な時間がかかる実装チェックをしていた。グーグルでは、「シミュレーターのようなソフトウェアツールを使ってバーチャルにテストをすれば、わずか30秒で何千回ものテストができる。その上、クラウド上で複数台を同時並行してできる」という驚きの方法だったという。

 プロジェクトが発足して2年後の2011年、米サンフランシスコでグーグルが自動運転のソフトを開発しているというニュースが報じられると、世界に衝撃が走ったという。

 グーグルは自動車業界にとって、まさに「ゲームチェンジャー」だったとカフナー氏は指摘する。ゲームチェンジャーとは、スマホのiPhoneのように市場の状況を急激に変える製品や企業のことをいう。

 カフナー氏は、あるロボットの専門家をグーグルに引き抜こうと考える。現在、トヨタのAI研究機関「TRI」(Toyota Research Institute, Inc.)のCEOを務めるギル・プラット氏のことである。
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/06/03 11:19

◎トヨタ「第3の本社」 東京・日本橋に TRI-ADのCEOインタビュー①

 「AI(人工頭脳)先端人材 米国に集中」――6月2日付の日経新聞が書いている。AIの世界のトップ級人材は2万4000人で、うち約半数が米国(1万295人)で、2位が中国(2525人)で、日本は6位(805人)だという。

 江戸時代から日本のど真ん中になった東京・日本橋。ここに2018年10月からトヨタ第3の本社とも呼ばれるトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)がオープンした。

60 日本橋に集まる頭脳


 トヨタの自動運転車をつくるためのAIの開発組織で、トヨタが90%、アイシンが5% デンソー5%を出資する。380人(2019年5月現在)が働いている。社長兼最高経営責任者(CEO)は、ジェームス・カフナー氏だ。

 AIの人材を豊田市に引き入れるのは無理で、情報の集中している東京、しかも日本橋という立地が必要だったのだろうか?

 そのCEOのカフナー氏が、トヨタ自動車の社内報「トヨタイムズ」(4月号)に登場している。トヨタの社内報は、「クリエーション」の名称だったが、「トヨタイムズ」に改称された。

 クルマの時代から、もっと自由に移動を楽しむモビリティの時代へ。この大きな変化を伝えていくメディアが「トヨタイムズ」といって、ネットでこれまでにないトヨタの情報を発信している。

30 社内報 トヨタイムズ


 社内報もそうした位置付けなのだろう。カフナー氏へのインタビューは、「トヨタ“第3の本社” 今明かされるGoogle極秘プロジェクト グーグルを辞めた『頭脳』が明かす、トヨタに来た秘密」というセンセーショナルなタイトルが付けられている。

 ロボット好きの少年、東大で学んだロボの「運動神経」、スタンフォード発「革新的な論文」、グーグル「極秘プロジェクト」始動…など、などだ。社内報では一部しか掲載されていないが、全文をネットで公開している。

https://global.toyota/jp/newsroom/inside-toyota/toyotatimes_magazine/selection/tri-ad/

決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/06/02 10:54

◎小林政権? トヨタ19年6月株主総会招集から ①

 2019年3月期決算を受けて6月13日(木)に、トヨタ自動車の株主総会がトヨタ本社の本館ホール(豊田市)で開かれる。売上高で日本の企業で初めて30兆円を突破したトヨタ。どんな総会になるのか。

 「招集ご通知」が送られてきた。第1号議案は取締役9人の選任である。内山田竹志会長、早川茂副会長、豊田章男社長、小林耕士、Didier Leroy、寺師茂樹ら各取締役の6人と3人の社外取締役である。

 このうち内山田、早川、豊田、小林の4氏が代表取締役である。豊田社長と副社長の小林氏が、実質のトヨタの経営の代表者だ。

 トヨタの社内の人事を長年取材してきたジャーナリストの井上久男氏は、「週刊現代」(2017年12月23日号)に書いていた。2018年1月1日付の役員人事で、「最も衝撃をもって受けとめられているのが、69歳の小林耕士・現相談役が副社長に就く人事だ」と書いたがその通りとなっている。

 小林氏は、豊田社長が若いことに2度にわたって上司となった。一旦はデンソーの副会長に就任したが、その後にトヨタに戻り、代表取締役・副社長になった。

 井上氏は「週刊現代」で、トヨタ元役員の話として、「「これは『小林政権』の樹立です」と書いているが、実際、豊田社長の意を受けてトヨタとグループ経営を左右している。

トヨタイムズから
(トヨタの19春闘第3回労使協議会で豊田章男社長と小林耕士副社長=その左側、「トヨタイムズ」から)

 19春闘の第3回労使協議会(3月6日)で、豊田社長が「今までの労使協で、今回ほどものすごく距離感を感じたことない。こんなに噛み合っていないのか。組合、会社とも、生きるか死ぬかの状況がわかっていないのではないか」と一喝した際も、その隣で組合側と向かい合っていた。

 豊田社長は株主総会に向けて、「未来のモビリティ社会に向けて」とのメッセージを発している。「変化の激しい時代だからこそ、ブレない軸、原点に立ち返ることが必要です」とのべ、ブレない軸は「TPS(トヨタ生産方式)」と「原価をつくり込む力」と改めて指摘する。

 どんな株主総会になるのだろうか。どんな意見が出て、豊田社長らは何と答えるのだろうか。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/06/01 20:12

◎豊田社長は清華大学生の質問にどう答えたのか

 トヨタ自動車は中国の清華大学と、「清華大学―トヨタ連合研究院」を設立することで合意(4月21日)し、今後、5年間にわたり共同研究を実施します。それに合わせて豊田章男社長が同日、清華大学で講演し、学生たちの質疑に答えました。

 「トヨタイムズ」に、その動画が掲載されています。4月度の「労使拡大懇談会」でも、豊田社長の動画を視聴したとあります。
https://toyotatimes.jp/insidetoyota/022.html

 学生からは、燃料電池車(FCV)のミライについてなど活発な質問が相次ぎました。清華大学は習近平国家主席が卒業するなど北京大学と並ぶ中国のエリート校。会場にはエンジニア志望が多数集まり、学生たちがトヨタをどう見ているか、自動車の世界市場トップになった中国の大学生たちが何を考えているか――興味深いものでした。

 ある女子学生は、習近平主席が対外開放拡大の戦略を打ち出したもとで、テスラが真っ先に上海に会社をつくったこと。独VWは3社目の合弁会社を打ち出したこと。しかし、トヨタは出遅れているとのべ、トヨタの戦略を質問しました。

 豊田社長は、「過去はそうだったかもしれない。私は初代の中国本部長でした。経営というものは、トップが何を1番の優先順位にするかで割と決まっていくもの。多分この答えでわかっていただけると思う。未来のあるところに投資する」と回答しました。

清華大学 豊田社長
(豊田章男社長=左側=に質問する清華大学生=「トヨタイムズ」から)

 トランプ米大統領のファーウェイ製品のボイコットをはじめとする米中貿易戦争は深刻な事態になっています。中国は、世界を米国1国から、米中2国で仕切る動きを見せるなど、米中2カ国の大国主義の危険性が指摘されています。

 トヨタの中国への投資、清華大学生たちの活発な質疑…。米中2つの大国に挟まれた日本。自動車の国内市場は縮小し、トヨタをはじめ日本の自動車メーカーは、中国など世界へ活路を広げる。「生きるか死ぬか」の言葉が飛び交うトヨタの職場。雇用や、暮らしはどうなる――考えさせられたトヨタ社長と清華大学生との質疑でした。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/05/26 10:58

◎豊田会長 「大変残念」とトランプ大統領へ

 日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は5月21日、日本からの輸入車の増加を「国家安全保障に対する脅威」とのべた米トランプ大統領に対し「大変残念に思う」とする談話を発表しました。

 日経新聞は、「日本は2018年に米国向けに自動車で4兆5241億円、同部品で9294億円輸出している。仮に日本から米国に輸出する自動車に高関税がかかれば、日本の自動車産業には壊滅的な打撃を受けかねない」(23日付)と伝えています。

 トヨタの2018年度の輸出台数は194万7000台。国内生産は321万3000台ですから約6割を輸出しています。米国への輸出台数は不明ですが、トランプ大統領が輸入制限に踏み切れば雇用問題にもなる可能性があります。

 豊田会長は談話で、日本の自動車メーカーが果たした役割を次のように指摘しています。

……
 全米28州に24か所の生産拠点、45か所のR&D拠点、39か所の物流拠点を持ち、累計約510億ドルを米国に投資してきました。リーマンショックの際にも雇用維持に努め、現在93,000人超の直接雇用を創出し、経済波及効果も含めた雇用創出は160万人超にのぼるとの試算結果もでております。

 こうした日系自動車メーカーの長年に亘る米国での投資と雇用創出は、米国企業市民としての現地への貢献とコミットメントを示すものにほかなりません。日本の自動車産業として輸入自動車・部品ならびに我々の事業活動が国家安全保障上の脅威になることはないと確信しております。
……

新宝ふ頭
(トヨタ自動車の輸出基地、名古屋港新宝ふ頭)

 トランプ大統領の「アメリカ第一主義」で、中国との“貿易戦争”は激しさを増しています。世界の景気が後退するのではないかといわれています。

 米国は5月10日、2000億ドル(約22兆円)分の中国製品に対する制裁関西を10%から25%引き上げ、さらに13日、中国からのほぼ全ての輸入品(3000億ドル、約33兆円)への追加関税案を発表しました。

 同日、中国も2000億ドル分への報復として、600億ドル分のアメリカからの輸入品に最大25%の追加関税を6月から実施すると発表しました。さらに、米国からの農産品やエネルギーの輸入制限など、中国の報復が関税以外に広がる可能性も高まり、制裁と報復の欧州は一段と激化しています。

 パナソニックなどの日本企業は、中国で生産していた製品をタイやベトナムなど他国に移管する動きが出ています。アメリカと中国、アメリカと日本などの貿易摩擦は、いっそう深刻になりそうです。
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/05/23 12:29

◎トヨタとJAXAの「有人与圧ローバー」 19年3月期決算から⑤

 トヨタ自動車とJAXA(宇宙航空研究開発機構)などが共同開発している「有人与圧ローバー」。そのイメージ動画がユーチューブにあります。
https://www.youtube.com/watch?v=k2UY2wsWOIM

 月面に運び込まれる有人与圧ローバー。トヨタ自動車とJAXAの名前が書きこまれています。太陽パネル、6本のタイヤ。宇宙服を着た運転手が月面を走る準備をし(宇宙服を車の中で脱いだ後)、運転します。車輪の跡が刻み込まれた月面。その向こうに、青い、青い地球が登ってきます。

写真 有人与圧ローバー


 この有人与圧ローバーが、トヨタの2019年3月期決算のプレゼンテーション資料のトップの写真を飾っています。いつもはトヨタ車ですが、トヨタが宇宙にも乗り出したことを示すものでしょう。

 有人与圧ローバーについて、「トヨタイムズ」でトヨタの寺師茂樹副社長と宇宙飛行士でJAXAの若田光一理事が対談しています。
https://toyotatimes.jp/insidetoyota/014.html

 「トヨタイムズ」では、「ローバー」とは月面走行車のことであり、「有人与圧」とは車両内部を人に適した気圧に保つことで、飛行士が宇宙服を着る必要を無くすというものであること。このプロジェクトは2030年代前半での本格的な月面探査を目指している――と解説しています。

 ローバーにトヨタが乗り出すのは、動力源に燃料電池を予定しているからです。トヨタは2014年12月、水素を動力源とした燃料電池車(FCV)の「ミライ」を世界のメーカーに先駆けて販売しました。しかし、世界の次世代車は電気自動車(EV)へと大きくシフトしています。

 寺師副社長は、有人与圧ローバーのプロジェクトについて、「我々トヨタにとっては、水素社会をつくるひな形になるのではないかなと」と期待感を持って語っています。

 トヨタにとって、有人与圧ローバーは、FCV普及への大きな手がかりとしたいところです。それにしてもユーチューブ動画で、月面から見た青い地球の何といとおしかったことでしょう。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/05/16 10:56

◎「TPS・原価低減の具体例」 19年3月期決算から④

 トヨタ自動車の19年3月期決算(5月8日発表)では、プレゼンテーション資料に「TPS・原価低減の具体例」を掲載しています。決算発表で、こうした具体例を示すのは異例です。

 豊田章男社長は、決算発表のあいさつで、世界の自動車産業の「100年に一度の大変革の時代」に、トヨタの「ブレない軸こそが『TPS』と『原価を作り込む力』だと思う」などとのべていますが、こうしたことを具体的に示したものです。

 プレゼン資料の具体例では、その1例として「試作費の低減活動」を紹介しています。TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)による開発プロセス改革や試作車両原価の造り込みなどを行ったことをあげています。

 4代目プリウスをスタートに、モデルチェンジした車はTNGAで次々とつくられています。それによって車両試作費は、15年3月期から低減を続け、19年3月期には「約65%低減」したとしています。

60 試作費の低減活動


 プラットホームの共通化で、先発車に続く派生車の試作台数は、半分以上減少したとのイメージ図を掲載。また、実車試験を繰り返すのではなく、シミュレーション技術を取り入れながら、その技術の精度を向上させ、実車試験に頼らない開発へシフトしていくとしています。

 さらに、▽仕入先との原価のつくりこみ――現地現物、知恵出しで課題を出して短期に改善を実施する――ことなど、▽顧客目線で車をよりスリムにする――たとえば電線の保護材の使用量を低減する――など生産技術水準に沿って対応を適正化していく例をあげています。

 ここには、トヨタの得意の原価低減をいっそう徹底し、利益に貢献しようというねらいをこめています。19年3月期では、「原価改善」で利益を800億円押し上げていますが、2000年3月期には1100億円の「原価改善」をめざしています。
決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2019/05/13 17:30

◎株主ファースト トヨタの株式配当、自己株式取得 19年3月期決算から③

 トヨタ自動車の2019年3月期決算を見てみると、株主優先を貫いていることが、よくわかります。株主や従業員、取引先、顧客などのステークホルダーのなかで株主ファーストです。

 決算プレゼンテーションには、参考資料として、この4年間の業績推移の表があります。その1つが株主への「総還元額」です。株式配当は、15年3月期からの4年間、1株当たり200円、210円、210円、220円、そして220円(19年3月期)と右肩上がりです。

 総額も6000億円を超えるばく大な額です。トヨタの株主は、「個人その他」は22・4%(18年3月期決算)にすぎません。金融機関(32・2%)、「その他の法人」(20・91%)、「外国法人」(22・35%)と圧倒的に金融機関と大企業、海外企業が占めています。ばく大な配当は、こうした企業へ流れているのです。

 また、「自己株式取得」が配当総額とほぼ同程度を行っていることが特徴です。自己株式取得とは、企業が発行した株式を市場から買い戻すことを指しています。これによって、株主側は流通している株式が減少することから株価の上昇につながるといわれています。

 また会社にとっても、自社株の取得により株価は上昇することで、M&A(合併と買収)対策にもつながるといわれています。株主ファーストを貫いているのです。

トヨタ 総還元額


 一方、昨年の18春闘では、トヨタは賃上げ(ベア)額を公表しませんでした。今年の19春闘では、組合側が会社の対応に沿って、要求額のうちのベア額を公表しませんでした。

 日本最大の企業がベア額を公表しないことで、トヨタの賃金がどうなっているかわからず、強い批判が寄せられました。

 トヨタは、「CSR方針」の前文で『持続可能な発展のために、全てのステークホルダーを重視した経営を行う』こと、『オープンで公正なコミュニケーションを通じて、ステークホルダーとの健全な関係の維持・発展に努める』ことを宣言しています。

 「CSR方針」から見ても、あまりにも株主優先になっているのではないでしょうか。
決算・経営計画 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2019/05/12 16:38

◎トヨタの総資金量は潤沢 何と8兆円! 19年3月期決算から②

 トヨタ自動車の連結総資金量が7兆9366億円もの巨額にのぼっていることが5月8日に発表した19年3月期決算で明らかになりました。実質的な手元資金といわれる総資金量はばく大なものです。

 総資金量とは、金融事業を除いた現金および現金同等物、定期預金、市場性ある負債証券および信託ファンドへの投資です。短期間に現金化できるもので、“トヨタ銀行”といわれるほどの潤沢さです。

 連結総資金量は、16年3月期からの4年間の推移はトヨタが決算プレゼンテーションで明らかにしている表のようです。有利子負債を除いても8兆円前後というばく大な金額で推移しています。

トヨタ 総資金量 201903


 こうした総資金量は、営業利益で日本の大企業でダントツの約2兆5000億円も稼いでいることにあります。内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は21兆円にものぼっています。

 世界の自動車産業は、米巨大IT企業も巻き込んで「100年に1度の大変革期」(豊田章男社長)といわれ、電気自動車、自動運転など「CASE」と呼ばれる激烈な競争に入っています。

トヨタ 研究開発費


 トヨタが「CASE」で先頭集団を走り、毎年1兆円を超える研究開発費を投じているのも、こうした潤沢な総資金量に裏打ちされています。これほどの手元資金があるのなら、労働組合員への賃上げや下請け単価の引き上げ、期間従業員など非正規労働者への正社員化などにもっと使って欲しいところです。
決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2019/05/11 21:20

◎豊田社長は決算発表で何を語ったのか 19年3月決算から①

 世界の自動車産業の「100年に1度の大変革の時代」(豊田章男社長)といわれる中で、トヨタ自動車はどこへ向かって走ろうとしているのでしようか? 2019年3月期決算発表(5月8日)で、豊田社長のあいさつと、この4年間の業績推移から見てみました。

 決算発表のプレゼンテーションから、この4年間の連結の販売台数、売上高などを見てみると、ほぼ横ばいか、微増にとどまっています。リーマン・ショック(08年)前の急成長・急拡大が要因で、大幅赤字、利益減になったことから、一旦立ち止まる、「意思ある踊り場」(豊田社長)にして、量を追うのではなく、持続的成長をめざしたからでした。

トヨタのこの4年間


 しかし、営業利益は2兆円ほどから2兆5000億円ほどもコンスタントに稼ぎ出し、内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、日本の大企業で比べる企業がいないほどの21兆円をため込んでいます。

 販売台数、売上という量ではなく利益を確実に上げてきたのです。それは、「トヨタの真骨頂である『TPS(トヨタ生産方式)』と『原価の作り込み』の再強化」(豊田社長)というように徹底した「ムダ、ムリ、ムラ」(同)の排除でした。
 
 その上で豊田社長は、これからのトヨタの道を示します。トヨタが培ってきた競争力――クルマの「リアルの世界」では、「TPSに基づくモノづくりの力」のほかに、世界中に張り巡らした約1万6000拠点の「ネットワークの力」と全世界で保有しているトヨタ車の1億台以上の「保有の力」があると指摘しています。

 そうした力の上に、大変革のキーワードである「CASE」を実現するためには、単独開発にこだわらず、特許を囲い込むのではなく、「仲間を増やす」こと――つまり、トヨタを核にしたさらに大きなグループを作ることだといい切ります。

 また、クルマ単体だけではなく、町全体、社会全体を視野にした「コネクティッド・シティ」という発想が必要なこと――モノからサービスまでを手がける「モビリティサービス・プラットフォーマー」をめざすとしています。

クルマを軸にクルマ周辺のサービスを含めた大きな“基盤”を作り上げることで、これまで以上の利益を上げていく道筋を示したものです。

レクサス


こうした道が、トヨタで働く者にとってどうなるのかが大いに気になるところです。3月の19春闘では「組合、会社とも、生きるか死ぬかの状況がわかっていないのではないか」と一喝した豊田社長。職場では、「生きるか死ぬか」と煽られているからです。
決算・経営計画 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2019/05/10 21:56

◎トヨタ、ダントツ決算 売上30兆、利益2・5兆、内部留保21兆

 トヨタ自動車は5月8日、2019年3月期決算を発表しました。売上高は、前年同期比2・9%増の30兆2256億円で、国内企業として初めて30兆円台に乗せました。

 本業の利益を示す営業利益は、同2・8%増の2兆4675億円、内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、前期より2兆5140億円増やし21兆9875億円でした。どの数字も、日本の大企業でダントツの1位です。

 営業利益の過去最高は、16年3月期の2兆8539億円で、これには及びませんでした。

 トヨタ単体の世界販売台数は、前期より1万3000台増の897万7000台でした。国内販売は、前期より2万9000台減の222万6000台でした。

 ダイハツ工業と日野自動車を含むグループの世界販売台数は前期より16万2000台多い1060万3000台となり、過去最高を更新しました。

修 トヨタ 連結決算要約
(トヨタの決算プレゼンテーションから)

 また、原価改善で800憶円の利益要因を作っています。

 株主配当は、前期並みの1株220円としています。

 20年3月期の販売見通しでは、トヨタ単体では2万3000台増の900万台と予想しています。国内では2万6000台減の220万台で、その一方で欧州やアジアが伸びると予想しています。

 グループでの販売見通しは、13万7000台増の1074万台と過去最高を予想しています。

 同じく売上高の見通しでは、2256憶円減の30兆円、営業利益は825億円増の2兆5500億円と予想しています。

 豊田章男社長はあいさつで、 「100年に一度」と言われる大変革の時代に、 「ブレない軸、変えてはいけないことを明確にしておくことが必要。ブレない軸こそが、『TPS』と『原価を作り込む力』だと思う」とのべました。

 その上で、10年間社長を続けてきたことを振り返りながら、「トヨタを『モビリティカンパニー』にフルモデルチェンジすることこそが、私の使命であるとの想いに至りました」と強調しました。

決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2019/05/09 17:57

◎レクサス 世界で累計1000万台販売

 トヨタ自動車は2月25日、高級車「レクサス」ブランドが世界で累計販売1000万台に達したと発表しました。

 1989年に北米に最上位機種の「LS」を販売してから30年になります。日本では2005年から販売。今やレクサスが普通に走るほどになっています。18年の世界販売台数は69万8330台で過去最高を更新しました。

レクサス ES
(レクサス ES)

修 レクサス 2018年地域別販売台数
(レクサスの地域別販売台数=2018年)

 地域別では、北米が半分近くの32万3482台。2位が中国で16万1862台。3位が日本で5万5098台でした。19年は、前年比約9%増の76万台を販売する計画です。

 国内には、LS、IS、GX、RCを生産する田原工場(愛知県田原市)、GS、LCを生産する元町工場(愛知県豊田市)、ES、HS、CT、RX、NXを生産するトヨタ九州(福岡県宮若市)の3拠点があります(生産時点は2008年2月)。
決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/02/28 18:24

◎MaaSとは何? トヨタの友山副社長のプレゼン

 トヨタ自動車の決算発表では、業績の内容だけではなく、トヨタの経営戦略--競争力を役員がプレゼンするようになりました。2019年3月期第3四半期(18年10~12月)決算発表(2月6日)では、友山茂樹副社長が「トヨタのコネクティッド&MaaS戦略」と題して発表しました。

 まず、最近使われるようになった「MaaS」とは、何でしょうか? 電動化、自動運転化、コネクテッド化など世界の自動車産業の「100年に1度の大変革の時期」(豊田章男社長)のなかで、さかんに使われるようになりました。

「Mobility as a Service」の略です。自動車やタクシー、電車、飛行機、船などの交通手段をばらばらにとらえるのではなく、総合してとらえ、そのサービスを一括して提供しよう――などというものです。

 豊田社長も、「トヨタを『自動車をつくる会社』から、『モビリティカンパニー』にモデルチェンジすることを決断しました。すなわち、世界中の人々の『移動』に関わるあらゆるサービスを提供する会社になるということです」(2018年の社長メッセージ)と語っています。

15 友山副社長
(友山副社長のプレゼン資料=トヨタホームページから)

 友山副社長はプレゼンで、①「全てのクルマをコネクティッド化し、『モビリティサービスプラットフォーム』(MSPF)を構築」、②「ビッグデータの活用を推進し、お客様や社会に貢献すると同時に、『トヨタ自身のビジネス変革』を推進」、③「様々な企業と提携し、『新たなモビリティサービスを創出』--の「3つの矢」を示しています。

 その上で、トヨタのDNAのコネクティッド「改善」やTPS(トヨタ生産方式)を取り入れ、「車載ソフトウェアを常に最新に維持、かつ、更新コストを低減」--する具体例などを示しています。

 また、「ソフトバンクグループのIT資産と、トヨタグループのモノ造りの力を融合し、新たなモビリティサービスを創出」するなど「MaaSにおけるグローバル提携」を明らかにしています。

 このなかには、自動運転の普及に向けた統合制御ソフトウェア開発の合弁会社(昨年12月28日に設立)にかかわったアイシンやアドヴィックス、ジェイテクト、デンソーのトヨタ関連会社もふくまれています。

 友山副社長のプレゼン資料をトヨタのホームページから見てみませんか。
https://www.toyota.co.jp/pages/contents/jpn/investors/financial_results/2019/q3/competitiveness.pdf
決算・経営計画 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2019/02/18 10:21

◎営業利益は増、純利益は減 トヨタ第3四半期決算

 トヨタ自動車は2月6日、2019年3月期第3四半期(18年10~12月)の連結決算を発表しました。

 このなかで、3月期の見通しは、本業のもうけを示す営業利益は前期並みの2兆4000億円としましたが、純利益はこれまでの2兆3000億円から1兆8700億円(25・0%減)に引き下げました。

 新車の販売は順調としていますが、株式相場の下落で保有株の評価損が純利益を引き下げると予想しています。

 ダイハツ工業、日野自動車を含むグループの世界販売台数の見通しは、これまでより5万台多い1055万台(1・0%増)に引き上げました。

20 トヨタ 2919年3月期見通し
( トヨタの2019年3月期見通し=トヨタの決算プレゼンテーションから)

 18年4~12月の営業利益は、前期比9・5%増の1兆9379億円、純利益は29・3%減の1兆4233億円で、2年ぶりの減益となりました。

 国内(4万4000台減)や北米(4万1000台減)で販売台数は減ったものの、中国をふくむアジア(12万7000台増)で増やしました。

 内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、2兆581億円増やし、21兆5316億円になりました。断トツの日本1です。

 スマホと投資の2本立てのソフトバンクグループもこの日、第3四半期の決算を発表しました。18年4~12月の営業利益は1兆8590億円でトヨタを下回ったものの、純利益は1兆5383億円でトヨタを上回りました。

決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/02/07 11:48

◎トヨタ3位 18年世界販売台数

 2018年の世界の自動車販売で、1位がドイツのフォルクスワーゲン(VW)、2位が日産自動車・仏ルノー・三菱自動車の3社連合、3位がトヨタ自動車であったことが1月30日、明かになりました。

 トヨタが世界販売で世界1になったのは、リーマン・ショック時の08年(897万台)。米GMの落ち込みが激しかったためです。以降10年までの3年間、世界1でした。

 11年は、東日本大震災で部品の調達が滞り、3位に後退。12年から15年までの4年間は、ふたたび世界1位に。しかし、16年はVWが1位で、2位に後退していました。

 17年は、VWが連続1位、2位は、日産・ルノーが34%を出資(16年)し、グループ化した三菱自の販売台数が加わったことでトヨタを追い越したために、トヨタは3位でした。

表 トヨタグループのの世界販売台数 18年まで


 18年もこの順位になりました。独VWは、17年比0・9%増の1083万4000台で過去最高を更新しました。ドル箱の中国で、0・5%増の420万台を販売しました。

 日産・ルノー・三菱自グループは、前年比1・4%増の1075万6000台でした。このうち日産は、2・8%減の565万台、ルノーは3・2%増の388万台でした。三菱自は18・3%増の121万台でした。

 トヨタグループは、2%増の1059万4000台でした。2年連続で過去最高を更新しました。しかし、14年から5年連続で1000万台を超えたものの、横ばい状態です。

 このうちトヨタは、1・7%増の954万2000台、ダイハツは3・8%増の84万8000台、日野自動車は10・1%増の20万4000台でした。トヨタの国内の乗用車販売は4・8%減の139万台に留まっています。

 トヨタと日産の単体比較では、トヨタは日産の1・6倍を販売しており、いぜん大きな開きがあります。日産・ルノー・三菱自グループは、会長を務めたカルロス・ゴーン容疑者が、特別背任罪などで昨年11月に逮捕された影響がどのように出るかは不透明です。

 世界の自動車産業は、EV化や自動運転化など「100年に1度の大変革期」と言われる大激動の時期に突入。次世代車の覇権をめぐって、販売量よりも技術や他の産業との合従連衡を追求しています。

決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2019/01/31 11:33

◎トヨタグループ 自民党への企業献金1億円余

 トヨタ自動車グループの自民党への政治献金が、2016年で1億781万2000円だったことがわかりました。

 名古屋市内で11月23日に開かれた第34回トヨタシンポジウムで、政治経済研究所の佐々木憲昭主任研究員(元日本共産党衆院議員)が報告したもの。

 佐々木氏がトヨタ自動車をはじめ、トヨタグループの自民党(国民政治協会)への政治献金を、2011~16年までの6年間を調べたものです。

 それによると、2016年のトヨタ自動車の自民党への政治献金は6440万円。ダイハツ工業が1790万円、トヨタ車体が100万円、東京トヨペットが80万円、東京トヨタ自動車が60万円、トヨタ自動車東日本が50万円…と続き、合わせると1億781万2000円にものぼります。

60 財界の自民党への政治献金


 この6年間の推移を見て見ると、2011年はトヨタ自動車が5140万円で、グループ全体では8184万7000円でした。この6年間で2596万5000円増やし、1億円を突破しています。

 トヨタ自動車は、2013年から6440万円で推移していますが、この額は日本の大企業で1番です。毎年、2~3兆円近い、日本の大企業でダントツの営業利益を稼いでいることから、献金額もそれに応じた額になっています。

 たとえば、2014年の企業献金のランキングを見てみましょう。

 (1)日本自動車工業会    8040
 (2)石油連盟         8000
 (3)日本電機工業会     7700
 <4>トヨタ自動車      6440
 (5)日本鉄鋼連盟      6000
 <6>東レ          4000
 <6>キヤノン        4000
 (6)不動産協会       4000
 <9>住友化学       3600
(10)日産自動車       3500
<10>新日鉄住金      3500
(12)三菱重工業       3300
(13)野村ホールディングス  3200
(14)大和証券グループ本社 3000
<15>東芝          2850
(15)日立製作所       2850
(15)パナソニック      2850
(18)三菱商事        2600
(18)三井物産        2600
(20)ホンダ         2500
※2014年、単位は万円、<>数字は経団連会長を出した企業

 日本経団連や大企業が求めてきた法人税減税は、こうした自民党へのカネの力で実現したものです。長年の自民党政治のもとで、リクルート事件をはじめ、「政治とカネ」の問題がくり返し起きています。

 日本共産党国会議員団は2015年7月1日、カネの力で政治を買う企業・団体献金を全面的に禁止する法案(政治資金規正法改正案)を、衆議院に提出しました。

 しかし、審議されず棚ざらしにされました。企業・団体献金の禁止の声をもっと上げることが必要です。

               ◇

 この記事は、12月1日にアップする予定でしたが、前日にアップしました。
決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/11/30 20:34

◎トヨタ この5年間の業績データ

 トヨタ自動車は、19年3月期の中間決算(18年3~9月)発表(11月6日)のパワーポイントで、5年間の「業績推移」表を掲載しています。15年3月期~19年3月期(見通し)の5年間です。

 連結販売台数、売上高、営業利益、当期純利益、連結総資金量、総還元額、研究開発費、設備投資の8つの指標です。決算発表のパワポで、こうした業績推移を掲載するのは異例です。

 これらの数値から何が読み解けるのでしょうか? 連結販売台数は、この5年間、16年3月期を除いて890万台で推移しています。横ばい状態です。「持続的成長をめざす」という経営戦略でしょうか。

30 トヨタの5年間のデータ


 営業利益は、17年3月期を除いて2兆円台で推移しています。日本の大企業で突出した利益を続けています。16年3月期は2兆8539億円で、3兆円に迫る利益でした。

 研究開発費は、電動化、自動運転化、コネクテッド化、シェア化の自動車産業の「100年に1度の大変革の時期」(豊田章男社長)を受けて、毎年、1兆円を超えています。

 株主への配当の総額は、1株200円、210円、220円へと引き上げ、毎年6000億円の巨額にのぼっています。

20 トヨタの利益剰余金


 この8つの指標にないのが内部留保の大きな部分を占める利益剰余金です。表をつくってみました(単位は億円)。15兆円から21兆円へと、毎年1兆円ずつ積み上げています。もちろん、これも日本の大企業で突出しています。

 このばく大な利益剰余金、私たち社員に還元されているのでしょうか? 15春闘(賃上げは4000円)、16春闘(1500円)、17春闘(1300円)、18春闘(「昨年を上回る」との日本語回答)の結果です。
決算・経営計画 | コメント(5) | トラックバック(0) | 2018/11/10 10:37

◎トヨタ 決算発表時 経営戦略を積極的に説明

 トヨタ自動車は、今年2月からメディアの記者らが取材する決算発表時に、役員がトヨタの「競争力強化に向けた取り組み」を説明しています。トヨタの経営戦略を積極的に明らかにしようという広報戦略です。

 これまでの2回は、「トヨタの競争力を支えるモノづくり」(河合満副社長/2月)と「トヨタのもっといいクルマづくり」(吉田守孝副社長/8月)でした。

 これに続いて11月6日の19年3月期中間決算(18年4月~9月)発表時には、「競争力強化・持続的成長に向けた販売の取り組み」をディディエ・ルロワ副社長とジム・レンツ専務が行いました。

 ルロワ副社長のパワーポイントは、トヨタのホームページに掲載されています。それによると、販売力強化に向けた基本方針は、「体力(収益)」「勢い(台数)」の確保と、新技術の普及であること。2018年のトヨタの販売目標は、前年比12万台増の950万台としています。

 その上で、日本と東京、中国での活動事例を示しています。東京では、4つの直営店を融合し、「トヨタモビリティ東京」へと、販売ネットワークの変革を開始すること。「町いちばん」「現地現物」と豊田章男社長が常に語っている言葉を使って、「世界中でトヨタウェイを共有」としています。

15 ライフスタイルカスタマーズ
(トヨタの「ライフタイムカスタマーづくり」=ルロワ副社長のパワーポイントから)

 また、顧客に対しては、①ライフタイムコスト(納車~代替)を減らす、②高い付加価値(バリューチェーンの強化・改善等)から成る「ライフタイムカスタマーづくり」を明らかにしています。

 レンツ専務のパワーポイントは、「北米における販売活動と収益改善の取り組み」のタイトルで、北米市場の「追い風と向かい風」を明らかにしています。具体的には、2020年までに、米国のラインナップの15%以上をハイブリッド・PHV・燃料電池車の電動化にしていくとしています。

 中日新聞(8日付)は、「米中戦略テコ入れ」の見出しで紹介しています。

決算・経営計画 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/11/09 18:09

◎トヨタ 今期は売上高29兆5000億円の予想

 トヨタ自動車は11月6日、19年3月期の中間決算(18年4~9月)を発表しました。このなかで3月期の売上高見通しを、当初の29兆円から29兆5000億円(前期は29兆3795億円)へと上方修正しました。30兆円の大台へ乗せる勢いです。

 営業利益も、当初の2兆3000億円から、2兆4000億円へと上方修正しました(前期は2兆3998億円)。横ばいですが、日本の大企業でダントツの利益を稼ぐことになります。

 一方、グループの世界販売台数の見通しは、当初の1050万台のまま据え置きました。営業利益が増えるのは、想定為替レートをこれまでの1ドル=106円から110円に円安に見直したことや営業面の努力によるものとしています。

19年3月期 見通し
(トヨタの19年3月期見通し=中間決算プレゼンテーションから)

 豊田章男社長は、世界の自動車産業は、電動化や自動運転化など「100年に1度の大変革の時期」と語り、トヨタは「生きるか、死ぬか」だと危機感を煽っていますが、確実に利益を上げています。

 この日の中間決算では、内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、前期の18年3月期(19兆4735億円)から、わずか半年で1兆9833億円増やし、21兆4567億円になりました。日本の大企業で、突出した内部留保です。

 記者会見で小林耕士副社長は、「社員全員が原価意識を持つことで、体質をもっと強化したい」などとのべました。

 原価改善による営業利益の押し上げ額は、半年間で300億円にとどまり、年間数千億円(2010年3月期では、年間で5200億円)に達していたことに比べて落ちていること、販売台数が1000万台を超えた2014年以来、1000万台超の横ばいで推移しているもとで、原価低減でもっと利益をあげることをねらったものです。

 豊田社長は5月の18年3月期決算発表の席上で、「トヨタの真骨頂は『トヨタ生産方式、TPS』と『原価低減』です」とのべていましたが、原価低減活動をさらに徹底しようというものでしよう。

決算・経営計画 | コメント(3) | トラックバック(0) | 2018/11/08 18:07

◎車は持つものではなく、借りる時代?

 旅行などでレンタカーを使うことは、しばしばありますが、車は持つものではなく、借りるものというシェア化が、いよいよ現実のものになろうとしています。

 トヨタ自動車は10月1日、「税金や保険の支払い、車両のメンテナンス等の手続きをパッケージ化した月額定額サービス(サブスクリプション)を気軽に申し込むことができ、好きなクルマ・乗りたいクルマを自由に選び、好きなだけ楽しんでいただく」などという、名付けて「KINTO」(筋斗雲をイメージ)というサービスを開始すると発表しました。

 豊田章男社長が自動車産業の「100年に1度の大変革の時期」と呼ぶ、電動化、自動運転化、コネクテッド化、シェア化などのうちの車のシェア化の具体化です。

 同社長は、トヨタは車をつくる会社から「モビリティ・カンパニー」へ変革するとして他の企業との連携を次々に打ち出しています。車づくりトヨタのイメージを大きく変えようというものです。

10 LC500h
(レクサスも借りる時代に?)

 トヨタはまた、同日、豊田社長も出席して全国トヨタ販売店代表者会議を開き、全国約5000販売店の変革をすすめていくことを明らかにしました。

 これまでのように販売店ごとに販売する車種が違うことを改め、2022~25年をめどに、原則、「全販売店全車種併売化」を実施するというものです。東京では、19年4月から直営販売店4社が新会社「トヨタモビリティ東京」を立ち上げ、先行実施するといいます。

 同時に、「KINTO」を、19年初めをめどにトライアル導入するとしています。人材育成のために「TPS改善推進部」を設立し、働き方変革をめざすといいます。

 豊田社長は、トヨタの販売ネットワークの強みは、経営者が「地場資本」であると強調。「これからは『地域』、『故郷』という概念が重要になる」とのべました。

 車のシェア化がすすめば、車の生産、販売は減ることはないのでしょうか? 販売店の変革の具体化のなかで、これまで通りに「150万台販売を維持していく」としていますが…。

 豊田社長は、国内の雇用を守るために「国内生産300万台を死守する」と語ってきました。半分の150万台は国内販売に、半分の150万台は輸出にという計算です。

 ある労働者は語ります。「全社的に現場の間接部門は廃止の動きです。ソフトバンクとの提携などと、いろいろと動き出しているトヨタ。定年まで、この会社が存続しているかどうかわからないです」

決算・経営計画 | コメント(1) | トラックバック(0) | 2018/11/02 11:29

◎トヨタの労使拡大懇 友山副社長が語ったこと

 今年4月から毎月開かれているトヨタの「労使拡大懇」。9月度の出席役員は、友山茂樹副社長と籠橋寛典常務理事。トヨタ労組の機関紙「評議会ニュース」が伝えています。

 友山福社長は、“コネクティッドカンパニー”プレジデントで、今年8月、配車サービス最大手の米ウーバー・テクノロジーズとの協業のために、ウーバーに5億ドル(約560億円)を出資することをまとめました。

 籠橋常務理事は労使拡大懇で、トヨタとマツダが2021年から米アラバマ州で合弁会社を立ち上げるMazda Toyota Manufacturing, U.S.A(MTM)について語りました。

15 米アラバマ州 トヨタとマツダ
(米アラバマ州に建設するトヨタとマツダの合弁会社の工場建設予定地)

 友山副社長はトヨタ労組の執行委員、評議員ら幹部を前に、次のようなメッセージを発しました。

……
 豊田章男以外、誰にも背負いきれない重い使命がある。 それは、喜一郎から引き継がれてきたものであり、社長は、日々葛藤しつつ、そこから逃げ出さず、戦い続けている。

 豊田社長とこれまで取り組んできた仕事を振り返ると、全てが、「トヨタが造ったトヨタの壁をぶち破る」という挑戦だった。我々は、社長の重い使命を代わりに背負うことはできないが、同じ、高い志を持って、ともに戦うことはできるはず。
……

 トヨタの豊田章男社長は、祖父で創業者の豊田喜一郎から引き継いだ、トヨタの他の誰もが背負いきれない「重い使命」があると同時に、「トヨタの壁をぶち破る」という挑戦と戦い続けていると語ったというのです。

 友山副社長はその上で、「この100年に一度の大変革期こそ、豊田社長のもとに、若きリーダーたちが一丸となって、未来にたすきをつなぐとき」などと語ったといいます。

 豊田社長が常に語る、世界の自動車産業の電動化、自動運転化、コネクテッド化、シェア化など「100年に一度の大変革期」に、一丸となって頑張ろうというメッセージを組合に直接伝えたかったのでしょう。

 「社長と一緒に闘いましょう」は、5月からの労使拡大懇での一貫したメッセージです。労働組合は、会社に対し、賃上げや労働条件の向上を要求して闘う全員加入の組織です。労使拡大懇とは、経営方針の伝達場所なのでしょうか……。
決算・経営計画 | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/10/27 18:01
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